TVアニメ『ピアノの森』メインピアニスト連続インタビューvol.2~髙木竜馬(雨宮修平の演奏を担当)

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2018.6.8
高木竜馬

高木竜馬


NHK総合テレビにて2018年4月8日より放送中のTVアニメピアノの森が話題を呼んでいる。一色まことの同名漫画作品をアニメ化した本作は、森に捨てられたピアノをおもちゃ代りにして育った主人公の一ノ瀬海が、かつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平などとの出会いの中でピアノの才能を開花させていき、やがてショパン・コンクールで世界に挑む姿を描く、感動のストーリーである。

TVアニメ「ピアノの森」PV ©一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ


このアニメに登場するクラシックピアノ曲は、世界で活躍する気鋭のピアニストたちが各キャラクターの役を担いつつ実際の演奏に参加している。阿字野壮介の演奏には反田恭平、雨宮修平には髙木竜馬、パン・ウェイにはニュウニュウ、レフ・シマノフスキにはシモン・ネーリング、そしてソフィ・オルメッソンにはジュリエット・ジュルノーと、それぞれのキャラクターの出身国と雰囲気に合せながら、高い実力と人気を兼ねた若手ピアニストたちが"メインピアニスト"として起用されている。

TVアニメ「ピアノの森」ピアニスト紹介VTR ©一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ


SPICEでは、この"メインピアニスト"たち5人に焦点をあてたインタビューを連続リレー企画として掲載する。前回の反田恭平に続き、第2弾の今回は、幼い頃からピアノの道を志し、数々の国際コンクールで優勝や入賞を果たしてきた期待の新星、髙​木竜馬の登場である。ウィーン国立音楽大学及びイモラ国際ピアノアカデミーに特別奨学生として学び、ウィーン楽友協会大ホールにもデビューしている実力者だ。カイのよき相棒でありライバル、雨宮修平の演奏を担当する。「ピアノの森」の原作コミックを愛読してきたという彼に、本作への思いを語ってもらった。


――「ピアノの森」のコミックの大ファンだったそうですね。

「もともと妹が熱心に読んでいまして、その勧めで僕も読むようになり、すっかり夢中になりました。今日もここに来る前に読み返していて、思わずウルっときてしまい……電車のなかでひとり、嗚咽していました(笑)」

――雨宮修平という人物には、どんな印象をお持ちでしたか?

「一読者として読んでいたときは、自分とは少し違うタイプなのかなと思っていました。けれど今回、雨宮のピアノを演奏する役をいただき、もう一度じっくり読み返しながら“雨宮修平とは一体どういう人物なのか”という分析(アナリーゼ)をしてみたんです。雨宮にとって、自分にないものをすべて持っている存在がカイだった。ゆえに彼はカイに対して憧れを抱くと同時に、嫉妬や恨みといった感情も渦巻き、心の中に鬱々としたものを抱えながら生きています。でも、こうした負の感情は人間なら誰しもが持っているものですよね。それをシンボリックに描いたのが、雨宮というキャラクターなのではないかと思うんです。“ああ、私もそうだよ”って読者が自身を投影して、共感するようなキャラクターなのではないかと」

――なるほど、髙木さんも雨宮に共感する部分があったのですね。

「僕ももちろん、憧れの存在を前にして、雨宮のようにネガティヴな気持ちを抱くことはあります。それに、雨宮は父親がピアニスト、僕は母親がピアニストだったこともあり、物心ついた頃からごく身近に音楽があって、ピアノを弾くことが自分の人生なんだと子どもながらに思っていたという点では、共通したものがあるかもしれません。とにかくピアノが好きで、悩むこともたくさんあるけれど、その葛藤を救ってくれるのもまたピアノであり。ピアノのない人生は考えられないのです」

――そんな髙木さんにとってピアノとは?

