【X Games】5分で分かるスケートボードストリートの魅力とは?

コラム
スポーツ
2023.4.17
 Yoshio Yoshida / ESPN Images

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X Games Chiba 2023』が5月12日(金)~14日(日)、ZOZOマリンスタジアム(千葉県)で行われる。

今大会で行われる全11種目の中でも、日本人男女のダブル表彰台が期待できるのがスケートボードストリートだ。『東京2020 夏季オリンピック』では男女とも金メダルを獲得。男子は当時22歳の堀米雄斗が、女子は同13歳の西矢椛(もみじ)が、世界をあっと言わせた。

昨年4月の『X Games Chiba 2022』では、男子がメダルを独占。エースの堀米が金を獲得し、当時15歳の池田大暉が銀、同20歳の白井空良が銅と続いた。女子も奮闘し、同16歳の中山楓奈が銀メダルに輝いている。

今回は、そんなスケートボードストリートについて、知っていると観戦がもっと楽しくなる情報をおさらいしておきしたい。

スケートボードストリートって、どんな競技?

Yoshio Yoshida / ESPN Images

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スケートボード競技には“ストリート”と“パーク”がある。このうちストリートはスロープ(坂)や階段、ハンドレール(手すり)など、ストリート=街を再現したコースで行われる。

コース内には直線的なセクション(構造物)が配置され、手すりなどにデッキ(スケートボードの板部分)を当てながら滑る「スライド」や、トラック(デッキと車輪をつなぐ金属部分)を当てながら滑る「グラインド」が、ストリートのトリック(技)では多用される。

また、レールやレッジ(花壇やベンチを模したもの)に飛び乗る際には、選手が手を使わずにボードとともにジャンプする「オーリー」というトリックも活用される。選手の演技を観戦する際には、レールやレッジへの乗り方や降り方、それらの上を滑る距離にも注目したい。

Jason Halayko / ESPN Images

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その他、デッキを回転させる「フリップ」も多用され、選手自身が回りながらデッキも回し、手を使わずに再び足を戻す――というような高度なトリックもある。デッキの回し方は水平、縦、横と様々。観客の意表を突くトリックを、最高のタイミングで成功させるのが、ストリート競技最大の見どころと言えるだろう。

ちなみに、スケートボードは進行方向に対し前側を「ノーズ」、後ろ側を「テール」という。さらに、スタンスで左足を前にするのが「レギュラー」、右足を前にするのが「グーフィー」。本来のスタンスは「メインスタンス」、逆を「スイッチスタンス」と呼び、同じトリックでもメインとスイッチでは難易度が異なり、評価も違ってくる。こうした基礎知識を覚えておくと、ストリート競技の観戦がもっと楽しくなりそうだ。

スケートボードストリートの競技ルールは?

Jason Halayko / ESPN Images

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ストリート競技では一般的に、制限時間45秒の中でコース内を自由に滑る「RUN(ラン)方式」を2本、難易度の高いトリックに挑戦する「BEST TRICK(ベストトリック)方式」を5本実施。その中で評価が高かった4本の得点を合計して、順位が決められる。

X Games Chiba 2023』では、決勝に8名の選手が出場し、30分間のコントロールジャムセッション形式で競技を行う。選手は1人ずつ、スタート順にランを実施。 1つのランにつき最大45秒間のライディングを行い、これを30分間により多く行うので、約4本の滑走が可能となる。

ライディングは1ランごと評価され、最も高い得点がその選手の成績の対象となり、順位を決定する。

見どころは、個性あるトリックをどう繋ぎ、どのようにしてミスなくランを終えるかというところ。オリンピックよりトライ数に余裕がある分、高難度なトリックを繋ぐことも可能に。特に制限時間ギリギリになると、少しでも順位をあげようと選手がチャレンジしてくるので、そこで繰り出される高難度のトリックは見逃せない。

前回の千葉大会では日本男子がメダル独占

日本初開催となった『X Games Chiba 2022』は、昨年の4月22日(金)~24日(日)にZOZOマリンスタジアムで行われ、男子ストリートで堀米・池田・白井がそれぞれ金・銀・銅メダルに輝いた。

