『ポッピンQ』特別インタビュー連載 「GO TO POP IN Q」vol.3宮原直樹監督に聞く 「ナマの女の子たちの葛藤を描きたかった」

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インタビュー
2016.12.13
 ©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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東映アニメーション60周年記念作品と銘打たれた、オリジナル劇場アニメーション『ポッピンQ』。中学三年生の卒業式、ダンス、異世界などワードは散りばめられているが、未だこの作品の実態は公にされていない。幸いにして試写を拝見する機会を得たが、これは恐ろしく繊細な作品だと思った。一見すると東映らしい娯楽アニメ。だがそこに内包されているのは出会いと別れと、思春期のどうにもならない葛藤と衝動だった。この作品を作った人たちに会ってみたい。そして「何故この仕事についたのか」から作品を紐解いてみたい。そう思い、動かしだした対談インタビュー連載。第三弾は、本作の監督である宮原直樹氏。プロデューサー陣が「宮原さんに監督をさせたいという所から始まって居るのがこの作品」という、その宮原監督の内面を聞いてみた。

この連載から少しでも『ポッピンQ』という作品が見えれば……。 さあ、「POP IN Q」を始めよう。


SPICEアニメ/ゲーム編集長 加東岳史

宮原直樹監督

宮原直樹監督

――連載企画「GO TO POP IN Q」、第三弾は宮原直樹監督です。宜しくお願い致します。

宜しくお願いします。

――プロデューサーのお二人にはもうお話を聞いたんですが、『ポッピンQ』、ビジュアルからは想像もできないような展開ですね。

すごい裏切りましたね(笑)。

――今回のインタビューでは、なんでアニメーションを作るというところに至ったかというのをお聞きしたいなと思っております。

アニメを始めたきっかけ……もちろんあの、僕の世代的には『宇宙戦艦ヤマト』から『機動戦士ガンダム』、あとは松本零士さんの一連の作品などが世に出たタイミングでアニメというものを知って、「ああ、アニメいいなあ」っていう。第一世代っていうのかな?

――僕らはそれより下の世代ですね。僕は今年39なんですけど、生まれて初めて見たアニメって『超電磁ロボ コンバトラーV』とかだと思います。

ああ、そうですよね。

――アニメーションが好きっていうところから、実際作ろうというふうに思うに至ったというキッカケはあるんですか?

好きだっていうのが入り口で、やっぱりどうやって作られているのかっていうのも知りたくなり、「アニメーターという職種があるらしい」ってなったんです。映画もすごい好きだったし、絵を描くこともすごい好きだったので、じゃあアニメの勉強をしようと思って。でも僕長崎の離島出身なんですよ、東京でしかそういう仕事には就けないじゃないですか。

――そうですね、当時は特に難しそうです。

だから高校卒業したらすぐ東京の方に来て、東京デザイナー学院のアニメーション科に入りました。そこでアニメの勉強をすればアニメに携われるチャンスは有るんだろうな、と漠然と。そうしたら卒業と同時にちょうど東映アニメーションが研修生を募集していて。そこからはもう就活らしきことは何もせず、東映アニメーションに願書を出して、運良く引っかかったっていう(笑)。

――ずーっとアニメを作りたいと思って、そのまま行ったんですね、叩き上げですね。

でも集まってきた連中が凄いんですよ。絵の技術とか、アニメのこと調べ尽くして、カメラのなんたるやとか、そういう人たちが周りにブワーッと居たので。ただ絵を描くのが好き、アニメが好きっていう僕は、「こんなことまで知ってないとアニメって出来ないの」みたいな。ちょっとビビりましたね。

――確かに、僕も昔お芝居をしたくて研修所に入ったんですけれど、僕らが考えている以上にやりこんでる奴っているんですよね。

いますいます。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――その中でこうして監督をなされていて。ちゃんとした劇場版のアニメーションは初監督ということになりますが。当時はアニメーターということは作画担当ですよね。

86年入社なので、僕が入った時に劇場用の『北斗の拳』を作ってたのをすごい覚えてます。

――懐かしい!僕見てますね。でもちょうどその頃から90年代にかけてアニメーション業界って賃金の問題とかいろいろトラブルもあった時期じゃないですか。あの頃の事を話せる範囲でいいんですがお聞きしたいです。現場ってどうだったんですか?

