門を打ち破り、弓矢で応戦!日本初のリアル城攻めイベント『鷹の爪団のSHIROZEME』に潜入

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左から FROGMAN、松江市長・松浦正敬氏

左から FROGMAN、松江市長・松浦正敬氏

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11月14日に島根県・松江市で日本初のリアル城攻めイベント『鷹の爪団のSHIROZEME』が開催された。国宝・松江城を舞台に戦国時代さながらの攻城戦を再現するという前代未聞の試みを知り、胸を高鳴らせた方も少なくないはず。これまで、SPICE編集部はイベント発案者で映像クリエイターのFROGMANへのインタビューを通して、その壮大な構想に迫っていた。今回はイベント当日の″ガチンコ城攻め”のようすをお届けしよう。

■松江市長&FROGMANの号令でイベントがスタート

FROGMAN

FROGMAN

同イベントはFROGMANが所属する株式会社ディー・エル・イーと松江市が共同主催したもの。市も総力を挙げて進めるだけあり、出陣式には「国宝攻め」にGOサインを出した剛毅な松江市長・松浦正敬氏も登場した。朱色の鎧に身を包み、松江城の"城主"として参加者に「国宝の松江城の贅沢な城攻めを楽しんで、難攻不落の城を攻め落として松江を楽しんでもらいたい」と気合の入った号令をかけた。

一方のFROGMANは、黒い甲冑具足で登壇。慎重な声で「ゴミが落ちていたりとか、汚してしまうとか、そういうことは絶対に避けて下さい」「皆さんの今日の行いがカギとなっておりますので、清く正しく美しく合戦を楽しみましょう」と緊張感を漂わせながら挨拶。

城攻め会場 松江城の入り口。1000人近い参加者で、県庁前駐車場は満車に

城攻め会場 松江城の入り口。1000人近い参加者で、県庁前駐車場は満車に

市長、FROGMANともに松江藩の合印「猪ノ目」をつけた兜をかぶり、まさに戦直前といった面持ちだ。一見突拍子もないイベントながら、ここまでほぼギャグなし。最後には「エイ、エイ、オー!」と掛け声をかけ、参加者を引き連れて松江城へ進軍していく。

 

■いざ、城攻め!しかし何から始めようか…

『SHIROZEME』は城を攻めるだけではなく、たくさんの催し物が集まった大規模なイベントだ。県庁前広場には、地元島根のグルメを楽しめる30ものブース、伝統芸能やダンスを楽しめる特設ステージも用意されており、さながらフェスのような様相を呈していた。というわけで、事前に公式サイトでダウンロードしたこの冊子を参照しながら楽しむことに。



各イベントの開催場所、スケジュールや所要時間がわかりやすい。とはいえ、だいぶ盛り沢山…果たしてどこまで制覇できるだろうか?まずは、メインの城攻めから見ていくことに。

■アトラクションその1「大手門破り」

再現された大手門 1日半かけて作成された

再現された大手門 1日半かけて作成された

城攻め最初の関門は、正門にあたる「大手門」の攻略から始まる。「丸太で門を打ち破る」という過激なコンセプトのこのアトラクションでは、上のようなセットで戦国時代を再現し、車輪付きの丸太で突き破ることを目指す。これを見た方のほとんどが往年のバラエティ番組「風雲!たけし城」を思い浮かべるのではないだろうか。※「たけし城」がわからない人はお父さんお母さんに聞いてみよう。



戦国時代の松江城・大手門周辺は「桝形虎口(ますがたこぐち)」と呼ばれ、攻め寄る敵を四方から弓で射掛けて殲滅する構造になっていたとか。参加者はここで、寄せて側(攻撃側)と、守り手側(守備側)に別れて戦う。寄せ手は5分間に3回門を突ければ勝ち。簡単なように思えるが、矢に一度でも触れてしまうと退場させられるので、寄せ手は盾で上手く守りながら侵攻しなければならない。なかなかにシビアだ。
 
「大手門破り」に参加するZERO1選手たち

「大手門破り」に参加するZERO1選手たち


ちなみに、このアトラクションには島根県出身のプロレスラー・日高郁人選手と所属団体・ZERO1の選手たちもゲストとして参戦していた。屈強な肉体を誇る彼らだが、大手門に到達した時点で全滅。戦には強靭な肉体だけでなく、テクニックも必要なようだ。一方で、小柄でもチームワークのいいチームが次々と城門を突破していた。


