円安の中で味わう海外旅行気分、28万人の動員を記録した『タイフェス』で石井竜也×BNK48、テイ-ニュー、ライキャンらが魅せた熱狂

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2026.5.29

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第26回タイフェスティバル東京 2026.05.09(SAT)~10(SUN) 代々木公園イベント広場

代々木公園で毎年、来場者数最多を誇るイベント『タイフェスティバル』が5月9日(土)~10日(日)に開催された。今年は燃油サーチャージの高騰や円安といった世相も手伝い、日本にいながら本場の熱気や海外旅行気分を味わえることに注目が集まり、28万人を記録した。会場にはタイ料理やフルーツ、雑貨のブースが並ぶほか、無料のメインステージには石井竜也をゲストに迎えたBNK48ら25組が出演。来場者から「タイに行きたくなった!」という声が次々に上がるほど、日本人のタイへの愛を、全身に浴びる2日間となった。

●気温もにおいもまるでタイ、五感で本国を味わう空間

原宿駅西口から徒歩8分、もしくは各線渋谷駅のA12出口から徒歩12分。人の流れに沿って歩いていると、Thai Festivalの文字「a」から生まれたマスコットが描かれた看板に出迎えられる。

中に入るとまさに人の波。特に休憩所まわりのフードエリアやフルーツエリア、アーティストグッズエリアは長蛇の列が伸び、人を縫うようにして進まなければならない時間帯もあった。最高気温23度と真夏ほどではないものの、来場者の熱気と照りつける太陽により、半袖でも汗ばむ陽気だ。帽子やサングラス、ハンディファンといった暑さ対策と水分補給は欠かせない。

原宿口ゲートタワーから進むとまず見えてくるのは、タイ政府関係のブースの数々。在東京タイ王国大使館では、夜間の最高位正装のひとつである「タイ・ドゥシット」などを展示。そのほか豪華景品が当たるタイフェスくじや、AIでタイの伝統衣装「チュッタイ」を着用したような写真が撮れるプログラムなどが展開され、途切れることなく列をなしていた。

渋谷方面に足を進めると、スーパーマーケットのエリアに到着する。専門店へ足を運ばずとも、タイの調味料や食材が安価で手に入るチャンスとあって、入場待ちの長蛇の列ができていた。このあたりまで来ると、ドリアンの独特な香りが鼻をかすめる。すぐ隣ではドリアンやマンゴー、マンゴスチンなどタイのフルーツが並び、その場でカットして提供されていた。その場で食べるもよし、箱買いして自宅で楽しむのもよし。宅配サービスのブースもあるため、大量に購入しても持ち帰りに困らないのはうれしいポイント。

さらに奥へ進むと、物産&サービスコーナーが現れる。デザインチーム「HOLEN」が手掛ける猿神「ハヌマーン」の雑貨や、日本人のイラストレーターがタイの柄を描き下ろした晴雨兼用傘、スカートに見えるタイパンツなどがずらり。手頃な単価に、つい財布の紐が緩む。キャッシュレス決済も普及しつつあるが、『タイフェス』では依然として現金が重宝する場面も多い。あらかじめ準備しておくと安心だ。

空腹を感じたら、レストラン&ドリンクコーナーへ。14時ごろまでは休憩用のテントも購入列も人が途切れることはない。あまりの混雑に、購入したものを地べたに座って食べる来場者の姿も多く見られた。もしゆっくり座って楽しみたいのであれば、汚れてもいい服装で訪れるのが得策だ。

そんな賑わいの中でも、タイの老舗の紅茶ブランド「チャトラムー」は不動の人気。タイのような暑さの中で飲む、キンキンに冷えた甘いミルクティーは格別の味わいだったことだろう。

今回編集部が注文したのは、チェンマイの郷土料理であるカレーラーメン「カオソーイ」と、スパイスの効いた「サイウア(チェンマイソーセージ)」。刺激的な辛さだが、日本ではなかなか味わえないほどの香辛料が複雑に絡み合った味に、思わずビールやスムージーを頼まずにはいられない。海老一匹を丸ごと皮で巻いた春巻きや、ヒリヒリした舌に優しいカオマンガイなど、どれも絶品。思い出すだけで、その味の余韻に浸れるほどだ。

