約9割が初来日、ポーランドの芸術家に焦点をあてる日本初の展覧会『〈若きポーランド〉』まもなく京都で開催、音声ガイドは岡本信彦
3月25日(火)~6月29日(日)の期間、京都国立近代美術館にて『〈若きポーランド〉-色彩と魂の詩(うた) 1890-1918』が開催される。音声ガイドは声優の岡本信彦が務める。
ユリアン・ファワト「冬景色」 1915年 油彩/カンヴァス クラクフ国立博物館蔵
「ポーランドの美術とは?」その疑問に答える同展。ポーランドの芸術のみならず、ポーランドの芸術家たちに焦点をあてる日本で初めての展覧会となる。出品される作品の約9割が日本初公開となる。クラクフ国立博物館の全面的な協力のもと、ワルシャワを含む複数の国立博物館や多くの個人所蔵家から招来した絵画ならびに版画、家具やテキスタイルなどの工芸品を含む約130点によって、前世紀転換期に花開いたポーランド美術の真髄を展開する。
スタニスワフ・ヴィスピャンスキ[ デザイン]/ザヨンチェク&ランコシュ社、ケンティ[製作]/ヘレナ・チェレムガ[刺繍 ]「刺繍のあるタペストリー(ペルメット)」 1903-04年 羊毛地、平糸刺繍 クラクフ国立博物館蔵
ポーランドは建国以来頻繁に国境線が変わり、14世紀には欧州最大の規模を誇ったにもかかわらず、1795年にロシア・プロイセン・オーストリアによる分割以降、123年の間独立を失っていた。国を失った人々が自らのアイデンティティの拠り所としたのが、芸術そして文化だった。その中心地として、古都クラクフは重要な役割を果たした。
ヤン・マテイコ「1683年、ウィーンでの対トルコ軍勝利伝達の教皇宛書簡を使者デンホフに手渡すヤン3世ソビェスキ」 1880年 油彩/カンヴァス クラクフ国立博物館蔵
19世紀後半、画家のヤン・マテイコがポーランドの歴史や文化的逸話を大きなスケールで描き名声を博す。クラクフ美術学校校長を務めた彼のもとからは、数多くの若き芸術家たちが巣立った。彼らは、祖国の独立を願いつつ、そこに自らの心情を結びつけ、象徴性に富み色彩豊かな独自の芸術を広い分野で展開。
「日本の屏風の前で三味線を持つフェリクス・ヤシェンスキ」 1906年以前 写真 クラクフ国立博物館蔵
「若きポーランド」と呼ばれた彼らは、同時代の西欧の美術や、フェリクス・ヤシェンスキによりクラクフ国立博物館に世界有数の日本美術コレクションが寄贈されていることから、浮世絵などを貪欲に吸収。地方に残る伝統文化を発見・再解釈しながら、ポーランドの「国民芸術」の在るべき姿を模索した。同展では、マテイコを前史とし、芸術家たちに広く影響を与えた日本美術との関係とともに、若きポーランドが生み出した芸術を包括的に、日本で初めて紹介する。
レオン・ヴィチュウコフスキ「日本女性」 1897年 油彩/カンヴァス クラクフ国立博物館蔵
音声ガイドを務める岡本信彦は「ポーランドには行ったことがないので、作品からその国の背景を知れるのがとても嬉しいです。その時代だからこそ生まれた美や文化を体感しながら心を込めて読みます。よろしくお願いします」とコメントしている。
スタニスワフ・ヴィスピャンスキ[デザイン]/アンジェイ・スィドル[製作]「椅子:ゾフィア&タデウシュ・ジェレンスキ夫妻邸の食堂のための家具セットより」 1904-05年 クルミ材、プラタナス材、彫刻・彩色 クラクフ国立博物館蔵
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