バレエ漫画の金字塔を豪華キャストで初の舞台化! 『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場レポート

レポート
舞台
13:00
『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

画像を全て表示(8件)


シリーズ累計発行部数2200万部の大ベストセラーを誇る有吉京子のバレエ漫画『SWAN-白鳥-』を初の舞台化。バレエダンサーのダンスと役者のリーディングで描く話題作『SWAN -Ballet cross Reading-』が、9月4日(金)より新国立劇場 中劇場で上演を迎える。

脚本・演出は数々の話題作を手がける小林香、バレエ監修・振付は新国立劇場バレエ団を経て現在フリーのダンサー・振付家として活躍する福田圭吾、振付・ステージングは大野幸人と、スタッフには精鋭陣が集結。さらに注目すべきは豪華キャストだ。バレエキャストはダブルまたはトリプルキャストで、ヒロインの聖真澄役は飯島望未、柴山紗帆(新国立劇場バレエ団)、塩谷綾菜(スターダンサーズ・バレエ団)が、京極小夜子役は木村優里(新国立劇場バレエ団)、成田紗弥、米沢唯(新国立劇場バレエ団)が、草壁飛翔は秋元康臣、宮内浩之、渡邊峻郁(新国立劇場バレエ団)が、柳沢葵役には関野海斗、中島瑞生(新国立劇場バレエ団)が、亜鷺悠加/ラリサ・マクシモーヴァ役は中野伶美、山田夏生が、アレクセイ・セルゲイエフ役は厚地康雄、今井智也(谷桃子バレエ団)、菊地研が、マヤ・プリセツカヤ役には倉永美沙、佐久間奈緒、中村祥子と、スター・ダンサーが登場。リーディングキャストには、真澄役に井桁弘恵、小夜子役に村川絵梨、飛翔役に東啓介、葵役に西野遼、セルゲイエフ役には福士誠治が扮し、バレエとリーディングで『SWAN』の世界を描き出していく。

開幕を間近に控えた8月末、都内スタジオで通し稽古が実施された。現場の模様をレポートしたい。

当日は朝から確認作業が続き、通し稽古が始まったのは昼過ぎのこと。キャストは全員メイクと衣裳をつけ、本番同様のリハーサルである。

この日のバレエキャストは、真澄/柴山紗帆、小夜子/木村優里、飛翔/渡邊峻郁、葵/中島瑞生、亜鷺悠加/ラリサ・マクシモーヴァ/中野伶美、セルゲイエフ/菊地研、マヤ・プリセツカヤ/佐久間奈緒。
ソデでは発生練習をする役者陣に、共に振りをさらう渡邊と中島、演技を磨く菊地、ダンサーに指導する中村祥子の姿が。出演のないダンサーたちも、真剣な面持ちで見守っている。
舞台は全2幕で、1幕75分、2幕65分、休憩含め2時間40分。鏡前に脚本・演出の小林をはじめスタッフ勢がずらりと並び、緊張感が漂うなか、いよいよスタートである。

物語は1976年の東京。聖真澄はアレクセイ・セルゲイエフとマヤ・プリセツカヤのバレエ公演を観て感銘を受け、楽屋に飛び込み2人の前でブラックスワンを踊る。セルゲイエフは真澄に才能を感じ、彼女は日本バレエ協会主催のコンクールに出場することに。そんななか、京極小夜子や草壁飛翔、柳沢葵ら夢を同じくする若きダンサーたちと出会い……。

幕開けはプリセツカヤ役の佐久間とセルゲイエフ役の菊地が踊る黒鳥のパ・ド・ドゥから。佐久間と菊地がペアを組むのはこれが初めてというが、タイミングはぴたりと合い揺るぎない。菊地の浮かべる王子の情感に、佐久間のシャープな踊りと演技が迫力をもって迫りくる。真澄が心奪われ、バレエダンサーへの一歩を踏み出すきっかけになる重要な場面で、2人の踊りが物語に説得力を与えていた。

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

バレエダンサーと役者は二人で一つのキャラクターに扮し、表現していく。バレエとリーディングでいかにキャラクター像を創り上げるか、それが本作の最大の特色であり見所だ。
真澄役の柴山、リーディングの井桁ともに初々しくも愛らしく、バレエと朗読が違和感なくリンクする。セルゲイエフ役の福士と菊地は共にクールで孤高の存在を表現。小夜子を演じる木村と村川は凜とした気配を保ち、飛翔役の渡邊と東は包容力を感じさせ、葵に扮する中島と西は瑞々しく爽やか。

バレエダンサーは、役者がリーディングで語り上げる心情を踊り、キャラクターを体現する。一方、役者は朗読にとどまらず、表情豊かに演じ、動き、時にダンサーを相手に踊る。バレエダンサーとリーディングキャストの2人で一つのキャラクターを創り上げることで、役に深みが増す感がある。

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

作中はバレエシーン、ダンスシーンが次々繰り出され、ダンサーたちが早替えで挑む。クラシック作品のシーンでも、いわゆるバレエの舞台とは大きく違う。『シンデレラ』は小夜子役の木村と真澄役の柴山が揃って踊り、オーロラのパ・ド・ドゥでは亜鷺悠加役の中野、柴山、木村がそれぞれセルゲイエフ役の菊地と入れ替わりペアを組む。デジレ王子のソロを飛翔役の渡邊と葵役の中島が同時に踊り、ジュッテとシェネで互いを追いかける。柴山と中野は黒鳥のフェッテ競争を繰り広げ、2人が手を取り踊る『四羽の白鳥』も。一作にこれだけ名作の数々がふんだんにつまった舞台はそうはないだろう。

