『OzzFest』で70年代の “あの音” を聴け! ~文芸ロックの“始祖”人間椅子に“後裔”から贈る言葉~
人間椅子
『OzzFest』が再び日本にやってくる。
2013年以来2年振り、2度目である日本での『OzzFest』。オジー・オズボーンの主催するゆえにへヴィ・メタル系フェスの印象が強いが、ここではあえて70年代ロック・ファンにもお勧めしたい。
あの 人間椅子 が再び出演するのだ。70年代の “あの音” が幕張に轟く。
彼らのステージを想像するだけで既に心躍ってしまっている筆者=高木大地は、人間椅子からも多大なる影響を受けた、70年代ロックテイストのあふれるロックを奏でるバンド 金属恵比須 のギタリストである。そもそも「人間椅子になりたい」という夢からこのバンドを結成した経緯がある。
その後、ギタリスト和嶋慎治氏の出身学部が仏教学部と聞いて筆者も大学では仏教哲学の学部に入学したり、最近では「人間椅子になりたい」度に拍車がかかり、ドラマーに後藤マスヒロさんご本人(1993~95、96~2003年在籍)を加入させてしまうほど「人間椅子になりたい」者である。
さて、そんな筆者が一般のロックのステージに求めるのは、やはり70年代の “あの音” だ。
よって、憧れの大御所バンドの来日ニュースはチェックする。しかし記事にあるアーティスト写真を見てちょっと心配になる。大概、往年の勇姿からは想像もできないほどの“妖怪変化(へんげ)”をしているからだ。大別して3パターンある。
① アンパンマン型 (例:グレッグ・レイク)
② ミイラ型 (例:スティーヴ・ハウ)
③ オバチャン型 (例:ジミー・ペイジ)
なお、①と③の掛け合わせパターン アンパンマンオバチャン複合型 というのもある(例:故クリス・スクワイア)。ここまでくると「マン」なのか「オバチャン」なのか、もはや男だか女だかまるで判らない。
で、そんなことを考えながらもライヴに赴く。やはり70年代の “あの音” は出てこない。でも、それはそれでいい。憧れの大御所をこの目で拝むことができたからだ。ステージへの要求を聴覚から視覚へと脳の中でうまく切り替え、結果的には大きな満足が得ることができる。
筆者はこれを普通のロックや産業ロックなどと分けるため、「参拝ロック」と呼んでいる。
たしかに「参拝ロック」は楽しい。伊勢神宮とか出雲大社に行くのと同じ気分が味わえる。しかし、脳のどこかではやはり “あの音” を求めていたのである。
筆者が人間椅子にこれだけハマり込めたのは、それが理由である。人間椅子の音には明らかに70年代の “あの音” が宿っている。必死に爆音をガナり出す汗臭い腕がスピーカーから飛び出してきそうな赤裸々で高密度の “あの音” 。言葉での説明は難しいが、要は「ロックってコレだよね」と一発で説得できる “あの音” 。
――人間椅子はそんな “あの音” を出す。
筆者は2013年の『OzzFest』での人間椅子を体験しているが、幕張メッセの会場全体に “あの音” が確かに充満していた。SGとマーシャル・アンプだけで作られたヴィヴィッドなギター。低音部から高音部まで縦横無尽に暴れるベース。ひたすらパワフルなドラム。終日通して様々なバンドを見たけれども、人間椅子の “あの音” の高密度具合は出色だった。やはり「ロックってコレだよね」と感じた。
2013年以来2年振り、2度目である日本での『OzzFest』。オジー・オズボーンの主催するゆえにへヴィ・メタル系フェスの印象が強いが、ここではあえて70年代ロック・ファンにもお勧めしたい。
あの 人間椅子 が再び出演するのだ。70年代の “あの音” が幕張に轟く。
彼らのステージを想像するだけで既に心躍ってしまっている筆者=高木大地は、人間椅子からも多大なる影響を受けた、70年代ロックテイストのあふれるロックを奏でるバンド 金属恵比須 のギタリストである。そもそも「人間椅子になりたい」という夢からこのバンドを結成した経緯がある。
その後、ギタリスト和嶋慎治氏の出身学部が仏教学部と聞いて筆者も大学では仏教哲学の学部に入学したり、最近では「人間椅子になりたい」度に拍車がかかり、ドラマーに後藤マスヒロさんご本人(1993~95、96~2003年在籍)を加入させてしまうほど「人間椅子になりたい」者である。
さて、そんな筆者が一般のロックのステージに求めるのは、やはり70年代の “あの音” だ。
