ミュージカル『DEVIL』出演者インタビュー Vol.3 ハン・ジサン(한지상)
ハン・ジサン(한지상)
ミュージカル『DEVIL』が、2023年6月から7月にかけて、大阪・埼玉・東京で上演される。中川晃教/マイケル・K・リー(X-White役 Wキャスト)、ハン・ジサン/イ・チュンジュ(X-Black役 Wキャスト)をはじめとする日韓の豪華キャスト達が揃う『DEVIL』(原題『더 데빌』)は、韓国発のミュージカル・ショーだ。
ストーリーはゲーテの「ファウスト」をベースにしつつ、X-WhiteとX-Blackという二つの存在を登場させることで、神と悪魔の賭けや、善と悪、光と影など人の二面性などを際立たせる。また、クラシックの旋律と強烈なロックサウンドを融合させ、観客に強烈な印象を与える音楽は、2015年韓国で第9回ミュージカルアワーズの作曲・作詞賞を受賞した。そんな本作は、2014年ソウルでの初演以来、形態を変えながら、2017年、2018年-2019年と再演を繰り返し、韓国で絶大的な人気を誇ってきた。2021年には大規模なコンサートも実施し話題となった。
2021年には東京芸術劇場・シアターウエストにて、日本版のプレビューコンサートを実施。中川晃教をはじめ実力派キャストにより上演。本作品をまずは日本の観客に認知させるべく、「楽曲の素晴らしさ」「ストーリーの根幹」を際立たせ、好評を得た。そして、いよいよ2023年、訳詞に石丸さち子、演出に荻田浩一、音楽監督に島健を迎え、装いも新たに上演がおこなわれる。
出演者は、日本を飛び越えて豪華メンバーが集結。まずX-White役を、2021年版から引き続きで続投する中川晃教と、同役ダブルキャストとして、本作の韓国オリジナル・キャストであり、ブロードウェイや韓国ミュージカル界で活躍するマイケル・K・リーが務める。続いて、X-Black役には、数多くの人気ミュージカル作品に出演するスター俳優のハン・ジサンとイ・チュンジュがダブルキャストで出演(この二人も韓国オリジナル・キャストだった)。さらに、グレッチェン役にAKANE LIV、ジョン・ファウスト役に大山真志/東山光明/チェ・ミヌ(トリプルキャスト)など、強力な布陣で臨む。
今回は、X-Black役を演じるハン・ジサン(한지상)のインタビューをお届けする。彼は、『ネクスト・トゥ・ノーマル』『ジーザス・クライスト・スーパースター』『マーダー・バラッド』『ワンドゥギ』『デスノート』『フランケンシュタイン』『ベン・ハー』『アマデウス』等々、数々の人気作品で主要な役どころを務めてきた、韓国ミュージカル界のトップ・スターのひとりである。
(左から)イ・チュンジュ マイケル・K・リー 中川晃教 ハン・ジサン
――ビジュアル撮影を終えた感想は。
韓国で私がミュージカル『DEVIL』に出演したのが10年前。とても久しぶりの出演になりますが、この撮影現場に来て、作品世界の雰囲気を作っていただいたので、当時の感覚が蘇ってきました。ワクワクしています。
――日本のカンパニーから『DEVIL』への出演オファーがあった時はどう思われましたか。
率直に「それは面白い」と思いました。これまで僕はこの作品を韓国で、韓国語で上演し、その中で観客との意志疎通に成功してきました。果たしてそのキャッチボールが日本で、日本語で僕が演じる時にきちんと生まれるのか。また、どのように伝わっていくのか。それが未知数であり、だからこそとても興味深く、面白いなと感じました。
――日本でコンサートはこれまでに何度かやっていらっしゃいますが、日本の観客の印象は。
日本でコンサートは4回ほどやっています。日本のお客さんは大人しいとよく言われますが、僕のコンサートではそんなことはないかな。最初の方は皆さん、集中してコンサートを観てくださるのですが、その後、誰しもが心の中に持っている“ノリ”を、僕が引き出しました(笑)。そして皆さんと一緒に盛り上がった、というような感想です。それこそがロックンロール! ですよね。
――ありがとうございます。『DEVIL』に話を戻しまして、ジサンさんとこの作品との関わりを教えてください。
僕の出演経験は10年前の初演だけです。初演はXがBlackとWhiteに分かれる前。正直なところX- Blackでオファーが来た時、「X- Blackの歌ってどの曲……?」という戸惑いから始まりました(笑)。初演は、X- Blackが歌う曲もX- Whiteが歌う曲も、全部一人で歌っていました。最初は優しい感じで歌い上げ、いきなりロックにシャウトする。その間、バックステージではダッシュし着替えて、天使にもなり悪魔にもなる……という役柄でした。X- BlackとX- Whiteに分かれてからの『DEVIL』に出演するのは僕は初めての経験で、新鮮です。
(左から)イ・チュンジュ マイケル・K・リー 中川晃教 ハン・ジサン
――初挑戦となるX-Blackという役の面白さはどんなところにありそうですか?
