香川『MONSTER baSH 2024』25年の歴史を更新する特大のシンガロングーーELLEGARDEN、稲葉浩志、Vaundy、Dragon Ashら出演の初日をレポート
撮影=河上 良
『MONSTER baSH』2024.8.24(SAT)香川・国営讃岐まんのう公園
2024年8月24日(土)・25日(日)の2日間にわたって、香川県・国営讃岐まんのう公園にて開催された中四国最大級の野外ロックフェス『MONSTER baSH 2024』。今年で25周年を迎えた同イベントに、東京と関西からライターの兵庫慎司と鈴木淳史が参戦。本記事では初日のライブをピックアップして振り返りながら、それぞれの視点で『モンバス』の魅力をレポートする。
2024年で25周年を迎えた『MONSTER baSH』。『FUJI ROCK FESTIVAL』が1997年、『RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO』が1999年なので、2000年スタートということは、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』、『SUMMER SONIC』と並んで、国内で3番目に長い歴史を有しているロックフェス、ということだ。
コロナ禍がある程度落ち着いた昨年=2023年から、本来の形に戻った『モンバス』は、芝生エリアにSTAGE空海とSTAGE龍神、そこから徒歩約20分のエリアにMONSTERcircusとMONSTERcircus+、さらにまた別のエリアにアコースティック中心のSTAGE茶堂の5ステージで行われている。で、今回のような周年の時に限り、STAGE空海とSTAGE龍神が「RED baSH」「WHITE baSH」という名称に変わる。(めでたいので紅白、ということですね)開演前やステージ転換中の画面には、参加者が寄せた25周年を祝う手書きメッセージが、次々と映し出されていた。
プッシュプルポット 撮影=河上良
RED baSHとWHITE baSHとMONSTERcircusには、11:00の開演時刻より前に、毎年1組ずつオープニング・アクトが出る。今年は、自分が観たWHITE baSHとRED baSHは、プッシュプルポットとサバシスターが出演した。
金沢から来たプッシュプルポットは、山口大貴(Vo.Gt)がRED baSH前でサバシスターを待っている参加者たちに「あっちまだやってないのに多くないかよ! おまえらも一緒に遊ぼう!」と呼びかけたり、2曲目でステージから降りたりと、朝イチからハイテンションなパフォーマンスを見せた。
サバシスター 撮影=河上良
サウンドチェック時は9月18日リリースの新EP「あの夜のはなし」の宣伝Tシャツ、本番はグッズのラグランTシャツに着替えたサバシスターは、「覚悟を決めろ!」で始まり「サバシスター’s THEME」で終わる6曲を、まさに駆け抜けるように演奏。なち(Vo.Gt)は、6曲目のエンディングを、すごい高度の開脚ジャンプで締めてから、「ありがとうございました、また呼んでもらえるようにがんばります」とステージを去った。
『モンバス』プロデューサー DUKE 定家氏 写真=オフィシャル提供
ここで当フェスのプロデューサー、DUKE定家氏の挨拶&前説が入る。今年が完売したことと、『モンバス』が25周年を迎えられたことのお礼を伝える。「この地方都市で、このような規模のフェスが25年続くということは、僕は奇跡だと思っています」。確かに。
2020年と2021年、コロナ禍で中止を余儀なくされた時に、クラウドファンディングを通して愛情や応援をいただいて、スタッフ一同がすごく勇気をもらったことや、参加者・アーティスト・スタッフへのお礼の言葉もあり。
撮影=河上 良
そして、2000年から2024年までを振り返る映像→カウントダウン→野外フェスではめずらしいが『モンバス』では恒例の開演の合図=色とりどりのテープの発射から、WHITE baSHのトップ、新しい学校のリーダーズが始まった。この夏、もっとも数多くのフェスで、もっとも数多くのオーディエンスを熱狂させている存在かもしれない。