■アトラクションその2「行天橋石垣上り」

行天橋石垣上り

行天橋石垣上り

こちらでは、攻城兵器「行天橋」を使って石垣の攻略を目指す。合戦では、門を攻めて守備側の注意を引きつつ、石垣から攻め入ることも多かったとか。しかし、本当に攻城兵器を石垣にぶつけてしまうと国宝に傷がついてしまう…というわけで、このアトラクションでは、参加者は当時を再現した行天橋を駆け上り、頂点に旗を立てることを目指す。行天橋からだけでなく、後ろの石垣からも矢が飛んでくるので要注意。

行天橋石垣上り

行天橋石垣上り

ちなみに行天橋の高さは4メートル強で、ビルの2~3階程度。丈夫な命綱があるがかなりスリリングな気分を味わうことができる。バラエティ番組『SASUKE』のようなに体力を要求されるアトラクションにも見えるが、お年寄りや女性も苦戦しながらも登りきっていた。

■アトラクションその3「弓打ち/石落とし体験」

弓打ち体験

弓打ち体験

門や城壁での攻防の間、城内の兵士はどう対処しているのか。そんな状況を体験できるのが、「弓打ち/石落とし体験」だ。弓打ち体験では、城壁にある狭間(さま)と呼ばれる穴から弓を射かけ、外敵から城を守る気分を経験できる。

弓打ち体験

弓打ち体験



通常の弓矢と違って小型で小回りが利く半弓を使用。縦方向ではなく、壁のひさしに引っかからないよう横向きに構えるのがコツ。上から下に射るので、弦の強さは必要ないのだろう。まさに攻城戦ならではのシチュエーションだ。

石落とし体験

石落とし体験

石落とし体験は、松江城の櫓から石垣下の敵に石(もちろんニセモノ)を投げつけるアトラクション。こちらも見た目は地味ながら、なんとも言えないシュールな雰囲気が…。


石落とし体験 外側からのようす

石落とし体験 外側からのようす

実際の攻城戦では、石だけでなく熱湯なんかも落としたそう。石垣は13メートルほどの高さなので、本物の石が落ちてきて直撃すれば即死。よくても頭が割れて脳ミソぐらいは出ちゃうはず。よく考えてみれば効果的な防衛法と言えそうだ。弓打ち、石落としともに派手さはないものの、体力をあまり使わないので親子連れも楽しそうに参加していた。

■アトラクションその4「白兵戦」

白兵戦

白兵戦


攻城兵器や弓矢での戦いだけが城攻めではない。城の二の丸では兵士同士の肉弾戦も勃発する。『SHIROZEME』のアトラクション「白兵戦」では、寄せ手と守り手に別れた大規模なチャンバラを体験できるのだ。こちらは戦国時代の月山富田城の戦いを再現し、約100名の参加者が毛利軍と尼子軍に別れて戦うというもの。ウレタン製の刀で、腕に付けたこちらのボールを斬り落とすことを目指す。

白兵戦

白兵戦



「白兵戦」はチケットプレイガイドでおなじみの株式会社イープラスの中野さんが体験してくれた。『SHIROZEME』公式のプラスティック製甲冑を身に着けての参戦だ。中野さんは、会社では本部長の肩書きを持つなかなかに偉い人。戦国時代であれば一兵卒ではなく武将といったところだろう。果たして、今回もその指揮能力を発揮することが出来るのか。

白兵戦

白兵戦


ゲームの勝敗は、合計3回の戦いで決する。初戦は制限時間内により多く生き残ったほうが勝つルールだ。初戦はとくに作戦もなく乱戦状態で戦がスタートするが…。

白兵戦

白兵戦

中野さんはあっという間に討ち死にし、所属する毛利軍も全滅してしまう。続く2回戦は、大将を討ち取った方が勝つルールに。ここで中野さんは総大将を務めることに。1回戦の反省を踏まえ、今回は綿密な作戦で臨む毛利軍。「白兵戦」にはアトラクションを仕切る団体・IKUSAのスタッフが「戦目付け」として参加し、それぞれのチームにアドバイスをしてくれるのである。戦目付けのアドバイスを受け、毛利軍は総大将に衛兵をつけて徹底的に防御する作戦をとった。