●アーティストとファンの交流も「タイ流」

代々木公園のどこを歩いていても、例年以上にタイのエンタメに関する会話が耳に飛び込んできた。先ほど触れた、前進すらままならないほどの行列。その喧騒に耳を傾ければ、あちらこちらで俳優やアーティストの名前が挙がっているのがわかる。「タイの食や文化が好きな人からすれば、なぜこれほど俳優ファンが多いのか不思議に思うだろうね」――そんな来場者の声が、耳を澄まさずとも聞こえてくるほど。

かつてはタイ料理や伝統文化が主役だったこのフェスティバルだが、今やエンタメコンテンツは、会場全体の熱量を底上げし、入場者数を過去最高へと押し上げる最大の原動力となっている。伝統的な「タイ好き」の層に加え、ドラマや音楽を入り口とした新しいファン層が全エリアに浸透し、イベントの景色を塗り替えつつあるのだ。

その熱狂を象徴していたのが、渋谷ゲートタワー側のオフィシャルショップだ。ここではGMMTVやDMDをはじめとした、タイの芸能事務所に所属する俳優やアーティストのグッズが販売され、早々に完売しているアイテムが続出。会場の暑さに負けないファンの熱量を肌で感じることができた。

BNK48の握手会の様子

BNK48の握手会の様子

ドラマ『Reloved The Series』メインキャストのサイン会

ドラマ『Reloved The Series』メインキャストのサイン会

またBNK48の握手会や、ドラマ『Reloved The Series』のメインキャストによるサイン会なども実施。SNSで話題のタイ人少年ミーハが「子ども店長」を務めたり、「お前らよく聞け」のフレーズ人気のインフルエンサー・ナインのチェキ会も行わたりと、枚挙にいとまがないほどのイベントが目白押し。こうした至近距離での交流文化こそが、多くのファンを代々木へと駆り立てる大きな理由となっている。

さらにタイ国政府観光庁ブースのステージには、「香水」をタイ語でセルフカバーした瑛人が登場。ほかにもタイの芸能界を舞台に大衆演劇“リケー”の世界が描かれるBLドラマ『Let Me Into Your Heart』主演俳優のザレン&リオン(ZALENG&LEON)が登場するなど、多種多様な催しが観客を楽しませていた。

ドラマ『Let Me Into Your Heart』メインキャストの撮影会

ドラマ『Let Me Into Your Heart』メインキャストの撮影会

初日の夜には、同作のメインキャスト4名がファンとの撮影会を突如開始する場面に遭遇。こうしたファンとの近さは、タイの俳優やアーティストならではの魅力だと改めて実感させられた。

●テイ-ニュー、ライキャンらが紡ぐメインステージ

マムアンケンジ

マムアンケンジ

無料で観覧できるメインステージには計25組が出演。入場規制がかかる時間帯もあり、司会の伊豆田莉奈(元AKB48・BNK48・CGM48)とマムアンケンジが「一歩ずつ後ろへ」とアナウンスしていたのも印象的だった。

9日(土)のステージが熱気を帯びてきた頃、「タイに来たらいいと思う」のフレーズでSNSを賑わせているNipponBoyzが登場した。マルチタレントのリョウタ、俳優のルーク、元タイ代表アイスホッケー選手のヒデキの3人からなる彼らのステージは歌やダンスに留まらない。全員が俳優として活躍することから、ドラマの「あるある」の再現や、ジェスチャークイズなど、元芸人でマルチタレントのリョウタの腕が光る異色のパフォーマンスに、会場は歓声と笑いの渦に包まれた。

フェリス(FELIZZ)

フェリス(FELIZZ)

続いて、一段と大きな歓声の中でGMMTV所属アーティストたちのステージが幕を開ける。トップバッターのフェリズ(FELIZZ)は、アラビアンな雰囲気漂う代表曲「Abracadabra」を艶やかに披露。個々の魅力もさることながら、グループとしてピタリと揃ったダンスの美しさが際立つ。また生歌ならではの熱気と彼女たちの高揚感がダイレクトに伝わり、観客の心を引き込んでいった。日本におけるタイの芸能界は男性が注目されがちだが、その中で切磋琢磨してきた彼女たちだからこその「凛とした力強さ」が、ステージ全体に溢れていた。

ガウィン(Gawin)