不夜城でしたよね、それこそ24時間誰かが居て……みたいな世界だったと思います。僕らはたまたま東映アニメーションの研修生っていう恵まれた、ある程度固定給があって仕事ができていたので、そういう意味では守られた存在だったと思います。

――その頃から比べると、いまのアニメーション制作現場の環境って、セルがデジタルに変わったりとかありますが、環境面とかも含めて、どういう部分が変わったんでしょうか。

どうだろう、環境自体はそれほど劇的に変わったとは思えないんですが、身の周りに限れば職業としてちゃんと成立させている人達が多いなとは思います。薄給で生活を犠牲にしてでもって言う人はさすがに少なくなった。映像関係に携わるにしても仕事として成立させられる職場を選択しているんだと思います。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――そして『ポッピンQ』ですが、プロデューサーのお二人はどうしても宮原さんを監督に、と口説いたということですけれど、初めてお話が来たときはどうでしたか?

こういうのを作るんで、と言うよりは「何か作りたいモノありません?」っていう形だった気がしますね。その時やっていたのは『プリキュア』のダンスシーンとかをCGで作っていたので、それも面白いねって言う風にプロデューサーが興味も持ってくれて。なにかダンスシーンに意味を持たせてその前後にストーリーがちゃんとあって、なんで踊っているのか、踊ったら何が変わるのか、そういう風な肉付けをした意味のあるダンスシーンを中心に据えて、ストーリー作ったら楽しいだろうねっていうのを話したのがきっかけだった気がします。

――今回もダンスが主軸になっています。ビックリしたのは踊れない子達のダンスっていうのがものすごくうまく表現されているなっていう。

あははは(笑)

――あのシーンを作るのはすごい大変だったってお聞きしたんですが、うまく踊れない感じが本当にリアルに再現されていて驚きました。

ダンスが学校の授業に正式に取り入れられる時に、踊れない先生たちに対してダンスの教え方をレクチャーする講習会にプロデューサーと一緒に潜り込んで、レクチャー受けたんですよ。僕らは隅の方で見学しただけなんですけれど、その時皆さんがすごい苦労して踊ってたのを見て、「これ使えるな!」って思ったんですよ。

――プリキュアで僕がすごい衝撃を受けたのが、あんなにも滑らかに、CGだから揃っているのは当たり前なんだけど、肉感的にちゃんと踊って、可愛く見えるっていうのがあったんです。今回は更にそれが一歩進んで、もっと人間になってきたなっていう感じを受けたんですね。

ありがとうございます、うれしいですね。

――作品としても、僕は最初やっぱり可愛い感じで、ポッピン族も居るし、ファンタジーなんだろうなと思ったら、遅々として心が進まない思春期独特のモヤモヤしてる感じが出てると思ったんです。なぜこの世代というか、中学卒業前の中学三年生、一番多感であり、モヤモヤする時期の女の子を描こうと思ったんですか。

最初は『プリキュア』の主役がみんな中学2年生なので、漠然と「ちょっと上の中3で行ってみよう」と。高校生だともうちょっと事情も複雑になって今回想定したシナリオだけでは解決しきれないだろう、中学3年から卒業して高校に上がるときのステップでなにかうまくハマれれば良いなというところがあって。それが中3を選んだ最初のキッカケだった気がしますね。で、逆にそこから「中3の子たちって何考えてるんだろう」ってところに広げていって、ストーリーを作っていきましたね。

――中学三年生くらいって、今振り返るとあの頃何考えてたろう自分って思いますね。

記憶に無いんですよ、中学三年生って。

――無いですよね? 高校生になるとなんか一つはあるんですけれど、中学三年生くらいのとき俺何考えてたかなって。

そうそうそう。ただ鼻垂して遊んでた(笑)。

――小学生ほど子供に見られたくはないけど、高校生みたら大人っぽいな-ってなっちゃうし。そういう感じが凄く作品に現れてる気がして、ささいなことでも、たとえば僕はあさひちゃんが好きなんですが、彼女が親の言うことには逆らえないけど、でもやりたいことがあってもやもやしてるあの些細な感じというか、あれを表現できる監督が、なんで中学三年生の女心をというか、僕達が想像する中学三年生の女心をわかってるんだろうなあって思いました。

ストーリー作りとかシナリオの段階では僕の方も参加させていただいたんですが、映像にするにあたり女性の視点が必要だと思われるシーンでは女性の演出家の方に絵コンテをお願いした部分もあるんです。僕だけでは難しい所もチームでクリアできた感じですね。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――カタルシスがありますよね。大きい敵を大技で倒したとかじゃないけど、確実にあるカタルシスみたいなものがある。それでもう一つ聞きたかったのは、どうしてもこの作品って、『プリキュア』と比べられると思うんですよね。踊る、宮原さんが作ってる、そういうところに関して思うところだったり、意識して作った部分、もしくは変えて行きたかった部分って監督の中にあるんですか?

