東京バレエ団『オネーギン』柄本弾、宮川新大、木村和夫が語る~役を深め、表現を磨く
(左から)木村和夫、柄本弾、宮川新大 Photo=Shoko Matsuhashi
東京バレエ団が、2026年11月6日(金)から8日(日)まで、新国立劇場オペラパレスにおいて、ジョン・クランコ振付『オネーギン』を14年ぶりに上演する。初めてオネーギン役に挑む柄本弾と宮川新大。振付を身体に刻み、パートナーと向き合いながら、人物の感情や関係性の変化をどのように表現していくのか。これまでの経験を生かし、それぞれの役づくりを進める二人に、同役を踊った経験を持つ木村和夫の指導も交えながら話を聞き、それぞれが目指すオネーギン像に迫る。
■振付を身体に刻み、表現につなげる
――10月初旬のリハーサルでは、何に重点を置いていますか?
柄本弾 Photo=Shoko Matsuhashi
柄本弾(以下、柄本) まずは振付を確実に身につけることですね。動きを考えずに踊れるところまで持っていかないと、感情を入れる余裕がありません。振付が身体に入って初めて、役の感情や表現に集中できると思っています。
宮川新大 Photo=Shoko Matsuhashi
宮川新大(以下、宮川) 僕も、細かいテクニックや二人のタイミングを確認しています。まずはそうした課題を一つずつクリアして、作品を深く理解していきたいです。技術的なことを整理しながら、作品全体を捉えられるようにリハーサルしています。
――二人を指導するなかで、それぞれにどのようなことを伝えていますか?
木村和夫 Photo=Shoko Matsuhashi
木村和夫(以下、木村) 弾は、アダージオのテクニックも芝居も、これまでに十分な蓄積があります。僕があまり言わない方がいいこともあるかもしれません。踊りの流れのなかで、自分なりの表現を見つけていくと思います。新大には、優しくなりすぎず、オネーギンの冷たさも大切にしてほしい。相手との関係性や目線を意識して、芝居を客席に伝えてほしいですね。
■パートナーと呼吸を合わせて
――柄本さんは沖香菜子さん、宮川さんは秋山瑛さんと組みます。パートナーとの緻密な連携が求められる作品ですが、これまでの共演経験は、今回どう生きそうですか?
柄本 香菜とはクランコの『ロミオとジュリエット』などを一緒に踊ってきました。お互いに分かっている部分はありますが、今回は二人とも初めての作品です。これまでの経験を生かしながら、話し合って一緒に作り上げていきたいですね。
宮川 瑛とは新制作の『くるみ割り人形』や『眠れる森の美女』など、初めての役を一緒に踊る機会も多かったです。でも今回は、感情の面でも重い作品。パートナーとの連携は、どちらかが一歩引いてしまうとうまくいかないこともあるので、遠慮せずに意見を伝え合うことが大切だと思っています。
柄本弾 Photo=Shinji Hosono
――斎藤友佳理さん(現団長)と踊るなかで、パートナーとの呼吸をどのように深めていきましたか?
木村 僕は器用な方ではなかったので、本番までの数カ月間、友佳理さんと毎日少しでも組んで練習していました。一緒に踊り続けると、手を触れただけで相手の状態が分かるようになるんです。失敗したときにどう対処するかも含めて、二人で準備していました。そうやって呼吸を合わせていくことが、パートナーとの連携では大切だと思います。
■それぞれのオネーギンを求めて
柄本 最初から人物像を決めつけるのではなく、リハーサルをしながら気持ちの変化を探っていきたいです。オネーギンがタチヤーナに対してどう変わっていくのか。香菜とも話し合いながら、二人の関係性を深め、その感情の変化を踊りで伝えられるようにしたいですね。
宮川新大 Photo=Shinji Hosono
宮川 僕もリハーサルを通して役を作っていくタイプです。考えすぎると、舞台上で自然に出てこなくなることもある。だから、その場で感じることや作品の流れも大切にしたいです。誰かのオネーギンをなぞるのではなく、瑛と踊るなかで生まれる感情を受け止めながら、自分なりの人物像を作っていきたいです。
――本番までに、特に何を大切にしていきたいですか?
柄本 すごくドラマティックな作品なので、そのドラマ性を見せられなければ意味がありません。まずはテクニックを安定させること。香菜と話し合いながら、二人のやり取りのなかで生まれる感情を深めていきたいです。先生方からも多くのことを吸収して、本番につなげたいですね。
宮川 技術面をしっかりと固めたうえで、瑛と踊るなかで生まれる感情を大切にしたいです。その場で感じたことを受け止めながら、自分なりのオネーギンを作っていけたらと思います。
――最後に、二人のオネーギンに期待することを聞かせてください。
木村 二人ともダンサーとしてさまざまな経験を積み、僕らが踊ったころと同じくらい成熟しています。芝居の表現力やバレエのテクニックを含め、オネーギンに挑むのに本当にいいタイミングだと思います。弾と新大では持ち味も違うので、それぞれのオネーギンが見られるのが楽しみです。二組とも、きっと成功するはずです。
取材・文=高橋森彦 撮影:松橋晶子
公演情報
『オネーギン』
アレクサンドル・プーシキン原作によるジョン・クランコ振付の全3幕のバレエ
振付:ジョン・クランコ
Production of Teatro alla Scala of Milan
11月6日(金)19:00
11月7日(土)13:00
11月7日(土)18:30
11月8日(日)13:00
会場:新国立劇場オペラパレス (初台)
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
上演時間:約2時間15分(休憩2回含む)
予定される主な配役
オネーギン 柄本 弾
タチヤーナ 沖 香菜子
レンスキー 大塚 卓
オリガ 工 桃子
グレーミン公爵 安村圭太
11/7(土)13:00
オネーギン 宮川新大
タチヤーナ 秋山 瑛
レンスキー 池本祥真
オリガ 足立真里亜
グレーミン公爵 樋口祐輝
11/7(土)18:30
オネーギン 柄本 弾
タチヤーナ 沖 香菜子
レンスキー 生方隆之介
オリガ 中島映理子
グレーミン公爵 安村圭太
11/8(日)13:00
オネーギン 宮川新大
タチヤーナ 秋山 瑛
レンスキー 池本祥真
オリガ 足立真里亜
グレーミン公爵 樋口祐輝
入場料金(税込)
S:¥18,000 A:¥14,000 B:¥11,000 C:¥8,000 D:¥6,000
※未就学児の入場はご遠慮ください。
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