新しい学校のリーダーズ 撮影=河上良
撮影=河上良
「オトナブルー」は全9曲中の5曲目だったが、それ以前もそれ以降も、満員のオーディエンス、ヒートしっぱなし。SUZUKA、8曲目「Tokyo Calling」で、フロントエリアの柵前に乱入。「夏フェスだからみなさん持ってるよね、タオルを! 見せてごらんなさあい!」「最高の未来へ向かって希望を抱いてタオルをぶん回せ!」という号令でフィールドいっぱいにタオルが回った「Change」でライブを終えたあと、SUZUKAは「我々、このステージで終わりじゃないですよ? どこに出て来るのかお楽しみに、それでは下校!」と言い残してステージを去る。
04 Limited Sazabys 撮影=河上良
撮影=河上良
RED baSHのトップは04 Limited Sazabys。2年ぶりの出演である。昨日行った飲み屋の店長が「この子ファンなんですよ」とバイトのおねえさんを紹介してきて、彼女のスマホにサインしたが、そこにはsumikaのステッカーが。「明日来るんですか?」と訊いたら「明後日行きます」。マジでsumikaのファンじゃねえか! などというGEN(Ba.Vo)のMCで爆笑をさらいながら、35分9曲のパフォーマンスで、オーディエンスを狂喜させる。GEN「音に乗って、風に乗って、調子に乗って、一緒にいいとこ行きましょう!」。うまいこと言うなあ。ラストは「Keep going」からの「swim」で、オーディエンスを絶頂に導いた。
10-FEET 撮影=河上良
10-FEET x TOKYO TANAKA(MAN WITH A MISSION) 撮影=河上良
続く10-FEETは、「あつ! ヤバい! 地球!」というTAKUMA(Vo.Gt)の雄叫びからの「RIVER」でスタート。歌詞の中の川をご当地のそれに替えるのがこの曲の恒例だが、今日は「土器川」「香東川」「財田川」と三本立てである。
「今日友達と来てる人。ひとりで来てる人。楽しかったらええなあ。俺らも友達と来てん、友達ひとり呼んでいい? いや、1匹」と、TOKYO TANAKA(MAN WITH A MISSION)を呼び込み、共に「super stomper」を歌う。7月3日にリリースしたばかりの「helm’N bass」も披露。「死にたくなったらまたライブ来いよ、おっさんらが一緒に死んだるから」という言葉から始まったラスト曲は「ヒトリセカイ」だが、途中で持ち時間がヤバくなり、「KOUICHI、時間ないからもっと速く!」と、曲のテンポをどんどん上げて乗り切った。
マキシマム ザ ホルモン feat.新しい学校のリーダーズ 撮影=ハマノカズシ
「いのいちばんに言いたいことがあります! さっき稲葉さんと握手した! これで証明されたの、私が太陽のKomachi Angelです!」
と、ナヲ(ドラムと女声と姉)が宣言したマキシマム ザ ホルモン。肉兄弟と骨と讃岐ヅラの我々を、最初に出してくれたフェスは『ROCK IN JAPAN』と『MONSTER baSH』だった、と感謝を伝え、「我々の『MONSTER baSH』25周年、始めます!」。
そして、ホルモンの公式YouTubeで「フェスの出演日が一緒の時はコラボする」と予告していたとおり、新しい学校のリーダーズが出るのはここである。『モンバス』だけの毎年の恒例行事=高松出身ダイスケはんの母、光枝さん登場コーナーを経て、音源でコラボした「シミ feat.新しい学校のリーダーズ」で登場。ホルモンとタメをはる、いや、超えそうな暴れっぷりで、オーディエンスを頂点に導く。「恋のメガラバ」に入る前の「恋のおまじない」の号令も、新しい学校のリーダーズが担った。
稲葉浩志
「こんにちは、『MONSTER baSH』、初めて呼んでいただいてありがとうございます。短い時間ですけど、暑さに気をつけて楽しんで行ってください」と、1曲目「マイミライ」を終えて丁寧に挨拶したのは、稲葉浩志。前方に詰めかけている熱心なファン以外の参加者たちは、なんとも言えない表情で、ステージを凝視している。その気持ち、よくわかる。あの稲葉浩志が『モンバス』のステージにいる、という現実が、どうもうまく飲み込めないのだ。今はソロ活動の期間で、ニューアルバム『只者』をリリースしてそのツアーを廻り終えたばかりであることは知っていても、そうだ。2022年に小田和正が出た時の「うわ、本物だ……どうしよう」という感じに近いかもしれない。どうもしなくていいんだってば。でもそんな空気も、ステージが進むに従ってほぐれていき、5曲目の「CHAIN」では、稲葉とオーディエンス、シンガロングの掛け合い状態になった。