白兵戦

白兵戦

作戦が功を奏したか、2回戦は長時間の耐久戦にもつれ込む。しかし、兵たちはひとりまたひとりと倒れ、総大将も包囲され…最後には討ち取られてしまった。

白兵戦

白兵戦

3回戦目には参加者全員がルールに慣れ始め、考えながら戦うようになっていたのが面白いところ。こちらは石垣の上からのようす。乱戦状態でも、それぞれが背後を取られないよう複数で進軍。ジリジリと戦力が失われた毛利軍が徐々に包囲されていくのがわかるだろう。

白兵戦 

白兵戦 

ついには尼子軍が勝利し、月山富田城の戦いの史実を覆す結果に。毛利軍は敗北したものの、参加した中野さんは白兵戦の魅力を「童心に帰ることができる」と笑顔で語ってくれた。老若男女問わず参加でき、チームの一体感も生まれるので、人気が出るのも納得だ。ちなみに、子どもの参加者が多かったのも印象的。大人たちがヘトヘトになるなか、動きの止まらないキッズソルジャーたちは驚異的な戦力として活躍していた。

城攻めイベントにはほかにも、松江城内をアドベンチャー感覚で案内してもらえるアトラクション「混成守備隊」がある。時間が足りず体験しきれなかったので今回のレポートでは割愛するが、次回はゆっくりと楽しみたいところだ。

 

■イベントスペースではトークショーも

左から 将火怒選手、日高郁人選手、メガネスーパー星﨑社長、萩原さちこさん、FROGMAN

左から 将火怒選手、日高郁人選手、メガネスーパー星﨑社長、萩原さちこさん、FROGMAN

県庁前特設ステージでは、FROGMANの司会進行で松江城をめぐる熱いトークショーが始まっていた。登壇したのは、城メグリストの萩原さちこさん、メガネスーパーの星尚彦社長、プロレスリングZERO1の日高郁人選手と将火怒(まさかど)選手。

萩原さんは全国の城をめぐり、城を紹介する著書も出版している城のプロフェッショナル。そんな萩原さんも、国宝でのイベントに「簡単に近づいてはいけないようなそんな存在ですので…こんなイベントをやっていいんだ?と思いました」と衝撃を語る。

メガネスーパー・星社長は『SHIROZEME』スポンサーの一人でもあるが、根っからの城・歴史好きとのこと。すでに松江城にも何度か来ているという。「松江城・天守閣の一番上の、三方から入ってくる風の素晴らしさを忘れられないでいた」「この話を頂いたので、駆けつけるしかないだろうと。メガネ屋としても」と興奮ぎみ。

島根県・益田市出身の日高選手は「小さいころから松江は島根の中では一番東で都会のイメージ」「その松江城を使ってやるというのは、すごいこと」地元ならではのコメントを残していた。

その後は、FROGMANを中心に「なぜ松江城の天守にたくさんの井戸があるのか?」といった、城のなぞに迫るマニアックなトークに。萩原さんが井戸について「抜け道だという説もあります」と知識を披露すると、星社長が「籠城するときに水は命」「毒を入れられてもいいように、いっぱい井戸を作ったのでは?」と持論を展開するなど、熱い議論が繰り広げられていた。アトラクションだけでなく、トークショーもガチンコだ。

特設ステージでは時間ごとにこんなショーも展開していた。

左写真=仁多乃炎太鼓、右写真=山陰ダンスライブ秋の陣

左写真=仁多乃炎太鼓、右写真=山陰ダンスライブ秋の陣

「仁多乃炎太鼓」という和太鼓の演目では、奥出雲の古代からの製鉄技法「たたら」をモチーフにした神秘的なパフォーマンスが展開し、ステージは荘厳な空気に包まれていた。「山陰ダンスライブ秋の陣」では、出雲・平田・松江・境港、さらに鳥取・米子まで、山陰地方のさまざまなダンスチームが集まっていたもよう。城攻めとダンスは一見ミスマッチのようにも思えるが、かなりの観客が集まっていた。

■城攻めファッションスナップ

『SHIROZEME』は動きやすい格好であればどんな格好でも参加できるが、基本的なドレスコードは「甲冑」とのこと。せっかくのリアル城攻めということで、参加者も思い思いの甲冑姿で臨んだようだ。

