有澤樟太郎「ミュージカル界に新しい風穴を開けたい」 ミュージカル『民王』製作発表記者会見レポート

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2026.7.28
ミュージカル『民王』製作発表記者会見より

ミュージカル『民王』製作発表記者会見より

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2010年に刊行された池井戸潤による長編小説を初めて舞台化する、ミュージカル『民王』。公演の開幕に先駆け、2026年7月27日(月)には製作発表記者会見が行われ、有澤樟太郎、別所哲也、豊原江理佳、林瑠奈(乃木坂46)、山﨑大輝、上川一哉、福田転球、一路真輝、竹中直人、演出の永井誠が登壇した。

本作は、ひょんなことから内閣総理大臣と大学生の息子の心と体が入れ替わったことで巻き起こる混乱を、社会や政治への皮肉や風刺を絡めて描いた痛快政治コメディ。2010年に単行本、2013年に文藝春秋より文春文庫版、2019年にKADOKAWAより角川文庫版が刊行され、人気を博した。また2015年にはテレビ朝日系にて初のドラマ化がなされ、さらに2024年にはテレビドラマオリジナルストーリーとして「民王R」も放送されている。今回のミュージカル化は、「池井戸潤小説」として初の舞台化となる。


この日の会見では、劇中歌4曲がメドレーにて披露された。「民衆の愚痴」は、本作のオープニングナンバー。人々が現在抱えるモヤモヤをジャズサウンドに乗せて歌い上げる。続く「誠意を見せてみろよ」は、銀座に実在する高級レストランで行われる政治家たちの密談の様子を歌う。3曲目の「今は何者でもないけれど」は、有澤が演じる武藤翔が、林が演じる南真衣への恋心を歌うナンバーだ。最後に、本作品のテーマ曲でもある「民王のテーマ」をカンパニー全員で歌唱した。


――登壇者の皆さんから一言ずつご挨拶をお願いします。

永井誠(以下、永井):私は、今回、ミュージカルデビューで、東宝演目、舞台演出家デビューでございます。池井戸先生も舞台化されるのが初めてということは「デビュー」。角野さんチームもミュージカル楽曲を作るのは初めてなので、「デビュー」です。このデビューチームで全く新しいミュージカルを作っていきたいと思っております。

有澤樟太郎

有澤樟太郎

有澤樟太郎(以下、有澤):永井さんがおっしゃっていたように、初尽くしのミュージカルでございます。政治痛快コメディということで、ミュージカル界に新しい風穴を開けたい、新しいジャンルを切り開きたいと思っています。「観に来てくださった方を笑顔にしたい」という大きな自分の目標がこのミュージカルで叶うような気がしています。それくらいの力を持った池井戸潤さんの作品です。すでに稽古は始まっていますが、皆さん目がキラキラしていて。きっと僕自身もキラキラしているんだろうなと思いながら、楽しく稽古をさせていただいています。なので、期待値をガンガン上げていきたいと思っています。これで面白くなかったら相当やばいぞと思っています。皆さん、どうぞよろしくお願いします。

別所哲也

別所哲也

別所哲也(以下、別所):有澤樟太郎さんが演じる武藤翔は、私の息子ですが、この息子がキラキラ系、そして私はギラギラ系です。皆さんに熱く、政治の今と、息子になってしまった後の武藤翔の変化、そしてそれゆえに日本の政治がどう変わるのかをお届けできればと思っています。稽古では笑いが絶えません。僕も内閣総理大臣をミュージカルで演じるのは初めてで、お初尽くしです。この作品がミュージカルの新しいジャンルを切り開いていくのだろうと、ゼロから生み出す面白さを楽しんでおります。

豊原江理佳

豊原江理佳

豊原江理佳(以下、豊原):ドラマも原作も大好きな内容で、これがミュージカルになったら絶対に面白いだろうな、楽しい作品になるだろうなと思って、挑戦させていただくことになりました。登場するキャラクターがみんな本当に濃くて。お芝居も歌もどちらもチャレンジングなことが多い作品になるのではないかと思って、今から楽しみです。自分がどこまでできるか、稽古場でどんどん挑戦していけたらと思っています。新しいミュージカルが出来たらいいなと思っておりますので、皆さま、どうぞ楽しみにしていてください。

