全国区の人気を誇る「名古屋めし」の秘密がここに
名古屋ではおなじみ、『スガキヤ』のスーちゃんがエントランスでお出迎え
「名古屋めし」の真髄とルーツをひも解けば、魅力も旨味も5割増しに!?
味噌カツや手羽先、ひつまぶし、味噌煮込みうどんにきしめん、小倉トーストetc.…。今や全国的に名を馳せる「名古屋めし」は、当地を訪れずともどこかで食した経験があるのでは? そんな人気の「名古屋めし」を生み出した“素(もと)”に着目した特別展『名古屋めしのもと』が、2月14日まで「名古屋市博物館」にて開催されている。
「名古屋めし」を特徴づける、濃厚な味わいのベースになっているもの。それは、味噌カツや味噌煮込みうどんに使われる<豆みそ>と、きしめんやうなぎのタレなどに使われる<たまりしょうゆ>である。いずれも愛知・岐阜・三重の東海三県で古くから生産されてきた地域色の強い食材であり、当地にとって欠かすことのできない調味料なのだ。
まず【序章】では、「名古屋めしと名古屋の食文化」と題し、昔から名物として愛されてきた食材や調理法など「名古屋めし」の原点を紹介。 続く【第1章】では、“名古屋めしのもと”である<豆みそ>と<たまりしょうゆ>にスポットを当て、江戸時代以前から伝わる手作業の製造工程が描かれた絵巻や、使用されていた道具類、巨大な仕込み桶などを展示。かつては同じ工程で作られていた両者がどのように醸造されたのかを貴重な資料でたどり、日本各地の味噌やしょうゆも比較紹介している。
【序章】と【第1章】の展示室中央には、実際に使用されていた豆みその仕込み桶が。高さ・直径ともに六尺(約2m)あり、このひと桶で17万食分もの味噌汁を作ることができるとか
明治31年から昭和17年まで、豆みそやたまりしょうゆの販売をしていた名古屋市西区の「井桁芳(いげよし)」の店構えを再現したスペース。当時のラベルや価格表、別の商店の看板や量り売りの道具なども展示されている
そして【第2章】では、「名古屋めし」が登場する以前から続く多様な食文化を、<ハレの日の食事の地域色><名古屋の外食文化><なつかしの食生活><名古屋の給食>といった切り口で展観。食品サンプルや調理道具、食品容器にパッケージ、食堂やレストランのメニュー表、昭和期の食文化を今に伝える写真と新聞記事の展示など、「名古屋の食文化事典」のタイトルに即した多角的なアプローチによって、名古屋周辺に根付いてきた食文化全般を知ることができる。
ここでちょっと注目したいのが、来場者アンケートだ。「お雑煮の中身は?」「好きだった給食、苦手だった給食」など、食に関する調査が会期中毎日実施され、その結果が随時発表されていくのでお見逃しなく。<名古屋の給食>コーナーには昭和26年から平成18年までの献立表も掲示されているので、年代や地域によるメニューの違いを比較してみるのも楽しい。こうした「思い出」を通して食を見つめ直すことで、名古屋の食文化の魅力を再発見してほしい、というのが本展の開催意図なのだ。
かつて名古屋のメインストリートに軒を連ねていた屋台やデパートの食堂、といった写真や記事から、往時の食文化が垣間見られる
「名古屋めし」を再現した、リアルな食品サンプルも随所に
子どものお菓子に関連したアイテムの展示も
そして【終章】では、現在のように「名古屋めし」が定着するに至った、イメージの変遷を紹介。名古屋の一文化として発展していった様を伝えている。こうした展示紹介以外にも、1月16日~2月6日の毎週土曜には各日11:30~12:30まで先着100食に限り「味噌汁の試飲会」を行うなど各種関連イベントも実施しているので、詳細についてはHPで確認を。 また、鑑賞を終えてお腹が空いたら、会場で配布されている「これ、たべてみや~マップ」の入手をお忘れなく。これは名古屋市立大学名古屋市博物館サポーターが制作した博物館周辺のグルメガイドで、持参して来店すると特典が受けられるという優れモノなのだ。「名古屋めし」の魅力を知るには、やはり実際に食べてこそ。まだ名古屋を訪れたことがない方も、これを機にぜひご来名を!
■期間:2015年12月12日(土)~2016年2月14日(日)
■会場:名古屋市博物館(名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1)
■開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
■休館日:12/28~1/4、1/12・18・25・26、2/1・8
■料金:一般800円、高大生600円、中学生以下無料
■アクセス:名古屋駅から地下鉄桜通線で「桜山」駅下車、4番出口から徒歩5分
■公式HP:http://www.museum.city.nagoya.jp