山田ジェームス武×阿部快征 独占インタビューも!『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE』稽古場レポート

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舞台
アニメ/ゲーム
2016.7.24
 緋影役の山田ジェームス武(左)と、紋白役の阿部快征(右)

緋影役の山田ジェームス武(左)と、紋白役の阿部快征(右)

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目を覚ますと、そこは謎の洋館。自分の過去に関する記憶を一切失った少女は、洋館の中で同じように記憶を失った少年たちと出会う。自分たちはなぜここにいるのか。どうすればこの洋館から出られるのか。いくつもの謎を解明すべく、主人公たちは不思議な拳銃を手に醜悪な化け物に立ち向かい、「万華鏡の欠片」を集めはじめる――そんなスリリングなサスペンスラブストーリーでユーザーの心を鷲掴みにした乙女ゲーム『黒蝶のサイケデリカ』がついに舞台となって登場する。

今回は、その稽古場に密着取材。あのダークで耽美な世界が、3次元でどのように再現されるのか。注目作の舞台裏をお届けする。

この日、行われていたのはオープニングシーンの稽古。拳銃が武器となる本作の目玉は、“ダンス・ガン・アクション”。従来のガンアクションにダンスが融合した新しいパフォーマンスに話題が集まっている。その片鱗は、このオープニングからもはっきりと伺える。

苦悩するヒロイン・紅百合(藤本かえで)に襲いかかるように群がる蝶。その妖しくも幻想的な幕開けを、映像ではなく、人間の肉体を使って表現。アンサンブルキャストの鍛え抜かれたダンスが、これから始まる絶望と裏切りのドラマへの期待を一層強くかき立てていた。

怒濤のように展開するオープニングシーンの中には、それぞれメインキャストたちの見どころもしっかりと盛り込まれている。鉤翅(木村敦)に指輪を贈られ喜ぶ紅百合。その幸せそうな光景が、ミステリアスな本編とのコントラストを強めている。

一方、鴉翅(八島諒)には、紅百合に“壁ドン”する場面が。腕の角度、身体の向き。どうすれば最も美しく“壁ドン”を見せられるか。コレオグラファーから細かい指導が入る。このキュッと引き締まった八島の腕…! ほんの短い瞬間なので、ファンのみなさんには見逃さないよう臨戦態勢で臨んでほしい。

鴉翅が“壁ドン”とくれば、緋影(山田ジェームス武)も負けてはいられない。緋影には、紅百合を“顎クイ”するとっておきの場面が用意されている。稽古の合間に、鏡を見ながら“顎クイ”の角度を研究する山田。が、相手役はなぜか木村…!? 何だか別の意味でドキドキしてしまう組み合わせだが、本番では緋影のクールな“顎クイ”をたっぷり堪能しよう。

まだダンスが完全に習得できていない八島は、鏡の前で猛特訓。上体のみを360度旋回する振り付けで、どうしても下半身が動いてしまうらしい。そんな八島に、コレオグラファーからは「丹田を意識して」とアドバイスが。

苦戦する八島だが、その表情は気合いがみなぎっている。

一方、山田と木村も動きをつけながら台詞の読み合わせを。

藤本も熱心に台本を読みふける。

一転して、オフショットでは、ダンサーたちをマネしてY字バランスに挑戦したり。

こんなお茶目なポーズも。ヒロインらしい華やかさで、稽古場を明るく盛り上げていた。

休憩中は、みんなで仲良く雑談トーク。紋白役の阿部快征もキャスト陣の話に熱心に耳を傾けている。注目は、この自然な萌え袖…! 小動物のような紋白の愛らしさを、こんなところでも発揮しているようだ。ぜひ阿部演じる紋白のハマりっぷりに期待したい。

稽古終盤は、エンディングのダンスシーン。オープングとは対照的に、神聖な空気に包まれた感動的な場面に仕上がっている。

蝶たちのダンスもバレエ要素を取り入れたアーティスティックなものに。罪と傷を浄化するような美しいシーンに、きっと見る者の心も洗われることだろう。

『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE』は8月3日(水)より紀伊國屋ホールにて開幕。その悲しくも温かい結末は、きっとあなたの胸の内に永遠に刻み込まれるはずだ。

山田ジェームス武×阿部快征 独占インタビュー

――今日で稽古18日目とうかがっていますが、手応えはいかがですか。

山田:いろいろ苦労することは多いですね。特に今回は密室劇。ほとんどがテーブルトークのような会話劇になります。それを、少ない若手キャストでどう飽きさせずに見せられるか。説明の台詞も多いのですが、どれも後のストーリーに関わる大事な内容だったりするので、抜け落ちることなくお客さんに伝えられるよう試行錯誤しています。

