フィリピンダブルの高校生とフィリピンパブ嬢の母親の、愛についての物語 映画『世界は僕らに気づかない』劇場公開が決定
(C)「世界は僕らに気づかない」製作委員会
映画『世界は僕らに気づかない』が2023年1月13日(金)に公開されることが決定した。あわせて、ポスタービジュアルと予告編が解禁されている。
『世界は僕らに気づかない』は、トランスジェンダーである自らの経験を元にした『僕らの未来』や、2022年公開の商業デビュー作『フタリノセカイ』で知られる飯塚花笑監督の最新作。レプロエンタテインメント主催の映画製作プロジェクト「感動シネマアワード」にて製作されたオリジナル長編の第五作目にあたるタイトルだ。本作は、2022年の大阪アジアン映画祭でワールドプレミアを迎え、「来るべき才能賞」を受賞。その後ドイツ、韓国、ニューヨーク、香港、オランダ、シカゴ、フィリピンなど各国の映画祭に出品されている。
(C)「世界は僕らに気づかない」製作委員会
群馬県太田市に住む高校生の純悟は、フィリピンパブに勤めるフィリピン人の母親を持つ。父親のことは母親から何も聞かされておらず、ただ毎月振り込まれる養育費だけが父親との繋がり。純悟には恋人の優助がいるが、優助からパートナーシップを結ぶことを望まれても、自分の生い立ちが引け目となり、なかなか決断に踏み込めずにいた。そんなある日、母親のレイナが再婚したいと、恋人を家に連れて来る。見知らぬ男と一緒に暮らすことを嫌がった純悟は、実の父親を探すことにする。
主人公・純悟を演じるのは、堀家一希(『東京リベンジャーズ』パーちん役など)。また、息子である純悟への深い愛情を抱きつつ、感情的に厳しい態度もとってしまう母親・レイナを、スコットランド人の父親とフィリピン人の母親を持つガウが演じる。ガウは、本作で本格的な演技に初めて挑戦している。
堀家、ガウ、飯塚監督のコメントは以下のとおり。
堀家一希(渡辺純悟 役)
この映画の見どころはやはり、親子の愛です。
今まで気付けなかった、向き合えなかった愛に気づき、これから少しずつでも向き合えるようそっと背中を一押ししてくれる、そんな作品になっていると思います。
是非、『世界は僕らに気づかない』、お楽しみください!
ガウ(渡辺レイナ 役)
映画のタイトル通りジェンダーや国籍または宗教、文化の間に挟まれて世界に気づかれず、理解されず苦しんでいる人々が多くいると思います。主人公の純悟やその周りの人達はその一例でしかないのですが、この映画を通して少しでも多くの人に知ってもらい考えてもらえるきっかけになれたらいいなと思います。きっとそこから認め合うことが始まり自由で平和な暮らしが出来ると私は思っています。どうぞ心で観て下さい!
飯塚花笑(脚本・監督)
この世界の片隅で、ある種の生きづらさを抱える人たちの存在がどうしても気になってしまう。おそらくトランスジェンダーである自分自身のアイデンティティがそうさせて来たのだろう。今回の映画の主人公は、フィリピン人の母と日本人の父親を持つ青年だ。意外にも知られていないがこの国には、出稼ぎでやって来た沢山のフィリピン人女性が、日常に溶け込んで暮らしている。そしてその子どもたちもまた、この国の中で暮らしている。この映画で描くのは、異なる文化を持った母親への息子の眼差しであり、“愛の問題”についての物語である。この映画を観て、身近にあった愛に気づく人がいるならば・・・私はとても幸せに思います。
(C)「世界は僕らに気づかない」製作委員会
解禁されたポスタービジュアルは、フィリピン人の母親・レイナと、フィリピンダブルの息子・純悟が真横を向き遠くを見つめる様子が切り取られている。また、日本語タイトルのほかに、英題「Angry Son」も記載されている。
また、予告編では、出勤前の支度をしながら営業電話をするフィリピンパブ嬢の母・レイナの様子をカメラに収める息子・純悟の姿から始まる。ナレーションでは、純悟が「子供は親を選べない。親も子供を選ぶことはできない」「ジャッピーノ。僕らのようなフィリピンハーフの子をそう呼ぶらしい」「だって俺フィリピン人で、フィリピンパブ嬢の子なんで」と自身の境遇を嘆く台詞が続く。また、純悟が恋人から決別を宣言されたり、母親が「再婚する」と知らない男を家に連れてきたり、純悟がゲイであることを理由に「カマちゃん」と呼びいじめていた同級生と出くわす場面など、彼を取り巻く環境がつまびらかに描かれている。
『世界は僕らに気づかない』は1月13日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー。