杉原邦生が主宰するKUNIOが、約5年ぶりの新作公演『ゴドーを待ちながら』を上演 小田豊、外山誠二ら出演

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舞台
2024.4.26


2024年6月22日(土)〜30日(日)KAAT 神奈川芸術劇場 <中スタジオ>にて、KUNIO16『ゴドーを待ちながら』が上演されることが決定した。

杉原邦生

杉原邦生

KUNIOは、演出家・舞台美術家の杉原邦生が主宰するプロデュース公演カンパニー。本作は、2019年の『グリークス』以来となる、約5年ぶりの新作公演だ。

『ゴドーを待ちながら』は、サミュエル・ベケットが1952年にフランス語で初出版し、その翌年にパリで初演されて以降、不条理演劇の代名詞として演劇史にその名を残し、今日まで多くの演出家によって上演し続けられている戯曲。今回、KUNIOでは、2016年に河合祥⼀郎が主宰する“Kawai Project”での上演時に新翻訳を行った台本(未出版)を元に上演を行う。

河合祥一郎

河合祥一郎

河合は翻訳にあたって、1952年にミニュイ社が刊行したフランス語第二版を底本としている。その理由として1953年1月5日にパリのバビロン劇場で初演後、ベケット自身が英訳し1954年にニューヨークのグローヴ・プレス社から出版した英語初版が、フランス語第二版をもとにしているからで、細かな幾つかの表現において、ベケット自身が改定を行い第二版としたことが明白であるため、と記されている。

河合の翻訳には注釈が添付されており、フランス語版初版と第二版(英語版)との違いが詳細に記されている。KUNIOでは今回、その注釈を頼りに、言葉の変化一つひとつを丁寧に見つめ直し、時に河合とのディスカッションを交えながら、ベケットの思考の変遷を辿るようにして台本を整理。この作業には、これまで『ハムレット』(2014)、『夏の夜の夢』(2017)、『グリークス』(2019)等、翻訳戯曲の新訳上演にこだわってきたKUNIOの創作スタイルが大いに生かされているそうだ。

本公演では、翻訳により原作のもつ力が最大限に引き出された上演台本とともに、現代の観客へダイレクトに届く『ゴドーを待ちながら』を目指す。

(上段左から)小田豊、外山誠二(下段左から)大村わたる、リー5世、中山翔貴

(上段左から)小田豊、外山誠二(下段左から)大村わたる、リー5世、中山翔貴

なお、出演は、ベテラン俳優の小田豊、外山誠二を中心に、所属する劇団「柿喰う客」にとどまらず幅広く活躍する大村わたる、杉原は演出を務めた木ノ下歌舞伎『勧進帳』では弁慶役で強烈な印象を残したリー5世、という杉原が信頼を寄せる俳優たちと、今回が舞台初挑戦となる中山翔貴まで、バラエティに富んだ顔ぶれとなっている。

【あらすじ】
木が一本立つ田舎の一本道。夕暮れ。
ヴラディーミルとエストラゴン2人の男がゴドーという人物を待ち続けている。しかし2人はゴドーに会ったことはないらしく、滑稽で実りのない会話を交わし続け、暇をつぶしている。だが、いつまで経ってもゴドーはやって来る様子はない……


演出・美術 杉原邦生 コメント

とある公演の終演後、楽屋のベンチで雑談しながら、何の気なしに「今後演ってみたい戯曲ってあるんですか?」と尋ねたとき、小田豊さんは「死ぬまでに『ゴドー(を待ちながら)』を演りたい」と、即答してくれました。『ゴドーを待ちながら』は、僕自身いつか上演したいと思い続けていた作品のひとつでしたが、KUNIOの企画会議で何度か候補にあがっても、その度、いま(その時)ではない気がして、先送りになっていました。だから、なんだか勝手に運命的なものを感じてしまい、その場で「じゃあ、KUNIOで企画していいですか?」と言ってしまいました。こうして、今回の上演は思いもかけないきっかけからスタートしたのです。

僕たちは、忙しなく日常を動き続けているとき、<動かぬもの>に気づけないことがあります。その<動かぬもの>とは、物理的に存在しているものだけではありません。終わりの見えない課題、変えようのない事実、答えのない問い、自分の中にある感情、記憶——もしかすると、僕たちはいつも、それら<動かぬもの>に気づけていないのではなく、気づけていないことにしているだけなのかもしれません。なぜなら、そのものたちに真剣に⽬を向けようとしたとき、僕たちの思考もまた、忙しなく動き続ける⽇常の中で〈動かぬもの〉になってしまうからです。

小田さんと『ゴドー』を演ろうという話をして、さっそく戯曲を読み直してみたとき、なぜか、涙が溢れてきました。あの場から動かぬ二人の男たちは、必死に<動かぬもの>に対峙しようとしている、そう⾒えたからなのかもしれません。そして、あのとき何の気なしに聞いていた小田さんの「死ぬまでに」という⾔葉が、僕の中に<動かぬもの>として残っていたからなのかもしれません。
⽬まぐるしく動きつづける現代で、僕たちはいま、多くの〈動かぬもの〉にどう向き合
うべきなのか。そんなことを考えながら、絶大な信頼を寄せるお馴染みのキャスト、スタッフと共に、KUNIO版『ゴドーを待ちながら』をお届けしたいと思っています。

公演情報

KUNIO16『ゴドーを待ちながら』
 
日程:2024年6月22日(土)〜30日(日)
会場:KAAT 神奈川芸術劇場 <中スタジオ>
 
原作:Samuel BECKETTS “EN ATTENDANT GODOT”
翻訳:河合祥⼀郎
演出・美術:杉原邦生

出演:
小田豊
外山誠二

大村わたる
リー5世
中山翔貴

22日(⼟)15:00 |プレビュー公演(一般が4,500円になります)
23日(日)13:00 |終演後、翻訳の河合祥一郎と演出・美術の杉原邦生とのアフタートークあり
24日(月)13:00 |13:00から河合祥一郎によるプレレクチャー、13:40より上演開始予定
25日(火)17:30 |17:30から河合祥一郎によるプレレクチャー、18:10より上演開始予定
27日(木)18:00 |夜割対象(一般が 5,000円になります)
28日(金)13:00 |終演後、劇作家・演出家の松井周、山本卓卓と杉原邦生とのアフタートークあり
 
※6/24、6/25は上演前に翻訳の河合祥一郎による『ゴドーを待ちながら』についてのプレレクチャー実施。
※6/28は終演後に劇作家・演出家で“サンプル”主宰の松井周、同じく“範宙遊泳”代表の山本卓卓をゲストに杉原邦生とアフタートークを行う。松井とは2016年に KAAT 神奈川芸術劇場にて『ルーツ』を、山本卓卓とは 2024年にPARCO PRODUCE 2024『東京輪舞』でそれぞれクリエーションを共にした。二人と上演台本や作品の創作過程時の印象に残っているエピソードについてトークする予定。
 
※プレレクチャー及びアフタートークは該当上演回のをお持ちの方のみ参加可能
 
■前売料金[全席自由席・整理番号付]
⼀般 5,500円
プレビュー割引(6/22のみ) 4,500円
夜割引 5,000 円(6/27のみ)
25才以下割引 3,500円
 
⼀般発売
2024年5月18日(土)10:00
先行販売 *KUNIO official website、劇場 Kame 先行
2024年5月12日(日)
 
◼企画・製作・主催
KUNIO/合同会社KUNIO,Inc.
https://kunio.me
■お問い合わせ
KUNIO
info@kunio.me
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