ガウィン(Gawin)

続いて登場したのは、俳優としても高い人気を誇るガウィン(Gawin)。スタンドマイクの前に立つ彼の第一声に、俳優としての顔しか知らなかった来場者は驚いたかもしれない。主演ドラマ『My Golden Blood』の挿入歌で、日本語版をリリースしたばかりの「Closer」では、一部を日本語で歌い上げるサプライズも。あまりに発音が自然で、彼がタイ語話者だということを忘れたほどだ。派手な演出に頼らず、低音ボイスでしっとりとバラードを歌い上げるその姿は、代々木の木々のせせらぎとも相まって、会場に心地よい癒しの時間をもたらした。MCでの落ち着いた語り口まで含め、「静かに聴き入らせる空気感」こそが、彼の真骨頂と言えるだろう。

左からテイ(Tay)とニュー(New)

左からテイ(Tay)とニュー(New)

テイ-ニュー(Tay-New)が登場すると会場の空気は一変。ファンと軽妙なコミュニケーションを図り、機材トラブルすらも笑いに変える余裕たっぷりの対応力には、ベテランの風格が滲んでいた。さらに彼らのステージで印象的だったのは、全3曲のうち2曲が後輩の楽曲だった点。タイ版『チェリまほ(30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい)』で共演したジュニア&マーク(Junior&Mark)の「Cutie Overload」や、普段から親交の深いジェミナイ(Gemini)のヒット曲「Hook」をカバー。後輩の魅力を日本へ繋ごうとする「頼れる兄貴分」としての粋な計らいがセットリストから伝わってきた。最後は自身の曲「No More」を披露し、日本語でコール&レスポンスを求めるも、ファンが条件反射でタイ語で返してしまう微笑ましいすれ違いも。会場は一気に多幸感に包まれた。

ナノン(Nanon)とライキャン(LYKN)

ナノン(Nanon)とライキャン(LYKN)

その熱量を引き継ぐように、ナノンが現れる。ドラマ『The Gifted』での緊迫感あるシリアスな演技から、大ヒット作『Bad Buddy Series』での瑞々しい姿まで、役者として多彩な表情を持つナノン。近年はソロアーティストとしての風格も増し、どこか落ち着いた大人の佇まいも見せるようになったが、そんな彼の大人のエンターテイナーとしてのフットワークの軽さと、抜群のサービス精神が弾けた。登場直後から後輩のライキャン(LYKN)を呼び込み、「KNOCK KNOCK」をコラボ。

ナノン(Nanon)

ナノン(Nanon)

左からナノン(Nanon)とテイ(Tay)

左からナノン(Nanon)とテイ(Tay)

ドラマの主題歌でもある「Our Song」ではその仕掛け人っぷりが爆発する。なんと舞台袖の仲間に手招きをし、先ほど出番を終えたばかりのテイをサプライズで呼び戻したのだ。そして、ステージに現れたテイがそのままサビを歌い上げるというライブ感あふれる贅沢な演出に、集まった観客は大いに熱狂した。

ライキャン(LYKN)

ライキャン(LYKN)

ライキャン(LYKN)に水を渡すテイ、ガウィン、ナノン

ライキャン(LYKN)に水を渡すテイ、ガウィン、ナノン

そして温まりきった会場にライキャン(LYKN)が再登場。ナノンとのコラボで見せたアットホームな雰囲気から一変、単独ステージではアクロバティックでキレのあるダンスを叩きつけ、さらに会場のボルテージを引き上げる。彼らの4年連続出演という歩みは、そのまま圧倒的な進化の証明でもあった。初出演時とは比べ物にならないほどダンスのキレは増し、表現力も劇的に向上している。ラストには、歌詞の中に日本語の<すごい>を連発する最新ナンバー「โฮ่ง!(SUGOI)」をドロップ。会場の盛り上がりを文字通り最高潮へと導き、大歓声の中でこの日のGMMTVブロックのフィナーレを飾った。

