リランキング制度導入でさらに面白く! 賞金も最高額になった日本女子プロゴルフツアー

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2017.12.19
来季の日程を発表するLPGA小林浩美会長(左)と原田香里副会長 (C)2015 The Ladies Professional Golfers’ Association of Japan All Rights Reserved

来季の日程を発表するLPGA小林浩美会長(左)と原田香里副会長 (C)2015 The Ladies Professional Golfers’ Association of Japan All Rights Reserved

賞金女王争いが最終戦までもつれ、手に汗握るデッドヒートを鈴木愛が制して終了した2017年の女子プロゴルフツアー。次から次へと実力を備えたタレントが出てきて、今年も熾烈な争いを演じた。

トーナメントではさまざまな対決を見ることができ、例えば“日本人 vs 外国人選手”、“若手 vs ベテラン選手”のほか、“ビジュアル対決”、“飛ばし屋対決”といった戦いも。“涙の復活劇”や“期待の選手の初戴冠”など、注目する要素は多い。

“日本人 vs 外国人選手”に着目すれば、2010年からの7年は2013年の森田理香子以外は外国勢が賞金女王となっている。この状況に危機感を隠さない日本人女子プロも出てきており、今年の鈴木愛の戴冠で日本人プロの面目躍如となったことだろう。しかし、今年の最終賞金ランキングのトップ10に目を移せば、2位のイ・ミニョン(韓国)から10位のアン・ソンジュ(韓国)まで、7人が外国勢となっている。日本人は鈴木を除くと、今季復活優勝を遂げた上田桃子と、初優勝を挙げて7位に食い込んだ川岸史果の3人だけ。やはり外国勢の強さが目立ったシーズンだった。

ゴルフの醍醐味は、何と言ってもドライバーの飛距離。一昔前は女子プロでも250ヤード飛べば飛ばし屋と言われていたが、道具、技術の進歩でその距離は一気に上がった。今季No.1の飛ばし屋になったのは葭葉ルミで、その平均飛距離はなんと260.76ヤード。条件がそろえば一発の飛距離は280ヤードをゆうに超えてくるレベルで、2位の川岸(257.45ヤード)とのペアリングは、ファンもワクワクしながら見ていたことだろう。

昨年、アマチュア初の日本女子オープンを制した畑岡奈紗は、すぐにプロ宣言してアメリカツアーに参戦。慣れない環境で苦しみはしたが、テクニック、パワー、メンタルすべてで大飛躍。秋に帰国してからミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント、日本女子オープンゴルフ選手権競技と連勝。弱冠18歳とは思えないプレーで、すでに風格さえ備えているかのようだった。

ともかく、現在の女子ゴルフ界のレベルは、トップアマチュアを含めてかなり高くなってきており、この相乗効果がツアーの活性化につながっていることは間違いない。その証左が賞金総額に表れており、来期の試合数は今年と同じながら、賞金額が増えて過去最高額を更新する。

こうなると各選手は環境に甘えてしまうところだが、女子プロ協会もキッチリとその手綱を締めることも忘れない。よりシビアな戦いとなるように、来年からリランキング制度を導入する。今年まではトーナメントに出場する資格を獲得するための予選会、QT(クオリファイングトーナメント)を通れば、ほぼ1年を通して出場できた。しかし、来季は6月と9月の2回、リランキングを行い、上位40人に入らないと試合に出られない。トーナメントをその時に調子のいい選手で競い合わせるのが狙いで、高いレベルの実力を発揮し続けなければ、“試合という仕事場”に立てないという厳しい制度でもある。

この日本ツアーをより高みに上げているのが、韓国を中心とした実力のある外国選手たちのプレーだ。昨年、一昨年の賞金女王となったイ・ボミや、今年の賞金女王レースをリードしたキム・ハヌル、圧倒的な飛距離とアイアンショットの切れが持ち味のテレサ・ルーなど……。その実力者を挙げればキリがないほど、この外国人プレーヤーの層は厚い。さらに、西山ゆかり、吉田弓美子ら、若手に負けるものかとギアを入れ直した30代以降のベテランも、しっかりと結果を残している。

今年の新人女子プロ20人も加わり、その中から第2の畑岡奈紗が出てくるとも限らない。2014年にKTT杯バンテリンレディスオープンを史上最年少のアマチュア優勝を遂げた勝みなみも、黄金世代の19歳。8月の山陰合同銀行 Duoカードレディース(ステップアップツアー)でプロ初優勝を遂げ、LPGAツアーの優勝が待たれている一人である。

さまざまな年代、国籍の選手によって、さらにレベルアップする女子プロツアー。次のシンデレラは誰なのか、来期のLPGAツアー、ステップアップツアーの開催が早くも楽しみになってきた。

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