柳楽優弥の演技を「伝説的な俳優の域に入った」と絶賛 ヨン・サンホ氏、三池崇史氏ら4名の監督が『ガンニバル』を語る
柳楽優弥 ディズニープラス『ガンニバル』 (C)2022 Disney
Disney+(ディズニープラス)の「スター」にて独占配信中のオリジナルシリーズ『ガンニバル』を鑑賞した映画監督4名からのコメントが到着した。
『ガンニバル』は、2018年に連載がスタートした、二宮正明氏によるサスペンスコミック。コミックスの累計発行部数が200万部を超える作品だ。ディズニープラス「スター」の日本発オリジナルシリーズとして実写ドラマ化される本作では、外界から閉ざされた供花村(くげむら)を舞台に、主人公の警察官が一見のどかで美しい村の隠された因習に狂わされてゆく姿を描く。
警察官の阿川大悟は、ある事件を起こし、都会から遠く離れた山間の集落・供花村に駐在として左遷された。犯罪とは無縁の穏やかな村で家族と静かに暮らしていた大悟だが、一人の老婆の奇妙な死をきっかけに、少しずつ村の異常性に気付いて行く。そして、「この村では人が喰われているらしい」という噂を耳にするのだった。
本作では、主演の柳楽優弥が警察官・阿川大悟を演じるほか、供花村を支配する後藤家の次期当主・後藤恵介役で笠松将、大悟の妻・阿川有希役で吉岡里帆、後藤家の元当主で恵介の祖母・後藤銀役で倍賞美津子が出演。映画『岬の兄妹』や『さがす』などの片山慎三氏が監督を務め、映画『ドライブ・マイ・カー』で第74回カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した大江崇允氏が脚本を手がける。
柳楽優弥 ディズニープラス『ガンニバル』
本作を鑑賞し、コメントを寄せたのは、『ゼロの焦点』や『のぼうの城』などの犬童一心監督、『岸辺の旅』『スパイの妻』などの黒沢清監督、『初恋 FIRST LOVE』『コネクト』などの三池崇史監督、『新感染 ファイナル・エクスプレス』などのヨン・サンホ監督の4名。コメント全文は以下の通り。
犬童一心(監督)
『ガンニバル』は、”日本” の新しい映画製作者たちが本気で取り組んだ “日本” の「恐怖」。 消えない因習から生まれる血の匂いが画面から溢れる。 ここまでやるかあ、と、いい仕事してます。 この土地から逃れるには、早く観終わるしかないのか。ああ
黒沢清(監督)
冒頭からいっきに持っていかれる。この村はマジでヤバイ。大丈夫か柳楽優弥。頼りになる仲間など誰もいない。でもだんだん、彼こそがいちばんヤバイのではないかと思えてきた。この先いったいどうなるのか?もう目が離せない。
三池崇史(監督)
『ガンニバル』は怖いというよりヤバい(笑)。日本だから作れる間とか空気感とか、何かが起こる前の気配が怖かった。普通は不気味な音響や特殊効果、カメラワークなどで恐怖をあおるわけだけど、やっぱり人間の捉え方なんですよね。ステレオタイプな人間が1人も出て来なくて、観客はキャラクターとうまくコミュニケーションが取れない。そこからどんどん分からない世界に入っていく感じが、日本人にしか作れないテイストの作品だなと思いました。世界に向けて発信するという作品であっても、自分の世界を表現することが大事だと僕は思っているので、やっぱりそうだよねと再確認できた作品でした。
ヨン・サンホ(監督)
片山慎三監督の研ぎ澄まされたカメラワークと演出の方向は、原作漫画が持つ恐怖の核心に迫る。つまり、原作漫画の実写化への解釈が完璧に近い。片山慎三監督は、原作漫画を実写ドラマという言語で“再描写”した感じだ。また、「こんな部分まで原作に忠実なのか」と感嘆した。スクリーントーンを使わずに、荒々しいペンの線で描かれた村が持つ不穏な空気を、カメラと照明、そして素晴らしい演技で再現した。そして、柳楽優弥の演技は、今頂点に達し、伝説的な俳優の域に入ったと感じる。 ただし、柳楽優弥だけでなく、この作品を構成する多くの俳優たちが、熟練した指揮者に従うオーケストラの一員のように“ガンニバル”という作品を一つの生命体として感じさせる。
『ガンニバル』はディズニープラス「スター」で独占配信中。