結成10周年、3人で進むkoboreの現在地――プッシュプルポットと鳴らした“ライブハウスへの愛”
『kobore EMBERS TOUR 〜10th Anniversary〜』 撮影=滋賀作そら
『kobore EMBERS TOUR 〜10th Anniversary〜』2026.8.1(SAT)京都・KYOTO MUSE
2026年8月1日(土)、koboreの全国ツアー『kobore EMBERS TOUR 〜10th Anniversary〜』が京都・KYOTO MUSEにて開催された。バンド結成10周年の節目を迎えた今年、メンバーの脱退発表と同時に3人体制初となる新曲「ラストレイン」を配信リリースし、全国ツアー『kobore EMBERS TOUR 〜10th Anniversary〜』の開催を発表。6月から始まった本ツアーでは、全国のライブハウスで切磋琢磨してきたアーティストとの対バン形式に加え、各所でワンマンライブを挟む形でツアーを開始。今回は、京都公演の模様をお届けしたい。なお、ツアー後半からはセットリストがガラリと変わるということから、本レポートではネタバレが満載。佐藤赳(Vo.Gt)、田中そら(Ba)、伊藤克起(Dr)の3人による、これまで以上に熱量の高いライブパフォーマンスに注目してほしい。
今回のツアーではタフなライブバンドが名を連ねるなか、京都公演にはプッシュプルポットが参加。過去にはスプリットツアーを開催するなど、各地のライブハウスやイベントで共演を重ねてきた、強い結びつきを持つ組み合わせだ。この日のステージは、そんな2組が音楽へ、ライブハウスへ、そしてオーディエンスへ抱く熱い思いがぶつかり合う、印象深い一夜となった。
プッシュプルポット
プッシュプルポットは全力のシンガロングが沸き起こる「こんな日々を終わらせて」からライブスタート。「遊べんの? 遊ぼうぜ!」という山口大貴(Vo.Gt)の煽りに、桑原拓也(Gt.Cho)の爽やかなギター、堀内一憲(Ba/Cho)のご機嫌なリズム、明神竜太郎(Dr.Cho)の軽快なビートに、観客は盛大なシンガロングで応えていく。「一緒に作らないと意味がないよ!」、ライブハウスの楽しさを共に味わおうと、山口はこの日も何度となく観客に言葉を掛ける。「HOME」ではライブハウスの醍醐味を濃縮した、誰もが笑顔になれるご機嫌なバンドサウンドに魅せられ、あっというまにステージとフロアの境界が消えていく。
山口は「(佐藤)赳はクセがすごくて嫌いだったけど、気付いたらマブダチになった♪」と互いの仲について語り、今回のツアーに声が掛かったことを喜びつつも、koboreの近況に不安があったことも正直に吐露。「だからこそ、アイツに歌いたい。koboreはkoboreらしくいてくれ!」と、「ともに」で仲間への思いを歌で返していく。「アイツがいるから、あんたたちがいるから、今オレたちはこうやって生きてるんだよ!」。飾らないステージというより、嘘がつけないまっすぐな言葉と、ど真ん中に心を貫くシンプルなロックンロールサウンドにフロアが揺れる。
ライブ終盤、「互いの共通点は地方で音を鳴らしてきたこと。胸を張って帰れる場所がライブハウス」と語り、「ライブハウスが君らしくいられる場所になりますように!」と、観客はもちろん、koboreへ、そして自分たちにもエールを送るように。自分たちが自分らしくいられる場所で、フルスイングの音を鳴らし、「最終列車」まで全14曲を駆け抜けた。
kobore
深い青の光が鼓動を打つように点滅するなか、メンバーがステージに姿を現す。「(koboreは)大丈夫って言いに来ました! koboreです!」と佐藤赳(Vo.Gt)が叫び、1曲目に選んだのは「ラストレイン」。プッシュプルポットがこの日の最終曲に選んだ「最終列車」へのアンサーソングとも受け取れる楽曲だ。メンバー3人は初っぱなから気迫に満ちていて、なかでも武者震いのように体を震わせて歌う佐藤の姿から目が離せない。伊藤克起(Dr)のハリのある力強いビートも興奮を高め、田中そら(Ba)のタフなベースラインが拳を天井高く突き上げさせる。たった1曲で即座にわかる。今日のkoboreは絶好調だ。
