パリの展示レポート:福祉先進国・スウェーデンの"イクメンパパ"をとらえた写真展『Papas』

SPICER
 Johan Bävman

Johan Bävman

画像を全て表示(5件)

パリ市庁や国立近代美術館があるパリのファッションエリアであるマレ地区に、ひっそりとたたずむスウェーデン会館。ここでは、スウェーデン人アーティストによる展示会がいつも開催されています。マレ地区でのウィンドー・ショッピングに疲れた時などには、気軽に立寄って施設内のカフェでほっと一息つくこともできます。スウェーデン人スタッフによる手作りのケーキやコーヒーは、素朴な味で、パリにいるのを忘れて北欧にいるような雰囲気まで味わえます。


入り口に入ると落ち着いた雰囲気の中庭が迎えてくれる

入り口に入ると落ち着いた雰囲気の中庭が迎えてくれる

今回は、このカフェで展示されていたちょっと変わったテーマの写真展を紹介してみようと思います。その写真展とは、スウェーデン人カメラマンのJohan Bävmanによる『Papas』(父親)というもの。育児休暇を取得した父親たちの子育て風景が撮影された11点の作品からなる展示会です。

その写真には、子供を背負いながら掃除機をかけるパパや、スーパーのカートに子供二人を乗せながら真剣に買い物するパパが映し出されています。ほかにも、台所のシンクで子供達を裸にして水遊びしたり、ジムのランニングマシーンのよこにベビーカーを設置してトレーニングしているパパと子の姿も。なかには、なかなかご飯をたべないとぐずって泣く子供をなだめて一生懸命たべさせようとするパパもとらえられていました。

福祉先進国として日本でも有名なスウェーデン。展示会資料によると、 父・母の両方が合計で取れる育児休暇の合計は480日と、世界的にみてもトップの日数です。ところが、国によって有用な育児休暇が設定されているにも関わらず、実際に育児休暇を取得している父親は以外にも14%しかいないそうで、実際はそこまで浸透していないのが現状。

それぞれの写真には、被写体となったパパたちのコメントも掲載されています。「まだまだ父親がどう子育てをすればいいのか、情報が足りなくて困ることがある。発展途上のさなかだと感じる」という、現実的な課題を露出するコメントもありました。

ほかにも、「私の子供たちは、母親と同じくらい父親である私に信頼を置いてくれています。おかげで、子供を安心させたり、なだめさせたりすることができる。それは私にとって、とても大切なことなんです」という、父親の育児休暇取得のメリットを実感しているコメントもありました。

Johan Bävman

Johan Bävman

それぞれの父親と子供たちの日常を映し出した写真を観ていると、育児休暇制度の世界最先端の国で、日々格闘するリアルな男性たちの姿が、たくましくもあり、微笑ましく感じられます。こうした日常生活のワンシーンを切り取った写真が、パリジャンたちがくつろいでお茶をする何気ないカフェの中に展示され、コーヒーを飲みながら、父親の子育てついて話し合うキッカケを与えてくれるのです。写真に写る父と子の姿に、あたたかい気持ちを思い起こさせてくれる、素敵な展示会でした。
 

イベント情報
Papas

日時:2016年11月11日〜 2017年3月19日
会場:スウェーデン会館(Institut suédois)
オフィシャルサイト:https://paris.si.se/agenda/papas/
シェア / 保存先を選択