観て、触れて、撮って楽しむ没入型エンターテイメント『OCEAN BY NAKED 光の深海展』開幕レポート
撮影=草刈雅之
横浜駅直通の複合型エンターテイメントビル・アソビル2Fにて、『OCEAN BY NAKED(オーシャン バイ ネイキッド)光の深海展』(会期:~2020年1月27日)が開幕した。本展を手がけるのは、アートとデザイン、テクノロジーを融合し、空間全体を演出するクリエイティブ集団のNAKED(ネイキッド)。
海底6,500mの深海世界を舞台に、約100種類以上の生物が登場する会場には、プロジェクションマッピングや香り、音楽など五感で楽しむことのできるコンテンツが盛りだくさん。本物の水を使った演出から、映像を駆使したスペクタクルなショーまで、現実と非現実が交錯する幻想的な空間を、8つのエリアに分けて体感することができる。
会場エントランス
これまで何度も、水族館の演出を手がけてきたNAKED。「水族館で本物とバーチャルが混ざり合うのが面白かった。そこからヒントを得て、これからの時代はバーチャルなものやAIが次々と出てくる中で、“本物”とは何をもって本物になっていくのだろう?といったことを考えるようになった」と語るのは、株式会社NAKED代表の村松亮太郎氏。本展では、デジタルを中心に「生命」を感じられるような空間づくりを目指したという。会場内には、観客が実際に壁面に触れることで、海の生き物の命を生みだす演出も仕掛けられている。
NAKED代表・村松亮太郎氏
NAKEDの最新企画展として、上海で世界初公開された本イベントは、連日大行列を作るほど注目を集めた。日本初上陸となる本展の見どころを、一般公開に先立ち催された内覧会よりお伝えしよう。
触れて遊べる、体感を重視したデジタルアート展
本展は、現実世界からデジタルによって拡張された海の世界を冒険するストーリーをイメージしたもの。浅瀬から深海へ潜り、最後には再び陸地へ戻る道のりを、映像や音楽をつかって表現している。展示冒頭には本物の水を使い、水の質感や音、冷たさをリアルに感じながら、海の世界へと誘われる演出も。
オフィシャル提供
さらに、上海展で最も人気を博した<Fluid Wall(フルイド ウォール)>のエリアでは、液体の流れを可視化したフルイドアートから着想を得て、クラゲの美しさをモチーフにしたデジタルアートが楽しめる。
実際の染料を混ぜ合わせたものを実写で撮影し、3DCG化した本作は、「0から3DCGで作るよりも、よりリアリティのある質感になっている」と、NAKED広報担当者。壁に円を描くように触れると、センサーが反応し、色と色が混ざり合って大きなクラゲとなり、上にのぼって消えていく。水を混ぜ合わせることで、体の95%が水分であるクラゲの生命を生み出すという、神秘的な体験型アート作品だ。
オリジナル楽曲を使った、ファンタジックなプロジェクションマッピング
<Shoal of Shadows(ショール オブ シャドウズ)>のエリアは、来場者が壁の前に立つと、自分の頭がカツオやマンボーなど4種類の魚に変化し、映像内のイワシを追いかける遊びを体験するコンテンツになっている。
<Into the Deep(イントゥ ザ ディープ)>のエリアは、表層から深海世界へ移動していく様子を映像で表現。水域に合わせてさまざまな生き物が壁面に映し出され、潜水艦やダイバーなどの人工物も登場する。
本展のメインエリアとなる<PARADISE(パラダイス)>は、デジタルで創り出された極彩色の深海世界が広がる空間。手前に設置された砂場では、光に触れるとエイやカニなど、7種類の海の生物が現れる。
砂場の光に触れると、海の生物がランダムに現れる
また、泡から微生物が生まれ、生き物の生命が誕生したということから、横壁面の泡に触れると、海の生物が生まれるといったインタラクティブコンテンツを楽しむこともできる。15種類の生物がランダムに登場する中で、「リーフィーシードラゴン」、「サナダミズヒキガニ」、「トビエイ」の3種類はレアキャラとのこと。
横壁面の泡に触れると、海の生物が生まれる
さらに、約5分半に渡るプロジェクションマッピングショーも見どころのひとつ。クジラが水先案内人となり、深海を旅するファンタジックなショーの終盤には、プランクトンや小型海洋生物の死骸が深海に降り注ぐ「マリンスノー」現象をもとに、スノーマシンを使って雪を降らせる演出も取り入れられている。
プロジェクションマッピングショーや会場内で流れている曲は、本展に合わせてNAKEDのサウンドチームがオリジナルで製作したもの。「死と再生の場としての深海世界で起こる、多くの生命の営みをオーケストラと歌のダイナミックな音楽で表現しました」と担当者。これらの楽曲は、音楽配信サービスで配信が開始されている。
会場の世界観をイメージしたオリジナルグッズも
展示後半は、水中から差し込む光をイメージしたトンネルをくぐり抜け、深海世界から浅瀬に向かっていく。
自然が作り出す波のトンネル「チューブライディング」の造形を、バーチャルで表現した最後のエリアでは、波と波の間を通り抜けて、最終的に陸地(会場出口)にたどり着く。
会場を出た向かいの物販エリアは、展示の続きにあたる浜辺をイメージ。カラフルな絵が描かれた壁面は、記念撮影におすすめのフォトスポットになっている。
物販エリアのフォトスポット
ほかにも、展覧会で使われているアロマの販売や、クラゲのフルイドアートをイメージしたグラデーションのタピオカドリンクなど、展覧会の体験を持ち帰れるようなオリジナルグッズもチェックしたい。
エアミスト(2種類)/各1800円(税抜)
OCEAN BY NAKEDオリジナルフルイドタピオカ ボトル1000円(税込)
『OCEAN BY NAKED 光の深海展』は2020年1月27日まで。肌で感じる新感覚のデジタルアートに触れられる機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
取材・文=田中未来、撮影=草刈雅之(TOP)、オフィシャル提供(To the Seaエリア)、田中未来(その他)