林瑠奈

林瑠奈

林瑠奈(以下、林):先ほど永井さんと有澤さんからもあったように、私としましてもこのミュージカルがミュージカル初挑戦となります。初めてのことで慣れないことも多いですが、錚々たる皆さんとご一緒できるので、たくさん吸収し、皆さんに素晴らしいエンターテインメントをお届けできるように精進してまいります。

山﨑大輝

山﨑大輝

山﨑大輝(以下、山﨑):原作もドラマもすごく面白いので、一体ミュージカルになったらどんなふうになるのかと、皆さんも思っていただいていると思いますが、僕たちもそう思っています。とにかく今、さまざまなチャレンジをして、このお二人(武藤親子)に振り回されながら、時には僕も振り回していきたいなと思っております。

上川一哉

上川一哉

上川一哉(以下、上川):小説『民王』に歌、ダンスが加わり、そして劇場という空間でどのような化学反応が起きるのか、今からワクワクしながら稽古に挑んでおります。私は公安の刑事の新田理役なので、演出の永井さんから「新田は舞台上では絶対に笑うな」と言われていますが、毎日、稽古場は笑いが絶えません。稽古場ではいっぱい笑わせてもらい、舞台上では一切笑わず、公安の任務に務めてまいりたいと思います。

福田転球

福田転球

福田転球(以下、福田):私は、3年前に『ハヤブサ消防団』というドラマに出演させていただいておりました。その作品も池井戸先生の原作でしたが、今回、『民王』に出演させていただくにあたって、本読みに池井戸先生がいらしてくださったときに、「出ていただいてありがとうございます」と言っていただいて。それは、僕のセリフですよと。本当にこんな機会をいただいてありがとうございます。頑張りますので、よろしくお願いいたします。

一路真輝

一路真輝

一路真輝(以下、一路):この作品では、私は別所さんの妻の綾を演じさせていただきますが、一番の衝撃は、別所さんから「ママ」と言われる場面です。稽古場でもその場面が面白すぎるのですが、立場的には「何を言っているの?」と怒らなくてはいけない。パワー全開で出てこなくてはいけないというところは大変です。私は、長くこの世界にいますが、新作ミュージカルは初めてかもしれない。毎回、できあがった曲を皆さんが歌っているのを聞いて、こんなにも新しいものを作っていくワクワク感は久しぶりで、とても充実した日々を過ごしています。これからどんなふうになっていくのか、私たちも分からないんです。でも、お客さまには、「新しいミュージカルを観に来てよかった」と思っていただける作品になるように、出演者一同、全力を尽くして初日に向かって頑張っていきたいと思います。

竹中直人

竹中直人

竹中直人(以下、竹中):なぜ私が、ここにいるのか、いまだに分からないです。ミュージカルなんか絶対に似合わない感じなんです。皆さん、本当にエネルギーに満ち溢れていて、最高の若々しい俳優の方々ばかりなので、迷惑をかけないように一生懸命、頑張らなくてはいけないと思っています。池井戸先生に「いっぱい歌ってもらいますから」と言われたので、どんな歌を歌うんだろうと楽しみにしていたのですが、これがすっげえ難しいんですよ。音程も取りづらいし、不協和音が続いているようなとんでもない歌なんです。どうやって僕はこの舞台で演じて、あの歌を歌えばいいのか。本当に命懸けで歌おうと思っています。池井戸先生、ぜひ見届けてください。

――小説やドラマなど、さまざまなメディアで人気を博している『民王』ですが、ミュージカル版の脚本を読んだときの率直な感想を教えてください。

有澤:僕もドラマを観て、小説も読ませていただいたのですが、「ミュージカルでどうやってやるのか?」と思いました。ただ、楽曲とともに脚本を読んだとき、これはミュージカルになっていると思いました。まず、曲の数が多いですね。僕は、もう少しストレートプレイ寄りになるのかなと想像していたのですが、オープニングも曲から始まります。『民王』といえばというシーンが楽曲になっていて、ミュージカル『民王』になっていると思いました。それから、ミュージカルオリジナルの設定もあります。きっとミュージカルとして受け入れられると思った台本でした。