レッスンシーンも興味深い。プリンシパルたちが同じバーにつき、プリエにタンジュと稽古に励む。かと思えばコンテンポラリーで胸のうちを切に踊る。もはや見せ場ばかりで、何とも贅沢なつくりだ。

プリセツカヤが踊る『瀕死の白鳥』は2幕の重要なシーンの一つ。意外なことに佐久間が『瀕死の白鳥』を踊るのは初めてだそう。しかし、彼女がひとたび腕をふわりと動かすと、スタジオはしんと静けさの中へ。凄まじい集中力で白鳥の最期を演じ、スタッフと共演者から大きな拍手が沸き起こっていた。

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『森の詩』も見逃せない。ウクライナ国立バレエ団のレパートリーで、先頃の同団来日公演でも上演され注目を集めたばかり。日本ではまだまだ上演の機会は少ないが、今回は真澄、小夜子、飛翔、葵と、メインキャラクター総出演で、その一部を披露する。

「上手くなりたいんです!」「バレエのために何かを犠牲にしたことはありますか……」

ダンサーの心の叫びが胸を打つ。若き恋心に、ライバルとの対決、バレエへの情熱と葛藤と、作中描かれるドラマの密度は高く、ダンサーはダンスだけではなく演技力も要される。そこでみせるプリンシパルたちの表情が新鮮だ。物語の中でキャラクターは成長し、ラストは清々しくも胸に迫る。

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

バレエとリーディングで一つの作品を創り出す、その新たな試みにどう挑んだのか。脚本・演出の小林に話を聞いた。
「稽古が始まる前は全ての関係者が“一体どういう舞台になるのか全く想像がつかない”と私の頭の中にあるものを聞いてきたけれど(笑)、バレエとリーディングが融合し、きちんと具現化できたと感じています。ただそのためには、ダンサーと役者の両者の気持ちが一つにならないといけない。どのタイミングでダンサーと役者が同じ動きをすればいいのか、どこに立っていたらいいのか、2人はそれぞれどこを見るべきなのか。全て細かく計算しています。それがうまくいったという充実感はあります」

なかでも一番こだわったというのが、ダンサーの演技だ。

「ダンサーのみなさんにも一緒に芝居をしていただくことで、世界観がようやく創れる。演技を深めていく作業を今まさにしている最中で、プリンシパルたちが誠実に芝居に向き合ってくださっています。でも芝居は難しいものではなく、誰の中にもあるもの。それをなるべくわかりやすく説明して、繰り返して稽古をしていくことで、全く問題なく演じてくださっています。やっぱり一流のバレエダンサーの方々は芝居の表現力に長けておられますね。もちろんバレエの中にも芝居はあるので、その部分を通常のバレエ公演より強めに出していただいているシーンもあります。みなさん楽しんで取り組んでくれているように感じます」

開幕を間近に控え、伝えたいことは。

「これだけの俳優陣とバレエダンサー、スタッフが集まって、新しい表現形式に挑戦している。そうそうできないことであり、見逃さないでいただきたいという気持ちがすごくあります。バレエファンの方も、立体的な朗読のファンの方も、新しいもの好きな方も、ぜひ多くの方に観ていただけたらと思います」

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

『SWAN -Ballet cross Reading-』稽古場より

取材・文:小野寺悦子

公演情報

『SWAN ―Ballet cross Reading―』
 
日程・会場:2026年9月4日(金)~9月9日(水)新国立劇場 中劇場

原作:有吉京子『SWAN-白鳥ー』(平凡社刊)
脚本・演出:小林香
バレエ監修・振付:福田圭吾
振付・ステージング:大野幸人
音楽監督・作曲・編曲:大貫祐一郎
美術:二村周作
照明:保坂美沙
音響:鈴木勇気
映像:KENNY
衣裳:新 朋子
バレエ衣装:山口典子
ヘアメイクプランナー:石田弥仙
バレエ音楽監修・録音指揮:井田勝大
演出助手:髙野玲
舞台監督:酒井 健
制作:堀内美穂
制作助手:片桐 愛
 
出演:
 [リーディングキャスト]
井桁弘恵
村川絵梨
東啓介
西野遼
福士誠治
 
[バレエキャスト] 
秋元康臣
厚地康雄
飯島望未
今井智也(谷桃子バレエ団)
菊地研
木村優里(新国立劇場バレエ団)
塩谷綾菜(スターダンサーズ・バレエ団)
柴山紗帆(新国立劇場バレエ団)
関野海斗
中島瑞生(新国立劇場バレエ団)
中野伶美
成田紗弥
宮内浩之
山田夏生
米沢唯(新国立劇場バレエ団)
渡邊峻郁(新国立劇場バレエ団)
/
倉永美沙(サンフランシスコ・バレエ団)
佐久間奈緒
中村祥子
 
[リーディングマルチ] 牧紅葉 山田里奈 椎原克知
[バレエアンサンブル] 石塚あずさ 太田弓恵 中村春奈 吉岡眞友子
 

【全席指定】平日公演 15,000円 土日公演 16,000円
※すべて税込
※未就学児童入場不可
※バレエキャストの組み合わせは公式ホームページより必ずご確認ください。
※バレエキャストはトリプルキャストまたはダブルキャストになります。
※やむを得ない事情により出演者が変更になる場合がございます。
※公演中⽌の場合を除きの払い戻し、公演日の変更はお受けできません。
※車椅子席をご希望の方はサンライズプロモーション 0570-00-3337 (平日(月~金)12:00~15:00)へお問い合わせください。

 
に関するお問い合わせ:サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日(月~金)12:00~15:00)
主催・企画・製作:日本テレビ
運営協力:サンライズプロモーション
シェア / 保存先を選択