早見あかり、田中圭らが描く夢の世界―「夢の劇-ドリーム・プレイ-」公開稽古
早見あかり/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
4月12日(火)からKAAT神奈川芸術劇場ほかにて上演されるKAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」。スウェーデンの作家ヨハン・アウグスト・ストリンドベリが描いた精神世界の迷宮のような混沌とした“夢”の世界を白井晃と長塚圭史のタッグで舞台化した作品だ。
本作の稽古の模様が30日(水)マスコミに公開された。
天井からは椅子や何かのフレームのようなものがつるされ、上手にはガラクタの集積場のようなものが、そして下手には丘のような段が設けられている稽古場。演出を務める白井は出演者でもあるため、今日の流れを説明したあと、「私の代役を長塚圭史さんがやってくださいます。贅沢なアンダースタディです」と語り、取材陣を笑わせていた。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
この日は神インドラの娘アグネス(早見あかり)が、地上に降りてきて人間界で様々な体験をしたあと、フェアヘブンという憧れの場所に行こうとするが、なぜか全く違うひどい場所にたどり着いてしまう…という場面からスタート。
小舟のような台車を森山開次が早見、山崎一を載せたまま、滑るように目的地(ではなかったが)に運んでいく。その後から別の乗り物で夫婦もしくは恋人のような男女(玉置玲央、高瀬瑶子)が流れ着く。が、その場所があまりに汚い場所だったことに二人は不満をぶちまける。物語の流れに絡みながらも、神の娘として人間の様子を俯瞰で見つめるアグネス。「人生は残酷…人間って哀れだわ」とつぶやくセリフは、ここまでの出来事を彷彿とさせる一言だった。
早見あかり、山崎一/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
玉置玲央、高瀬瑤子/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
田中圭/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
その後、嵐が吹き荒れた後(ポールダンサーの激しい動きがそれを表現している模様)、一転して村祭りのようなダンスが始まる。全体の振付を担当しつつ自身も踊る森山と、他のダンサーたちの動きは、コンテンポラリーバレエのようでもあり、ときにインドの民族舞踊のような手足の動かし方をしていた。ときどき、白井が指示を出すために全体の動きを止めたときでも、森山と玉置が、また森山と別のダンサーが踊りの確認をしていたのが印象的だった。
白井晃、長塚圭史/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
森山開次 ほか/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
江口のりこ/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「夢の劇 -ドリーム・プレイ-」
そんな楽しげな祭のさなかであっても、不器量に生まれてしまった娘が誰にも相手にされず己を嘆く…人間たちの痛みを悲しそうな表情で静かに見守っているアグネス。果たしてこのあとどんな物語が待ち受けているのだろうか。
■日時・会場:
【神奈川公演】2016年4月12日(火)~30日(土)KAAT神奈川芸術劇場<ホール内特設ステージ>
【松本公演】2016年5月4日(水・祝)、5日(木・祝)まつもと市民芸術館 実験劇場
【兵庫公演】2016年5月14日(土)、15日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
■構成・演出:白井晃
■台本:長塚圭史
■振付:森山開次
■出演:早見あかり、田中圭、江口のりこ、玉置玲央、那須佐代子、森山開次/山崎一、長塚圭史、白井晃 ほか