時速36km『RUSH BALL 2022』ライブレポートーー夏の大舞台で踏み出した、とても誠実なバンドの第一歩目
時速36km 撮影=田浦ボン
『RUSH BALL 2022』時速36km
「始める前に1個だけ」。そうボーカルの仲川慎之介がライブ前に突如話し出した。今回、断続的なコール&レスポンスがOKというルールが適用されたが、まだ声出しが怖い人もいるので気遣おうと話す。また、熱中症などで倒れる人もいるので、その時は道をあけてくださいとも。
時速36km
「人にやさしくしましょう。それが俺のエゴです」
なんて真っ当なエゴだろう。1曲目「七月七日通り」の<嘘くさいラブソング リアルっぽいプロテストソング どっちもどっち>という歌詞も印象に残った。続く「銀河鉄道の夜明け」の勢い良い感じも夏の野外大舞台にピッタリである。曲中の<イーアルサンスー!>という掛け声も気合いを感じた。3曲目「かげろう」は新曲。こういう大舞台に新曲をおろしてくる意気込み気概は、聴き手にとっても嬉しいものだ。
4曲目「ハロー」の前のMCでは、隣のステージから先輩バンドのユーモア溢れるサウンドチェックが聴こえてくる。「いいっすねー! (自分は)やれないですけど(笑)」という素直な感想も可愛らしかった。そして、「隣の人、周りの人を大事にしてください。これくらいっす、俺の言える事は」とも言っていたが、それが彼の言いたかった全てなのだろう。前日も前乗りして観ていた事も話されたが、やはり本当に誠実なバンドである。コール&レスポンスの光景を目の当たりにして、「凄い一歩目を観た」と明かしていたが、これから彼らのライブでもそんな素敵な光景が観られたら、バンドも観客も幸せだろう。ラストナンバーを「スーパーソニック」でしっかり締めた彼らは、既に来年へと向かっている。
時速36km
取材・文=鈴木淳史 撮影=田浦ボン
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