劇団壱劇屋が『五彩の神楽』で、「台詞なきアクション」に5ヶ月連続で挑む!

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2017.8.17
劇団壱劇屋 五ヶ月連続ノンバーバル殺陣芝居『五彩の神楽』宣伝ビジュアル [題字・墨絵]御歌頭(墨絵師) [宣伝美術]河野佐知子 [宣伝写真]河西沙織(劇団壱劇屋) 

劇団壱劇屋 五ヶ月連続ノンバーバル殺陣芝居『五彩の神楽』宣伝ビジュアル [題字・墨絵]御歌頭(墨絵師) [宣伝美術]河野佐知子 [宣伝写真]河西沙織(劇団壱劇屋) 


「泥臭く戦う姿に、キレイな殺陣とは違うカッコよさを見つけてもらえたら」(竹村)

注目度急上昇の大阪の劇団「劇団壱劇屋」。様々な路線の演劇に挑む彼らだが、その中でも人気が高いのが、60分一本勝負のノンバーバル・アクション芝居だ。様々な趣向を凝らした殺陣をノンストップで繰り出しつつ、台詞を一切使うことなく登場人物たちの切ない心情を伝える舞台は、他のアクションを売りにする舞台とは明らかに違う見応えがある。次回作では何と、8~12月にかけて毎月1本の新作を発表するという、かなりハードなスタイルの公演に挑むことに。このシリーズで作・演出・殺陣・出演の四役を担当している劇団員・竹村晋太朗の声を交えつつ、その内容を紹介する。

ノンバーバルシリーズの作・演出・殺陣を担当する竹村晋太朗。彼の鋭くも情感にあふれたアクションも見どころだ。 [撮影]吉永美和子

ノンバーバルシリーズの作・演出・殺陣を担当する竹村晋太朗。彼の鋭くも情感にあふれたアクションも見どころだ。 [撮影]吉永美和子

劇団☆新感線の『髑髏城の七人~アカドクロ』に衝撃を受け、アクションに興味を持ったという竹村。東京のスタント事務所に一年間修行に行き、優秀な成績だったにも関わらず壱劇屋に戻ってきたというのは、以前SPICEで掲載した主宰・大熊隆太郎のインタビューでも語られた通りだ。「アクションを上手く速くできる方法を知りたかったのでスクールに行ったんですが、スタントではなく舞台で殺陣をするのが一番やりたいことだったんです。しかもアクション以外で好きなのが唯一壱劇屋だったので、卒業後は迷わず大阪に戻りました

ノンバーバル芝居に初めて挑んだのは、2015年の壱劇屋番外公演『猩獣-shoju-』。もともとは普通の台詞芝居にするつもりだったが「ビックリするほど思った通りに(脚本が)書けなかった(笑)」ことで、怪我の功名的にこのスタイルが生まれたという。

頭の中では世界ができているのに、それが体現できないのは何が邪魔になってるのかなあ? と思って、試しに一人でしゃべらずにやってみたら、こっちの方が自分の考えてることがストレートに伝わると。もともと僕は昔から、芝居をする時に“この目線で、この速度で動けば、台詞を言わなくても伝わる”とかを考えるクセがあったし、壱劇屋自体が(言葉を使わない)パントマイムをやってたのも大きかったと思います。『猩獣』の時は“これお客さんに伝わるかなあ?”という不安がありましたけど、お芝居を基本にしたアクションということもあってか、割と伝わりました。たとえば派手に戦ってる時でも、動いてる途中で不意に止まれば“この人は今何かを考えてるな”ということが、台詞がなくてもわかるんですよ。それに実際に真剣に戦ってる時って言葉は出てこないと思うし、そこで生まれる感情が目線なり何なりで見えてくると、むしろ言葉にされるよりもグッとくる。台詞がないからこそ表現できることって、これからも山のように出てくる気がします

次回作『五彩の神楽(ごさいのかぐら)』は、様々な理由で戦う人々の5つの物語を、5つの月に分けて上演。それぞれは一話完結のストーリーだが、竹村自身が各世界をつなぐ役割を果たすという。