伊豆田莉奈

伊豆田莉奈

BNK48

BNK48

GMMTV勢が残した凄まじい熱量を受け、司会の伊豆田莉奈も高揚を隠せない。かつて自身も所属した48グループのメンバーたちを前に「この前まであの中にいたのに変な感じ」と感慨深げに語りつつも、「皆さんもご存じの曲のタイ語バージョンもありますので楽しんでください!」と呼び込み、BNK48がステージへ。披露された「大声ダイヤモンド」などのタイ語ローカライズ版は、日本のファンにとっては馴染み深く、代々木公園に心地よい一体感を生み出していく。

BNK48

BNK48

石井竜也×BNK48

石井竜也×BNK48

さらにステージは、この日ならではの特別なコラボレーションへと移る。米米CLUBの石井竜也が扇子を携えて姿を現し披露されたのは、3月にリリースされたばかりのコラボシングル「君がいるだけで(Because of You)2026 Thai-Japanese Version」だ。誰もが知る名曲がアップテンポかつタイ民謡風にアレンジされ、客席からは大きな歓声が上がる。J-POPのレジェンドとタイの人気グループが交わる贅沢な空間に、両者のファンや国籍すらも超え、観客たちが自然と場所を譲り合いながら笑顔で体を揺らしていたのが印象的だった。

石井竜也×BNK48

石井竜也×BNK48

●熱気はそのまま、2日目のステージへ

テンクス(THX)

テンクス(THX)

翌日のメインステージは約1時間早めの10:10からスタート。三番手のテンクス(THX)はハイプマンを迎えたHip-Hop色の強いタフなステージを展開。オリジナル楽曲のほかエフ・ヒーロー(F.HERO)×ミリ(MILLI) feat.チャンビン(Stray Kids)の「Mirror Mirror」や、ミーガン・ザ・スタリオンの「Mamushi (feat. Yuki Chiba)」などのカバーを鋭く披露していく。印象的だったのは、ステージを心から楽しむ彼女たちの圧倒的な緩急だ。バシッとクールに決める一方で、ファンと至近距離の交流を遊び尽くす人懐っこさを見せる。しかし、新曲「SIP」が始まれば一転、とんでもないアイソレの連続で圧倒。ただのアイドルではない、その高いポテンシャルで「実力派」の名に恥じない圧巻のパフォーマンスを見せつけた。

トリプルビー(VVV/撮影=Wako Busarin)

トリプルビー(VVV/撮影=Wako Busarin)

ヒットメーカーのザ・トイズ(The TOYS)がプロデュースする3人組ユニット、トリプルビー(VVV)は、PPクリットの「Fire Boy」やスクラブ(Scrubb)の「Close」など、ドラマファンに馴染み深い楽曲をカバー。その歌声はフードエリアで並んでいた人々をもステージへと吸い寄せていく。さらに2000年代の雰囲気が漂うデビュー曲「Envy」を披露し、「僕たちの曲を聴いたことがある人?」と呼びかけると、温かな歓声が会場を包んだ。今年2月にデビューしたばかりの彼らの今後に期待せざるを得ない。

なお、SPICEではステージに出演したフェリズ、テンクス、そして2日目に出演したクローバー(CLO’VER)の3組にインタビューを実施。トリプルビーからもコメントが到着する予定だ。随時公開となるので楽しみにしてほしい。

降り注ぐ太陽、スパイシーな料理の香り、そしてステージから放たれる圧倒的なエネルギー。五感のすべてでタイを感じた2日間は、こうして幕を閉じた。かつての「食」への関心から始まり、今や「エンタメ」という強力な引力を得たことで、日本人のタイへの愛はより深く、多層的なものへと進化している。代々木公園を埋め尽くした過去最高の動員数は、その熱狂が一時的なブームではなく、確かな文化として定着した証と言えるだろう。

取材・文・撮影=川井美波(SPICE編集部)

イベント情報

『第26回タイフェスティバル東京』
■日時: 5月9日(土)~10日(日) 10:00~20:00 雨天決行
■場所: 代々木公園イベント広場(東京都渋谷区代々木神園町2-1)
主催:第26回タイフェスティバル東京実行委員会
後援: 日本国外務省
スポンサー:株式会社JTB/ワンナポップ/プラカーン/カゴメ株式会社/タイ国際航空/タイ・エアアジア X/REBOO
サポート・パートナー: AMPOL FOOD PROCESSING LTD. / ジェントス株式会社
公式サイト: https://thaifes.jp
公式X: @thaifes_jp /公式Instagram: @thaifes_jp
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