氣志團、高橋優、Creepy Nuts、橋本絵莉子ら出演 四星球が地元・徳島で開催した20周年記念フェス『徳島ジッターバグ』1日目のレポートが到着(画像:全47枚)
いよいよトリ四星球前の橋本絵莉子。この2日間のひとつの大きなキーワードとして、チャットモンチーというバンドは外せない。2018年に完結した彼女らだが、四星球と同じ徳島出身同期的関係であり、4年前には同じアスティとくしまでフェスを開催する先輩でもあり、2年前の四星球のアスティとくしまライブには『チャットモンチー(笑)』という名義で大きなお花を贈ってもくれていた。解散を(済)と表記していたのだが、四星球のノリに合わせて(笑)という表記を使ったのは素晴らしく粋だった。肝心のライブも、とても粋で、橋本は途中『四星球のライブって、すだちくんがいつも来てくれるんです! 私もお願いしてるから、ちょっと呼んでくるから待っててください!』と袖に下がり、間もなくするとすだちくん覆面をすっぽり頭から被って登場して、チャットモンチー代表曲『シャングリラ』が鳴らされるという粋の極みでしかない演出…。愛でしか無かった…。
橋本絵莉子 撮影=石井麻木
橋本絵莉子 撮影=石井麻木
橋本絵莉子 撮影=石井麻木
いよいよ19時20分。トリ四星球。出番前にダイスケはんが登場してきて少し話す。『バンド主催のフェスは普段のフェスとは違って、対バンみたいな感覚がある』と説明したが、これは本当に言い得て妙だと思った。だから各演者、ああいうアプローチでライブをしたのかと物凄く納得してしまった。そして、四星球のライブを起承転結があって、最後に胸が温かくなるとも話す。まさしく、その通りになる初日の大団円に、その後、見事になっていく。
ダイスケはん 撮影=石井麻木
四星中学校大運動会とスクリーンに大きく映し出されて、メンバーは騎馬に乗りステージへと上がっていき、そこにはダイスケはん、氣志團、ORANGE RANGEの騎馬が待ち受けているという何故か騎馬戦から始まる。その騎馬をステージぞめき出演者でもTHE春夏秋冬が担っているのも、何だかグッとくるものがあった。そして、お客さんを2チームに分けて、曲中に運動会的に競技をしてもらい勝ち負けを決める愉快な楽曲『運動会やりたい』へ。Hump Backが登場して応援したり、それから花団・SHIMA・古墳シスターズというステージぞめきチームが応援団の様にどっしりと構えたりしている! トモフスキーやスケジュールの都合で一足早く会場を出た高橋、Creepy Nutsは映像で登場したりと、初っ端から出演者全員参加型のライブなんだなと嬉しくなる。しかし、この後、あんなカオスが待ち受けているとは、この時は露知らずで……。
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
以前にも四星球のライブレポートでは書いているが、彼らのライブには康雄が書いた細かい緻密な台本が存在する。しかし、ライブはナマモノなので、大筋はその通り進んでも、箇所箇所で良い意味で大きく踏み外しハミ出して、だからこそ生まれる化学反応やミラクルがある。この日は、その決定版でもあった。大まかに書くと、ライブ中、まさやんの頭にドリフターズ並みの巨大タライが落ちて、まさやんは気を失い、記憶を復活させるために、ありとあらゆる手を尽くしていく。その中には康雄と橋本が『蛍の影』をデュエットする美しい同期愛もあり、ホロっとくる名場面であった。なのに、何がどう転がったのか、まさやんにモリスがキスをしたら記憶が蘇るというくだりに突入していく。私の手元にある台本には、そうとしか書いてない。ところが何故か、まさやんはU太にもキスをされ、気付くと花団カズが出て来て何故か康雄とキス。その康雄はまさやんともキスをして、またもや気付くとダイスケはんとHIROKIがキスして、EGACCHOもまさやんとキスして、最終はトモフスキーがスローモーションでまさやんとキス…、もう入り乱れてのキス祭!
記憶が蘇らないから、まさやんのギターのジャカジャーンから鳴らされる『クラーク博士と僕』が始まらないという流れなので、延々とキスのくだりもあって、それで記憶が蘇り、ジャカジャーンが鳴るというハッピーエンドが待ち受けているはずだった。なのに、最後の最後で機材トラブルで本当にジャカジャーンが鳴らないという神様の贈り物としか思えないリアルトラブルで、その日一番の大爆笑に! まさやんはもちろん、メンバーも本番後、大反省していたが、私はこれで絶対に良かったと思う。台本では絶対に思いつかなかった大ミラクルが起きたのだから。これがナマモノのライブである。それに、このコロナ禍で、あんなにキスするライブが世界中にあるだろうか? あるわけないが、それが四星球だ。ラストシーンは四星球メンバーが四人五脚で帰っていく。てか、四人五脚って何?!
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
四星球 撮影=石井麻木
ライブ後、ダイスケはんが出て来て、『この空気感で何を喋ればいいんでしょうか!!』と笑っていた。まさにおっしゃるとおり! そして、康雄もレギュラー出演する四国放送の生活情報番組『ゴジカル!』のHPで徳島の美味しい飲食店を調べて、そこで食べて帰って下さいと徳島宣伝までしてくれた。翌日の告知として、出演者ラインナップ的に暴力的になるかもと冗談交じりで話していたが、この時は初日とはまた違うハッピーピースフルで感動的な最後が待っているとまでは思いもよらなかった。
てか、これが、もう1日あるのかよと、私もたかが1日ライブレポートをしただけで満身創痍になったが、何よりも終演後に舞台裏で観る演者たちのやりきった笑顔はとてもとても幸せそうだった。2日目朝9時、これまたホテル前に朝9時当たり前の様にモリスが迎えに来てくれて、会場入り。康雄と少し話す。
『攻めたかったんですよ』
彼は恥ずかしそうに笑って、ひとこと話してくれた。ルールマナーモラルを守った上で、このコロナ禍に攻めるというのは、勇気もいるし閃きもいる。今年のフェス現場は声を出す事に焦点が当てられやすかったが、それはそれで素晴らしい事だけれども、四星球は別の攻め方をした。その攻め方のキスが正解なのかは、誰もわからないが、あんなにカオティックでハッピーな大団円は無かった。2日目、初日のポイントに敢えて上げなかった声に涙する事になる。
取材・文=鈴木淳史
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