決勝に進出する8人を決める予選は大会2日目に行われ、日本勢はエース堀米がトップ通過。白井が5位、池田が8位で続いた。

Hikaru Funyu / ESPN Images

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そして、最終日の決勝では、堀米が1本目からトップに立つと、2本目にはノーリー270バックサイド リップスライド → ノーリーバックサイド270からのノーズライド → 折り紙ギャップでのノーズグラブ360 → バックサイド ノーズブラントスライド → スモールギャップでの360フリップ → ギャップからのリップスライド → スイッチ270リップスライドをメイクして首位を守った。

その後、最初の2ラウンドを終えた時点で日本人ライダーが上位3位に並んだのだが、3ラウンド以降が雨のためキャンセルとなったため、日本人選手3人による表彰台独占が決まった。

Brett Wilhelm / ESPN Images

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一方、女子ストリートでは、『東京2020 夏季オリンピック』のストリート銀メダリストで、当時14歳のライッサ・レアウ(ブラジル)が初日の予選を3位で通過すると、『X Games』のスケートボードストリートで自身初となる金メダルを獲得した。

レアウは最初のランで、フロントサイド フィーブル グラインド → ヒールフリップ → キックフリップ バックサイド リップスライド → バックサイド スミス グラインド → 折り紙ギャップを越えるオーリー、そして下りのビッグレールでのフロントサイド ブラントスライドをメイクし、首位に立った。

その後は東京オリンピック 銅メダリストで、当時16歳の中山楓奈が予選と同じ2位に入り、同12歳の大会最年少クロエ・コベル(オーストラリア)が予選5位から3位に躍進した。

Brett Wilhelm / ESPN Images

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一方、予選トップだった同15歳の織田夢海は、惜しくも4位に終わり、同20歳の西村碧莉は予選8位から順位を上げることはできなかった。

今年の注目選手は?

X Games Chiba 2023』には国内外から多くのトップ選手が出場するが、スケートボードストリートでの注目は、同競技の初代女子オリンピック金メダリスト 西矢椛だ。

西谷は『X Games』の女子ストリート競技では、2019年の米国ミネアポリス大会で銀メダル、2022年の米国カリフォルニア大会で金メダルに輝いているが、千葉大会は初出場となる。2月の『スケートボード世界選手権』では銅メダル。金メダルは前回の千葉大会覇者ライッサ・レアウに譲ったが、今回の日本開催で譲る気はない。

東京オリンピックでは日本人選手最年少となる13歳での金メダリストとなった西谷。この4月には大阪学芸高校に入学し、ブレザー姿で気持ちも新たに、競技・学業の両立を目指している。東京五輪では「決まった――! 13歳、真夏の大冒険!」の名実況も生んだ西谷のトリックを、今回も期待しながら観戦したい。

また、男子では小野寺吟雲(ぎんう)に注目したい。昨年11月の『スケートボード日本選手権』で初出場からの優勝を飾ると、2月の『スケートボード世界選手権』ではエース堀米雄斗の予選敗退を尻目に、史上最年少の12歳で銅メダルに輝いた。

ランの1本目は失敗したが、2本目に空中で1回半回る大技「540(ファイブフォーティー)」を決め、ベストトリックでも高度な技を成功させている。

「Ginwoo」の名で世界的にも知られるようになった小野寺。『X Games Chiba 2023』でも、観客席から「Ginwoo」コールが響き渡るシーンが、今から期待される。

今年の大会スケジュールは?

X Games Chiba 2023』のスケートボードストリートは、5月12日(金)に女子予選、13日(土)に男子予選と女子決勝、14日(日)に男子決勝が行われる。現在の出場予定選手は、男子が14人で、女子は13人。いずれも内外のトップ選手で、昨年をしのぐ激闘が期待される。

2022年に日本初開催された千葉大会には、18カ国から90人、平均年齢が24歳(4人に1人はティーンエイジャー)の世界トップアスリートが出場した。のべ4万人の観客が世界最高峰の妙技を満喫し、会場は連日興奮のるつぼと化している。

今回の『X Games Chiba 2023』には、100人を超える選手が参加を予定している。中でも日本人活躍の期待度が高いスケートボードストリートを見逃す訳にはいかない。

イベント情報

『X Games Chiba 2023』

 日程:5月12日(金)予選日
    5月13日(土)開場 11:00/閉場 21:00 ※予定
    5月14日(日)開場 10:00/閉場 17:00 ※予定
 場所:ZOZO マリンスタジアム(千葉県)

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