「自分が生きている意義そのものですよね。ただ、ピアノを弾くこと自体が人生の意義なのではなく、聴いてくださるお客さまに届いてはじめて、意義のあるものになるのではないかと思っています。私たちは演奏会の当日、ホールに行って、ピアノに“はじめまして”と挨拶をして、調律師さんとミリ単位の調整をしながら、ベストな響きを作り上げます。そして本番、調律した音がホールに響いて、お客さまの耳に入り、心に届く。でもそれはまだ途中経過で、次の日にお客さまが“なんか元気になったかも”“仕事頑張ろう”とか思ってくださったときに、自分が演奏した意義が生まれるのではないでしょうか」

――今回、雨宮として演奏するにあたり、意識したことはありますか?

「この作品のファンの方々はきっと、雨宮の演奏に対して、理知的で客観的、技術の冴えわたった正当派なイメージをお持ちだと思います。けれど彼が唯一、自身の内なる感情を発露できる場所がピアノでもあるのですよね。ですから今回のレコーディングでも、激しい曲調の部分は思いっきり激しく弾きました。思いのたけをぶわあってぶつけるように」

――最後にご覧になるみなさんへメッセージを

「「ピアノの森」は、ピアノを専門的に学ばれている方でも、クラシック音楽に一度も触れたことがない方でも、誰もが楽しめる作品だと思っています。音楽って、ピアノって、こんなに面白いし、こんなに泣けるし、こんなに笑えるし、こんなに崇高だし……そんな魅力が余すところなく描かれていますので、ぜひご覧いただけましたら幸いです」


木竜馬 Ryoma Takagi (雨宮修平):
1992年千葉県生まれ、25歳。2歳よりピアノを始め、7歳より故エレーナ・アシュケナージ女史に師事。16歳より故中村紘子、ミヒャエル・クリスト各氏に、22歳よりボリス・ペトルシャンスキー氏に師事する。渋谷幕張高校在学中に、ウィーン国立音楽大学コンサートピアノ科に最優秀の成績で合格。現在、特別奨学生として在学、また、イタリアの名門、イモラ国際ピアノアカデミー本科に併修。第6回ホロヴィッツ国際ピアノコンクールや第26回ローマ国際ピアノコンクールなど、7つの国際コンクールで優勝。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートでつとに有名なウィーン楽友協会大ホール(黄金のホール)を初め、サントリーホール、ミューザ川崎シンフォニーホール、横浜みなとみらい、新国立劇場、東京文化会館、紀尾井ホール、モスクワ音楽院大ホール、クレムリン宮殿、キエフ国立オペラ座、ローマヴァッレ劇場、ローマキリノ劇場、ミュンヘンガスタイクホール、ウィーンコンツェルトハウス、シェーンブルン宮殿など、国内外の主要なホールで演奏。現在、日本とウィーンを拠点に広範な演奏活動を続ける。TV『題名のない音楽会21』『〈東京の夏〉音楽祭』等に出演。演奏の模様は『オーストリア国営ラジオ』 『BSジャパン』『NHK-FM リサイタル・ノヴァ』等々にて放送される。江副記念財団 第35回 奨学生。
http://www.ezoe-mf.or.jp/schedule/music/takagi.html


 

放送情報

【放送情報】
TVアニメ「ピアノの森」
NHK総合テレビで毎週日曜24時10分より放送
関西地方は同日24時50分より放送
※放送日時は変更になる場合あり
●TVアニメ公式サイト http://piano-anime.jp
●Twitter @piano_anime_tv
●Facebook fb.me/piano.anime.tv
©一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ
 
