J-POPダンス学園コメディ舞台『ピカイチ!』、梅棒・伊藤今人 & w-inds.千葉涼平が大阪で見どころを語った

インタビュー
舞台
2017.5.27
『ピカイチ!』2社合同インタビューにて(撮影/石橋法子)

『ピカイチ!』2社合同インタビューにて(撮影/石橋法子)


男性だけのダンスエンタテインメント集団・梅棒の最新作『ピカイチ!』は初の学園モノ。w-inds.千葉涼平が演じる”最強転校生”が巻き起こす懐かしくもバカバカしい、青春コメディだ。梅棒リーダーの伊藤今人とゲスト出演の千葉涼平が、大阪で合同インタビューに応えてくれた。彼らが語るダンス×演劇×J-POPを詰め込んだ、本作の見所とは?

「千葉くんはダンス、演劇、梅棒にないカッコよさまで兼ね備えた貴重な人材です!」(今人)

ーー『ピカイチ!』は、どんなお話になりそうですか?

伊藤今人(以下、今人) 高校が舞台のドタバタ青春コメディです。千葉くん演じるとんでもない転校生によって乱された学園の平和を取り戻すため、生徒たちががんばる!という話。タイトルは、この学校で一番輝く、一等賞になるというイメージです。前回公演『GLOVER』がシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を題材にした愛がテーマの物語だったので、次はもっとバカバカしい作品がやりたくて。梅棒は中二男子がそのまま大きくなったような集団なので、そのバカバカしさを活かすなら学園モノがいいだろうと。今回ゲストの千葉くんには、悪役を演じてもらいます。

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

千葉涼平(以下、千葉) 僕は梅棒さんの前回公演『GLOVER』を拝見させて頂き、そこで今人さんとご挨拶をさせて頂きました。「ご一緒したいですね」という話から、すぐにオファーを頂いて。

今人 「今人さんのこと好きなんです」と言われたらすぐデートに誘っちゃう、みたいな(笑)。すぐ本気にしちゃうので。基本的にダンスが出来て演劇にも抵抗がなく、かつ貪欲に変なプライドもなく新しいフィールドに飛び込んでいける。そういうメンタルの持ち主で、さらに梅棒にない”カッコよさ”を持っている人って結構いない。俳優さんでも踊りとなるとなかなか難しいですから。そんな中、千葉くんはすべてを兼ね備えている。貴重な人材なので、毎回出てくれたらいいのにな~(笑)。

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

ーーそんな千葉さんは今回、悪役でのご出演です。

千葉 プレッシャーです(笑)。今まではわりと真面目で芯が通っている役が多かったので、悪役は初めてですね。普段も人見知りだし、自分とは真逆のキャラクターです。

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

今人 そういう役をあえてやって欲しいということですよね。梅棒ならではの、この舞台でしか観られない千葉涼平くんを観せられると思います。

ーー千葉さんは梅棒作品について、どのような印象をお持ちですか。

千葉 『GLOVER』は、ダンスの舞台というキーワードだけで観に行ったので、劇中でJ-POPを使うことや、冒頭で今人さんがひとり語りをしている姿に驚きました。演劇において幕開きの場面って一番大事だと思うので、そこでのカリスマ性はすごい大事だなと。物語にも一気に引き込まれたので、印象に残っています。

千葉涼平(w-inds.)

千葉涼平(w-inds.)

ーー確かに、語りの場面は印象的でした。

今人 梅棒はノンバーバルの舞台ですが、分からないことがあると、お客さんのストレスになっちゃうので、そこは意固地にならず最初に言葉でストーリーを伝えています。その方がダンスだけで伝えていく後半の部分もすっきりと伝わるので。梅棒は言葉を拒否した集団だと思われると、ちょっと違うかな。

左から伊藤今人(梅棒)

左から伊藤今人(梅棒)

ーーそれは、梅棒が人気を集める理由のひとつかもしれませんね。

今人 最近ストーリーのあるダンス公演が増えていますが、ダンスもやって芝居もやりたいと思う人は基本的に欲張りな人が多い。でも実際に、物語を伝えてキャラクターごとに見せ場があって、なおかつダンスもカッコいいものにしたいとなると、いかにシンプルに引き算するかが大事で、ものすごいバランス感覚と繊細さが必要な作業になってくる。「すべての人が理解できるようにダンス公演を作る」ことを目標に長くやってきた僕らとしては、ダンスとアクティングでストーリーを説明することの難しさを身をもって知っている。と同時に「ここまでは伝わるけど、ここからは伝わりにくい」という線引きができる。そこが分かっているということは、作品を成立させる上で僕らの強みだと思います。


「梅棒のように、すべての人に伝わるようなダンス公演は素晴らしいと思う」(千葉)

ーーリハーサルも始まっているそうですね。

今人 梅棒の舞台は、曲で進行のきっかけが決まっていて、そこから振付作業が入ってくるので、普通のお芝居よりも覚えないといけないことがやたらと多い。一ヶ月半という限られた稽古期間のなかで、1日に2曲ずつ場面を完成させて、残り何週間かを残した段階で通し稽古までもっていく。そこからお芝居の微調整に入っていくので。(千葉さんを見ながら)最初は結構すごいスピードで稽古が進んでいきますね。