阿部:まだまだ会話ではなく、ただ台詞を言っているだけになってしまっているところが多々あるんですよね。それは、僕たちキャストがちゃんとお互いの気持ちを伝え合うことができていないから。もっとみんながひとつになれるよう、最近は「山田会」と言って、座長の山田くんにみんなでゴハンに連れて行ってもらっています。

山田:完全に財布にされています(笑)。

阿部:稽古場では言えないことも、そういう場では素直に話せたりする。傷つくこともありますが、それが今後のお芝居に活きてくるんじゃないかなと思っています。

山田:とりあえずこの間は阿部快征のダメなところを話し合いました。

阿部:その日はショックのあまり、稽古場から歩いて家に帰りました(笑)。でも山田くんの優しいのが、後でちゃんと連絡をくれるんですよね。「大丈夫か? 落ち込みすぎるなよ」って。

山田:これ使わないでくださいね。そういうキャラって思われると恥ずかしいんで(照)。

――ばっちり使わせていただきます(笑)。稽古を通して役の深いところも見えてくるようになりましたか。

山田:そうですね。緋影の心情って、すごく複雑なんですよ。ストーリーが進む中で、どう緋影を見せるかというのは本当に難しいなって感じています。今はみんなと演じる中で生まれてくる空気を大事にしながら、緋影という男を演じているところです。

阿部:紋白に関して言えば、稽古に入る前から悲しいキャラクターだということはわかっていたんです。でも実際に演じてみる中で、単に悲しいだけじゃないんだなって思うようになって。自分を傷つけてでも周りを傷つけたくないという温かさや優しさを持ったキャラクターなんだということが徐々にわかってきたような気がします。

――先ほど拝見しましたが、ダンスシーンは見せ場になりそうですね。

山田:今回はアンサンブルのみなさんの力にすごく助けられている感じがしますね。

阿部:運動量が違います。ずっと動いてますからね。

山田:その分、シーン自体は本当に美しいものになっていると思います。幻想的で、すごくアートな舞台。あとは僕ら役者がそれに負けないようにストーリーの部分をしっかり見せたいですね。

阿部:そういう意味では、一人ひとりのキャラクターの変化には注目してもらいたいですね。後半に進むにつれて、どんどんキャラクターの内面が変わってくるんですよ。誰が黒幕かを推理するサスペンス的な面白さもあるので、ぜひ一人ひとりの細かい変化に注意して見てもらえたら

山田:それにプラスして、この作品は一人ひとりのキャラクターの成長物語でもあると思うんです。登場人物はみんな、それぞれの後悔と向き合い、乗り越えていく。そういう人間的な成長が見る人の心を動かすんだと思う。僕らもしっかり気持ちをこめて演じるので、この8人のキャラクターがたくましく成長していく姿を見届けていただけると嬉しいです。

プロフィール
山田ジェームス武(やまだ・ジェームス・たけし)
1990年5月7生まれ。千葉県出身。ストリートファッション誌『Men's egg』にてモデルデビュー。人気モデルとして活躍した後、13年、映画『新大久保物語』で俳優デビュー。以降、映画・ドラマと幅広く活躍。主な舞台出演作に『鳥取イヴサンローラン』『黒子のバスケ THE ENCOUNTER』などがある。

阿部 快征(あべ・かいせい)
1996年5月22日生まれ。宮城県出身。13年、第26回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞を受賞。15年、舞台『大正浪漫探偵譚 東堂探偵事務所』で俳優デビューを飾る。以降、『マフィアモーレ☆』『黒子のバスケ THE ENCOUNTER』などに出演。8月には『ホイッスル!』の出演も決まっている。
 
 
公演情報
『黒蝶のサイケデリカ THE STAGE

作:オトメイト『黒蝶のサイケデリカ』
脚本・演出:菅野臣太朗
◆出演:山田ジェームス武、藤本かえで/北村健人、八島諒、木村敦、阿部快征、霜月紫、大塚愛菜/平山佳延、村上侑希、染川重樹、山崎あずみ 他

◆日程:2016年8月3日(水)~ 8月7日(日)
◆会場:紀伊國屋ホール
◆料金:[プレミア席]9,500円(税込・特典付き) [一般席]6,800円(税込)
◆公式サイト:http://wup-e.com/psychedelica-stage/


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