なお、本日、私は終日RED/WHITE baSH側にいて、プッシュプルポットからELLEGARDENまでの12アクトを全部観るのがミッションなので、MONSTERcircus/MONSTERcircus+&一部、STAGE茶堂担当の鈴木淳史に、ここでいったんバトンを渡します。
(ここまで文・兵庫慎司)
撮影=桃子
兵庫さんからバトンを頂きまして、ここからは初日のMONSTERcircusエリアを書いていきます。まずはMONSTERcircusステージ・10時25分、マタノシタシティー。地元香川は高松のヤングバンド。四星球はもちろんのこと、古墳シスターズなど四国のバンドにしっかりと活躍のチャンスがあることは、地方フェスならではであり、特に古墳もそうだが、モンバス御膝元の高松のヤングバンド初出場はエモーショナルすぎる。
マタノシタシティー 撮影=桃子
「地元バンドのライブ20分間。ただのライブじゃない! 地元ライブハウスへの恩返し!」
「いつもはガラガラの人のいないライブハウスでやってるので、今日はスターになった気分です! でも、やることは変わらない!」
原昂輝(Vo.Gt)の気合いが否応なしで伝わってくる。地元のライブハウスを背負っているし、地元のライブハウスから『モンバス』まで上がってくるのも茨の道であっただろう。今までは家族3人シャトルバスで来ていたのが、今年はメンバー3人機材車で来た話など、本当にリアルだし、1分でも長くステージに立ちたい想いも届く。感謝に満ち溢れて、純粋にシンプルにストレートに音を鳴らす。曲中にも家族、友達、恋人、親友、ライブハウスの人、色々な人の顔が思い浮かぶと言っていたが、実際に四星球のモリス(Dr)、古墳のメンバー、高松DIMEバンドーエージ店長などが朝早くから観に来られていた。モリスも「ドキドキしました……。早起きして来ました」と話す。地元の温かさを感じたし、だからこそ毎年出場できるように全国的に大活躍することが一番の恩返しなのだろう。
撮影=桃子
去年まで主催イベンター・DUKEで学生バイトしていた青年が、今年は関係者スタッフで東京から仕事で駆けつけていたりと、地元ならではの物語が地方フェスにはある。ライブ終わり、フードエリアを歩いてみると、地元の御菓子会社であるツジセイ製菓も出店していて、キャラクターのパイすけも記念撮影に応じている。徳島製粉も出店していたが、単なる夏フェスでは無く、町興し的な要素があるのも地方フェスの良いところ。
撮影=桃子
THE BAWDIES 撮影=桃子
11時35分、THE BAWDIES。毎年3月に高松市の商店街を起点に6会場で開催されるライブサーキットイベント『SANUKI ROCK COLOSSEUM』(以下、『サヌキロック』)。今年15周年を迎えて、結成20周年デビュー15周年のTHE BAWDIESが出場。そして、今年25周年のモンバスにも出場と、めでたさしかない中、メンバーはスーツの上に法被を着て登場する! 法被の後ろには「わっしょい」と書かれていて、「お祭り番長、THE BAWDIESです!」とROY(Vo.Ba)が開口一番! 本当にお祭りが似合うからフェスに引っ張りだこなんだろう。熱中症対策として「水分と塩分と……たまにホットドッグ! 水分と塩分とホットドッグ召し上がれ!」と1曲目「HOT DOG」へ持っていくあたりも流石である。
撮影=桃子
