メジャーシーンに颯爽と現れた"王道"ロックバンド・Lenny code fictionは、どこから来てどこに向かうのか

インタビュー
音楽
2016.9.18
Lenny cord fiction

Lenny cord fiction

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“王道”という言葉が似合う滋賀発のバンドがデビューした。8月31日にシングル「Key-bring it on, my Destiny-」でメジャーシーンへ飛び出したLenny code fiction(レニーコードフィクション:通称レニー)だ。ギター・ソラ、ドラム・KANDAI、ベース・kazu、それぞれが歌を引き立てつつも、しっかりと自己主張し、意志の強さを感じさせてくるサウンドは重厚かつスタイリッシュ。そしてボーカル&ギター・片桐航(以下航)が書く、胸に突き刺されるかのような言葉は、意志の強い音と相まって、聴き手の心の深いところまでしっかりと届いてくる。彼らのこれまでと最新作を紐解きながら、バンドの輪郭に迫ってみたい。

実は、彼らは早くからその実力が評価され、デビューが待たれていた。2012年、前身バンド・CROMARTYで、10代フェス『閃光ライオット2012』のファイナリストに選ばれた。しかし、メンバーの脱退などがあり、4人いたメンバーは航とkazuの二人になり、2014年秋にLenny code fictinへ改名。2016年にソラ、KANDAIが加入し、デビューに至った。

「ドラムのKANDAIはこのバンドの前身・CROMARTY時代からよく対バンしていたバンドのメンバーでした」(航)

「それでドラムが抜けた時に、サポートに入ってもらい、そのままメンバーになってもらいました。ソラはCROMARTY時代からよくライヴを観にきてくれていて」(kazu)

「僕も別のバンドに所属していましたが、このバンドのオーディションを受けて入りました」(ソラ)

この4人になり、結果的に以前よりも音が太くなり、重厚さとポップさがいい塩梅で同居し、それがスタイリッシュさを醸し出している。そしてなにより、バンドにとって最も大切なその“佇まい”が圧倒的に美しいのもレニーの武器だ。ライヴで演奏している姿、アーティスト写真しかり、そのシルエットに想像を掻き立てられる。演奏力が高い4人から繰り出される音も含めての“佇まい”が抜群に美しい。それぞれの音楽のバックグラウンド、影響を受けたアーティストから、レニーの音楽の秘密を紐解いてみた。

「バンドはやっぱり見た目もすごく大事な要素なので、ギタリストとして目立ちたいと常々思っています。そういう意味ではMIYAVIさんはギタリストとしてすごく“立っている”ので、そのパフォーマンスの影響を受けました」(ソラ)

「僕はL’Arc〜en〜Cielです。佇まいはラルクに影響されていて、音楽的な部分はミッシェル・ガン・エレファントにも影響を受けていまして、ロック系もガレージ系も大好きな少年でした。ラルクのカッコ良さとミッシェルの凛とした感じを併せ持つことができたら、それがLenny code fictionだと思っています」(航)

「ベーシストで一番最初はレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーに影響され、最近は、ストレイテナーやNothing's Carved In Stoneで活躍している日向秀和さんに憧れています。歌うベースラインをつける時はL’Arc〜en〜Cielのtetsuyaさんのベースを参考にしています」(kazu)

「音楽的に影響を受けたのはスピッツさんです。元々歌重視のバンドが好きで、自分が所属していたバンドもそうでした。歌に寄り添いつつドラムが引っ張っていく感じが好きです。ドラムプレイはONE OK ROCKのTomoyaさんに影響を受けています。それとLINDBERGのcherry(小柳昌法)さんです。今の自分はその二人のスタイルをミックスしたようなドラムスタイルだと思っています」(KANDAI)

Lenny cord fiction

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それに歌はもちろん、それぞれの楽器の音がしっかりと主張し、目立っている。

「それが僕がイメージしていたバンド像なので、歌は一番にこなければいけないですけど、全員が目立つ部分は作りたいと思いました。全員で共存している感じ」(航)

そんな4人と、ONE OK ROCKなどの音楽プロデュースを手がけるakkin氏とで、デビューシングル「key~」は作り上げられた。「Key~」はソングライティングを手がける航の作品の中でも、とっておきの一曲で、まさに満を持してのリリースになった。

「前からあった曲で、その中でも“この曲はイケるんじゃないかリスト”みたいなお気に入りのリストがあって(笑)、それの上位にずっと入っていた曲です。それで今回のアニメ『D.Gray-man HALLOW』のオープニング曲に挑戦してみないかというお話をいただき、満を持して登場させました。自分でデビューにあたっての覚悟を詞に書いた時に、自ずとアニメの主人公の感情と一致した部分が多かったです。Akkinさんとの作業の中では、“ハイブリッド”というキーワードが飛び交っていました」(航)

