ディーヴァ降臨!歌声に乗せ“言葉”を届けるソプラノ歌手・山口道子が初登場

レポート
2016.6.15
山口 道子 (撮影=原地達浩)

山口 道子 (撮影=原地達浩)

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“言葉”を大切に届けるオペラ歌手・山口道子(ソプラノ)が初登場、第24回“サンデー・ブランチ・クラシック”5.1ライヴレポート

GW真っ只中のリビングルームカフェには、たくさんのお客様が訪れ、思い思いに寛いでいる。そんな大型連休のひとときを彩る“サンデー・ブランチ・クラシック”に、オペラやオペレッタの舞台で数々の伝説(レジェンド)を築いてきたソプラノ歌手・山口道子が初登場した。

今か今かと観客がステージを見つめる中、美しいドレスを身にまとい悠然とした佇まいで登場した山口。すうっと息を吸い込むと、柔らかなピアノのメロディに乗せてその美声で会場を包み込んだ。この日の1曲目に選ばれたのは、ヘンデル作曲 歌劇『リナルド』より「私を泣かせてください」。

「皆様こんにちは。このサンデー・ブランチ・クラシックは、日曜日のお昼をクラシックとともにゆっくりとお過ごし頂くということで、これから30分間どうぞ気楽に楽しんで頂けたらと思います」と笑顔で挨拶をする山口。実は、行きつけの美容室がすぐ傍にあるそうで「この辺りにはよく足を運んでいたんですが、渋谷の真ん中にこんな落ち着いた空間があるなんて、とっても素敵ですね!」とこのカフェの空間を大変気に入ってくれたようだ。

「今日は、皆さんにいろいろな曲を聴いて頂きたいなと思っています」と、続いて山田耕作作曲「この道」を紹介した。「日本人である以上日本語を大切に歌いたいと思いますし、日本の素敵な曲を聴いてほしいと思います」。この道はいつか来た道・・・童謡としても親しまれるこの曲。山田耕作の抑揚あるメロディと北原白秋の情景を優しく写した言葉たちが、山口の伸びやかな声を伝って、瞼の裏にどこか懐かしい情景を連れてくる。日本語の美しさが染み入ってくるようだった。

山口 道子 (撮影=原地達浩)

山口 道子 (撮影=原地達浩)

日本の作曲家の中でも、山田耕作のダイナミックな作風に惹かれるという山口は、7月1日(金)~7月3日(日)にサントリーホール ブルーローズ(小ホール)にて開催される『Nikikai Days@Blue Rose 2016 第2日「わたしの特別な作曲家」』という公演でも、山田耕作を取り上げる予定だという。ちなみに、今年は山田耕作生誕130周年記念の年でもある。ぜひ、この機会に“山田耕作”の世界に触れてみてはいかがだろうか。

3曲目に歌われたのは、アーン作曲「クロリスに」は、天才と呼び声高い17世紀の詩人テオフィル・ド・ヴィオーの詩にメロディをつけた一曲。バロック調の旋律が美しく、フランス語の持つまろやかな言葉の響きと相まって大変心地よい。「あまり聞き覚えがない方も多いかもしれませんが、この空間にぴったりなのではないかなと思って選びました」と山口が言うように、空間に満ちる空気とぴったりの一曲だった。

「続いては、オペラから1曲お届けしたいと思います。オペラのアリアといったらこの曲だなと、私が思っている曲を歌わせて頂きます」と歌ってくれたのは、プッチーニ作曲 歌劇『蝶々夫人』より「ある晴れた日に」。蝶々夫人が、アメリカに帰ってしまった夫ピンカートンの帰りを待ちながら、愛と信頼、そして悲しみを混ぜながら歌うドラマティックなアリアだ。「いつかあの人が、白い船に乗って戻ってくる」山口の伸ばした手の先に、広い海原と青い空が、どこまでも、どこまでも続いていくようだった。

斎藤 誠二、山口 道子 (撮影=原地達浩)

斎藤 誠二、山口 道子 (撮影=原地達浩)

