城田優「インスピレーションが欲しい人は観に来て」 ジャンポール・ゴルチエの半生を描いた「斬新」なミュージカル『ファッション・フリーク・ショー』に出演
ゴルチエに「すごく共感する」
ーーゴルチエさんについてはどうでしょう。彼のイメージだったり、半生について思うことだったりを教えてください。
僕、映画の『フィフス・エレメント』が好きなんですけど、今思えば衣装で世界観が作られていた映画だったなと思うんですよね。当時は「ゴルチエさんのデザインだ」と意識してみていませんでしたが。あれがいわゆる一般的なお洋服だった場合、全く違う世界観になっていて、映画としてもあそこまで異彩を放つ作品にならなかった気がする。ファッション・デザイナーの方はみんなそうなのかもしれないけれど、流行りではなくて、本当に好きでやられているんだなというのが感じられて、そこが素晴らしいですよね。
僕もゴルチエさんのことにめちゃくちゃ詳しいわけではないんですが、ゴルチエさんは子どもの頃から、勉強というよりはファッションに夢中だったそうです。僕自身も勉強そっちのけで曲を作ったり、物語を考えたり、自分の好きなことに興味を持っていた子どもだったので、そういう意味ではすごく共感するところがあります。
ーーゴルチエさんとお話するとしたらどんなことを聞きたいですか?
『ファッション・フリーク・ショー』があまりにも奇想天外なものなので、どういうマインドでこの作品を作られたのかを聞いてみたいですね。どこまでが実際のストーリーで、どこがフィクションなのか、どこまでゴルチエさんがディレクションをしているのかも含めて、シンプルに聞いてみたいですね。あと、ファッションに関しては、多分いろいろなところで語られていると思いますけど、どういうこだわりでやられているのか、1人のクリエイターとして聞いてみたいかな。
ーーゴルチエさんはもともと舞台が大好きで、そこからショーやファッションの世界に興味が移ったという話があるようですが、城田さんが舞台を好きになった原体験を教えてください。
僕が初めて舞台を観たのは、12、13歳ぐらいのときに観た『アニー』なんですよね。もちろんすごく面白かったし、楽しかったんですけど、そこで舞台が好きになって、ハマったかと言われるとそうではなくて。その後、自分が実際に舞台にもっと深く携わることになるのが、16歳のときにオーディションで受かったミュージカル『美少女戦士セーラームーン』でした。二十数年前の、今で言う2.5次元ミュージカルのはしりですよね。
男の子だったので正直『セーラームーン』かぁと思いながらオーディションを受けていたんですけど、資料映像を観させてもらったときに、僕、感動のあまり泣いたんですよね。10代の子たちがメインでやっている作品で、物語として感情移入できて、非常に心を動かされたんです。僕は歌というものに非常に思い入れが強くて、作品の中でキャラクターが歌う歌がこんなにも力を持つんだなと初めて感じたんです。
それに、当時13歳からいろいろなオーディション受けさせてもらって、鳴かず飛ばずにいた僕が初めて合格したミュージカルでした。先輩方から「優は絶対にミュージカルに向いているよ。その身長と顔の彫りの深さと歌はすごい武器だよ」と言われて、自分の居場所がやっと見つかった感覚でした。
ただ、好きという感情とともに、嫌いという表裏一体の感情もあるんです。実はいつも非常に複雑な気持ちでミュージカルに挑んでいます。観るだけだったら、もう大好きだし、10代から年に1、2本は必ずミュージカルをやってきて、自分が作ったり、演出したり、いろいろなことをさせてもらっているんですけども。ゴルチエさんのファッションに対する思いと、僕のミュージカルに対する思いは、若干違うかも分からないです。