【STAFF】 
原作:一色まこと(講談社『モーニング』所載)
監督:中谷 学(『マダガスカル3』CGスーパーバイザー)
シリーズディレクター:鈴木龍太郎(「スナックワールド」絵コンテ)
シリーズ構成:伊丹あき(「惡の華」)・あべ美佳(「団地ともお」)
キャラクターデザイン・総作画監督:木野下澄江(「ガーリッシュ ナンバー」)
美術監督:栫ヒロツグ(「“栄光なき天才たち”からの物語」「ラクエンロジック」)
色彩設計:吉村智恵(「放課後のプレアデス」)
撮影監督:臼田 睦(「ソード・アート・オンライン」)
編集:三嶋章紀(「四月は君の嘘」)
音響監督:長崎行男(「宝石の国」「聖☆おにいさん」)
音楽:富貴晴美(「西郷どん」(大河ドラマ)『関ケ原』(映画))
アニメーション制作:ガイナックススタジオ(「想いのかけら」)
製作:ピアノの森アニメパートナーズ
 
【CAST】
一ノ瀬 海:斉藤壮馬
阿字野壮介:諏訪部順一
雨宮修平:花江夏樹
 
パン・ウェイ:中村悠一
レフ・シマノフスキ:KENN
丸山誉子:悠木 碧
ソフィ・オルメッソン:伊瀬茉莉也
カロル・アダムスキ:小西克幸
平田光生:豊永利行
 
佐賀武士:遊佐浩二
司馬高太郎:家中 宏
 
一ノ瀬海(小学生):白石涼子
雨宮修平(小学生):大地 葉
雨宮奈美恵:三宅麻理恵
亜理沙:広橋 涼 
金平大学(キンピラ):くまいもとこ
 
一ノ瀬怜子:坂本真綾
雨宮洋一郎:田中秀幸
J=J・セロー:島田 敏
 
【メインピアニスト】 
反田恭平(阿字野壮介)
木竜馬(雨宮修平)
牛牛/ニュウニュウ (パン・ウェイ)
シモン・ネーリング  (レフ・シマノフスキ)
ジュリエット・ジュルノー (ソフィ・オルメッソン)
 
小学生時代(一ノ瀬 海、雨宮修平、丸山誉子)
上原心音
大山桃暖
佐原 冠
馬場彩乃
 
■【配信情報】「ピアノの森」 Piano Selectionシリーズ
TVアニメ「ピアノの森」オンエア終了直後に、各話の印象的なクラシック曲をチョイスし、各音楽配信サイトおよびストリーミングサイトで配信中!4月9日よりiTunes Store, レコチョク他、複数サイトにてダウンロード配信中!また、Apple Music, Spotify 他、定額音楽配信サービスにてストリーミング配信中!
 
■【CDアルバム情報】
「ピアノの森」Piano Best Collection Ⅰ
アーティスト:反田恭平(阿字野壮介)、髙木竜馬(雨宮修平)、牛牛/ニュウニュウ(パン・ウェイ)、シモン・ネーリング(レフ・シマノフスキ)、ジュリエット・ジュルノー(ソフィ・オルメッソン)ほか
発売日:2018年6月20日(水)  価格:¥3,000+税   品番:COCQ-85420
収録予定曲:計15~20曲程度収録
TVアニメ「ピアノの森」オープニングテーマ 「海へ」
ショパン: ワルツ 第6番 変ニ長調 作品64-1 「小犬のワルツ」
ベートーヴェン:エリーゼのために
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第2番 へ長調 K280 第1楽章
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番嬰 ハ短調作品27-2「月光」
リスト:「パガニーニによる大練習曲」第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
ショパン:バラード 第1番 ト短調 作品23
ショパン:エチュード  ヘ長調 作品10-8
ショパン:エチュード ハ長調 作品10-1
ショパン:スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 作品39
ショパン:プレリュード 作品28-24 ニ短調
*曲順未定。収録内容は変更になる可能性がございます。ご了承ください。
 
■【エンディングテーマ収録シングル情報】
発売中
悠木碧/「帰る場所があるということ」 
※TVアニメ「ピアノの森」エンディングテーマ
通常盤 【CD only】COCC-17448(1200円+税)
【CD収録内容】
1.帰る場所があるということ
2.ビロードの幕
3.帰る場所があるということ(Instrumental)
4.ビロードの幕(Instrumental)
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