よって、憧れの大御所バンドの来日ニュースはチェックする。しかし記事にあるアーティスト写真を見てちょっと心配になる。大概、往年の勇姿からは想像もできないほどの“妖怪変化(へんげ)”をしているからだ。大別して3パターンある。
① アンパンマン型 (例:グレッグ・レイク)
② ミイラ型 (例:スティーヴ・ハウ)
③ オバチャン型 (例:ジミー・ペイジ)
なお、①と③の掛け合わせパターン アンパンマンオバチャン複合型 というのもある(例:故クリス・スクワイア)。ここまでくると「マン」なのか「オバチャン」なのか、もはや男だか女だかまるで判らない。
で、そんなことを考えながらもライヴに赴く。やはり70年代の “あの音” は出てこない。でも、それはそれでいい。憧れの大御所をこの目で拝むことができたからだ。ステージへの要求を聴覚から視覚へと脳の中でうまく切り替え、結果的には大きな満足が得ることができる。
筆者はこれを普通のロックや産業ロックなどと分けるため、「参拝ロック」と呼んでいる。
たしかに「参拝ロック」は楽しい。伊勢神宮とか出雲大社に行くのと同じ気分が味わえる。しかし、脳のどこかではやはり “あの音” を求めていたのである。
筆者が人間椅子にこれだけハマり込めたのは、それが理由である。人間椅子の音には明らかに70年代の “あの音” が宿っている。必死に爆音をガナり出す汗臭い腕がスピーカーから飛び出してきそうな赤裸々で高密度の “あの音” 。言葉での説明は難しいが、要は「ロックってコレだよね」と一発で説得できる “あの音” 。
――人間椅子はそんな “あの音” を出す。
筆者は2013年の『OzzFest』での人間椅子を体験しているが、幕張メッセの会場全体に “あの音” が確かに充満していた。SGとマーシャル・アンプだけで作られたヴィヴィッドなギター。低音部から高音部まで縦横無尽に暴れるベース。ひたすらパワフルなドラム。終日通して様々なバンドを見たけれども、人間椅子の “あの音” の高密度具合は出色だった。やはり「ロックってコレだよね」と感じた。
人間椅子
今回の『OzzFest』出演にあたり、本サイトSPICEにおいてインタビューが行なわれている。ギタリスト和嶋慎治氏は70年代ロックに関してこう語っている。
「当時(70年代前半)のブリティッシュ・ロックって、ホントにしのぎを削ってたっていうふうに聞こえるのよ。どのバンドも真似しようとしていないんですよね、お互いに。(中略)あの頃のロックのグループは(中略)何よりも自分たちのオリジナリティのあるサウンドを出そうというエネルギーがすごくあるのよ」
人間椅子の敬愛するブラック・サバスを引き合いに出し、「しのぎを削」った「オリジナリティのあるサウンド」と表現しているが、筆者から見ればこの言葉はそっくりそのまま人間椅子にも当てはまる。
本家ブラック・サバスのイギリスで生まれた世界観をそのまま体現するのではなく、日本に置き換えて“意訳”をし、日本人独自の世界観に作り変えている。例えば、「キリスト教」は「仏教」に、「ゴシックホラー」は「怪談」に、「悪魔」は「妖怪」にというように。これが人間椅子の唯一無比の「オリジナリティー」である。ズバリ、彼らこそが「真似しようとしていない」姿勢を貫いている。
「(人間椅子の音楽性は)とにかく70年代の “しのぎ感” みたいなものを大事にしたいかなぁって」
和嶋氏はこう続けた。70年代ロックの精神を大事に継承しているのがよくわかる。だからこそ、人間椅子には “あの音” を体現できるのだ。
これらの発言を見るかぎり、今回の幕張メッセでも再び、「ロックってコレだよね」という高密度の音が紡ぎ出されることは必至である。
別に、「フェス」だからといって踊り狂ったり首を振ったりする必要はさらさらない。なにも怖がることはない。泰然自若と床に坐し、目を閉じて耳を澄ませながら楽しむことだってできる。むしろ「参拝ロック」に疲れた方々には聴覚の満足のためにそうすることをお勧めする。
視覚で楽しませてくれたアンパンマンにもミイラにもオバチャンにもアンパンマンオバチャンにも出せなくなってしまった “あの音” が欲しいのであれば、『OzzFest』は絶好のチャンスである。
リリース情報
ニンジャスレイヤーフロムコンピレイシヨン「殺」
人間椅子の新曲「泥の雨」(第20話エンディング楽曲)収録!!
2015年11月25日(水)発売
KICS-3254 / ¥2,315 + tax
人間椅子の新曲「泥の雨」(第20話エンディング楽曲)収録!!
2015年11月25日(水)発売
KICS-3254 / ¥2,315 + tax