選ばれし天才、ビリー役4人の少年に初インタビュー ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
左から加藤航世くん、木村咲哉くん、前田晴翔くん、未来和樹くん
2017年7月から4ヶ月にわたりTBS赤坂ACTシアターと大阪・梅田芸術劇場で延べ17万人を動員するミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。前代未聞の約1年にわたる長期レッスン&オーディションを勝ち抜き、応募総数1346名の中から主人公・ビリー役の座を見事射止めた4名の少年たちに話をきいた。
加藤航世 (かとう・こうせい)東京出身
木村咲哉 (きむら・さくや) 東京出身
前田晴翔 (まえだ・はると) 東京出身(4月にアメリカより帰国)
未来和樹 (みらい・かずき) 熊本出身
――まずは、おめでとうございます。合格を言い渡された時どんな気持ちでしたか?
加藤 発表は一人一人別部屋に呼ばれたので、どんどん控室から人数が減っていって……自分の番になり、「出演をお願いします」と言われました時は、すごい嬉しかったし、それと同時に頑張らなきゃと思いました。
木村 ビリーの親友・マイケル役の方が先に呼ばれたんですけど、どんどん自分の番が近づいていって……、結果が気になり、すごくドキドキしていました。「ビリー役をお願いします」と言われた時は、本当に自分なのかな、夢じゃないかなって思いました。その時は全然実感がなかったです。でも今ビリーのTシャツを着たり、(メンバーと)再集合して、あぁ本当なんだなぁってだんだんと実感してきました。
前田 僕の番が来た時にお母さんと一緒に部屋に入り、「来年の7月の初代ビリーとして選ばれました」って言われた時はすごく嬉しかったですがあまり実感がなくて。でも、すごい役に選ばれたという責任とビリーを演じられる楽しみでいっぱいです。またレッスンも始まっていくので、努力して成長したいと思っています。
未来 発表は僕が一番最後だったのでずーっとまだかなぁ、まだかなぁってドキドキしていたんです。結果を聞いた時は、嬉しいとか頑張ろうとかいろんな気持が入り混じって、なんか頭がほわーっとしていた感じであんまり実感がわいていなかったんです。でも会見や取材を受けたりして、今は僕がビリーをやれるんだという喜びと頑張ろうという気持ちです。
――約1年にわたるオーディション。長かったですか? 短かったですか?
加藤 あっという間でした。練習が楽しいし、みんなと会えるっていうのも楽しいから。どんどん時間が過ぎていって、気づいたら終わっていました。
加藤航世くん
木村 短く感じました。レッスンも楽しいし、次は何をやるんだろうって気になっちゃう感じです。友達にも会えるから、学校の友達よりもいっぱい会っているし、すごく楽しいです。
前田 とても短く感じました。レッスンも楽しかったし、それに、自分はバレエをやりたかったので。バレエをやると軸がちゃんとするし、体の歪みもなくなるので、バレエからいろんなことを学べました。もともとヒップホップをやっていたので、久しぶりにヒップホップのレッスンを受けてみたら、上半身がぶれないし、前と全然違っていて。このオーディションですごくイイ経験をさせてもらっているな、と感じています。
未来 オーディションの期間中は長いなと感じたこともありました。最後のオーディションまであと何ヶ月とか。でも今思ってみれば、あっという間だったなと思います。この短い間で、いろんなことができるようになったし、ここまでこられただけでもすごい経験なのであっという間でした。
――オーディションで印象に残っていることは何かありますか?
加藤 学校の学級朝礼で無意識にタップを踏んでしまって、先生に怒られたことです。
木村 ピルエットの2回転がまだできない時に、家の狭いところで練習して、物にぶつかってしまいました。
前田 オーディション中に、(振付補の)トムさんに『ダンスは技術だけじゃなくて心から踊るものだ』と言われたことが印象的でした。
未来 僕、熊本から来ているので、全然東京のこと分からなくて、お母さんと一緒にレッスン場に通っているんですけど、お母さんが方向音痴なんです。ある日、電車に飛び乗って、後ろ向いたらお母さんがいなくて。窓の外を見たら、お母さんがポツンと泣きそうな顔をして立っていました。なんとか再会できたので良かったです(笑)
――芝居・歌・バレエ・タップダンス・アクロバットと色々な課題があったと思うのですが、得意な分野とこれから伸ばしていきたい苦手な分野は?
加藤 4歳からバレエをやっているので、バレエは得意です。苦手なのはタップダンス。タップダンスは力を抜かないといけないので、バレエとタップでは意識するところが全然違うんです。その真逆の動きは難しいですが、出来るようになっていくのが分かるので、もっと上手くなりたいです。
木村 得意なのはアクロバットです。苦手なのはバレエと演技。バレエは基礎ができてないと身体全体が繋がらないからすごく難しいです。演技も間とかがまだうまくできなくて、早口になってしまうので、これからしっかり稽古したいと思います。
前田 5歳からやっていたので、ヒップホップが得意です。苦手なのはバレエです。バレエは先生がやっていることをただ真似するだけではダメで、細かいところ、例えばつま先や手先まで意識し、体で表現するっていうことをしなくてはいけないので、もっと頑張らないといけないと思っています。
未来 何が得意かなぁ。あんまりみんなみたいにこれだけは得意ですっていうのはないんですけど……歌は4歳から童謡を習っていたので歌が得意かなと思います。一番苦手なのはアクロバットかなぁ。タップとかアクロとか今までやったことがなかったので、もっと頑張っていきたいと思います。
――オーディション期間で一番辛かったことは? どうやって乗り越えましたか?