「ビンテージサウンドとは全く逆の、モダンでしっかりした感じのものをやっていこうと」(ソラ)

「たぶん僕らが思っていることは、モダンということなんですけど、レコーディングの時に飛び交っていた言葉がハイブリッドでした(笑)」(kazu)

「今回の3曲はモダンというテーマで作って、でもこれから先出していく曲はビンテージ感があったり、曲によって色々なキーワードが出てきたので、それに対しての意見を僕らがakkinさんにバーっと言って、ひとつにまとめてくれるという感じでした」(航)

航以外のメンバーも、「Key~」に対しては手応えを感じていたようで、デビュー曲という大切な作品に対して、思いをひとつにして制作に臨んだという。

「最初のデモの鼻歌で歌っている状態のシンプルな段階で、この曲は伸びるんじゃないかという感覚がありました。自分達のデビューシングルとして力強い一曲になったと思います」(kazu)

「ずっとお気に入りだったので、僕らの強み、いい部分を全部詰め込みたいと思いました」(航)

「割と完成系に近い状態のものを聴かせてもらって、自分が好きなドラムパターンがハマりそうだし、自分の良さが引き立ちそうで、メロディもキャッチーで歌詞も航らしく攻めている感じが出ていて、一番演りたい曲でした」(KANDAI)

「まだスケッチ状態だった歌詞がすごく良くて、これはタイアップが決まったからといって変わって欲しくないなと思っていました。その世界観がアニメと偶然一致していて、細かいニュアンスは若干変わった部分もありますが、根本は変わっていなくて、最初に感じた力強さがそのまま出ていると思います」(ソラ)

「音はラウド系でガッツリしていますが、繊細さというか綺麗さは削りたくなかったので、でも逆にスッキリしてまとまって、突き刺さるような音になったと思います」(航)

Lenny cord fiction

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レニーの肝になっているのは、やはり航の歌だ。どこか儚げで、サウンドがどんなにハードでも、航が歌うとどこか切なさを感じて、それがレニーの4人の音、世界観になっている。その世界観は非常に多面的で、「Key~」とは全く違うカラーのカップリングの2曲「世界について」「Showtime!!!!!」を聴けばわかる。

「色々なパターンの曲があるのですが、デビューシングルにはその対照的な3曲を入れようということになって。「Key~」でこういうバンドなんだって感じてもらいつつ、他の曲で全然違う面を見せたいと思いました。歌詞の世界観もきちんと知って欲しいと思い、この3曲にしました」(航)

「「世界について」は、デモを聴いた瞬間にギターの重心を上に持って行こうと思いました。隙間は全部ギターで埋めてやるぞという勢いでフレーズを詰め込んで、足し算は全部自分でやったので、後は話し合いで引き算の作業でした」(ソラ)

「この曲はデモの段階と完成形がほとんど変わっていなくて、そのデモも3時間位で歌詞も含めて全部作り上げました。いつもデモの段階ではタイトルは適当に付け、後で直しますが、この曲は奇跡的にデモの時のままのタイトルです。普段自分が一人で考えている事をできるだけ言葉にしたかったんです」(航)

「聴いた時にいい意味で歌詞っぽくなくて、メッセージだなと思いました」(ソラ)

「2~3時間で書いたので、もしかしたら素直すぎるのかもしれないですね」(航)

「showtime!!!!!」は他の2曲とは全く違う顔を見せてくれている。コール&レスポンスがあったり、ライブを意識したような作りだ。

「この曲はカップリング曲を決める、選曲会の前日に完成した曲で、何も考えず、好きなようにやってみようと、少年時代に戻ったような感じで、ギターを持って思うままに歌ってみました。いいデモが出来上がったので、自信満々でその選曲会で聴かせたら、メンバー、スタッフ全員からNGが出て(笑)。でも頭の中で曲の構想は出来上がっていて、絶対にいい曲になると思ったので、アレンジをやり直して3日後に全員に聴かせたら、これで行こう!となりました。勢いがあってライブで盛り上がる曲を、楽しみながら好きなように作ったわがままな曲です(笑)」(航)。

「なぜそっちを先に持ってこないんだという(笑)」(kazu)

航は、アーティストに最も必要な曲の“生産力”に長け、現在ストックが220~230曲あるという。彼流の独特の創作方法でどんどん曲を作っていった。

「映画がすごく好きで、一日一本観ると決めて、観るだけだじゃなく、観終わった後1曲書くという事を、1か月間続けたりしました」(航)

「1MOVIE、1MUSIC計画(笑)。自分を縛って、追い込んで」(kazu)

「そうMM計画です。後半はもう映画観たくないって思いました(笑)」(航)

「でもその時書いた曲が全部いいんですよね」(ソラ)

「やっぱり映像が浮かびやすいというのがあるので。それを曲にして、最初に思い浮かんだ映像をより鮮明にしていくというのが、制作作業のような気がします」(航)

