渋谷の劇場に1939年の上海が出現! 藤木直人主演の音楽劇『魔都夜曲』が遂に開幕~ゲネプロレポート

レポート
2017.7.8
音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)

音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)


7月7日(金)午後、cube 20th presents 音楽劇『魔都夜曲』のゲネプロ(総通し稽古)が、同夜の初日公演に先駆けてBunkamuraシアターコクーンで行なわれた。開演約10分前から舞台上では、生のジャズバンドと作品の舞台と、チャイナドレスを身に纏った歌姫がメロウな歌で観客を出迎えてくれる。

そう、ここはすでに1939年上海のジャズクラブ「ル・パシフィーク」。魅惑的なスタンダードジャズに酔いながら、いつしか「ル・パシフィーク」にやって来た客の一人として、物語の世界の住人になっている。そして、『魔都夜曲』の幕は開く。

音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)

音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)

1939年、フランスやイギリス、アメリカ、日本などの列強の租界地として異国情緒に溢れ、人々の欲望を飲み込む”魔都”とも称される魅惑の都市、上海。ある晩、その街角を暴漢に追われ疾走する男女がいた。暴漢と格闘となったその時、突然一人の男が助っ人に入った。まもなく警察は到着したが、何故か被害者の男女と助けた男が捕らえられ、3人は留置所で一晩過ごす羽目になった。

助っ人の男の名前は、白河清隆(藤木直人)。政府要人を父に持ち、諸国遊学を経て上海に赴任して来たばかりの青年。ボクシングの心得がある為か、暴漢にも負けず腕っ節が強かった。追われていた2人連れの、女は周紅花(チョウ・ホンファ マイコ)、男はその兄・周志強(チョウ・チーチャン 小西遼生)。3人は奇縁で友情を育んでいく。

紅花は、中国人の父、日本人の母を持ち、美しく意志的な女性。兄の志強は異母兄で生粋の中国人、父を継ぎ貿易関係の仕事に携わっている。清隆と言えば、アメリカ仕込みの遊興が過ぎ、今回はケガまでして帰って来たので、お目付役の外交官の籾田(山西惇)や、租界で開業する医師の西田(村井國夫)、アパート管理人の芽衣(ヤーイー 春風ひとみ)をやきもきさせている。

ある日、3人は、フランス租界にあるジャズクラブ「ル・パシフィーク」に繰り出した。ル・パシフィークには様々な人々が集っている。思惑や欲望が渦巻く上海で、自由を感じさせる異空間。元外国航路のマドロスで世界を巡り上海に辿り着いた新田日出夫(橋本さとし)が、支配人を務めている。

音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)

音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)

ジャズクラブには、歌姫の字春(ユーチュン)ピアノマン鹿取良治(松下洸平)を始めとするジャズバンドのメンバー、陽気なボーイ・サミー(コング桑田)、給仕達、そして様々な客。その異空間で、清隆、紅花、志強は、清朝の王女であり男装の麗人として名を馳せた川島芳子(壮一帆)、満州映画協会の理事長を務める甘粕正彦(山西惇・二役)、中国人女優としてデビューしたばかりの李香蘭(浜崎香帆・高嶋菜七のWキャスト)と出会う。

時は日中戦争中。謀略を計る者、戦争に突き進もうとする者、和平の道を探る者、皆がそれぞれの思惑の中で、敵対する祖国を持つ清隆と紅花は、互いの宿命と許されない立場を知りながら惹かれ合ってゆく。そして、いつしか清隆は自分の生きる道を見いだしてゆく……。

藤木直人の清隆は、公家出身で政府要人の息子という人物像に説得力を持たせる上品さがあり、且つチャーミングで大胆。今迄の藤木のイメージとも一味違う奔放な御曹司を生き生きと演じている。マイコの紅花は可憐さと芯の強さを内在させ、魅力的で多面的な女性を創り上げている。すらりとした二人の並び立つ姿が本当に美しい。

