今井翼が片岡愛之助の新作歌舞伎で待望の舞台復帰へ! 第十回システィーナ歌舞伎『NOBUNAGA』製作発表

レポート
舞台
2019.11.25
片岡愛之助

片岡愛之助

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徳島県鳴門市にある大塚国際美術館のシスティーナホールにて、第十回システィーナ歌舞伎『NOBUNAGA』が2020年2月13日(木)から16日(日)まで上演されることとなった。この製作発表会見が11月25日(月)都内にて行われ、主演を務める片岡愛之助、そして作・演出の水口一夫が、大塚国際美術館学芸部部長・浅井智誉子、大塚ホールディングス株式会社広報部長・迫久見子、そして松竹株式会社代表取締役副社長・安孫子正と共に出席した。
システィーナ歌舞伎とは、2009年より「和と洋のコラボレーション」「新作歌舞伎」をコンセプトに、能やオペラ、神話をモチーフに、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画および壁画を陶板で原寸大に立体再現した同美術館の「システィーナ・ホール」の空間を最大限に活かした演目を披露してきた。

今回、記念すべき十回目となる本公演について、浅井が「是非鳴門に足をお運びください」そして迫が「大塚グループとしてもこのシスティーナ歌舞伎を重要な社会貢献活動と捉えています」と挨拶。その後、いよいよ本作についての説明が始まった。

浅井智誉子

浅井智誉子

迫久見子

迫久見子

安孫子正

安孫子正

安孫子は「はじめはどうなるかと思ったが、9回に渡り上演していくうちにあの空間を使った見せ方や一つのイメージが出来上がったのでは」と今日この日に至るまでの手応えを口にする。また、過去システィーナ歌舞伎で上演された『GOEMON 石川五右衛門』を例に挙げ、システィーナ歌舞伎から他劇場でも再演される公演が出来たことを成果として語った。
その上で今回の『NOBUNAGA』について「愛之助さん、1回目から出演している上村吉弥さん、2回目から出演している中村壱太郎さんに加えて、今井翼さんに出演いただくこととなりました」とサプライズ発表が!

今井翼

今井翼

今井は過去『GOEMON 石川五右衛門』が大劇場で上演された時に出演し、当時から今日に至るまで公私共に愛之助と親交を深めている。2018年にメニエール病が再発、「タッキー&翼」を解散、事務所も退所したが、先日Instagramを開設し、順調に回復していることを明らかにしていた。

片岡愛之助

片岡愛之助

愛之助は今井との思い出を語り出す。「翼くんはシスティーナ歌舞伎で『GOEMON 石川五右衛門』をやった時に観に来てくださったんです。僕が宙乗りしている時にふと座席を観たら、翼くんがものすごいキラキラした目でこっちを見ながら拍手してくれている姿が目に入ったのを今でも忘れません。その後、楽屋で初めてご挨拶をし、彼がフラメンコが大好きなことなどを知って、『次回またやる時には出る?』と聞いたら『本当ですか? 是非やらせてください』って盛り上がったんです。それ以降、公私共々仲良くしているんです」と笑顔を見せ、「翼くんは本当にまじめで芝居への取り組みが早いんです。歌舞伎の稽古が始まるもっと前から自分で稽古をしている。かと思うと茶目っ気があって。彼からフラメンコを僕が教えてもらい、僕は彼に歌舞伎を教えるといういい関係性を作っていました。また彼は吸収の度合いが早く、どうしてここはこうなるんですか? と歌舞伎ばかりやっている自分らでは気が付かないすごく新鮮な指摘をして皆で一緒に考えたりもしました」と今井の魅力を語りつつ、久しぶりの共演を待ち遠しそうに述べていた。

水口一夫

水口一夫

水口からは作品内容について、「織田信長がテーマです。信長はいろいろな評価がされています。比叡山の焼き討ちや本願寺攻めなどといった残虐な面がある一方で、信長の花押(サイン)は名前ではなく世の中が平和になった時に現れる伝説の動物・麒麟を描いていることから日本の乱世を早く終わらせたい、平和な世の中を目指していたとも言われています」と話し、そんな逸話から「信長を二人にします。もちろん愛之助さんには二人の信長を演じてもらいます」と明らかにすると、愛之助は「今初めてその設定を聞きました!」と笑いながら驚いていた。

「今初めて聞きましたよ!」と水口さんに突っ込む愛之助さん

「今初めて聞きましたよ!」と水口さんに突っ込む愛之助さん

ちなみに信長が二人という点について、水口から「実は双子で産まれ、片方が別で育てられていたのを信長が見つけ、自分の影武者、そして都合のいいように使う存在にした、という設定にしたら面白いのでは」と現段階での構想を口にしていた。

また、配役について「壱太郎さんは森蘭丸役がいいかな。本人も蘭丸役がやりたいと言ってましたし(笑)。そして吉弥さんはやらしい役を。今井さんは初めての舞台なので、体調を本人と相談しつつどんな役をお願いするか決めたいと思います」と期待を持たせるように説明した。

また愛之助も「(壱太郎が)赤ちゃんの時から見ていますがこんなに大きくなったんだ、成駒家さんを支える素晴らしい役者さんになったと感じています。立役も女方もできる壱ちゃんは自分のお父さんよりも僕と一緒にいる時間が多いねってよく言ってます」と可愛い後輩の成長に目を細めていた。


なお、この日会見には参加できなかった今井からメッセージが寄せられ、安孫子が代読した。

今井翼 コメント

この度、第十回目となるシスティーナ歌舞伎に出演させていただくことになりました。お蔭様で順調に体調も回復しており、来年2月の公演に向けて、さらに万全を期して準備をして参りたいと思っております。
片岡愛之助さん、中村壱太郎さん、上村吉弥さんとは、大阪松竹座、東京の新橋演舞場での『GOEMON 石川五右衛門』で共演させていただきましたが、その『GOEMON』は、このシスティーナ歌舞伎で生まれた作品ですので、この度は大変なご縁を感じております。素敵なキャスト、スタッフの皆さんと共に、新しい作品創りに参加させていただけることが、とても光栄で楽しみであると同時に、新たな時間を迎えられることに観の引きしまる思いです。このような機会をいただけることに感謝して、しっかりと務めさせていただきます。
 

荘厳な会場で繰り広げられる新作歌舞伎と、そこに立つ愛之助、壱太郎、吉弥、そして今井翼に期待したい。

(左から)迫久見子、浅井智誉子、片岡愛之助、水口一夫、安孫子正

(左から)迫久見子、浅井智誉子、片岡愛之助、水口一夫、安孫子正


取材・文・撮影=こむらさき

公演情報

第十回 システィーナ歌舞伎『NOBUNAGA』

■日時:2020年2月13日(木)~16日(日)
午前の部 午前11時~
午後の部 午後3時30分~
■会場:大塚国際美術館システィーナ・ホール(徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦)
 
■出演:
片岡愛之助
中村壱太郎
上村吉弥
今井翼
ほか
 
<あらすじ>
天正7(1579)年、琵琶湖畔に安土城を築いた織田信長は、天下統一の道を着々と進めていた。その頃、日本を訪問したイエズス会の巡察使ヴァリニャーノは、信長にとり入り、キリスト教の布教の見返りとして、地球儀や時計を信長に贈った。信長は西洋の文明に大いに興味をもち、信長の目は世界に開かれた。
一方、京都の朝廷や足利義昭将軍とのパイプとなっていたのは、明智光秀だった。光秀は信長を征夷大将軍となるよう、朝廷に掛け合い、粉骨砕身働くが、信長の目はもっと違うところを見ていた…
 
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