一番最初のプリキュアって日常部分で凄く葛藤してた印象なんですよね、西尾大介監督の最初のプリキュアはやっぱり友達関係で悩んだり、自分の将来を見据えてみたいな話があったと思うんですけど、そういうところは一つ大きなヒントにしています。なおかつ、1年通して敵と戦うっていうTVシリーズの枷が『ポッピンQ』には無いじゃないですか、一発勝負で出来るストーリー展開も意識しました。もう一つはなんだろうな……プリキュアからもう一歩リアルな方に寄せたいなというのはあったんです。ダンスももっとフィジカルにしたかったし、ナマの女の子たちの葛藤みたいなものも描きたかったというのがありましたね。

――『おジャ魔女どれみ』シリーズが終わってプリキュアが始まった時に、最初はお互い名前で呼ばないで、名字で呼ぶみたいなところから始まって、距離が縮まっていくとかを見て、骨格があるというか、人を描こうという思いを感じてたんですよね。今回もある意味荒唐無稽ファンタジーな部分があるけど、それ以上にそのシチュエーションの中で人を描いている気がしたんです。

現実世界をしっかりリアルに描いてファンタジーな世界にいく、リアル~ファンタジー~リアルという展開だとどっちも活きるだろうと思って。なのでリアルなところは本当にナマの感情で、その感情のまま想像のファンタジー世界へ、でもちゃんと気持ちはリアルなままキープして、帰ってきた時に成長しているっていう、その流れだけは崩さずやろうと思ってましたね。

――作品を作る中で、ビジュアル面、いわゆる映像ですね、そういうところでのこだわりってあったりするんですか。

いやもう、こだわりというよりは、自分が見たい絵をどんどんつぎ込んで繋げるみたいなところですね、演出としての計算なんていうものはゼロなので、考えてもしょうがないと、自分の中の映画的な記憶であったり、見たい絵だったりっていうのをどんどん「これとこれを繋いで」っていう風な、最終的にそれが見たい映画になればいいな、と。

――プロデューサーの松井さんと同じですね。自分が観たいものをやりたいけど監督にはなれないからプロデューサーになったって言ってました。皆さんそうなんですか? クリエイターというか、自分の観たいものを力づくで作り上げるというか。

そうじゃないと嘘になっちゃう気がしますね。誰かのために、誰かが観たいモノを作るっていうと、やっぱり違う気がしますね。もちろんお客さんに対してはちゃんと楽しませるというのは大前提としてあるにしても、自分が観たい、自分が楽しいものを作るっていうのが作品の完成形に繋がるとそれは嘘じゃない、真っ直ぐなものになるんじゃないかなと。良いこと言った気がする(笑)。

――試写で見せていただいて、帰り道でどんどん胸のあたりが、いい意味でモヤモヤしていったんですよね。「僕あの時何してたんだろう」とか。彼女たちってほんのちょっと進むじゃないですか、それがいい意味か悪い意味なのかは彼女たちにしかわからないんですけれども。「僕卒業の時に何か進んだっけな」って。

きっと何か一歩進んでるんですよ。

――いわゆる学生じゃなくなった世代の人間が観た時に、フワッと観ようと思えば観られると思うんですけど、尺も2時間無いくらいですし、「なんか可愛かったね、面白かったね、かっこよかったね」とかで終わると思うんですけど、実は一歩ぐいっと前に首を出して観ると、すごく心がチクチクする映画だと思うんですよ。

チクチクさせてしまうかもしれませんね。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――僕今回のインタビューでずっと言ってるんです、『ポッピンQ』はファンタジーの皮をかぶった純文学だって。

すごいありがたい言葉ですね。

――これは皆さんにお伺いしてるんですけれども、思春期の自分、アニメーションが好きでアニメを作りたいと思ってた頃の自分にこの作品を作り上げて自分がなにか語りかけるとしたら、何か有りますか。

そうですね……難しいですね。「えっそうなの?」って言うでしょうね。15歳の僕は多分。それすげえ! って喜んでくれると多分思うんですが。どうだろう……?

