やっぱりシェイクスピアは基本!こんな機会だからこそ見ておきたい!オススメの海外ストレートプレイ編/ホーム・シアトリカル・ホーム~自宅カンゲキ 1-2-3[Vol.8]<演劇編>
やっぱりシェイクスピアは基本!こんな機会だからこそ見ておきたい!
オススメの海外ストレートプレイ編
ホーム・シアトリカル・ホーム ~自宅カンゲキ 1-2-3[Vol.8]<演劇編>
by こむらさき
【2】『リチャード二世』(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)
【3】『ヘンリー六世』(The Show Must Go Online)
世界のどこかで毎日のように上演されているのがシェイクスピアの芝居。原典に忠実に描かれる場合ももちろんあるが、ときにはその国、その時代の脚本家や演出家によって大幅に翻案されていることもありますよね?
例えば日本ではミュージカル『ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-』(東宝)のように一部奇抜な演出はあれど、基本的には原典を活かした作品がある一方、『メタルマクベス』(劇団☆新感線)は、シェイクスピアの代表作『マクベス』をクドカンこと宮藤官九郎が思う存分手を加え、骨子はそのままに近未来と少し前の現代に置き換えた超現代版として蘇らせています。さらに『天保十二年のシェイクスピア』(日生劇場・梅田芸術劇場)に至っては、『天保水滸伝』をはじめとする侠客談義とシェイクスピア全37作品(!)をもとに描かれている贅沢仕様となっています。
さて、何故こんなにも多くの演出家、脚本家がシェイクスピア作品をやりたがるのでしょう?あくまで個人的な見解ですが、シェイクスピア作品は演劇人にとっての「共通言語」だから。「教科書」と言ってもいいかもしれません。教科書に沿ってマジメに学びたい、解釈したい人がいる一方で、教科書の余白や挿絵、掲載されている歴史上の人物の肖像画にイタズラ書きしたくなる衝動、ありませんでしたか?(ちなみに私はページの隅っこにパラパラ漫画を描き、肖像画という肖像画には髭や三つ編み、縦ロール巻ヘアを描いていました…)。原典がしっかりしているからこそ、自分ならここをこう描きたい、そんな欲望に身を委ねた人もいたのではないかと!?
また、シェイクスピアの作品は基本的に男女間の恋愛や(かなり血生臭い傾向はあるが)家族・親族内の争いという今の時代に置き換えても非常に理解しやすい出来事を多く描いており、これも作る側、そして観る側も理解しやすい要因ではないか、まさにこれも「共通言語」かと。そんな「共通言語」が積み重なった結果、「この場面はマクベスのあの場面を元にしているな……」などとマニアックにほくそ笑む事もあれば、もっとおおざっぱに「今の台詞、どこかで聴いた事がある!何だっけ?」という経験をする事もあるかもしれません。そう考えるとシェイクスピア作品は現代のすべての演劇作品を繋ぐ基礎でありハブなのかもしれませんね。
さて、そんなシェイクスピア作品ですが現在様々な劇場が公式サイトなどで自慢の作品を配信しています。なかでもこの3作は珠玉かと思います。もちろん全編英語。字幕も何もありません。ネットショップで日本版の翻訳台本を取り寄せて観るもよし、せっかくの機会だから英語力を鍛えてみてもよし。何も考えず、BGMのように流しっぱにしてもいいかもしれません。ぜひご自身の生活に合った方法でお楽しみください。
そんな訳で、今回のテーマは「やっぱりシェイクスピアは基本!こんな機会だからこそ見ておきたい!オススメの海外ストレートプレイ編」です。
■『ロミオとジュリエット』
シェイクスピア・グローブ座 公式サイトより
シェイクスピア・グローブ座のYouYubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCwN-jwNNNQN-8sfKG-qg8uA)で4月20日(月)午後7:00(日本時間:4月21日(火)午前3:00)から5月3日(日)まで無料配信されている。
代々対立する犬猿の仲、モンタギュー家とキャピュレット家。そんな家に生まれたロミオとジュリエットはひょんな事で出会い恋に落ちた事で始まった悲劇を描く。バルコニーで二人が愛の言葉を交わす場面は代表的なラブシーンの一つ。『ロミジュリ』は1957年に初演を迎えた『ウエストサイド物語』のベースとなり、また1996年公開の映画『ロミオとジュリエット』ではレオナルド・ディカプリオがロミオ役を、クレア・デインズ(『HOMELAND』)がジュリエット役を演じ、二人がスターダムに乗る第一歩となった作品としても知られている。
■『リチャード二世』
Shakespeare: Richard II [David Tennant] [RSC] [DVD] [2014] [NTSC] by David Tennant
ロイヤル・オペラ・ハウス、ボリショイ・バレエ、テアトロ・レアル等の舞台作品を楽しめるグローバルストリーミングTVサービス Marquee TV(https://www.marquee.tv/)でみられるロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの作品の一つ。デイヴィッド・テナント(海外ドラマ『ドクター・フー』の10代目ドクター役)を主演に迎えて上演されたもの。『リチャード二世』は『ヘンリー四世』(第一部、第二部)、『ヘンリー五世』と続くシェイクスピア史劇のトップバッター。リチャード二世の政治に貴族たちが反抗し、後のヘンリー四世となるボリングブルックが王位を奪う物語。浦井健治が主演した『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』を観劇した事がある方には特にオススメしたい作品。Marquee TVは14日間の無料トライアル期間あり。
■『ヘンリー六世』
『The Show Must Go Online』ホームページより
『The Show Must Go Online』(https://robmyles.co.uk/theshowmustgoonline/)で配信されている作品の中で特に注目したいのがこの『ヘンリー6世』だ。キャストたちが自身の自宅~ロンドン、オクラホマ、ニューヨーク、時には自身が通う大学からオンラインで上演する朗読劇。こんな時期だからこその特別企画。オンライン上であっても作品の力や俳優の演技力がゾクゾク伝わるオススメのコンテンツだ。
この他『The Show Must Go Online』では『ヴェローナの二紳士』なども配信中。また、シェイクスピア・グローブ座の公式YouTubeではこの後『真夏の夜の夢』(英国現地時間:6月5日(月)午後7:00~6月28日(日))が配信される予定(他作品の配信予定等詳細は公式サイト(https://www.shakespearesglobe.com/watch/)にて確認できる)。
……と、そんな事をまとめているうちに、世界各国では様々な俳優、クリエイターたちが仲間たちと共に、独自のコンテンツを続々と送り出しています。関連記事(下部参照)では、現在配信されている様々な演劇コンテンツを紹介しています。
文:こむらさき
作品情報
ジュリエット:エリー・ケンドリック/Ellie Kendrick
ロミオ:アデトミワ・エデュン/Adetomiwa Edun
シェイクスピア・グローブ座サイト:https://www.shakespearesglobe.com/watch
The Show Must Go Online:https://robmyles.co.uk/theshowmustgoonline/