東京二期会、オペラとミュージカルのいいとこ取りをした、オペレッタ『天国と地獄』を12年ぶりに上演 

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2019.7.4

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東京二期会が、フランスの作曲家ジャック・オッフェンバックの生誕200周年を記念して、彼の最高傑作と言われるオペレッタ『天国と地獄』を2019年11月21日(木)~24日(日) 日生劇場にて上演する。

オペレッタは“小さいオペラ”を意味しており、オペラがほぼ全体にわたって音楽中心の展開であるのに対して、オペレッタはセリフも多用され、演劇的な要素がより大きいのが特徴だ。内容もコミカルなものが多く、ミュージカルの元祖と言われている。 

そんなオペレッタをより身近に楽しんでもらうため、今回は歌詞もセリフも全て日本語で上演する。さらに歌唱部分では字幕も併用して、作品の世界に入り込めるような仕掛けを行う予定だ。本作を鑑賞したことがなくても、 <序曲>のカンカンは、運動会のBGM等で誰もが一度は耳にしたことがあるメロディ。そのため、オペラ初心者の方やミュージカル派の方でも楽しめる作品になっている。 
 
本公演の指揮は世界的に活躍する大植英次、演出には文学座のベテラン鵜山仁が務め、東京二期会にとって本作の上演は2007年以来、12年ぶりとなる。
 

『天国と地獄』あらすじ
バイオリン教師オルフェと妻のユリディスは倦怠期の夫婦。オルフェはユリディスの不倫相手で羊飼いのアリステ(実は地獄の王プルート)をやっつけようと罠を仕掛けるが、事もあろうに毒蛇に咬まれて死んだのは妻ユリディス。 予想外の結果に喜んでしまうオルフェ。しかし、実はこれも、すべてアリステ(プルート)の仕業によるもの。 アリステは愛するユリディスを手に入れるためにわざと彼女を死なせ、地獄へ連れて行こうとしたのだ。一方、それを見ていた「世論」はオルフェに対し、妻を取り戻すべきだと主張する。オルフェはしぶしぶ「世論」といっしょに神々の世界へと赴き、天国にいる神々の王ジュピターの前で、嫌々ながら妻を返してほしいと頼む。そこで、ようやく事の次第が地獄の王プルート(実はアリステ)の仕業と知った一行は、今度は皆で地獄へ行くことにする。 
地獄で退屈しているユリディス。プルートが、神々の王ジュピターに彼女を取られないよう、一室に鍵を掛けて閉じこめていたのだ。ジュピターは大の女好き。実は、彼もユリディスをひそかにものにしようと企んでいたのだった。 
そこへ現れたジュピター。彼はハエに姿を変えて、退屈するユリディスの部屋に忍びこむ…。そこへオルフェも到着…。ハエに姿を変えてユリディスを誘惑するジュピターに怒るプルート。天国と地獄の面々入り乱れての乱痴気騒ぎ。さて、どうなることやら…。

 


大植英次(指揮)プロフィール】

大植 英次 (C)飯島隆

大植 英次 (C)飯島隆

大阪フィルハーモニー交響楽団桂冠指揮者、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー名誉指揮者。 桐朋学園で齋藤秀雄に師事。1978年、小澤征爾の招きによりアメリカ・タングルウッド・ミュージック・センターに学び、同年ニューイングランド音楽院指揮科に入学。タングルウッド音楽祭でレナード・バーンスタインと出会い、以後世界各地の公演に同行、助手を務めた。 
これまでにバッファロー・フィル準指揮者、エリー・フィル音楽監督、ミネソタ管音楽監督、ハノーファー北ドイツ放送フィル首席指揮者、バルセロナ響音楽監督、大阪フィル音楽監督を務め、2000年よりハノーファー音楽大学の終身正教授も務めている 2005年『トリスタンとイゾルテ』で日本人指揮者として初めてバイロイト音楽祭で指揮し、世界の注目を集めた。14年には東京フィルハーモニー交響楽団のワールドツアーを指揮し各国で絶賛された。 
東京二期会では13年『こうもり』を指揮しており、続く登場となる。 
09年ニーダーザクセン州功労勲章・一等功労十字章受章。

鵜山仁(演出)プロフィール】

鵜山 仁

鵜山 仁

演出家、文学座演出部所属。1953年、奈良県生まれ。慶応義塾大学フランス文学科卒業。舞台芸術学院をへて文学座附属研究所入所。82年に座員となり『プラハ一九七五』などを手がける。89年、『雪やこんこん』他で芸術選奨文部大臣新人賞、2004年、『兄おとうと』他で読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞、10年と16年にも読売演劇大賞・最優秀演出家賞、10年には第60回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。 07年から10年にかけて新国立劇場演劇部門第4代芸術監督を務める。近年の舞台に『マンザナわが町』『女中たち』『Taking Sides』など。東京二期会では06年『ラ・ボエーム』、08年『ナクソス島のアリアドネ』以来3度目の演出となる。 

公演情報

東京二期会オペラ劇場 NISSAY OPERA 2019提携 ジャック・オッフェンバック生誕200周年記念
オペレッタ『天国と地獄』 全2幕 日本語訳詞上演 <新制作>
 
日程:2019年11月21日(木) ~24日(日) 14:00
会場:日生劇場
 
■出演
指揮:大植英次
演出:鵜山仁
<11月21日(木)/23日(土・祝)公演>
プルート:上原正敏
ジュピター:大川博
オルフェ:又吉秀樹
ジョン・スティクス:吉田連
マーキュリー:升島唯博
バッカス:峰茂樹
マルス:野村光洋
ユリディス:愛もも胡
ダイアナ:小村朋代
世論:押見朋子
ヴィーナス:山本美樹
キューピッド:吉田桃子
ジュノー:醍醐園佳
ミネルヴァ:高品綾野
 
<11月22日(金)/24日(日)公演>
プルート:渡邉公威
ジュピター:三戸大久
オルフェ:山本耕平
ジョン・スティクス:相山潤平
マーキュリー:児玉和弘
バッカス:志村文彦
マルス:的場正剛
ユリディス:高橋維
ダイアナ:廣森彩
世論:塩崎めぐみ
ヴィーナス:中野瑠璃子
キューピッド:熊田アルベルト彩乃
ジュノー:三本久美子
ミネルヴァ:吉田愼知子
 
合唱:二期会合唱団 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
曲目・演目
オペレッタ 『天国と地獄』 <新制作>
全2幕
日本語訳詞上演(歌唱部分のみ日本語字幕付き)
台本:エクトル・クレーミュ及びルドヴィック・アレヴィ
作曲:ジャック・オッフェンバック
 
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