猛暑にスーツは大変だろうと勝手に心配していたら、何と冬素材だと明かされて、心配しながら大爆笑してしまう。9年ぶりの出場であり、「モンバスもTHE BAWDIESもロックンロールと共に転がり続けていくということで!」という宣言も良かったし、「薄々気付いていると思います。1番聴いたら2番、3番歌えます!」なんていうロックンロール種明かしも粋で格好良すぎた。遅れるという話題から「IT’S TOO LATE」や「弾け飛べますか!?」というフリから「POPCORN」など曲の繋げ具合も抜群で。そしてラストナンバー「JUST BE COOL」では、ROYがロングロングトーンのロックンロールシャウトを聴かせるが、本当に長い長い上に、そのしゃがれた声の叫びは威力抜群すぎた……。周波数を計ったらドエライ数値が出るんじゃないかとか、空から鳥が落ちてきてもおかしくないなんて思わずバカげた事を本気で考えてしまったくらいに、凄すぎてクラクラしたロックンロールタイム。
KALMA 撮影=桃子
屋根のあるMONSTERcircusを出たところにあるMONSTERcircus+ステージ。13時30分、KALMA。リハから大きな声で歌い畑山悠月(Vo.Gt)は、「初めまして『モンスターバッシュ』! 『サヌキロックコロシアム』から来たKALMAです!」と挨拶。若手バンドが『サヌキロック』を経て『モンバス』へ初出場という物語性が一発でわかる。
「25分間で誰よりもできることは、誰よりも大きな声で歌います!」
撮影=桃子
この宣言も潔すぎるし、飛び跳ねて大暴れして、いつの間にやら寝転がって歌う悠月。若手バンドからしたら全てのフェスに出場したいが、現実は中々そうは上手くいかず、だからこそライブサーキットイベントで結果を出して、こうして上にあがってくる。それを体現しているKALMAだけに喜びはひとしおだし、来年も出場する為に必死に爪痕を残しに来ている。当然、祭ではあるのだが、どこか戦の場所としても捉えて来ている若手は強い。北海道石狩出身であり、その街には『RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO』があると言い、「街の大きなフェスって嬉しいじゃん!」と呼びかける。観客に対してゴミの分別や整列などを労う心遣いも忘れていなかった。今年24歳でありながら、結成9年目のキャリアのため、念願の初出場。
「1個ストーリーができた! アイツはここより大きなステージで羨ましいとか思うけど、ここからじゃないとできないストーリーがある!」若いながらも経験値が豊富なだけに、しっかりとプロフェッショナルな考え方でプロフェッショナルな魅せ方ができる。ラストナンバーは「夏の奇跡」。夏の奇跡を起こし続ける為にブチかます若者のドキュメント。来年からも出続けて欲しい。
LONGMAN 撮影=桃子
MONSTERcircus+ステージ・16時。四国は愛媛の松山で結成された、LONGMAN。登場しただけで明るい気分になり、観客の中には楽しそうにスカダンスを踊っている者も。そんな中、ひらい(Vo.Gt)が去年の『モンバス』について触れた言葉が誠実で真摯であった。
「去年は「秋にめちゃくちゃ売れて、『モンバス』に恩返しします!」と言ったけど、中々そうはいかなくて……」
撮影=桃子
今や四国代表と言われる中、こう素直にフェスの場で打ち明けられるのは、とても真っ直ぐだった。地元のライブハウスや『モンバス』にお世話になっていることの恩を決して忘れていない。なので、この後に歌われた「spiral」は、英語詞が多いLONGMANの楽曲の中でも日本語詞なだけに、より気持ちが曝け出されている感じがした。
「四国に『モンバス』があって良かった!」
まぁ、この言葉が全てだと思う。
9mm Parabellum Bullet 撮影=桃子
MONSTERcircusステージに戻って16時35分、9mm Parabellum Bullet。ATARI TEENAGE RIOTの爆音SEが鳴り、1曲目「Black Market Blues」からブッ飛ばされる。菅原卓郎(Vo.Gt)の「『MONSTER baSH』、辿り着いたぞ~!」という言葉が印象的すぎた。というのも前週に開催された『RISING SUN ROCK FESTIVAL』で、9mmは飛行機の遅延により出場ができなかった。前週の憂さを晴らすと書くと陳腐な書き方になるが、全身全霊でぶつかってくる。かみじょうちひろ(Dr)の叩き込むドラム、中村和彦(Ba)は両膝も曲げて高くジャンプ。その上、ベースも1回転して振り回しているが、結成20周年のバンドの暴れ方じゃない。先述のTHE BAWDIESもそうだが、20周年という数字だけを見ると、たいそうに感じるが、まだまだ向こう見ずで、観ていて嬉しくなる。
