山崎まさよし、『影踏み』で14年ぶりに長編映画主演へ 『月とキャベツ』篠原哲雄監督と22年ぶりタッグ&主題歌も担当
横山秀夫氏の小説『影踏み』が映画化されることが決定。主演を山崎まさよしがつとめることがわかった。
『影踏み』は『クライマーズハイ』、『64』などで知られる横山氏の同名小説を、篠原哲雄監督が映画化するプロジェクト。原作では、通称「ノビ師」と呼ばれる主人公の泥棒が、降りかかる難事件に立ち向かい、幼馴染のヒロインとの恋と泥棒家業の狭間に揺れ動くと姿が描かれる。
影踏み書影 (C)「祥伝社」
山崎は、本作で『8月のクリスマス』以来14年ぶりの長編映画主演を果たし、メガホンをとる篠原哲雄監督とは『月とキャベツ』以来22年ぶりに長編映画でタッグを組むことに。また、山崎は主題歌も担当する。
『影踏み』映画化は、群馬県・中之条町で18年続く伊参スタジオ映画祭に、山崎、篠原監督、横山氏ゲストとして参加したことが縁で始まったという。『月とキャベツ』を繰り返し観るほどのファンで、自身の作品が山崎主演で映像化されたらという願望を抱いていた横山氏と、長年横山作品のファンで作品を読み漁ってきた山崎、『月とキャベツ』公開20周年をきっかけに山崎との再タッグを望みつつ、いつか横山作品を映像化したいと考えていた篠原監督、それぞれの想いが重なり実現したとのこと。
同作は、2018年5月から群馬県をオールロケでクランクインを予定しており、来春以降に公開を予定している。そのほかのキャストなど、詳細は後日発表される。
山崎、篠原監督、原作者・横山氏のコメントは以下のとおり。
横山秀夫(原作)
横山秀夫氏
――泥棒を主人公とする『影踏み』について
警察などの組織も泥棒も同じフィールドにある感覚なんです。組織と個人の関係を突き詰めて考えていくと、最終的にはどんな立場の人間であれ世の中のしがらみと無縁ではいられない。すべての人間はそこから逃れられない。地面スレスレから見た社会を描きたいと思いました。
――映画への期待
山崎さんと篠原監督が素晴らしい世界観を作ってくれるでしょうから、原作にとらわれずに作っていただきたい。僕はその『影踏み』を楽しみたいと思っています。
ミュージシャンとして人の心を盗むのがうまい山崎さんは、実は“泥棒”という役がぴったり合うんじゃないかと思っています。でも、山崎さんを泥棒にしてしまって申し訳なく思っています(笑)。
山崎まさよし(主人公・真壁修一役)
山崎まさよし
――久しぶりの長編映画主演について
今回は、過去の経験も踏まえて最初から主演でとお話をいただきました。ずっと役者とは全く違う動きの中で活動してきたので、今はプレッシャーを感じています。
――真壁という役について
今回はミュージシャンである自分とはかけ離れていますが、歌を書く時の目線は底辺から色んな景色を見たいと思って歌を作っています。その意味では真壁と同じ目線になれるような気がします。そういう共通項を自分の中に見つけていければと思っています。
真壁もしくじりから始まっているし、心の闇も抱えているから、真摯に役に向き合っていきたいです。
――横山秀夫作品の魅力
どの作品でも、普段クローズアップされないポジションにスポットを当てているところ、普段は人々が知るよしもない人間臭い部分を描いているところが好きなんです。
――今後手掛ける主題歌について
悲しさやどうにもならない気持ち、救い、最後には報われるのか、形はわからないけどそんな主題歌が書けたら。登場人物が抱えるジレンマや葛藤はこの物語に出てくる人誰もが持っているものです。その部分が成就していく醍醐味を描きたいと思います。
篠原哲雄監督
篠崎哲雄監督
――撮影に向けての意気込み
僕のイメージとしては、色んな設定を通じて浮かび上がってくる人間の造形を描きたいと思っています。“中耳”にいる人間は真壁にとっては分身で切っても切れない存在です。その男の成長と愛と決別の物語だと思っています。確かな結論がいつもあるわけではないので、山崎くんに演じてもらう中で見えてくるものがあると期待しています。
――山崎まさよしの魅力
男のダメなところを自然に演じられる、人間の弱さを悪びれずに自然体に演じられるのが魅力です。色んな役で人間の表面化しない裏側も悲哀を伴って出てくる感じが僕は好きなんです。愛すべきアウトローですかね。
一緒に仕事をするたびにいつも新しい山崎くんを発見できています。権力に対しての反抗心は誰にもどこかあるし、泥棒という仕事が成功するかどうかというスリル、緊張感、快楽はステージに立つ時のものと似ている気がするんです。今回も彼の魅力をどう引き出せるかが楽しみです。
――『月とキャベツ』に続いての群馬での撮影。今回はどういう風景を撮る?
今回は群馬のあらゆるところ、住宅街や田んぼや空き地といったとりとめのない空間での撮影になります。そのとりとめのない風景を乾いた面白さとして捉えたいと思っています。
映画『影踏み』
原作:「影踏み」(祥伝社刊)
監督:篠原哲雄
主演:山崎まさよし
主題歌:山崎まさよし
プロデューサー:松岡周作
制作:ドラゴンフライ
【ストーリー】
真壁修一は深夜に忍び込んで泥棒を働く「ノビ師」。彼には15年前母親が起こした無理心中で死んでしまった双子の弟・啓二がずっと棲み付いている。双子で一人の女(ヒロイン・久子)を愛してしまったゆえに歪んだ関係を保ち続ける二人。そんな修一に幼馴染の刑事の変死、久子に迫るストーカーと事件がふりかかる。ある時は憎み、ある時は愛した兄弟への思いを軸に久子との恋、また謎の女・葉子の存在が絡み事件は思わぬ方向に進んでいく。
(C)「祥伝社」