こちらは、大阪からきた男性3人組。参加者中でも屈指のクオリティの甲冑(私物)で参戦。左の方は面頬まで装着するガチっぷり。


こちらは島根県内からの女性3人組。可愛らしさと機動性を兼ね備えた、ワザありコーディネイト。

東京から来たこちらの男性と女性の2人組。男性は参加者中でも珍しい西洋甲冑での参戦だ。かなり頑丈そう。女性は可愛らしさを追求した手作り甲冑を着用。

こんなノリノリな格好の方も。ちなみに、アメリカから松江城を攻めにきたとのこと。

ほかにも、コスプレイヤーと思しき方や、ダンボール甲冑、「甲冑」と書かれたTシャツ姿の方など、色んな格好の参加者が。アトラクション間を移動する間も見ているだけで楽しく、なんだか得した気分に。

 

■休憩時間には島根グルメを

県庁前広場のブースの山陰グルメフーズもほんの少しご紹介。

炙り攻めセットはなんと200円

炙り攻めセットはなんと200円

写真左は寿隆蒲鉾ブースの「しめ鯖かまぼこ」と「焼きあかてん」。しめ鯖かまぼこは、鯖のかまぼことしめ鯖が合体した、不思議な食感のフード。あかてんは魚肉すりみと唐辛子を練り合わせ、パン粉をまぶしたもの。どちらも日本酒に合いそうな絶品おつまみだった。女性スタッフがはにかみながら応じてくれたのも印象的。写真右は中浦食品ブース、宍道湖名物のしじみ汁。しじみご飯と一緒にいただいた。ご主人の雰囲気と同じく、優し~い味。どちらもおいしゅうございました。

 

■あれよあれよという間に閉城式…

盛りだくさんな『SHIROZEME』ツアー。ほとんど休まずに動き続けていたにも関わらず、気づけば閉城式が始まっていた。最後を締めるのは、もちろんイベント発案者のFROGMANだ。

最後は私服に戻ったFROGMAN

最後は私服に戻ったFROGMAN

イベントを振り返り、FROGMANは「ずっとやりたいと思っていたものが、ようやく実現しました。特に大きな事故もなく、今日を終えることが出来て、本当に皆さん感謝しております」と感慨深そうな面持ちでコメント。さらに「皆さんの声が次に繋がっていきますので、ぜひSNSなどで『SHIROZEME』のことを話題にしていただければと思っております」と次回開催に向けた思いを明かしていた。最後は『秘密結社 鷹の爪』キャラクターの総帥、レオナルド博士、DXファイターの3人の声色を使い、ファンにはお馴染みの「た~か~の~つ~め~」コールを三唱。参加者と一体となってイベントを締めくくった。

■『SHIROZEME』雑感
『SHIROZEME』は、その楽しさもさることながら、ガチなコンセプトに反して隅々まで配慮が行き届いたイベントだった。各アトラクションにはスタッフが必ずおり、ゴーグルや兜を貸し出すなど安全面に細心の注意が払われていた。力も必要ないので、子どもからお年寄りまでどんな方でも楽しむことができるのも嬉しいところ。

ただ、当日はあいにくの雨天のため、足元が非常に悪い状態だった。こういったときのために、泥を落とすためのウェットティッシュやタオル、そして着替えを準備しておくに越したことはなさそうだ。

発案者のFROGMANも天候に恵まれなかったことを残念がっていたが、「文化財を壊すこともなく、汚すこともなくできたこと。参加者も怪我なく出来たのがよかった」「何よりも地元の方が喜んでくれたし、スポンサーの皆さんもよろこんでくれた」とイベント後に語り、ホッとしたようすだった。

一方で、FROGMANは「もっと、ビジネスとして成立させたい」とストイックな言葉も漏らす。「1日しか開催していないんで。1ヶ月とか2ヶ月開催できるようになると、また変わってくるのかなと思います」と理由も明かしている。FROGMANが1000人近くの来場者を集めながら、さらなる成功にこだわるワケは前回のSPICEインタビューに詳しい。『SHIROZEME』は参加者を楽しませるだけでなく、観光客を誘致して地域の活性化をめざす稀有なイベントであるため、一時のブームで終わらない継続可能な体制づくりが必要なのだ。

最後に、FROGMANは『SHIROZEME』の次回開催について「全く予想もつかないです。ただ、国内やシンガポールとか、色んなところからも引き合いが来てるので…次も決めます」と力強く約束してくれた。フランチャイズ化、そして全国展開を目指す『SHIROZEME』…次は、あなたの街にやってくるかもしれない。

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