――でも夢に対してまっすぐ来られてるわけじゃないですか。

まっすぐ来ましたねぇ。

――寄り道をされている印象が全くない。

そのぶん何か色んな可能性を捨ててる気もしますけどね(笑)。

――まさに自分も、こういう仕事もしてますが、心はある意味フラフラしてるので、『ポッピンQ』観終わった後に「何やってるんだろう……」って振り返っちゃったんです。そういう作品だと思うんですよ。子供も楽しめる映画だと思うんですけれど、根っこは多分、大人が観て何か感じるものがある作品の気がしてるんです。

そういう風にプロデューサー陣がもっていってくれた気がしますね。僕に放り投げてそのまま走らせたら多分、薄っぺらい作品になったと思うんです。そのあたりはうちのプロデューサー陣がちゃんと映画にして、ちゃんとアニメにしてくれたっていうのが。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――いいチームだなっていうのは、インタビューしている中で皆さんからお話し聞いて感じてるんですけど、信頼関係がすごくあるというか、「これは宮原さんに頼んでおけば大丈夫」みたいなのもあるし、いまもプロデューサー陣がってお話がありましたし、すごくいいチームだな-と思います。現場の監督としては演者陣のみなさんは瀬戸麻沙美さんを始めとしていかがでしたか?

僕本当に、声優さんに関してはまったく知識もなく、今どういった方が人気があるかもわからない、自分の会社の作品に携わってる方とかも名前ちらっと輪郭を覚えてるくらいっていう。野沢雅子さんだったら知ってますけれど(笑)。

――流石に野沢さんは、孫悟空(笑)。

ええ(笑)。ほんとそれぐらいだったので、今活躍している若い女性声優の方っていうのが本当に分からない。その分、素直に声のイメージとキャラクターのイメージを繋げられたんだろうなあって思って。瀬戸さんはどこをどう切っても伊純だし、5人共にキャラそのまんまっていうのが結果ですね。オーディションはそれこそ200人とかそのくらいの人の声を聴かせていただいて選ばせていたんですけれども。そういう環境にも感謝ですね。

――でもそれってある意味、さほど今の声優事情に詳しくないのは、色眼鏡無くキャラクターとまっすぐってとこですもんね。

そうですねえ。例えば田上真里奈さんとか、アニメはあんまりやってない方なんですが、声がすごい印象にのこって、これは絶対お願いしようってことで、ストーリーの鍵になる、それこそ主人公と言ってもいいぐらいのポッピン族のポコンくんをお願いすることが割りと早い段階で決まったり。前知識があったら多分そんな事もなかったかなって。

――そう考えるとあれですね、制作環境としてプロデューサー陣、もしくは他のスタッフさんも含めて、「とにかく宮原監督にはこの作品をまっすぐ作ってもらおう」みたいな印象がありますね。

ありますね、まんまとレールに乗せられて(笑)。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――先程も、当時のアニメーション環境とかを伺ったんですけれども、皆さんに聞いているんですが、2016年のトリのタイミングの上映、クリスマスイブイブの正月映画第一弾として、トリを飾る作品になるわけですが、これは毎回聞いてヒヤヒヤする質問なんですが、今年はビッグタイトルのアニメがすごくでたじゃないですか。『君の名は。』とか200億超えみたいな話になり……

うちの奥さんもニヤニヤしながら「すごいねえ」って。。

――まあ今年邦画がすごく良いと思います、庵野監督の『シン・ゴジラ』があり、京アニさんで言えば『聲の形』があり、『この世界の片隅に』もそう、非常にいいものが多い。こういった作品が来た中で、2016年のトリのなかの1つとして世に出ることで思われることは……。

全く無いです。ホントにタイミングでして、5年前から準備して、完成に至ったというタイミングなので。『聲の形』も『君の名は。』も本当にすごい作品なんだろうなって実際観てないですけど、観ちゃうと感想聞かれるからなーと思って、よし観ねーぞって。

――そういうクリエーターの方いらっしゃいますね。

絶対すごいと思うんですよね、すごいと思うし、勿論ライバル意識を持つつもりもないんですが、もう少しだけ待って、いいタイミングの時に観ようかな~って。今はまだちょっと。

――世間的な、一般的なバズが起きてるわけじゃないですか。これはアニメーションを観るという敷居をひょっとしたら下げたんじゃないかなっていう。

あー。なんか面白そうなアニメがあるけど、どうしようかなって観る観ないの選択が、ちょっと「観る」の方に行ったっていう感じはありますよね、そういうところではアニメ業界にもいい影響だとは思うんですが。

――その分色眼鏡で見られる可能性もありますもんね、アニメーションていうだけで。

『君の名は。』なんかは全く違うと思いますよ、一応知っている情報だけでも、発想自体が素晴らしい、アニメ映画だからと敬遠される作品ではないだろうなあと。

©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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――東映アニメーション60周年記念作品とついておりますが、冠をつけた作品としてはどうですか?