キャストが劇中まとう様々な衣裳も見逃せない。チャイナドレスやスーツなど、その時代のお洒落を堪能できる。そして舞台美術、生バンドによる当時の名曲の数々。一言で”ゴージャス”という言葉がぴったりだ。オープニングで演奏されるメインテーマのオリジナル曲「オピウム・ラヴァーズ」は、音楽監督の本間昭光が作曲、脚本のマキノノゾミが作詞を担当。キャストによる大合唱が圧巻だ。

脚本・マキノノゾミ

脚本・マキノノゾミ

音楽・本間昭光

音楽・本間昭光

「IN THE MOOD」や「BLUE MOON」といったスタンダードジャズナンバーや、当時の歌謡曲や唱歌など、物語の要所要所に効果的に名曲が奏でられ、歌唱力抜群のキャスト達による名曲の歌唱に浸りあっという間に時が過ぎる。

史実をモチーフに描かれた本作。贅沢な空間に身を浸しながら、激動の時代を命懸けで駆け抜けた人々の、息吹とエネルギーを存分に感じられる、意欲的な新作となった。

初日に向けて、主演の藤木直人、ヒロインのマイコ、演出の河原雅彦が次のようにコメントを寄せた。

白河清隆役・藤木直人
自分とってシアターコクーンは蜷川さんに初めてご挨拶した場所だし、今までで一番多く観に来た劇場のステージに初めて立つことが出来て感慨深いです。マキノさん、河原さんによって描かれた魅力的な物語、衣裳やセットも華やかで生のジャズバンドの演奏などエンターテイメントの要素がたくさん詰まった楽しい作品になっていると思います。観てよかった!と思ってもらえるよう頑張ります。

周紅花(チョウ・ホンファ)役・マイコ
脚本を読んだ時に、私自身も劇場で観たいと思った作品です。
稽古中は、登場人物達の生命力と歌、そして生バンドの音色にしっかり力づけられていました。
1930年代の上海の大きなうねりの中で起こるドラマティックな物語を、溢れんばかりの熱量とジャズの調べに乗せてお客様にお届けしたいと思います。
「魔都」上海の世界に迷い込んで頂けたら嬉しいです。

音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)

音楽劇『魔都夜曲』ゲネプロより(撮影:桜井隆幸)

演出・河原雅彦
音楽劇の魅力がうんと詰まったいい感じのエンタメに仕上がったと思います。ストーリーの骨格もしっかりしてるし、ジャズメンの方々の演奏も華やかだし、俳優陣もそれぞれに魅力的だし、一粒で何度でも美味しい舞台となっておりますので、皆々様、どうぞ劇場まで足をお運びくださいませ。

演出・河原雅彦

演出・河原雅彦

公演は7/7に渋谷・ Bunkamuraシアターコクーンで初日を迎え、愛知、大阪を巡演する。詳細は、魔都夜曲オフィシャルサイトで確認してほしい。

公演情報
cube 20th presents 音楽劇『魔都夜曲』

■作:マキノノゾミ
■演出:河原雅彦
■音楽:本間昭光
■出演:
藤木直人 マイコ 小西遼生 壮 一帆 松下洸平 秋 夢乃 高嶋菜七 浜崎香帆
中谷優心 キッド咲麗花 村上貴亮 吉岡麻由子 前田 悟 板倉チヒロ
田鍋謙一郎 奥田達士 コング桑田 春風ひとみ 山西 惇 村井國夫 橋本さとし

 
<東京公演>
Bunkamura シアターコクーン 2017年7月7日(金)~7月29日(土)
お問い合わせ:キューブ03-5485-2252(平日12:00~18:00)

 
<愛知公演>
刈谷市総合文化センター アイリス 8月5日(土)~8月6日(日)
お問い合わせ:キョードー東海 052-972-7466(10:00~19:00、日・祝休み)

 
<大阪公演>
サンケイホールブリーゼ 8月9日(水)~8月13日(日)
お問い合わせ:ブリーゼチケットセンター 06-6341-8888(11:00~18:00)

 
■魔都夜曲オフィシャルサイト:https://cube-s.wixsite.com/matoyakyoku
■企画・製作 株式会社キューブ 

 
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