特別展『春日大社 千年の至宝』が開幕 国宝の武具や絵巻を通じて、千年の祈りに触れる

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『春日大社 千年の至宝』

『春日大社 千年の至宝』

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東京国立博物館で、特別展『春日大社 千年の至宝』(2017年1月17日~3月12日)が開幕した。

会場の様子

会場の様子

世界遺産「古都奈良の文化財」のひとつとして、また、近年では縁結びのパワースポットとして知られる春日大社が、現在の地に本殿を造営したのは768年。それから1200年を超える歴史の中で、約20年に一度「式年造替(しきねんぞうたい)」と呼ばれる社殿の修築を重ね、昨年2016年に60回目の式年造替を終えた。

展示風景

展示風景

本展は、歴史上の偉人たちが祈りや願いを込めて奉納した美術・工芸品、甲冑や刀剣を間近にみることができる貴重な機会だ。展示替えも含め、出展数は250。そのうち100点以上が国宝または重要文化財に指定されている。一般公開に先だち開催された内覧会から、本展の見どころを紹介する。

 

神々しくも愛らしい“神鹿”の美術

春日神鹿御正体│南北朝時代 14世紀 京都・細見美術館

春日神鹿御正体│南北朝時代 14世紀 京都・細見美術館

春日大社の第一殿に祭られる神・武甕槌命(たけみかづちのみこと)は、鹿の背にのって御蓋山(みかさやま)に降りたったと伝えられている。この伝承に基づき、鹿は神の使い、“神鹿”(しんろく)として信仰の対象となり、曼荼羅や絵巻など、春日大社の縁起を伝える作品でもたびたび神鹿が描かれるようになった。本展の会場でも作品の随所に、愛らしくも神々しい佇まいの鹿を見つけることができる。

 

日本の絵巻の最高峰「春日権現験記絵」

春日権現験記絵(春日本)│巻一(部分)江戸時代・文化4年(1807)春日大社

春日権現験記絵(春日本)│巻一(部分)江戸時代・文化4年(1807)春日大社

春日の神の霊験を伝える「春日権現験記絵」全20巻のうち、近年修復を終えた「巻十二」と「巻二十」(鎌倉時代・延慶2年1309年頃、宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)が出展されている。絹の巻絵本としては最大規模のサイズ(縦40㎝)であり、良質な絵の具が惜しみなく使われている。同館の学芸員・土屋貴裕氏は、本作について「質、量ともに、日本の絵巻の最高峰といっても過言ではない」と解説した。

写真は、「春日本」と呼ばれる松平定信の指示で作成された模本。ここでも、くつろぐ鹿の姿を確認できる。

 

春日大社が伝える平安の至宝

展示風景

展示風景

平安時代、天皇や上皇、藤原家などの宮廷貴族は、春日への祈りを込め数々の宝物を春日大社に奉納した。それら平安時代の神宝をまとめて現在まで守り伝える春日大社は、「平安の正倉院」と称される。

国宝 金地螺鈿毛抜形太刀│平安時代・12世紀 春日大社 展示期間:1/17~2/19

国宝 金地螺鈿毛抜形太刀│平安時代・12世紀 春日大社 展示期間:1/17~2/19

「金地螺鈿毛抜形太刀」(きんじらでんけぬきがたたち)の鞘には、螺鈿で竹の枝と雀、それを追う猫が描かれ、金粉による蒔絵が施されている。柄やツバなどの金具も、メッキではなく極めて純度の高い金から彫り出されているのが特徴だ。当時の最高の素材と技術であつらえた奉納品から、時の権力者たちの信仰の深さを感じられる。

 

国宝の武具が揃い踏み

国宝 赤糸威大鎧(梅鶯飾)│鎌倉時代・13世紀 春日大社 展示期間:1/17~2/19

国宝 赤糸威大鎧(梅鶯飾)│鎌倉時代・13世紀 春日大社 展示期間:1/17~2/19

国宝 黒韋威伊予札胴丸│南北朝~室町時代・14世紀 春日大社 展示期間:1/17~2/19

国宝 黒韋威伊予札胴丸│南北朝~室町時代・14世紀 春日大社 展示期間:1/17~2/19

会場には、鎌倉時代に、主に武家から奉納された武具が列座する展示室が設けられている。「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」(あかいとおどしおおよろい)と「黒韋威伊予札胴丸」(くろかわおどしいよざねどうまる)は1月17日から2月19日までの展示。2月14日から閉幕までは「赤糸威大鎧(竹虎雀飾)」と「黒韋威胴丸」が展示される予定だ。甲冑ファンには、国宝の甲冑4領が出そろう2月14日から19日の6日間の来場をおすすめする。

国宝 籠手│鎌倉時代 13世紀 春日大社

国宝 籠手│鎌倉時代 13世紀 春日大社

こちらは、源義経が兄・頼朝に追われていた際、かくまわれた興福寺の勧修坊に残していったと伝わる国宝の「籠手」。

 

奈良に、春日大社に行きたくなる

展示風景

展示風景

実際の春日大社の回廊を再現したような展示の釣燈籠。会場には、年に二回行われるという、3,000基の灯籠に御明を灯す神事・万燈籠(まんとうえ)を再現した撮影スポットも。

展示風景

展示風景

そして展示は、日本の芸能の原点でもある神楽、舞楽の面、装束に続く。

 

鎌倉時代から神様を守り続けた、狛犬と獅子

獅子・狛犬(第二殿)│鎌倉時代 13世紀 春日大社

獅子・狛犬(第二殿)│鎌倉時代 13世紀 春日大社

研究員の土屋氏によると、角があるのが狛犬、ないのが獅子なのだという。2016年の式年造替を機に、四棟の社殿から撤下された4組8体のうち6体が、その後の調査により鎌倉時代のものと分かったそうだ。会場に展示されているのは、鎌倉時代から神様を守り続け、つい先日お役目を終えた獅子と狛犬なのである。そうと知って向きあうと、彼らの表情もまた違ったものにみえてくるだろう。

 

あの国宝がオリジナルグッズに!

ミュージアムショップ

ミュージアムショップ

音声ガイド

音声ガイド

ミュージアムショップには、「春日権現験記絵」のワンシーンや、「金地螺鈿毛抜形太刀」の猫と雀をモチーフにしたキャラクターのグッズが並ぶ。また音声ガイドは、歌舞伎役者の市川猿之助が務めている。澤瀉屋ファンは入場前に忘れずにレンタルしよう。

春日の歴史の深さに触れ、春日大社に行きたくなる特別展『春日大社 千年の至宝』は、3月12日(日)まで開催。

イベント情報
特別展『春日大社 千年の至宝』

会期 2017 年1 月17 日(火)~3 月12 日(日) ※会期中展示替有
会場 東京国立博物館 平成館(東京・上野公園)
開館時間 午前9 時30 分~午後5 時 ※入館は閉館の30 分前まで
休館日 月曜日 観覧料(当日) 一般:1,600 円 大学生:1,200 円 高校生:900 円 ※中学生以下無料
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:http://kasuga2017.jp/

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