第60回岸田國士戯曲賞はタニノクロウさんの『地獄谷温泉 無明ノ宿』

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2016.2.29

第60回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の選考会が2016年2月29日(月)東京神田錦町・學士會館で行なわれ、選考の結果、タニノクロウさんの『地獄谷温泉 無明ノ宿』(上演台本)が受賞作と決まった。正賞は時計、副賞は賞金20万円が贈られる。授賞式は5月9日(月)午後6時より東京神楽坂・日本出版クラブ会館にて行なわれる。今回の選考委員は岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、宮沢章夫(50音順、敬称略)の6名。

受賞作の『地獄谷温泉 無明ノ宿』は、2015年8月27日~30日、東京・森下スタジオCスタジオで上演された。タノニさんは、本名・谷野九郎、1976年6月13日生まれ、富山県出身。昭和大学医学部卒。庭劇団ペニノ主宰。医師でもある。岸田戯曲賞最終候補回数3回目の受賞となった。

選考委員のコメント
タニノクロウ氏の『地獄谷温泉 無明ノ宿』は、反時代的であることが時代に対して最高にヴィヴィッドな力を持つのだ、というその最良の例のひとつです。人物たちの秘められた思い、欲望が秘められたまましっとり、かつくっきりと描かれ、それは技術的に見事だというだけでなく、実にセクシーでした。(岡田利規)

庭劇団ペニノ『地獄谷温泉 無明ノ宿』より 撮影:杉能信介

庭劇団ペニノ『地獄谷温泉 無明ノ宿』より 撮影:杉能信介


SPICE過去記事→「庭劇団ペニノ『地獄谷温泉 無明ノ宿』~境界を溶かす効能
 

今回の他の最終選考候補作品は次のとおりだった。(50音順、敬称略)

●神里雄大/カミサトユウダイ(岡崎藝術座)
『+51 アビアシオン, サンボルハ』(「新潮」2015年6月号)

2015年2月~7月、横浜・鹿児島・熊本・京都・東京・福岡・福岡・仙台・札幌で上演
2016年1月~2月、シドニー・横浜で上演
http://okazaki-aviacion.strikingly.com/
<候補者プロフィール>
1982年生まれ。ペルー共和国リマ市出身。早稲田大学第一文学部卒。岡崎藝術座主宰、作家、演出家。
 
 
●根本宗子(月刊「根本宗子」)
『夏果て幸せの果て』(上演台本)

2015年6月 東京・東京芸術劇場シアターイーストで上演
http://www.oomorinemoto.jp/
<候補者プロフィール>
1989年生まれ。東京都出身。東洋英和女学院高等部卒。月刊「根本宗子」主宰、劇作家、演出家、俳優。
 
●古川健(劇団チョコレートケーキ)
『ライン(国境)の向こう』(上演台本)

2015年12月 東京・東京芸術劇場シアターウエストで上演
(劇団チョコレートケーキ with バンダ・ラ・コンチャン『ライン(国境)の向こう』)
http://www.geki-choco.com/past/history_26/
<候補者プロフィール>
1978年生まれ。東京都出身。駒澤大学文学部卒。劇団チョコレートケーキ劇作家。
 
●ペヤンヌマキ(ブス会*)
『お母さんが一緒』(上演台本)

2015年11月 東京・下北沢ザ・スズナリで上演
http://busukai.com/stage/
<候補者プロフィール>
1976年生まれ。長崎県出身。早稲田大学第一文学部卒。ブス会* 主宰、脚本家、演出家。
 
●三浦直之(ロロ)
『ハンサムな大悟』(上演台本)

2015年6月 東京・こまばアゴラ劇場で上演
http://lolowebsite.sub.jp/HANDSOME/DAIGO
<候補者プロフィール>
1987年生まれ。宮城県出身。日本大学藝術学部演劇学科中退。ロロ主宰、劇作家、演出家。
 
●柳沼昭徳(烏丸ストロークロック)
『新・内山』(上演台本)

2015年10月 京都・京都芸術センター
http://www.kac.or.jp/events/16407/
<候補者プロフィール>
1976年生まれ。京都府京都市出身。近畿大学文芸学部芸術学科演劇・芸能専攻中退。烏丸ストロークロック主宰、劇作家、演出家。
 
●山本健介(The end of company ジエン社)
『30光年先のガールズエンド』(上演台本)

2015年4月 早稲田小劇場どらま館で上演
http://elegirl.net/jiensha/newpiece
<候補者プロフィール>
1983年生まれ。埼玉県春日部市出身。早稲田大学第二文学部卒。The end of company ジエン社主宰、劇作家、演出家。


岸田國士戯曲賞は、劇作家・岸田國士の遺志を顕彰すべく、株式会社白水社が主催する戯曲賞。演劇界に新たなる新風を吹き込む新人劇作家の奨励と育成を目的に、1955年に新劇戯曲賞として設置され、1961年には「新劇」岸田戯曲賞、1979年に岸田國士戯曲賞と改称され今日に至っている。新人劇作家の登竜門とされることから、「演劇界の芥川賞」とも称される。選考対象は、原則として過去1年間に雑誌発表または単行本にて活字化された作品。ただし、画期的な上演成果を示したものに限って、選考委員等の推薦を受ければ、生原稿・台本の形であっても、例外的に選考の対象となる。

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