撮影=桃子
ラストナンバーでは滝 善充(Gt)がステージ端の鉄塔におもむろに登る。ほかの3人も暴れながら演奏していて、まぁステージのどこを観て良いのやらと、昔から何度もライブを観ている私でさえ未だに悩んでしまう。初めて撮影を担当したヤングカメラマンは、暴れっぷりが凄すぎて撮り甲斐があったとライブ終わり放心状態になっていた。考えたら、9mmも今年の『サヌキロック』に出場していた。ライブハウスでもフェスでも同じだけ暴れて魅せれるというのは熟年の……と書きたいところだが、若い時からずっと凄かったわけで、これからどう年齢を重ねていくかも楽しみでならない。
CENT 撮影=桃子
9mm終わり、MONSTERcircus+へ移動。まだまだ猛暑とはいえ夏の終わりを感じさせるツクツクボウシの鳴き声が聴こえてくる。17時15分「Give Peace A Chance」の祝祭感に包まれたサウンドにのり、セントチヒロ・チッチのソロプロジェクトであるCENTが登場。昨年6月に解散したBiSHと『モンバス』は切っても切り離せない関係と言っても全く過言ではなく、彼女にとっても思い入れのあるフェス。ふと観客エリアを観ると、元メンバーのハシヤスメ・アツコが普通に一般観客に混じって観ている。解散しても駆けつけるなんて、改めて絆の深さを感じた。チッチも東京は八王子出身ではあるが、ずっと出ていたフェスであることから、「(香川に)第二の故郷として来ています!」と観客に話しかける。
撮影=桃子
陽も落ちて、少し涼しくなってきた中、チッチのキュートな歌声が心地好い。今年初の夏フェスが、BiSHとして数多く出場していた『モンバス』というのも物語を感じる。ラストナンバーは作詞チッチで銀杏BOYZ・峯田和伸が作曲した「決心」。一生ドラマチックにロックを歌いながら生きていく決心が歌われている。疾走感という言葉がふさわしい峯田らしいロマンチックなロックンロールナンバー。
「また、どこかで!」
チッチの『モンバス』物語は、まだまだ始まったばかりである。
てなわけで、初日MONSTERcircusエリアからは以上になります。芝生エリアの兵庫さんにお返しします。
(ここまで文・鈴木淳史)
東京スカパラダイスオーケストラ feat. TAKUMA(10ーFEET) 撮影=河上良
さて東京スカパラダイスオーケストラ、RED baSH四番手。「『MONSTER baSH』、四国まで飛んで来たぜ!」という谷中敦の挨拶から、「DOWN BEAT STOMP」でスタート。2曲目の「風に戦ぐブルーズ」では10-FEETのTAKUMAが、5曲目の「銀河と迷路」では04 Limited SazabysのGENが、ボーカルを取る。現時点での最新曲である「一日花」は、欣ちゃん(茂木欣一/Dr)が歌った。
東京スカパラダイスオーケストラ feat. GEN(04 Limited Sazabys) 撮影=河上良
6曲目「Paradaise Has No Border」ではオーディエンスが掲げる「GAMOさんこっちこっちタオル」に導かれてそっちに行ってみんなで演奏、の恒例のパフォーマンスがくり広げられるが、そこにいつの間にかホルモンのナヲちゃんも加わっている。前も観たことあるな、この光景。うれしそう、ナヲちゃん。曲の締めも、ナヲちゃんのジャンプだった。
東京スカパラダイスオーケストラ with ナヲ(マキシマム ザ ホルモン) 撮影=河上良
撮影=河上良
Dragon Ash 撮影=河上良
次のWHITE baSHは、日本のロック・フェスと共に育って来たライブ・バンドであると同時に、日本のロック・フェスを育てて来た存在でもあるDragon Ashだ。「声上げろー!」「ロックフェスなんだろ、好きにやれ!」「ヤベえヤベえヤベえ、夏が来た!」などと参加者をアオリまくるKj、「14回出させてもらってるそうです。こんなに素敵な遊び場はないよね」と言うサク(櫻井誠/Dr)。『モンバス』25周年にちなんで「25年前の曲をやる」と演奏したのは「百合の咲く場所で」!