別所:ミュージカルならではの個性は、音楽との調和だと思いますが、これが絶妙に、魅力的に展開されています。それから、展開が早いです。脚本を読んで、ものすごいスピード感だなと思いました。でも、そこにそれぞれのキャラクターがギューっと詰まっていて、小説の中に存在するものが音楽とともに立ち上がっていくので、脚本を読んでいるときから楽しくなりました。

豊原:最初に本読みをしたときに、音楽と融合していることを感じました。私もこれがミュージカルになったら、どうなるんだろうと、あまり想像ができなかったのですが、それぞれのシーンで音楽と言葉がすごく綺麗にマッチしています。特に一幕のラストは鳥肌が立つ感覚がありました。コメディと政治という厳格さのバランスが音楽にも表れていて、圧倒されるようなミュージカルになるのではないかなと興奮しました。

林:初めて本を読ませていただいたとき、池井戸さんの持つ作品性、軽快さを感じて、笑いとドラマのギャップを面白く感じました。それから、楽曲も多く、それが入ってくるタイミングも絶妙で、音楽をベースに進んでいく中でも、ドラマをしっかりと伝えていくセリフがあります。それぞれの務める役が融合して素晴らしいものになるのだろうと感じて、すごく楽しみな気持ちになりました。

山﨑:楽曲はすごく耳馴染みが良くて、いろいろなジャンルの楽曲があります。その楽曲を披露しながらのシチュエーションコメディです。歌の中で、それぞれの境遇や背景が見えるところも注目していただきたいです。

上川:やっぱり僕も展開が早いというのが魅力の一つでもあると思いました。音楽も素敵ですし、そこに加わるダンスもまた一つの表現として良いエネルギーを生んで、この『民王』を立体化させてくれるのではないかと思います。

福田:僕も展開がすごく早くて、スピード感があるなと思いました。そのスピード感が劇場でやるときに、「あっという間に終わったな」となると思います。稽古をしていても、あっという間に一幕が終わってしまう気がしていて。これはすごい。サッカーみたいです。

一路:私も原作があって、ドラマがあって、舞台になるというと、お芝居が占める割合が多いものだとばかり思っていましたが、台本を読んだら、皆さんおっしゃるように、本当に曲がすごく多いんです。そして、それがとってもうまくハマっているので、このままいけばずっとブロードウェイでロングランをしていたのではないかなというくらいになるのではないかと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

竹中:つい最近まで撮っていたドラマが池井戸先生の作品だったので、そのときに池井戸先生が「竹中さん、いっぱい歌って」と言われたので、自分のところだけをまず読んだんですよ。そして、歌を聞かせていただいたら、「これ本当に歌えるかな?」と。俺は、音楽と体育は、子どものときからずっと「1」でした。しかも、ふと気づいたら1番の高齢者ですから。こんな若いエネルギーの中で、なんで俺がこんなに難しい歌をというのは、ものすごいプレッシャーですが、これを超えられたら、みんなと仲良くなって、きっと終わる頃には寂しい気持ちになるんだろうなと思います。有澤さんとは前の作品で一緒で、仲良くなったのですが、有澤さんが「ぜひ一緒にやろう」というから、「うん」って言っちゃったんです。一生懸命頑張ります。

――永井さんが、小説を原作とした作品を立ち上げる上で、演出面で意識していることは?

永井誠

永井誠

永井:大事にしているのは、原作をリスペクトしつつ、完全なる新作と捉えてミュージカル化しようということです。原作の『民王』とこのミュージカルの『民王』では、お話が少し違うんです。この「少し」という度合いは皆さんのご想像にお任せしますが、原作がこうだからこの舞台はこうすると考えるよりも、ほかの演劇と同様に、完全なる新作として捉えて、今、一つひとつ立ち上げています。

――有澤さんと別所さんは、別の作品でも親子役を経験されていますが、今回のお稽古場でお互いに新たな魅力に気付いたところはありましたか?