「オレたち、変わってないだろ? そういうつもりで歌うんだよ、今日!」と、「この夜を抱きしめて」で思いの丈を存分にバンドサウンドにぶつけていく。「ライブハウスに救われたことはあるかい?」。佐藤の問いかけに観客は特大のシンガロングで応えるけれど、その問いに誰よりも反応していたのがkoboreだ。愛して止まないライブハウスへ、これがkoboreなんだと言わんばかりの全力のパフォーマンスを見せつけていく。
「夜に捕まえて」では機材トラブルがあったものの、おかわり演奏のサプライズで会場は和やかな雰囲気に。その後も、ポップに音がきらめく「スーパーソニック」、バンドのタフさとダイナミックさが際立つ「LALAPALOOZA」など、バンドの多彩を惜しみなく体感させていく。
「待っててくれて、そこにいてくれて本当に感謝しています。プッシュ、オレたちに大丈夫って言ってくれてありがとう。大事なやつほど弱いところは見せられない。大事だから、仲間だから。koboreは、(佐藤)赳は大丈夫だって思ってほしくて、嘘ついてました」。バンドへ、仲間へ、そしてファンへの思いは楽曲で感じてほしいと「ヨルノカタスミ」へ続く。3人は観客の目をじっと見つめながら演奏を続ける。その姿から、変わらずまっすぐに進む3人の決意や覚悟がダイレクトに伝わってくる。歌詞の最後にある“窓に光が射した”。その言葉は3人の進むべき道に光を灯しているようにも感じられ、誰もがただじっと立ち尽くして聴き入っていた。
ステージ後半も、バンドの決意を示すステージが続く。「いいからね」「テレキャスター」と、爆ぜる思いを楽曲にぶつけていく3人。“君の信じたライブバンドがダサいのはなんか嫌なんだよ”というフレーズが印象的な「STRAIGHT SONG」では、目の前の観客はもちろん、自らに言い聞かせるように“ロックバンド”然とした姿を誇示。続く「爆音の鳴る場所で」でもタイトル通りの爆音を鳴らし、ライブハウスの楽しさをめいっぱい体感させる。ライブバンドとしてこれからも生きていく。その決意が音となって繰り出され、がむしゃらに音を鳴らす3人の姿に誰もが心を強く揺さぶられ、観客は拳を高く突き上げ、シンガロングで音に応えていく。
「オレが歌っていたらkobore。ドラムが、ベースが鳴ってたらkoboreだから」。これからも変わらずkoboreであり続ける決意を告げ、ラスト曲「そのままのスピードで」へ。集まってくれた観客へ感謝を、そしてこれからの決意を込めて、3人で声を重ね、叫び、音を鳴らす。胸の高鳴りをストレートに音に込めた楽曲は喜怒哀楽全てを昇華するようで、すっと胸がすく。アンコール全14曲まで、驚くほどあっという間にライブが終わってしまったけれど、充実感や多幸感はたっぷり。翌日以降も「あの日のライブは良かった」と噛みしめられる、そんな一日だった。
『kobore EMBERS TOUR 〜10th Anniversary〜』 撮影=滋賀作そら
koboreのツアー『kobore EMBERS TOUR 〜10th Anniversary〜』はまだまだ続いていく。11月には東名阪でワンマン公演も決定し、今後もさらなる進化を続けていく3人の姿を、ぜひチェックしてほしい。
ツアー情報
※終了した公演は省略
10月12日(月祝) 福岡 Queblick ※ONEMAN
10月18日(日) 高松 DIME w/ Brown Basket
10月25日(日) 水戸 LIGHT HOUSE w/ the paddles
11月1日(日) 札幌 SPICE ※ONEMAN
11月3日(火祝) 仙台 MACANA ※ONEMAN
11月7日(土) 岡山 CRAZY MAMA 2nd Room w/ アルステイク
11月14日(土) 金沢 vanvan V4 w/ TOTALFAT
11月21日(土) 名古屋CLUB QUATTRO ※ONEMAN
11月22日(日) 梅田 CLUB QUATTRO ※ONEMAN
11月28日(土) Zepp Shinjuku ※ONEMAN