水槽、音羽-otoha-と共に作り上げた“共創型ライブ”『DUAL DISPLAY』をレポート
水槽、音羽-otoha-
水槽 presents “DUAL DISPLAY” feat. 音羽-otoha-
2026.6.18 WWW X
“なんかとんでもないものを観た!”という興奮がなかなか冷めない一夜だった。
6月18日、水槽が自身初となる主催ツーマン『水槽 presents “DUAL DISPLAY” feat. 音羽-otoha-』を渋谷WWW Xにて開催した。ツーマンライブというと、どちらかが先攻/後攻といった感じで、各々が持ち時間内にパフォーマンスをする(アンコールでコラボをしたりする場合もある)のが通例だ。しかし、この『DUAL DISPLAY』は、〈二つの“ディスプレイ(表現)”が並走する構成〉で繰り広げられる“共創型ライブ”。初開催となった今回は音羽-otoha-が招聘され、まさに2人で1つのライブを作り上げていた。いや、1つのライブどころか、もはやユニットを結成したと言っても過言ではないレベルで共鳴し合っている2人のパフォーマンスに、フロアは終始沸き続けていた。
オープニングSEが流れ始めると、まずはステージに音羽-otoha-が登場。ギターを構えてステージ上手側に立つと、続いて水槽が姿を現し、ステージ後方のDJブースへ。1曲目に届けられたのは、音羽-otoha-の「地球最後の一日」のコラボレーションだ。曲をスタートさせた水槽がステージ下手側に移動すると、2人は歌声を重ねていく。壮大なスケール感のアンセムナンバーでドラマティックに幕を開けると、すぐさま水槽の「SINKER」がスタート。互いの楽曲のショートバージョンをノンストップで繋ぎ、さらに相手の楽曲にコーラスなどで参加するDJブロックへ突入した。「リインカーネーション」では、ヒリヒリとしたリフを弾きながら音羽-otoha-が歌い、ステージ中央へ躍り出てギターソロを奏であげれば、水槽は「事後叙景」で言葉を畳み掛けていく。水槽はDJとしても活動しているが、もしかしたら『DUAL DISPLAY』のコンセプトは、複数のDJが交互に曲をプレイする“バックトゥバック”から着想を得たのかもしれない。そんなことを考えている間にも矢継ぎ早に曲が続く。音羽-otoha-の「駆落」ではオーディエンスが左右に手を振り、熱狂のピークで辿り着いたのは、水槽の「INCIDENT」のコラボレーション。艶やかで危険な香りが漂うクールなアップチューンを2人で歌い上げ、序盤戦から怒涛の展開で魅せる2人に、フロアから大きな歓声と拍手が送られた。
水槽
音羽-otoha-
ここで水槽が一度ステージを離れ、音羽-otoha-のソロブロックへ。「先生布告」ではハンドマイクを握り、鬱々とした感情を爆発させるように歌い叫ぶと、「闇夜のダンサー -Dancer in the Dark Night」では、ギターリフを弾きながらエモーショナルなロングトーンを放つ。続く「engine」では、往年のギターヒーローを彷彿とさせる電動ドリル奏法も飛び出した。水槽のソロブロックは「ロリポップ・バレット」から。アンニュイでダウナーでありながらも低音の効いたビートでフロアを揺らしていく。そこから「イントロは終わり」でフロアの熱を高め、さらに「MONOCHROME」へと繋いで場内の興奮を右肩上がりで跳ね上げていたが、ギターの音色が耳に残る楽曲をチョイスしていたところも印象的だった。
音羽-otoha-
ここまでアッパーな展開で捲し立てる構成になっていたのだが、その空気をガラリと変えたのが、中盤に用意されていたアコースティックブロックだった。音羽-otoha-がアコースティックギターを柔らかく爪弾き、水槽が歌い始めたのは、音羽-otoha-の「あのミュージシャンのせいで」。まるで泣き叫んでいるかのように感情を込めて歌を紡ぐと、音羽-otoha-は水槽の「ランタノイド」を披露。2人でハーモニーを響かせながら、徐々に音羽-otoha-の歌とギターストロークに熱がこもっていく。ブロックを締め括ったのは、水槽の「箱の街」のコラボレーション。アコースティックブロックには、「お互いの大事な曲を相手にカバーしてもらう」というテーマがあったそうで、心の奥底にあるナイーブな部分を曝け出していくような曲達を、オーディエンスは噛み締めるように聴き入っていた。
水槽、音羽-otoha-
ここでやや長尺のMCタイムへ。息つく間もなく駆け抜けてきた2人は、ここまでをねぎらうように「おつかれ」と乾杯。そのままゆったりと話をしていたのだが、この2人、音楽性やアウトプットの仕方は異なれど、話しているときの空気やテンション感がどことなく似ている。まるで2人がいつも通り話しているような空気感が心地よく、フロアからは笑い声も上がっていた。
そんな和やかな空気を切り裂くように、音羽-otoha-がフィードバックノイズを轟かせると、水槽が「音羽-otoha-さん、調子いいみたいなんですけど、お前らどうなん!?」と煽り、音羽-otoha-の新曲「PLAMO」で後半戦がスタート。アグレッシヴなロックサウンドでフロアに再び火をつけると、「狂信者のパレード -The Parade of Battlers」へなだれ込み、ハードかつダークな音を響かせていた……のだが、サビに入るタイミングでリミックスバージョンがスタート。このリミックスは、この日のために水槽がアレンジしたそうで、強烈に低音を効かせたビルドアップ/ドロップでフロアを踊らせていく。