やりたいことを今年のうちに全部出し切ってしまおう! と思ったら、こういう形になりました。キーワードとしては、8月は【姉妹】、9月は【正義感】、10月は【恋】、11月は【自分自身】、12月は…これは一言では言えなくて、悪い人は裁かれず、頑張ってる人が報われない世の中が嫌だなあという話です。9月はちょっとコメディに寄せようと思ってますが、全体的にはシリアスですね。世の中の嫌なものを出した上で、せめて舞台の中ぐらいは頑張ってる人が報われてほしいと思ってます。あとバトントワリングやブレイクダンス、タップダンスの人を呼んでるので、その身体能力を活かした殺陣を作ってみたいです

劇団壱劇屋 番外公演『猩獣-shoju-』 [撮影]河西沙織(劇団壱劇屋)

劇団壱劇屋 番外公演『猩獣-shoju-』 [撮影]河西沙織(劇団壱劇屋)

竹村が殺陣を作る上で大切にしているのは「リアリティ」と「泥臭さ」だという。

僕が極力目指しているのは、お客さんがノンストレスで観られる殺陣。速いけど何をやってるのかわからない殺陣ではなくて、たとえば上から殴られた人はちゃんと下を向くとか、動きのリアリティはキッチリ付けることを心がけてます。その上で、その人が戦う理由やためらい、あるいは人を殺そうとする時の重たさや嫌な感じが見える方がいいなあと。今は軽やかで華やかで(役者の)見栄えがする殺陣がカッコいいと思われてるみたいですけど、僕にとってのカッコ良さは、ドロドロになって鼻水を流しながらも、必死に立ち上がって戦っている姿なんです。僕が泥臭く進むことで、単にキレイな殺陣とは違うカッコよさを見つけてもらえたらと思います

最後に「(言葉が通じない)外国の人にも観てほしいし、個人的には耳の聞こえない人に一番観てほしい。今その層に向けて、どういうアプローチをすればいいか考えてるところです」と意欲を語った竹村。骨を断つ音まで聞こえるようなリアルな殺陣にドキドキすると同時に、その中で伝わってくる人間の喜怒哀楽や愛憎に、ワクワクしたりホロリとさせられたりするはずだ。そして「台詞がない」ということが決して不自由ではなく、むしろひと味違う豊かさを生み出してるということを、ぜひ発見してほしい。

 
公演情報
劇団壱劇屋 五ヶ月連続ノンバーバル殺陣芝居『五彩の神楽』
 
〈憫笑姫-Binshouki-〉
■日程:2017年8月25日(金)~28日(月)

〈賊義賊-Zokugizoku-〉
■日程:2017年9月22日(金)~25日(月)

〈心踏音-Shintouon-〉
■日程:2017年10月27日(金)~30日(月)

〈戰御史-Ikusaonsi-〉
■日程:2017年11月24日(金)~27日(月)

〈荒人神-Arabitokami-〉
■日程:2017年12月22日(金)~25日(月)

 
(以下、全公演共通)
■開演時間:金曜・土曜=15:00~/20:00~、日曜・月曜=13:00~/17:00~
■会場:HEP HALL
■料金:前売=一般3,800円、学生2,000円、高校生以下1,000円 当日=各500円増
※近畿二府四県以外から来場する方向けの「遠征割」あり。前売=一般1,900円、学生1,000円、高校生以下500円 当日=各500円増
※五ヶ月セット券は完売しました。

 
■作・演出・殺陣・出演:竹村晋太朗
■出演:井立天、大熊隆太郎、岡村圭輔、柏木明日香、河原岳史、小林嵩平、西分綾香、藤島望、丸山真輝、湯浅春枝(以上、劇団壱劇屋)/上田絢生(テアトルアカデミー)、植松友貴、清水慎太郎(覇王樹座)、丹羽愛美、長谷川桂太、日置翼 ※月によって変動あり。
■月替りゲスト:
(8月)末満健一、久代梨奈(NMB48)、川端優紀、真壁愛 
(9月)中村るみ、KATSU (一撃/1.G.K/Alphact)、永沼伊久也、新谷佳士(劇団そとばこまち)
(10月)吉田青弘、坂口修一、今中美里
(11月)赤星マサノリ(sunday)、伊藤駿九郎(KING&HEAVY)、サリngROCK(突劇金魚)、満腹満(THE ROB CARLTON)
(12月) 田中亨(劇団Patch)、畠山薫(Cheeky☆Queens)、ほか
■公演特設サイト:https://ichigekiyaoffice.wixsite.com/gosainokagura
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