「ここで、ピアノソロを1曲弾いて頂きたいと思います」と山口は、この日の伴奏を務めていた斎藤誠二にマイクを預け、一度ステージを降りた。斎藤は、武蔵野音楽大学で山口が声楽の教授も務める際にも、よく一緒に演奏するという信頼を置かれているピアニストだ。場を任された斎藤は「それでは、この素敵なカフェの雰囲気にぴったりの1曲を・・・」と、ドビュッシー作曲「月の光」を披露してくれた。最後の一音が拍手に包まれると、再び山口がステージに登場!なんと、お色直しをしてのカムバックとなった。華やかなその立ち姿は、「ある晴れた日に」から、「月の光」が照らす夜を経て、再び昇る太陽のよう。

斎藤 誠二、山口 道子 (撮影=原地達浩)

斎藤 誠二、山口 道子 (撮影=原地達浩)

山口 道子 (撮影=原地達浩)

山口 道子 (撮影=原地達浩)

「素敵でしたね~」と斎藤に賛辞を贈りつつ、改めて「こういう機会だと、自分が大好きな曲ばかり歌ってしまうんですけど(笑)」とお茶目に笑って見せる山口。「次の曲も大好きな曲です。ご存知の方がいらっしゃったら、どうぞご一緒に!」と呼びかけ、武満徹作曲 SONGSより「小さな空」を歌い上げる。

楽しいトークと美しい歌声に酔いしれていると、30分はあっという間。「早いですね・・・」と山口も名残惜しそうにしながら、最後にはTVドラマ『坂の上の雲』(NHK)のメインテーマ曲でもあった久石譲作曲「スタンドアローン」を伸びやかに歌い上げた。

「どちらのステージも観てくださる方のために」と、二部ではほとんど違うプログラムを用意してくれた山口。二部では、フォスター作曲「夢路より」、中田喜直作曲「ゆく春」、木下牧子作曲「竹とんぼに」、ハーライン作曲「星に願いを」(ピアノソロ)、ショパン作曲「別れの曲」、カールマン作曲 喜歌劇『チャールダーシュの女王』より「山はわが故郷」、黒人霊歌「アメイジンググレイス」などが歌われた。

プリマドンナとして長いキャリアを持つ山口だが、カフェでのコンサート経験はなかったという。終演後、お話を伺うと「間近にお客様と接して、ひとつの空間を作れるというのはとても好きです。このカフェのゆったりした感じがとてもよかったです」と語ってくれた。

山口 道子、斎藤 誠二 (撮影=原地達浩)

山口 道子、斎藤 誠二 (撮影=原地達浩)

そんな山口について、斎藤は「一番感じるのは、言葉を大事にされる歌手の方だなと。歌詞がすっと染み入ってくる歌い手さんだと思います。僕も、歌詞を一緒に読みながら演奏しています」と、その魅力を表現。

また、日頃“先生”としての山口とも接しているということで、どんな先生なのか聞いてみると「すごく厳しい面もお持ちなんですけど、やはりすごく愛情深いかな。最後まで責任を持って面倒を見るという姿勢が、レッスンを見ていて、生徒さんに伝わっているんじゃないかなと思います」と、愛情溢れる山口の指導ぶりを明かしてくれた斎藤。その、“言葉”を大切に、“人”に愛情を注ぐ姿勢は、この日のコンサートでも随所に感じられた。

最後に、山口は「クラシックって、どこか一生お勉強みたいなところがあるんです。でも、やっぱりお客様に楽しんで頂けるということをいつも一番に考えて、ステージに立ちたいという気持ちを、自分自身のポリシー、課題として持っています。カフェという場所だからこそ、音楽で一体感を感じて、間近で音楽を楽しんで頂きたいと思っています」とメッセージを贈ってくれた。

山口 道子 (撮影=原地達浩)

山口 道子 (撮影=原地達浩)

「歌が持つ他の音楽にない魅力は、言葉に含まれたメッセージ性」と語っていた山口。サービス精神旺盛なステージングで、その魅力を存分に届けてくれた。ぜひ、またこのカフェに訪れてくれることを楽しみにしたい。サンデー・ブランチ・クラシック、次回もお楽しみに!

