佐賀龍彦(LE VELVETS)が語る特別展『綺羅(きら)めく京の明治美術 ―世界が驚いた帝室技芸員の神業』

インタビュー
クラシック
アート
2022.7.25

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2022年7月23日(土)より京都市京セラ美術館で開催されている特別展『綺羅(きら)めく京の明治美術 ―世界が驚いた帝室技芸員の神業』を記念して、7月25日(月)夜22時55分からBSフジにて4週連続で特別番組『世界が驚いた!明治の日本美術』が放送される。番組ナレーションを務めたのはヴォーカル・グループLE VELVETSの佐賀龍彦。展覧会の音声ガイドも担当している。

佐賀は、京都市立芸術大学の出身。ジャンルは異なるが、この展覧会で登場する19名の帝室技芸員たちの中には、母校の創設に尽力した人や先輩たちが含まれている。番組と音声ガイドのナレーションを通じて知った京都の帝室技芸員たちへの想いを語ってもらった。

――番組をご覧になっていかがでしたか?

以前、私がナレーションを担当していた、BSフジの『アートな夜』でもたくさんの日本画家を取り上げたことがありましたが、今回は日本画家にとどまらず、陶磁器や七宝や織物などの工芸の作家たちに踏み込んだので、また違ったアートの世界を覗いたような気持ちになりました。

織物ひとつとっても、色んな人との出会いや伝統と海外の新技術の融合などがあって、時代を超えて心から「凄い!」と思えるものが生み出されていて、それぞれの作家たちのストーリーを読み込むうちに、京都に行って早く実物が見たいなと思いましたね。

――佐賀さんは、京都市立芸術大学をご卒業されていらっしゃいますから、ここに登場する帝室技芸員たちが、佐賀さんの学校の設立に関わられたり、佐賀さんの先輩だったりするわけですが、そのあたりどう感じられましたか。

こんな素晴らしい作品をつくられる方が、自分と同じ大学で学んだというのは誇りに思いますし、そうした方々が自分の学んだ大学の創設に力を尽くして、そのDNAが自分にもあるような気持ちがして、励みにもなりました。

――陶磁器や七宝、刀剣装具や織物など様々な工芸美術も登場するのが今回の特徴だと思いますが、佐賀さんはどの工芸が気になりましたか?

初代宮川香山さんの蟹の高浮彫の深鉢ですね。工芸初の重要文化財に指定されただけあって、どうやってこんなに凄い表現ができたのか、不思議な気持ちになりました。どの工芸にも、それぞれに伝統的な技法があり、それぞれに単独で展覧会が行われたりするものが一堂に会するのは本当に見応えがあると思います。

重要文化財 初代 宮川香山 褐釉蟹貼付台付鉢 明治14年 東京国立博物館(TNM Image Archives)

重要文化財 初代 宮川香山 褐釉蟹貼付台付鉢 明治14年 東京国立博物館(TNM Image Archives)

――以前、生でご覧になったものは何かありましたか?

竹内栖鳳の作品ですね。あとは、清水三年坂美術館はよくうかがったので、並河靖之の七宝は見ていつも感動していました。あんなに小さな花瓶や香合などに、あんなに細やかな絵柄と色彩のグラデーションを釉薬でつけていくなんて、気の遠くなるような作業ですよね。

並河靖之 紫陽花文花瓶 明治30年代前半 長谷宝満堂

並河靖之 紫陽花文花瓶 明治30年代前半 長谷宝満堂

――あらためて番組のナレーションと音声ガイドのお仕事はどうでしたか?

自分自身を取り戻すというか、皆さんにこの良さをお伝えできるように一生懸命取り組みました。

――特別番組のナレーションを担当されて、あらためて興味をもった作品はありましたか?

これは本当に難しいですね。今回本当にいい作品ばかりという雰囲気なので。番組のナレーションを読みながら、全ての作家の人生や特徴を改めて知って、作品の面白さに気付かされることの連続でしたね。伊藤若冲の「動植綵絵」をもとに織物を織りあげ、それを壁掛けとして「若冲の間」をアメリカの万博に出展していたことなども今回初めて知りましたし、刀の金工細工をしていた方がその技術を活かして貨幣造りに参加しやがてその技術で絵まで彫ってみたりとか、今まで知らなかったことに驚きの連続でした。前期後期と分かれて展示も変わるそうなので、なんとか都合をつけて両方見てみたいですね。

伊藤若冲(原画)、奥田瑞寛他(模写)/二代 川島甚兵衞	綴織額「紫陽花双鷄図」	明治37年 川島織物文化館(画像提供:川島織物文化館)

伊藤若冲(原画)、奥田瑞寛他(模写)/二代 川島甚兵衞 綴織額「紫陽花双鷄図」 明治37年 川島織物文化館(画像提供:川島織物文化館)

――今回の展覧会では、2度目の音声ガイドにもトライされたそうですね。

本当にずっとやってみたかったので、昨年夏の小早川秋聲展の時も音声ガイドができたことは本当に嬉しかった。病気療養を経て、いろいろな苦労があったのは確かですが……。
今回も色々と自分なりにトライ出来た気がしていますから、是非楽しみにしていてください。

イベント情報

特別展『綺羅(きら)めく京の明治美術―世界が驚いた帝室技芸員の神業』

会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊 1 階
開館時間:10:00〜18:00(最終⼊場は 17:30)
休館⽇:⽉曜⽇(祝⽇の場合は開館)
 
会期:2022年723⽇(⼟)〜919⽇(⽉・祝)
前期:723⽇(⼟)〜821⽇(⽇)
後期:823⽇(⽕)〜919⽇(⽉・祝)
※会期中、展示替えあり

料⾦:⼀般:1,800(1,600)円 ⼤学・⾼校⽣:1,300(1,100)円 中学⽣以下無料
※( )内は前売、20 名以上の団体料⾦
※京都市内に在住・通学の⾼校⽣は無料
※障害者⼿帳等をご提⽰の⽅は本⼈及び介護者 1 名無料(学⽣証、障害者⼿帳等確認できるものをご持参ください)
 
主催:京都市、ライブエグザム、BS フジ、京都新聞、⽇本経済新聞社

BSフジ『世界が驚いた!明治の日本美術』
 
2022年7月25日(月) 22:55~23:00
ナレーション:佐賀龍彦
テーマ音楽:角野隼斗

関連情報

▼佐賀龍彦プロフィール
佐賀龍彦(LE VELVETS・テノール担当)
グループ名は柔らかく上質で滑らかな生地「Velvet(ヴェルヴェット)」に由来し、メンバー全員が身長180㎝以上、音楽大学声楽科出身テノールとバリトンで構成されるヴォーカル・グループ。クラシックをベースにロックやポップス、ジャズ、日本の民謡に至るまで様々なジャンルの歌を自在に表現、独自の世界を創り上げている。これまでにクラシカルクロスオーバー三部作アルバム、世界のミュージカルの名曲を集めた1枚を経て、コロナ禍には「pray(祈り)」と一人一人が大切な楽曲を集めた「play list」の2つの意味を持つ「PRAYLIST」をリリース。秋には全国5公演コンサートが決定!来年は結成15周年を迎える。
 
☆コンサートツアー2022「Eternal」
10月23日(日)大阪:森ノ宮ピロティホール・11月20日(日)東京:Bunkamuraオーチャードホールほか
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