有澤:一路さんもおっしゃっていましたが、ここまで「ママ」がしっくりくる方だとは思っていなかったです(笑)。実は、今日も一緒にラジオも出演させていただきましたが、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』のときには見えなかったパーソナルな部分がどんどん見えてきて、別所さんは「ママ」と言ってそうだなって(笑)。子どもらしい無邪気さがあるというか、いつまでも少年のような、自由で好奇心があって、ワクワクしている感じがしっくりくるんだろうなと、新たに発見しました。

別所:有澤さんは、「ジョジョ」でも父と子を演じましたが、そのときは息子が父に憧れて、それを乗り越えてという物語でした。でも、今回は中身が入れ替わるという役なので、毎日、じっくり有澤樟太郎を観察しています。彼は、ご飯をよく食べます。食欲旺盛です。でも、改めてこの現場で、武藤翔と樟太郎さんが重なってきて、真っすぐで、熱い感じが伝わってきて、素敵だなと思っています。

有澤:僕、ちょっと言い直していいですか(笑)?

別所:本当に素敵な人です。僕も10年前はこんな感じだったんですが、ずいぶん変わってきてますね(笑)。

――最後にご挨拶をお願いします。

有澤:僕は原作をすごくリスペクトしていて、大好きになりました。最初に台本を読んだときは、ミュージカルになってこの原作の良さがどうなっているのかという不安もありましたが、素晴らしい台本で、ミュージカルならではのものになっているなと思いましたし、これは勝ったなと思いました。壮大で、明るくて楽しいミュージカル、絶対に笑えるミュージカルの中に、何か持って帰ってもらえるような、日ごろの鬱憤も晴れるミュージカルになればいいなと思いながら、一生懸命稽古してまいりたいと思います。

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なお、原作の池井戸潤、楽曲を手掛けるピアニスト/作曲家の角野隼斗からのコメントも到着した。

池井戸潤 コメント

私にとって初の舞台、そして初のミュージカルとなりました『民王』。
角野隼斗さんら音楽界の俊英によって紡ぎ出された華やかな楽曲に彩られ、素晴らしい舞台になる予感しかありません。
先日は、キャスト、スタッフ、関係者が一同に会する「顔寄せ」というセレモニーにも参加させていただき、皆様の情熱、才能に感服いたしました。あらためて、この作品を取り上げていただいたことを嬉しく思います。
千穐楽(せんしゅうらく)までの長い日々、ひとつひとつの舞台が眩(まぶ)しく輝きますよう、脚本のツバキミチオ共々、祈念してやみません。 

角野隼斗 コメント

『民王』の音楽を担当することが決まった時、正直、自分に何ができるだろうかと不安な気持ちもありました。ですが作曲を進めていくうちに、一筋縄ではいかないこの作品の、笑い、皮肉、感動、さまざまな表情が音楽の中で少しずつ立ち上がってきて、ワクワクは増していくばかりでした。
ひとつひとつの曲は、キャストの皆さんの声が乗って初めて命が吹き込まれるものです。きっと僕は、この初演を誰よりも楽しみにしている一人です。

「お初尽くし」のカンパニーがエネルギー全開で挑む、前代未聞の痛快政治コメディミュージカル。笑って、スカッとして、元気がもらえること間違いなしの本作が、劇場でどんな風穴を開けてくれるのか、今から開幕が待ち遠しい。

取材・文・写真=嶋田真己

公演情報


 
ミュージカル『民王』
 

スケジュール:
2026年9月6日(日)~10月6日(火) 東京・シアタークリエ
2026年10月11日(日)~13日(火) 大阪・梅田芸術劇場 シアタードラマシティ
2026年10月17日(土)~19日(月) 福岡・博多座
 
出演:
武藤 翔 有澤樟太郎
武藤泰山 別所哲也
村野エリカ 豊原江理佳
南 真衣 林瑠奈(乃木坂46)
貝原茂平 山崎大輝
新田 理 上川一哉
蔵本 志郎 福田転球
武藤綾 一路真輝
城山和彦 竹中直人
 
原作:池井戸潤「民王」(文春文庫/角川文庫)
脚本:ツバキミチオ
音楽:角野隼斗
演出:永井誠
 
共同音楽:浪岡真太郎(Penthouse)
歌詞:大原拓真(Penthouse) 角野隼斗
共同脚本:笠浦静花
 
主催:東宝/テレビ朝日
製作:東宝
 
公式ホームページ
http://tohostage.com/tamiou/
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