プロフィール
山口道子(やまぐちみちこ)
国立音楽大学卒業。東京藝術大学大学院修了。
二期会オペラスタジオ修了時に、最優秀賞及び川崎静子賞受賞。文化庁オペラ研修所修了。第55回日本音楽コンクール入選。第1回奏楽堂日本歌曲コンクール第2位。文化庁派遣芸術家在外研修員としてローマに留学し、研鑽を積む。
東京二期会『ワルキューレ』『トスカ』『カルメン』等に出演、1990年『こうもり』ロザリンデで本格的なデビューを果たす。以後、東京二期会公演での出演をはじめ、同役は大きな当たり役となった。『メリー・ウィドー』ハンナ、『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・エルヴィーラ、『チャールダーシュの女王』シルヴァ等、艶やかな演唱で聴衆を魅了している。この他に『祝い歌が流れる夜に』しま、『天守物語』富姫、『袈裟と盛遠』袈裟などを、また2002年二期会・新国立劇場共催 オペラ「忠臣蔵」綾女、2004年東京室内歌劇場『卒塔婆小町』、2006年『末摘花』でそれぞれ主役を演じるなど、創作オペラの日本語歌唱には定評があり、いずれの舞台も絶賛を博している。
さらに近年『トスカ』『アイーダ』のタイトル・ロールとしても高い評価を得ている。
コンサートソリストとしても、宗教曲、歌曲等をはじめ幅広く活躍している他、「NHKニューイヤーオペラコンサート」やNHK「シブヤらいぶ館」、テレビ朝日「題名のない音楽会」など、数多くのメディアにも登場。
2015年6月皇居・東御苑の桃華楽堂で行われた「皇后陛下傘寿奉祝洋楽演奏会」に出演し、両陛下にまつわる曲を3曲披露した。武蔵野音楽大学教授。二期会会員 

 

二期会 公演情報
Nikikai Days @ Blue Rose 2016

 日程:2016年7月1日(金)~7月3日(日)
 会場:サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
 主催:株式会社二期会21
 協力:サントリーホール

第1日<華麗なるイタリア・オペラの世界>
日時:7月1日(金) 19:00開演/18:30開場
<演奏予定曲(順不同)>
・大山亜紀子 
ヴェルディ 『ドン・カルロ』より “世のむなしさを知る神”(エリザベッタ) 
・横山恵子 
プッチーニ 『トゥーランドット』より “この宮殿の中で”(トゥーランドット) 
・富岡明子 
ロッシーニ 『ラ・チェネレントラ』より “悲しみと涙のうちに生まれて”(アンジェリーナ) 
・中島康晴 
ドニゼッティ 『ランメルモールのルチア』より “我が祖先の墓よ”(エドガルド) 
・樋口達哉 
プッチーニ 『トスカ』より “妙なる調和”(カヴァラドッシ) 
・上江隼人 
ロッシーニ 『セビリアの理髪師』より “私は町の何でも屋”(フィガロ) 
ほか


第2日<わたしの特別な作曲家>
日時:7月2日(土) 14:00開演/13:30開場
<演奏予定曲(順不同)>
・山口道子 
山田耕筰 『風に寄せてうたへる春のうた』(全曲) 
・秋葉京子 
マーラー 『亡き子をしのぶ歌』(全曲) 
・大澤一彰 
トスティ 「暁の光から」 
ガスタルドン「禁じられた音楽」 
・又吉秀樹 
シューベルト 「こびと」 
トスティ 「Good-bye(さようなら)」 
・坂下忠弘 
プーランク『村人たちの歌』(全曲) 
ほか

第3日<オペラ『ドン・ジョヴァンニ』>
日時:7月3日(日) 14:00開演/13:30開場
<出演>
ドン・ジョヴァンニ/宮本益光、ドンナ・アンナ/針生美智子、
ドンナ・エルヴィーラ/林 正子、ドン・オッターヴィオ/望月哲也、
レポレッロ/池田直樹、騎士長/高橋啓三、ツェルリーナ/三井清夏、
マゼット/近藤 圭、ピアノ:石野真穂

公式サイト:http://www.nikikai21.net/concert/days_2016.html

 

サンデーブランチクラシック情報
6月19日(日)
ザ・フレッシュメンピアノ・トリオ)
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
会場:LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplus
MUSIC CHARGE:500円

公式サイト:http://eplus.jp/sys/web/s/sbc/index.html​
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