加藤 夏休みにバレエ留学でアメリカに行っていて、その時に他のタップとかアクロバットとかの練習ができなくて、他の子たちと遅れが出ちゃったことです。
木村 バレエでできない基礎や技があって、それをみんなができているから、それに追いつくのが辛かったけど、自分ももっと頑張んないとビリーにはなれないなと思ったから頑張りました。
木村咲哉くん
前田 僕も咲哉くんと同じで、バレエをやったことがなかったので、みんなに追いつかなきゃ、と思って必死でした。毎週ペースが早くて、最初は全然出来なくて辛い時もあったけど、注意されたことをちゃんと理解して、家でも練習したりしたので、乗り越えてこられたのかな、と思います。
未来 ダンスとかのことじゃないんですけど……熊本だったら遠くを見渡せば必ず山が見えるんですね。自然を見ると心が癒されたりしていたんですけど、東京は右を見ても左を見ても高いビルしかないし、慣れるまでは辛かったです。でも空の青さは熊本と変わらないと思うので、そういう時は空を見上げて、熊本のみんなも同じ空を見て頑張ってるんだ、と思うと元気になってきます。
――オーディション期間中の息抜きやリラックス方法は何かありましたか?
加藤 何だろう……お母さんにマッサージしてもらっていたことかな。寝る前に全身マッサージをやってもらったりしていました。
木村 湯船に入ること。湯船に入ると、落ち着きます。あまりに長く入っているとお母さんに怒られます(笑)
前田 テレビのバラエティー番組を見ながら、ポテトチップスとアイス食べること。幸せです(笑)。しかも、ベットの上で。
未来 お母さんの料理食べて、あとはいっぱい寝る。寝たらやっぱり体も戻りますね。
―― 憧れている役者さんや先生、目標にしている人はいますか?
加藤 熊川哲也さんのような人に将来なりたいです。
木村 山田涼介さん。かっこいい演技も面白い演技もできるからです。
前田 堂本光一さん。堂本さんは演技もできるし、踊れるし、しかもミュージカルにも出ている。堂本さんを見て、自分もミュージカルをやってみたいと思いました。
前田晴翔くん
未来 槇原敬之さん。僕、作詞をしたり作曲したりするのが好きなので、槇原さんの歌を聴くと心がジーンとなるんで、大好きです。
――『ビリー・エリオット』という作品を見た時の印象や感想を教えてください。
加藤 とにかく感動しました。ビリーはバレエをやりたいという意志をしっかり持って、お父さんに訴えて、それでお父さんは自らを捨てて、ビリーのために炭鉱夫の仕事をやって……ストーリーに感動しました。
木村 (劇中の)「Electricity」の踊りが本当にすごくて、こういうことを僕もオーディションでできたらいいなぁって思ったんです。オーディションレッスンを受けさせてもらって、だんだんと、もちろんまだ完璧にはできないけど、前よりは出来るようになってきているし、少しずつビリーに近づけているのかな、と思っています。
前田 初めて見た時はセリフのイギリス英語の訛りがすごいので、全部を理解することができなかったんですが、 (劇中の)「Dream Ballet」のシーンを観た時に、ストーリーはわかってなくてもすごく感動して、踊りで自然と状況がわかってきて、どんどん作品に入り込んでいきました。
未来 初めて見た時も何回も泣いちゃって。率直にすごく感動しました。特に「Electricity」という曲でビリーが踊っているところがあるんですけど、それを見た時に体が本当にゾクゾクして。子供なのにこんなことができるんだって思って。そんなことが僕にできるのかなって思ったんですけど、自分もやりたいっていう気持ちがとってもあったので、挑戦しました。今まで見た中で一番好きな作品です。
――そんな作品にみんなが日本版初代のビリーとして出演するわけですが、どんなビリーを演じたいですか?
加藤 僕は、史上最高にバレエが上手いビリーと言われるように頑張りたいです。
木村 ヒップホップやアクロが得意なので、それもすごいと言われたいけど、今はバレエを評価されたい気持ちが強いです。バレエでも、この子すごいなって思ってもらえるようになりたいと思います。
前田 自分にしかできないビリーを演じたいです。あとはやっぱり、誰もが観てもこれはもう1回観たいと思うような舞台にしたいです。
未来 被っちゃうんですけど、自分らしい、僕にしかできない魅力のあるようなビリーができたらいいなと思います。
未来和樹くん
―― 最後に意気込みやメッセージをお願いします。
加藤 お客様に観に来て良かったぁと思ってもらえるように、一生懸命練習して、頑張ります。
木村 もっと成長して、お客様が満員になって、何回も見たいなって思ってもらえるようにしたいです。
前田 Yahoo!ニュースの一番上に載るぐらいになりたいです。「ビリーエリオット、素晴らしすぎる」みたいな(笑)。4人でニュースになるくらい頑張ります。
未来 もっともっと努力して、お客様に感動や元気を与えられるような、幸せな気持ちになってもらえるような、そういうビリーになりたいと思います。
取材・文:五月女菜穂 写真撮影:荒川潤
2017年2月7日(火)12:00 ~ 2月21日(火) 18:00 7・8月公演分【プレイガイド最速 座席選択先着先行】 e+受付