スーパー歌舞伎『もののけ姫』記者発表に市川團子らが登場。「共に生きる」とは

レポート
舞台
13:45
(左から)横内謙介、市川中車、市川團子、中村壱太郎、 鈴木敏夫

(左から)横内謙介、市川中車、市川團子、中村壱太郎、 鈴木敏夫

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1997年7月12日、宮崎駿監督によるスタジオジブリ作品『もののけ姫』が劇場で公開された。 あれから、約30年。2026年7月にスーパー歌舞伎として上演される。「共に生きよう」 アシタカがサンへ伝えるこの言葉を、今を生きる私たちはどう受け止めるべきだろうか。

「作品の壮大なスケールを舞台で演じる」記者発表で若きスターが見せた覚悟

1986年に産声を上げた、スーパー歌舞伎。初演から、2026年で40周年を迎える。 待望の新作としてスーパー歌舞伎『もののけ姫』の上演が予定されている(アシタカ役・市川團子、サン役・中村壱太郎、演出・横内謙介、新橋演舞場で7月3日から8月23日まで)。
6月5日に東京・八芳園にて記者発表が行われ、株式会社取締役副社長・山根成之、株式会社スタジオジブリ取締役 鈴木敏夫、市川團子、中村壱太郎、市川中車、そして横内謙介が登壇した。 会場にはメディアが所狭しと集まり、スチールとムービーを含めて、何十社も受付に並んでいた。その注目度の高さがうかがえた。会見中、壱太郎が、「キャリアの中で、これだけこんなにも熱気で満ちた記者発表は初めてです!」と前のめりで明るく話していたが、歌舞伎の取材歴がだいぶ長くなってきた書き手の私も、こんなに熱気あふれる会見は珍しいと感じていた。
先日SPICEでインタビューをした市川團子は、緊張の面持ちながら澤瀉屋一門を引っ張っていく存在として、凛とした姿を見せていた。 「スーパー歌舞伎は、祖父が命がけで創始したものでございます。祖父のライフワークだったスーパー歌舞伎を、祖父のいない世界で初めて上演する。正直、怖さもありますが、しっかりと覚悟を持って、皆で力を合わせて、誠心誠意、舞台を創っていきたい」と、噛み締めるように話し、「明日の活力になるような舞台にしたい」と観客への思いをにじませた。
サン役を務める中村壱太郎は、四世・坂田藤十郎の孫、中村鴈治郎の長男として、5歳から舞台に立ってきた、今後の上方歌舞伎を担う存在だ。近年では映画『国宝』の所作指導をした人と言えば、ピンとくる人も多いのではないだろうか。あの美しい世界を生み出した屋台骨の1人である。 「僕らは今冒険をしています。新時代の幕開けとなる舞台になると思う」舞台への熱い意気込みを語りながら、「團子は年上の相手役でも嫌がらないでくれてありがたい」など、軽妙な語り口で、会見の雰囲気を和ませていた。
中車は、團子が生まれたころ、何度も会場である八芳園の近くのマンションに猿翁を訪ねていたそうだ。 「八芳園の周りには駐車場がなく、タイムズを苦労して探しました」と会見場を笑わせつつ、 「今日ここに、父が来ていると思う」。 市川團子の父として、市川猿翁の息子として、感慨深い様子だった。