あってはならないことですが、人が何か悪いものに操られてしまいそうな状況というものがあります。それが舞台では劇的に表現されていて、そこが観客として観るのは楽しいところなのですが、反面、現実の世界では自分はあのようになってはいけない、という思いを観る方に抱いてもらえれば、と思います。
――今回、ジサンさんは日本語での歌唱に挑戦するとのこと。このチャレンジを決めた理由は。
日本に行き、日本のカンパニーの一員として公演をする。ならば日本語でやるのが摂理だと思います。そこに疑問は特に抱きませんでした。
――ちなみにジサンさん、知っている日本語は……?
コンサートなどですごく気分が高揚したら「めっちゃ好きやねん!」と言います。それしか知らないです(笑)。
――『DEVIL』は大阪公演からスタートしますので、ぴったりかと(笑)。最後に、長期での日本公演になります。日本滞在で楽しみにしていることは。
まずはこのミュージカル『DEVIL』日本公演を成功に導けるように頑張ること。その中で、私が舞台に立つ時のパワーの源、原動力は食べることです。食事で力を得る人間ですので、美味しいものを食べることは楽しみにしたいです! まずは公演に力を尽くしつつ、うまい具合に楽しく過ごしていきたいですね。
【動画】ミュージカル『DEVIL』コメント
取材・インタビュー文章:平野祥恵
ミュージカル『DEVIL』出演者インタビュー シリーズ
https://spice.eplus.jp/articles/318549
https://spice.eplus.jp/articles/318551
公演情報
Music by Woody Pak, Gihieh Lee
Lyrics by Gina Lee, Gihieh Lee, Woody Pak
Original Production by PAGE1 and R&D Works
【演出】荻田浩一
【音楽監督】島健
・大阪:シアター・ドラマシティ 2023年6月22日(木)~29日(木)
・埼玉:ところざわサクラタウン 2023年7月 8日(土)~ 9日(日)
・東京:ヒューリックホール東京 2023年7月11日(火)~16日(日)
X-White:中川晃教/マイケル・K・リー(Wキャスト)
X-Black:ハン・ジサン/イ・チュンジュ(Wキャスト)
グレッチェン:AKANE LIV
ジョン・ファウスト:大山真志/東山光明/チェ・ミヌ(トリプルキャスト)
Singer:山野靖博、石川新太、伊藤広祥、ラリソン彩華、町屋美咲、橘未佐子
Swing:丸山真矢、久保佳那子、富田明里
※大山真志、東山光明は、ジョン・ファウスト出演回ではない回にSpecial Singerとして交互出演します。
※チェ・ミヌはジョン・ファウスト役以外にもX-BlackのSwingとして出演します。
※未就学児童入場不可
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません、予めご了承ください
※本公演のは「不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。
主催者の同意のない有償譲渡は禁止されています。
※のお求め前に、必ず︎公演に関するご案内をご確認ください。
【STORY】
暗闇と光は一つ
光が強い時暗闇は消え去り、暗闇が深いなら光が眠っている
善良な人間は暗闇を長く耐え切れずに結局光に向かうだろうから……
「人間の心の中の暗闇が光を超えた瞬間世の理は新たに並び替えれなければならない」
光と暗闇は本来一つの存在X−WhiteとX-Black。彼らは人間を賭けて勝負を繰り広げる
賭けの対象になった人間ジョン・ファウスト。彼はウォールストリートの前途有望な株式ブローカーで彼にはいつも彼のそばを守るグレッチェンがいる
しかし株価が大暴落したブラックマンデーの後。すべてが変わることになり……
すべてを失い、墜落するようなジョンが失意に陥った隙を狙って彼に接近して誘惑の手を伸ばすX−Blackグレッチェンが引き止めるのにもかかわらずジョンはX-Blackの提案を受け入れ、次第に彼に侵蝕されていく。
ジョンが堕ちるほどグレッチェンの心身は疲弊していき最後の善の意志であり、彼の最も大切な存在であるグレッチェンまで無視しようとするジョンの姿を通じて、X−Blackは自分の勝利を確信するようになるが……