撮影=河上良
10年に1回とか20年に1回、すごいかっこいいフェスをやろうと思えばできる、だけどロックバンドを20年とか、ロックフェスを20年とかは、ジョークじゃできない。そんなすごいことをやっている『MONSTER baSH』に拍手ーーというKjの言葉で、フィールドいっぱいに拍手が広がった。
マカロニえんぴつ 撮影=河上良
「なんか、ちょうどいい日陰の時間帯をもらって、すみません。やりやすいし、聴きやすい、ですか? 今のうちに体力をチャージしてください。かと言って休ませないからな!」と、「夏恋センセイション」「洗濯機と君とラヂオ」「レモンパイ」「リンジュー・ラヴ」などの代表曲をどんどん放っていくマカロニえんぴつ。結成していちばん最初に出させてくれた、とっても思い入れのある野外フェスが『MONSTER baSH』なんでーーと、はっとり(Vo.Gt)。ラストの「なんでもないよ、」で、この人数(びっしり満員)による「♪ラララ」のシンガロングが響くさま、壮観だった。
撮影=河上良
Vaundy 撮影=太田好治
「踊れるよなおまえら!」「さあ、今日は特別早く終わっちまうぞ、気づいたら終わってるから、楽しめー!」と、前半から参加者を扇動するVaundy。立て続けに楽曲が披露され、この「誰もがあたりまえに全曲知ってる」感、すごい。というのはわかっちゃいたが、目の前で次々とあの見事なボーカリゼイションで聴かされると、改めてそう感じてしまう。
撮影=太田好治
オーディエンスのリアクションに「いいじゃん! でもまだなあ、エルレに残してる奴がいるな? ここで使い切ってもらうぜ、後で俺から謝っとくぜ! だから1曲だけ俺にくれ!」と観客に呼びかけてからラストに歌ったのは、「怪獣の花唄」。確かに、見事に、全員持っていかれた。
ELLEGARDEN 写真=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
トリのELLEGARDENは、なんと15年ぶりの出演だそうだ。10年活動休止していたことや、その間にMONOEYESやNothing's Carved In Stone等での出演はあったことを考えると、それだけ空いていてもおかしくはないが。「ただいまー。何年ぶりだろうなあ。毎年出てたことを知らない人がほとんどだと思う」と、細美武士。ステージから見る『モンバス』の光景は、自分にとって特別な光景、とのこと。わかる気がする。こんな素敵な地形の野外フェス、僕も他に知らないし。とにかく、やる曲やる曲どれもたまらなくエモーショナルだし、言うこと言うことどれもいちいち刺さる。
「最近になって俺、人生の意味がわかってきてるんだよね。俺たち必ずもう1枚アルバム作ります、世の中をひっくり返すような」と告げる細美。「おまえら、疲れてるけど声は出んだよな? 『モンバス』の歴史の中で、いちばんでかい声で歌ってくれよ」という言葉から始まった「Make A Wish」のシンガロングの大きさ、確かにこのフェスの歴史に残りそうなボリュームだった。
「金星」で本編終了。イヤなことはいっぱいある、自分でも制御できない感情とか。でも最後だけはネガティブゼロ、明日からまた戦おうーーと、さらにアンコールで「スターフィッシュ」が披露された。
写真=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
写真=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
写真=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
写真=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
写真=Tsukasa Miyoshi (Showcase)
なお、細美も触れていたが、今年は昨年までよりも終演が30分早く設定されていて、アンコールが終わっても、まだうっすら明るい。そうか、じゃあ今年は花火、ないんだな。と思ったが、その瞬間、これまでと同じように、何発もの花火が打ち上げられた。思わず「うわあ!」と声を上げてしまった、うれしくて。
撮影=河上 良
文・兵庫慎司 写真=河上良、桃子
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レポートで掲載しきれなかったライブ写真やソロカットをたっぷりと公開!