「逆風」の中で始まった『もののけ姫』とスーパー歌舞伎

「はじめまして。……じゃないですね」 と報道陣に茶目っ気たっぷりに話し始めた鈴木プロデューサー。もののけ姫を作り始めたころ、周りからかなり反対されたそうだ。 「映画でわざわざ時代劇?流行らない、違うのでは」と言われながら、問題点をクリアして公開までこぎつけた作品だったが、いざ公開されれば大ヒット。興行収入は193億円となり、歴代記録を塗り替える社会現象となった。なお、リマスター版や再上映などを経て、現在は214億円まで記録を伸ばしている。 「そんな作品が歌舞伎となるのは感動です」 としみじみする鈴木プロデューサー。「スーパー歌舞伎は、僕の友人に尾田栄一郎って人がいて、その人に連れていってもらったことがありました。原作は読みにくくてあんまり読んでないけど、歌舞伎になったらわかりやすくて面白かったからいいなって」と鈴木節たっぷりで語っていた。宮﨑監督は歌舞伎になることを「もののけ姫はチャンバラなんだから」と納得した様子だったのだとか。 ちょうど團子と壱太郎が鈴木プロデューサーのラジオに出演したばかりで、このお二人なら大丈夫だ、と太鼓判を押していた。 「スーパー歌舞伎も、ありとあらゆる反対をされながらの幕開けだった」 長くスーパー歌舞伎に関わってきた演出の横内謙介も振り返る。「現代人に届く歌舞伎を創らなければならない」と猿翁はストーリーにこだわり続けて、横内に毎回スローガンを聞いてきたそう。新・三国志ならば「夢見る力」など、それぞれの作品の芯を決めて演出を施してきた。 「『もののけ姫』では『共に生きよう』にした」と、猿翁の墓前で報告してから、会見に挑まれたそうだ。

『もののけ姫』が今の世の中に問いかけること

平成の世は東西ドイツの統一から始まり、湾岸戦争、EUの発足が進むなど、分断と対立、そして融合が繰り返されてきた。もののけ姫公開の97年は、香港島が英国から中国へと返還されている。 30年が経過しても「共に生きる」ことの難しさは変わっていない。それどころか、分断はますます加速し、今こうして私たちが過ごす中でも、違う民族、違う宗教、違う国、人々が共に生きることの困難に直面している人々は世界中にいる。 横内が、「アニメと歌舞伎という違う世界を融合させる、ある種のユートピアを共有したい」と話していた。 それは、人々が今、心の奥底で切に願う理想郷を、舞台上で描き出したいという意気込みを感じた。

「生きろ」。 そして、「共に生きよう」。
『もののけ姫』が発するメッセージはスーパー歌舞伎、歌舞伎俳優という新たな依代を得て、7月、いよいよ私たちの前に現れる。

取材・文=宇野なおみ

イープラスポーズでかっこよく決めてくれた中村壱太郎さん。後日インタビュー公開予定。お楽しみにお待ちください。撮影=山崎ユミ 貸切公演は7月公演は予定枚数終了。8月公演のお申込みもどうぞお早めに!

イープラスポーズでかっこよく決めてくれた中村壱太郎さん。後日インタビュー公開予定。お楽しみにお待ちください。撮影=山崎ユミ 貸切公演は7月公演は予定枚数終了。8月公演のお申込みもどうぞお早めに!

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公演情報

スーパー歌舞伎『もののけ姫』

スーパー歌舞伎『もののけ姫』

スーパー歌舞伎『もののけ姫』
原作/宮﨑 駿
オリジナル音楽/久石 譲
脚本/丹羽圭子 戸部和久
演出/横内謙介
協力/スタジオジブリ

 

出演:
アシタカ/シシ神:市川團子
サン:中村壱太郎
エボシ御前:中村時蔵
ジコ坊:市川猿弥
モロの君:市川笑三郎
甲六:市川青虎
猩々:市川寿猿
ヒイさま/トキ:市川笑也
ゴンザ:市川門之助
乙事主:市川中車

 
日程:2026年7月3日(金)~8月23日(日)
会場:東京・新橋演舞場

 
料金(税込):
1等席 17,000円 / 2等A席 10,000円 / 2等 B席 6,500円
3階 A席 6,500円 / 3階 B席 3,000円 / 桟敷席 18,000円
※未就学児童は満4歳よりお一人様につき1枚切符が必要です

公式HP:https://mononoke-kabuki.jp/
製作:松竹株式会社
 
<イープラス貸切公演>
7月公演: 2026年7月26日(日)16:00開演
8月公演: 2026年8月15日(土)16:00開演


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