千葉 がんばります(苦笑)。

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

ーー前回公演『GLOVER』でも、キャストはお話の流れを止めることなく、踊りながら舞台を転換したり。計算され尽くされたフォーメーションの美しさと正確さには、目を見張るものがありました。

今人 そこに気づかれると、結構恥ずかしいんですけど(笑)。こんなバカバカしいことをやっているのに、思いのほか稽古はストイックにやっている方だと思います。今回も学校の屋上とか高いセットになると思うので、相当気を張ってやらないと。そういう意味では、空間把握が苦手とか、今何をやるべきか自分で判断できない人は、梅棒の舞台は難しいかもしれません。

左から伊藤今人(梅棒)

左から伊藤今人(梅棒)

ーーダンサーでもある千葉さんの視点から見て、梅棒のステージはどのように映りますか。

千葉 『GLOVER』は特にダンスのジャンルも多彩で、エンターテインメントとダンスがうまく絡み合っていて、すごく楽しんで観れました。ダンス公演には、分かる人だけ分かればいいというようなアート寄りの公演もあってそれも良いと思うけど、梅棒のようにすべての人に伝わるようなダンス公演も素晴らしいと思う。ただ、やる側としては簡単ではないんだろうな(笑)。

千葉涼平(w-inds.)

千葉涼平(w-inds.)

ーーJ-POPを使った演出も”伝わりやすさ”の要因かもしれません。

今人 そうですね。今回のセットリストも楽しめると思いますよ。最近の曲はもちろん、梅棒と同世代の30代、そして40代以上の方が懐かしく感じる曲もあるので、どの年代の方でも楽しんで観て頂けると思います。

ーー梅棒ファンは20代が中心ですよね?

今人 じつはそうでもないんですよ。時々一人で観に来てくれるおじさんとかもいて、それが嬉しいな~と思ってね。だって、女の子のそういう”追っかける情熱”っていつまで続くか分からないじゃないですか(笑)。スッと離れていったりもすると思うんですよね。w-inds.はどうなの? 「あんなに応援してくれてたのに!」みたいなことないですか。

千葉 確かに熱量がスゴい人ほど、突然いなくなるかもしれません(笑)。逆にグレーな感じの人のほうが長くファンでいてくれる。「最近ライブには行けてないけどCDは買って聴いています!」みたいな。息の長いファンが多いですね。

千葉涼平(w-inds.)

千葉涼平(w-inds.)

ーーおじさんファンはどのタイプ?

今人 おじさんは息が長くて熱いんですよ。特殊ですね(笑)。「新しく生きる刺激をもらった!」、「これを人生の楽しみに生きていこうと思う!」とか、本当に達筆な手紙とかいただくんですよ。失われた青春を思い起こさせるんじゃないですかね。元気になってもらおう!というのは、目指している部分でもあるので。今回もおっさんの心は、つかむでしょうね~。

左から伊藤今人(梅棒)

左から伊藤今人(梅棒)

ーー最後に改めて、お誘いのメッセージを。

千葉 前作『GLOVER』も心に残る作品だったので、まだ梅棒さんを観たことがないファンの方には、僕をきっかけに新しい扉を開いて貰えると嬉しいです。僕自身もまだどういう仕上がりになるのか分からないので、ワクワクしています。お客さんと一緒に舞台を作っていけたらいいなとも思っているので、ぜひ劇場に遊びに来てください。

今人 今回は学校が舞台なので、お客さんも自分の経験と重ね合わせた上でのノスタルジーや、そこから少しぶっ飛んだ設定でのコメディによる痛快さを味わえる、「これぞエンタメ!」という作品になると思います。本当に何も考えず物語に浸れてスッキリできるので「嫌なことを忘れて笑いたい」という人にもぴったり。ダンスに興味がある人もない人も、「こんな舞台があったのか」という、新たな人生の刺激になれること請け合いです。

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

左から伊藤今人(梅棒)、千葉涼平(w-inds.)

取材・文・撮影=石橋法子

公演情報
梅棒 7th ATTACK『ピカイチ!』
 
■作・総合演出:伊藤今人(梅棒)
■出演:伊藤今人、飯野高拓、鶴野輝一、遠山晶司、遠藤 誠、塩野拓矢、櫻井竜彦、楢木和也、天野一輝、野田裕貴(以上梅棒)、千葉涼平(w-inds.)、吉川 友、YOU、パイレーツオブマチョビアン、suzuyaka、一色洋平、KENZO MASUDA(GANMI/X'RATED CREW)、MOMOCA(LUCIFER)、魚地菜緒、後藤健流

<東京公演>
2017年6月23日(金)~7月2日(日)
会場:Zeppブルーシアター六本木
 
<大阪公演>
2017年7月4日(火)、5日(水)
会場:森ノ宮ピロティホール
 
<福岡公演>
2017年7月8日(土)、9日(日)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
 
<愛知公演>
2017年7月12日(水)、13日(木)
会場:名古屋アートピアホール

■公式サイト:
http://www.umebou.com/

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