こればっかりはタイミングがそうなったっていうことで、付いたことに関しては嬉しいし、作ってる間は意識しなかったんですけれども、初号試写を観終わった時に「これ東映アニメーションだな」って。

――僕も本当にそれは思って。東映アニメーション60周年を体現したような作品だよって話をしてて、今ではプリキュアで、過去では『長靴をはいた猫』だったり、アクション冒険もあり、まんま東映アニメーションだなって。で、だれもそれを意識されてなかったっていう。プロデューサーも、全く考えないで出来上がったらそういう風に言われることがあると。

諸先輩に対しておこがましいのは重々承知で、すごい東映っぽいものができたと思っています。シリアス部分とユルイところのバランスや、ちょっとだけお行儀が悪くて暴れん坊の東映、っていうところも良い意味で出てるなって。

――なんですかね、血ですかね。作品に流れる。

僕の血かもしれないですね。

――ずーっと東映アニメーション。

物心ついたときから『狼少年ケン』とか再放送で観てたし、『タイガーマスク』『マジンガーZ』もあったし、さっき言った『銀河鉄道999』とかも東映アニメーション作品と意識して観てたので、ギュッと絞られたのかも。

――脈々と血はつながっていくんですね。

ぼくヘモグロビンが3角ですよ、きっと(笑)。

――そして最後に、『ポッピンQ』一言で言うとどんな作品でしょう?

スタッフとの世間話の中で誰からか何気なく「青春って冒険だよね」っていうフレーズが出て、『青春は冒険だ!』、あ!これいいじゃん。コピーにもいいし、テーマとしても非常に。じゃあ、一言で言うなら「青春は冒険」で!

インタビュー後記 
金丸裕プロデューサーがインタビューで強く言っていたのは「宮原直樹という人に監督作品を作ってもらいたかった」という言葉でした。実際宮原監督にお話を伺うと、温和でずっとニコニコしていながら、言葉はずばり的確なものを返してくる人でした。今回の作品を語る上で避けては通れない、でもある意味アンタッチャブルな存在でもある『プリキュア』に対してもしっかりと返事をくれました。宮原監督の言葉を聞いて何か僕の中でスッキリしたものがあったのをお伝えしておきます、制作陣がどういう思いでビックコンテンツとの差別化を図ったのかを聞きたかったのですが、そんな気負いはなく、いいものを作ろうというチームワークがそこにはあったのです。次回は宮原監督が「本当に素晴らしかった」と言い続ける音楽チーム、Team-MAXから水谷広実、片山修志のお二人です。お楽しみに。
インタビュー・文・撮影=加東岳史

 

作品情報
ポッピンQ
©東映アニメーション/「ポッピンQ」Partners 2016

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2016年12月23日(金・祝)より全国ロードショー
監督:宮原 直樹 
キャラクター原案:黒星 紅白
企画・プロデュース:松井俊之/プロデューサー:金丸裕/原作:東堂 いづみ 
脚本:荒井 修子/キャラクターデザイン・総作画監督:浦上 貴之 
CGディレクター:中沢大樹/色彩設計:永井留美子/美術設定:坂本 信人/美術監督:大西 穣/撮影監督:中村俊介/編集:瀧田隆一
音楽:水谷 広実( Team-MAX )、片山 修志( Team-MAX )
主題歌:「FANTASY」 Questy(avex trax)
アニメーション制作:東映アニメーション 
配給:東映 
製作: 「ポッピンQ」Partners 

 【キャスト】
瀬戸麻沙美、井澤詩織、種﨑敦美、小澤亜李、黒沢ともよ 
田上真里奈、石原夏織、本渡 楓、M・A・O、新井里美 
石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ 
内山昴輝、羽佐間道夫、小野大輔、島崎和歌子
 
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