Lenny cord fiction

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そして全員が「とにかく有名になって、大きい会場でライヴをやりたい」と口を揃える。彼らについて、スタイリッシュという言葉を使ったが、とにかくギラギラしていて大きな野望を抱いている。そんなメリハリも彼らの良さになっている。

「メジャー以外全く興味がなかった。大きい会場でやる事しか考えていなかった」(航)

「元々憧れていたものが、派手な演出のライヴをやっているアーティストだったので」(kazu)

「個人的にはメジャーデビューしたいというのは、実は最近まで思ったことがなくて、でもそうじゃなくて、僕たちが見たい世界に行くためには、メジャーを通らなければ行けないんだという事を、この前気がつきました(笑)」(ソラ)

レニーとサウンドプロデューサーakkin氏とが作り上げた、ぶ厚く、しかもスタイリッシュなサウンドは、早くも話題になり、ネット上には「弾いてみた」「叩いてみた」動画が数多くアップされている。特にドラムは相当なテクニックが求められる音になっていて、「コピーできないような難易度が高いテクニックを敢えて入れました」(KANDAI)と言うように、チャレンジする男性ファンが増えている。

「ドラムがガッツリしていて、ギター、ベースの音も大きいバンドの音って、昔の自分を思い出してもまずカッコイイ!と思ってもらえると思います」(航)

「叩いてて楽しいんじゃないですかね。ゆくゆくは男性ファンが多いバンドにならないといけないとは思います」(kazu)

「たぶんボーカル、ギターは女子担当で(笑)、ドラムとベースは男子担当で、上手と下手で別れるんじゃないですかね(笑)」(航)

10代の頃から大きな期待を背負い、明るい未来=デビューが待っている中で、メンバー脱退という困難に見舞われて、しかし改名という名のリスタートに希望を見出していた航とkazu。そこに、自身のバンドの解散という哀しみに直面していたKANDAIと、昔からレニーのライヴによく来ていて、知り合いだったというソラがまるで引きつけ合うようにひとつになった。縁とタイミングもあったのだろう。4人共通しているのはLenny code fictionというバンドに希望を見出していたことだ。2016年春に新体制となったレニーは走り出した。デビューに向け、限られた時間の中で新しい音を紡ぎ、バンドとしての結束力を高めてきた。

「曲に関しては最近あまりみない“王道”感があると思っています。ガッツリした言葉とメロディと構成とサウンド、そういうバンドは他にもいるかもしれませんが、その中でバンドとしての“佇まい”やスタイリッシュさが融合すれば、どのバンドにも負けない強みになると思っています」(航)

一緒に過ごしている時間は、まだ短いもののその分、濃密な時間を過ごしてきたからこそ、4人の絆は固く太いものになっている。もう何も遮るものはない。11月には早くも2ndシングルのリリースと、初のワンマンライブ(11月13日原宿アストロホール)も決定している。タイトルはその名も「Non-fiction」。彼らのこれまでとこれからが凝縮されたステージが展開されるであろうことは、想像に難くない。あとはただ前を向いて進んでいくだけだ。


取材・文=田中久勝

リリース情報
デビューシングル「Key -bring it on, my Destiny-」
※通常盤と期間生産限定盤(アニメ盤) の2形態リリース。
※アニメ盤はTVアニメ「D.Gray-man HALLOW」描き下ろしイラストスリーブケース仕様
※アニメイトにて通常盤購入者のみにオリジナル特典『D. Gray-man HALLOW』ラインアートバージョン スリーブケース
<収録曲>
■通常盤
通常盤

通常盤

M1.「Key –bring it on, my Destiny-」
M2.「世界について」
M3.「Showtime!!!!」

■アニメ盤
アニメ盤

アニメ盤

M1.「Key –bring it on, my Destiny-」
M2.「世界について」
M3.「Key –bring it on, my Destiny-」(TV size version)
M4「Key –bring it on, my Destiny-」(instrumental / TV size version)
 
「Key -bring it on, my Destiny-」TVサイズダウンロードサイト
■iTunes
https://itunes.apple.com/jp/ album/id1141270397?at=10lpgB& ct=4547366269604_wn&app=itunes
■mora
http://mora.jp/package/ 43000001/4547366269635/
■レコチョク
http://recochoku.com/s0/key- bringitonmydestiny/

 

ライブ情報
Lenny code fiction presents 「Non-fiction」
日程:2016.11.13(Sun)
場所:原宿アストロホール(東京)
時間:Open16:30 / Start17:00
チケット:前売り¥2,500(税込・Drink別)
<プレイガイド先行(抽選)>
ぴあプレリザーブ2次先行受付中!
受付期間8/29(月)11:00〜9/7(水)11:00
受付URL: http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1638327
<一般発売>
10/15(土)10:00〜
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