壮一帆、紺野まひる、岸祐二、泉見洋平、吉原光夫、一路真輝。実力派6人が繰り広げるタイムスリップ・コメディ『扉の向こう側』開幕!

レポート
2016.11.11
撮影:岸隆子

撮影:岸隆子


11月11日、兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホールにて、舞台『扉の向こう側』が開幕した。

『扉の向こう側』は男役トップスターとして観客を魅了してきた元宝塚歌劇団雪組・壮一帆が、宝塚退団後、初の女性役、しかも2036年のSMクイーンに扮し、セクシーなコスチュームになる、という情報でも注目を集めた。“イギリスの喜劇王”とも言われるアラン・エイクボーンが、1994年に執筆した作品で、今まで日本でも、幾度か上演されている。演出を担当する板垣恭一は、この作品を手掛けるのは2度目となる。

壮は退団後、舞台『エドウィン・ドルードの謎』で"青年役を演じる壮一帆役”を、「Honganji」では性別を超越した美しき僧を演じた。今回のSMクイーン・フィービー役は、満を持しての初の”女性役”である。物語は、イギリスの五つ星ホテル「リーガル」のスィートルームが舞台。40年間の時空を行き来しながら、殺すか殺されるかのスリルと、それぞれの時代に生きる女性たちの奮闘ぶりが堪能できる、痛快タイムスリップ・サスペンス・コメディだ。

ホテルの部屋には、過去に2人の妻を殺した罪を悔い、懺悔の心を込めて告白文を書いた70歳の実業家のリース(吉原光夫)がいた。そこに、仕事の依頼を受けやって来たSMクイーン・フィービーが現れる。壮がコートを脱いだ瞬間、観客が目にするのは黒いあのコスチューム。それだけでもかなりの刺激ではあるが、それ以上に長い足と抜群のスタイルが目を引く。壮の飾らない性格が、一見はすっぱだが、人の良さやどこか素朴な雰囲気も持ち合わせるフィービーという人物にも反映されているようにも思える。

撮影:岸隆子

撮影:岸隆子

事件に巻き込まれ命の危険を感じたフィービーが開けたドアの向こうに待っていたのは、2016年の同じスィートルームにいるリースの2番目の妻・ルエラ(一路真輝)。様々な人生経験から得た落ち着きと凛とした理知性をもつルエラを、一路は、自然に魅力的に演じている。ルエラという女性がこの物語において大きな核になるであろうことを予感させる。そして更に20年遡るもう一つの時代、1996年にはリースの最初の妻・ジェシカがいた。紺野まひる演じるジェシカは、上品で清しく可憐。新婚ほやほやで、まだ未来しか見ていないジェシカにリアリティを与え、フィービーやルエラのような、人生の影を内在する人物とはまた違う空気をもつ人物像が際立つ。

男優陣も力強く層が厚い。リースを演じる吉原光夫は、成り上がって来た実業家の強さと、世の中の裏表を見て来た複雑な人物像に加え、朽ちて行く人の哀れを巧みに演じる。岸祐二演ずるジュリアンは、リースの忠実な共同事業者であり、強面に物事を遂行するが心に持つ闇ゆえか、時折見せる静かな恐さが印象的だ。騒動に巻き込こまれてゆくホテルの警備員ハロルドを演じるのは、泉見洋平。唯一、絡み合う人間関係とは別のところにいる人物だが、その軽やかな居住まいとコミカルな風合いは芝居に心地よいリズムを与えている。

ミュージカルで主演も多く務めてきた6名のスターキャストが、ストレートプレイでも、実力を遺憾なく発揮し贅沢な劇空間を生み出している本作品。彼らが舞台上にいるだけで、劇場は一気にイギリスの高級ホテルと化し、移り変わる時空に観客は誘われる。

息もつかせぬ展開にハラハラドキドキしながら、劇場を出る時には、愉快な気持ちと、切ない気持ちが残る作品になるに違いない。深まる"芸術の秋"に必見の一作だ。

兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールの公演後、順次、東京・東京芸術劇場 プレイハウス、名古屋・青少年文化センター アートピアホール を巡演する。

撮影:岸隆子

撮影:岸隆子

初日を迎えるにあたり、演出の板垣恭一と主演の壮一帆が意気込みを寄せた。

演出・板垣恭一
「今、開幕を一番楽しみにしているのは、創っている僕らかもしれないです。お客 様がどんな風に喜んで下さるのか、もしくは厳しい目でご覧下さるのか。この数 日間、そんなところがドキドキでもあり、ワクワクでもありました。 ネタバレになるので多くはお話し出来ませんが、この作品の魅力は、タイムワープする という仕掛け以上に、この人間関係がどうなっちゃうんだろう、というハラハラ ドキドキがずっと続くこと。最後は、人間の生きざままで考えさ せられる作品でもありますが、とにかくエンターテインメントであることを前提 に創っておりますので、楽しんで頂けたらと思っています 」

フィービー役・壮一帆
「本番の舞台で、どれだけのエネルギーを消費し、どこまで集中できるのか、ストレートプレイはまだまだ経験が浅い私には未知の世界です。とにかく体当たりでぶつかりながら、いいペースをつかむ事が出来たらと思います。絶対に妥協はせず、共演する方の呼吸を感じて、フィービーとしてのボールをどんどん投げて楽しいお芝居にしていきたいと思います。今回、宝塚もある兵庫から初日を開けますが、阪神大震災後、こんなに町がきれいになったんだな、と改めて感慨深いものがあります。個人的にはタイガースショップがあり、そこに早速遊びに行きました(笑)。皆様にお楽しみ頂ける作品になると思いますので、是非、劇場に足をお運び頂けましたら幸いです」

公演情報
『扉の向こう側』
 
■作:アラン・エイクボーン
■翻訳:芦沢みどり
■演出:板垣恭一
■出演:壮 一帆、紺野 まひる、岸 祐二、泉見 洋平、吉原 光夫、一路 真輝
■公演日程/会場
<兵庫公演>2016年11月11日(金)~13日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
<東京公演>2016年11月16日(水)~23日(水・祝)東京芸術劇場 プレイハウス
<名古屋公演>2016年11月28日(月)青少年文化センター アートピアホール
■オフィシャルサイト:https://tobira-no-mukogawa.amebaownd.com
■問い合わせ:キューブ 03-5485-2252(平日12時~18時)

 
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