水槽
驚きと興奮にフロアが沸く中、音羽-otoha-はDJブースへ移動。水槽にヘッドフォンを手渡された音羽-otoha-が、そのままブースにスタンバイするというレアな光景に再び驚きの声が上がった。音羽-otoha-が流し始めた「夜天邂逅」を受けて、ステージ前方へ飛び出した水槽が言葉とメロディを畳み掛けていく。曲中では「毎日悔しいこと、諦めたいことばっかなんですよ。でも、この夜に、音羽-otoha-とあなたと出会えたことは本物じゃないですか!?」とフロアを焚きつけ、オーディエンスの歓声を受けながらエモーショナルな歌声を響かせていた。そして本編最後の曲として、音羽-otoha-の「no man's world」をコラボレーション。ドラマティックなアンセムナンバーにオーディエンスの大合唱も巻き起こる中、途中で水槽がギターを演奏する場面も飛び出し、大興奮を巻き起こしたまま2人は舞台袖に戻って行った。
水槽
音羽-otoha-
アンコールでは「自分たちが愛してやまないバンドの曲をカバーさせていただきます」と、ヒトリエの「ポラリス」をカバー。音羽-otoha-がこの日披露した「PLAMO」や、7月10日に配信される「しゅるれりら」はヒトリエがプロデュース。水槽の楽曲にもヒトリエのメンバーがそれぞれレコーディングに参加したことがあり、2人にとって所縁のあるアーティストではあるのだが、それ以前に、2人とってヒトリエは「青春」とのこと。オケをそのまま拝借して歌うのではなく、自分達のカラーに再構築しつつ、ヒトリエへの愛とリスペクトに溢れるアレンジが施されていて、2人は代わる代わるメロディを歌いながら、アウトロでは向き合ってギターを奏でていた。
“共創型ライブ”と銘打っていたこともあり、かなり特別なライブになると予測してはいたのだが、想像以上に内容盛りだくさんで、ハイライト連発の超濃密なステージだった。普段のステージとは異なることもあり、それぞれが神経を研ぎ澄ませながら臨んでいた部分もあっただろう。また、ステージを通してオーディエンスに楽しんでもらおうという思いはもちろんあったと思うが、互いの持っている手札をひたすら出し合い、共に作り上げていくことをただただ楽しんでいるようにも見えた。
水槽
音羽-otoha-
水槽「我々が面白がって作った得体の知れないライブにこれだけの人が来てくれて、本当にありがとうございます!君達全員マジでセンスあります!」
ラストナンバーは、水槽の「報酬系」をコラボレーション。「夏の最初の思い出作って帰りましょう!」という水槽の煽りに応え、オーディエンスも声を張り上げる。音羽-otoha-もギターソロをダイナミックに弾き上げて、すべての楽曲が終了。最後に肩を組み、「ありがとうございました!」と叫ぶ2人に、一際大きな歓声と拍手が送られていた。
水槽、音羽-otoha-
記念すべき初開催は間違いなく大成功。となると、次回開催が気になるところだが、この日のMCで、「これは誰でも誘えるわけじゃない」と、水槽は笑いながら話していた。確かにその通りだろう。水槽も音羽-otoha-もMCでそれぞれ直接言葉にしていたが、音のやり取りからもお互いをリスペクトしていることがひしひしと伝わってきたのはもちろん、かなりトリッキーでもあるこの企画を、楽しみながら共に作り上げることができる相手は本当に数少ないと思う。しかし、間違いなくこの構成でしか味わうことのできない内容だったこともあり、“また観たい!”と思ったのは、きっと私だけではないはずだ。音羽-otoha-との再演も含め、次回の開催を楽しみに待っていたい。
文=山口哲生
撮影=Jin Tachibana
セットリスト
2026.6.18 WWW X
1. 地球最後の一日
2. SINKER
3. リインカーネーション
4. 事後叙景
5. 駆落
6. INCIDENT
7. 先生布告
8. 闇夜のダンサー -Dancer in the Dark Night
9. engine
10. ロリポップ・バレット
11. イントロは終わり
12. MONOCHROME
13. あのミュージシャンのせいで
14. ランタノイド
15. 箱の街
16. PLAMO
17. 狂信者のパレード -The Parade of Battlers
18. 夜天邂逅
19. no man's world
[ENCORE]
20. ポラリス / ヒトリエ (cover)
21. 報酬系
ライブ情報
<スケジュール>
[日程]2026年11月7日(土)
[開場/開演]17:15 / 18:00
[会場]大阪・Yogibo META VALLEY
[日程]2026年11月14日(土)
[開場/開演]17:00 / 18:00
[会場]東京・Spotify O-EAST
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