フランスの香気ただよう豪華絢爛な舞台～京都バレエ団『眠れる森の美女』初演では清新なキャストにも注目！

エリック・カミーヨ（構成・演出・振付・指導）

『眠れる森の美女』はバレエ団初演。当初2020年7月に上演予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて2021年1月に延期した。だがフランスでは感染防止政策強化のため外出渡航が禁止され、ゲスト出演予定のパリ・オペラ座のダンサーが残念ながら来日できなくなった。しかし構成・演出・振付・指導を手がけるエリック・カミーヨ（国立パリ・オペラ座バレエ学校教師）が10月、無事に来日しリハーサルが進んでいる。

京都バレエ団公演『眠れる森の美女』リハーサル

カミーヨはパリ・オペラ座バレエ学校を経て1985年にパリ・オペラ座バレエ団に入団。当時芸術監督を務めていたバレエ界のカリスマ、ルドルフ・ヌレエフの薫陶を受け活躍した。引退後はパリ・オペラ座バレエ団、バレエ学校で教師を務め後進の育成に尽くしている。今回カミーヨはパリ・オペラ座バレエ学校教師という現職を休み、フランス・メソードのエスプリ、エレガンスを伝えるべく来日したとのこと。またカミーヨのデザインによる洒落た穏やかな美しい色合いの衣裳を制作するという。「愛溢れる善と迫力ある悪のドラマに加え100年のファッションの流れもお楽しみいただけることと存じます」と有馬えり子は述べている。

京都バレエ団公演『眠れる森の美女』リハーサル

注目は生え抜きの団員が中軸を担うこと。

オーロラ姫の北野優香（京都バレエ専門学校専門課程38期生）は美しい容姿と的確な演技力を持ち味とし、『くるみ割り人形』全幕、『パキータ』2幕よりの主役を踊り好評を博した。またオニール八菜を主演に迎えた『ドン・キホーテ』全幕でキトリの友人を、カール・パケット引退公演『ジゼル』でバチルドを務めている。

デジレ王子の鷲尾佳凛（有馬バレエ エトワール科卒業）は8歳より有馬えり子、髙橋弘典らに師事し、世界の名花ニーナ・アナニアシヴィリに見い出されジョージア国立バレエ団に入団。軽やかなテクニックと凛とした存在感が魅力での気鋭で、アナニアシヴィリと『薔薇の精』を踊るなど活躍したのち2020年に帰国した。

（左から）北野優香　鷲尾佳凛

そして悪の精カラボスを演じるのがプリンシパルの藤川雅子（京都バレエ専門学校専門課程27期生）である。フランスに留学しカルポー賞国際コンクール第1位を受賞。平成18年度文化庁新進芸術家海外留学制度研修員に選ばれハンガリー、ドイツ、オーストリアで研修。京都バレエ団公演ではカール・パケットらと共演し多彩に活躍する重鎮だ。

藤川雅子

演奏は江藤勝己指揮による、びわこの風オーケストラ。ルイ14世時代に想を得たとされるクラシック・バレエの最高峰を、フランスのエスプリと共に贈る舞台が楽しみである。

京都バレエ団公演『眠れる森の美女』リハーサル