一色洋平、石黒賢、一路真輝、山路和弘ら出演 舞台『キオスク』上演が決定
『キオスク』
2025年12月5日(金)~10日(水)パルテノン多摩・大ホールにて舞台『キオスク』の上演が決定した。
本作は、オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説『キオスク』を作者本人が戯曲化したもので、ウィーンで初演された。本作で描かれるのは、ウィーンのキオスク(タバコ店)で働くことになった17歳の青年フランツの、さまざまな大人たちとの交流や初恋を通じた波乱の成長と、ウィーンで出会った愛するものを通して政治、世情と向き合う物語。舞台となる1937年から38年にかけてのオーストリアは、ナチスドイツが台頭し、ヒトラーによるホロコーストが始まり、人種差別が横行する世界。そんな時代に多感な時期を過ごすこととなったフランツの切なくも純粋な青春と、Black Lives matter運動がおこる現代への警鐘にも、心が突き動かされる。
日本では、2019年12月から翌年1月に、原作小説に忠実に石丸さち子上演台本・演出でリーディング公演として東京、兵庫で初演され、21年初頭にはローベルト・ゼーターラー本人による戯曲版が、石丸さち子の演出で、東京、兵庫、愛知、静岡、広島で上演され好評を博した。
出演は、近年舞台作品を中心に目覚ましく活躍する一色洋平、 トレンディードラマで一世を風靡し、現在も映像作品、舞台の話題作に主要な役で出演している石黒 賢、宝塚歌劇団トップスターとして活躍、退団後も多彩な舞台、映像作品に意欲的に出演する壮 一帆、戦隊シリーズや2.5次元作品で存在感を示し、その他の数々の舞台にも出演を重ねる陳内 将、演劇界を牽引する演出家の作品に出演が続き注目される内田健司、所属する文学座の公演を中心に進境する小石川桃子。更に、本作の2019年のリーディング公演、21年の戯曲版日本初演において卓越した演技で作品の支柱であった他、各々多くの舞台作品、映像作品で活躍を続ける一路真輝、山路和弘が出演する。
石丸さち子
フランツの勤めるキオスクは、新聞から葉巻、エロ本まで扱う「精神と快楽の殿堂」。
彼は様々な論調の新聞から、愛し尊敬する大人たちから、はじめての恋から、自分を見つけ、成長していきます。流れに乗るのではなく自分で感じ考えて。
彼の成長の清々しい真っ直ぐさは、ナチスドイツ台頭のこの時代には通用しなかったかもしれません。でも、その時そこに彼が生きたというだけで、この世界はまだ絶望には至らないと信じられるのです。
初演以来、末澤誠也さん、林翔太さんと、丁寧に演じてつないでいただいたフランツを、今回は一色洋平さんに託します。この役にぴったりの真っ直ぐな生き様が、演劇界で瞠目されている彼の人間力が、「キオスク」に新しい風を吹かせてくれるでしょう。
彼を取り巻く大人たち、女性たちにも、素晴らしいキャストが集いました。ご期待ください。
一色洋平
物語の終盤、フランツが決死の覚悟である行動に出る一夜へ向けて、役者としてどう立ち向かうべきか。
今は正直、原作を読みながら武者震いしています。
ですが、時代に振り回されながらも、縁に恵まれていることに気付き、それを自分なりに大切に育てていったフランツのように、強くも柔らかな心を持って作品に臨みたいと思っています。
3年半前にリニューアルされたパルテノン多摩にて、12月、心よりお待ち致しております。
石黒 賢
このお話をいただいた時、私に様々な影響を与えてくれた人達の事を改めて思い出しました。
今回演じますオットーはキオスクの店主。青年フランツに仕事の仕方はもちろん、いろいろな事を教えます。
信念を持って時には言葉で時には行動で。世界に不穏な空気が漂う今、このような作品に参加する深い意味があるのだと思います。
一路真輝
初演のリーディングから関わらせていただき、今回もまたこの作品と向き合わせてもらえる事をとても光栄に思っています。
息子フランツが母親に送る絵葉書!美しいウィーンの風景と、フランツの生き生きとした母への報告、それが純粋であればあるほど、1937年オーストリアに迫り来る不穏な情勢が浮き彫りになってきます。戦後80年の今年、この作品を上演する意味を深く考えたいと思っています。
山路和弘
同じ作品の同じ役をリーディング公演で演じ、その後にストレートプレイでも演じ、そして今回改めて同じ役を演じる、大切にしたい機会だと思っています。
リーディング公演の際はやや好々爺の趣で演じ、ストレートプレイの際は、生身の役者同士が向き合う感覚が強く、人物像もより濃いものになっていました。稽古が始まった当初、リーディング公演のままのフロイトが出てくると、自分に毒づいていました「だからお前は進歩しねえんだ」って(笑)。
フロイトのような学者には、純粋な子供っぽい部分があると思いますので、かなり歳の離れたフランツと友達になることが自然体に出せればと考えています。60代後半で出会った80代のフロイト役に、70代で臨む楽しみも感じています。