ハルカミライ×Chilli Beans.、バンドの核をぶつけ合った初ツーマン『SOUND CONNECTION -SUNSET PARTY-』レポート
『SOUND CONNECTION -SUNSET PARTY- 』2026.7.3(FRI)大阪・大阪城音楽堂
2026年7月3日(金)、ハルカミライとChilli Beans.が相まみえる日がやってきた。舞台は大阪・大阪城音楽堂にて開催された『SOUND CONNECTION -SUNSET PARTY-』。関西からアーティストやオーディエンス、シーン全体をつなげることをコンセプトに、MBSテレビと在阪のコンサートイベンター、エンターテインメント業界が手を組み、2022年にスタートさせたライブイベントである。ライブ当日はイベント限定のタオルが販売されたり、メンバーのリクエストに応えて、大阪名物「わなか 」たこ焼きやかき氷の屋台が出店されたりと、すっかりお祭りムードに。そんな中、2組が繰り広げたのは「Chilli Beans.とは何か」「ハルカミライとは何か」を体現する己の核を剥き出しにしたステージだった。
Chilli Beans.
時刻は18時半。まだ青空も覗く会場に、笑い声と鼻歌を混ぜ合わせたSEが広がった。先攻はChilli Beans.。今宵のオープナーは「105☻」である。アンニュイな歌声と〈君らが好きなこれはparty〉〈口に出して言ってmistake〉というリリックの攻撃的な破裂音、メタリックなカッティングが渦巻き、微かに不気味な空気を醸成すると「This Way」へ。冒頭からの流れを汲むようにMaika(Ba.Vo)のスラップやLily(Gt.Vo)のチョーキングギターが責め立てる一方、Moni(Vo)はサングラスを外し、満面の笑みを浮かべる。このワンシーンからも読み取れる通り、かわいいやクール、無垢や洒落っ気を矛盾させることなく内包し、自由気ままに着飾らない感情を手渡していくのが、Chilli Beans.のシグネチャーなのだろう。
「すごい楽しみだったので、楽しんでいきたいと思います」なんてラフなMCも、「pineapple!」の腰に手を当てて踊る様子や、〈オシャレはしてない ラフなスタイル today〉とタンクトップをつまむ仕草も、3人のこうした性格に基づくもの。さらに、「皆さん、一緒に踊ってください! 今日は夏のお祭りらしいです」と投入された「Tremolo」だって、この場を120%のハッピーで染め上げようとするChilli Beans.の茶目っ気の表出である。フロアを先導する形で飛び跳ねていたMoniは、額を近づけて演奏を重ねるMaikaとLilyへ、あたかも「私も混ぜてよ!」とでも言うようにのしかかっていく。
こうした仲睦まじいワチャワチャ感は、縦横無尽にステージを駆け回るハルカミライにも通ずる側面に思える。しかし、ここで見失ってはならない事実が、この風通しの良さは決して一朝一夕で身につけたものではないということだ。元来、シンガーソングライターとしての性質を強く宿し、「音楽で生きていくこと」を大前提としてきた3人が手を組んだこの集団は、ストイックでシビアな音楽旅行を繰り広げてきた。そんな中、昨年6月に発表されたEP「the outside wind」からも分かるように、近年の彼女たちは固定観念やパブリックイメージに囚われることなく、よりナチュラルな在り方を志向してきたはず。要するに、少しずつこじ開けてきた風穴から吹く自由の風を、軽やかに受け止めているのが現在地点。事実、あらゆる取材にて「自然体」「Chilli Beans.らしさ」といったワードが飛び出してくるのもそうした変化の裏付けだし、このイベントを記念した対談にて「風の横をすり抜けていくようなステージにしたい」と語ってくれた意気込みもその延長線上に位置するものである。
こう考えると、アンセミックなビートに乗せて3人の熱唱を響かせた「Raise」を経て、「pain」でラストを飾った理由も見えてくるだろう。レスポールから放たれる重厚なリフに負けない熱を帯び、口に出された〈消えないで ここ立ってんの〉の1ライン。それは、Chilli Beans.がChilli Beans.として存在することの尊さと意義を堂々と表明していたのだ。
ハルカミライ
2019年にタイムスリップしたかと思った。なぜなら、この日披露された15曲のうち、13曲が2019年1月にリリースされた『永遠の花』以前の楽曲だったから。確かに、「サンキュー! 『SOUND CONNECTION』!」と、関大地(Gt)のギターと共に名乗りを上げた開幕曲「君にしか」から予定通りの2曲目に入ると思いきや須藤俊(Ba)が演奏を中断し、急遽「ファイト!!」を差し込む。「全員でやって帰ろうなー!」と「カントリーロード」、そして2度目の「ファイト!!」や「俺達が呼んでいる」「Tough to be a Hugh」へ転がっていく馴染みのオープニングが、『センスオブワンダー』(2017年2月リリース)や『星屑の歌』(2017年11月リリース)に収録されたファイトソングたちで構成されているのも一因のはず。あるいは、翌週7月11日にバンドの歴史を振り返るワンマンを控えていた影響もあったのかもしれない。
しかし、「Chilli Beans.が爽やかに踊らせてくれたんで、俺たちは真逆を行きます。爆音の中で、やらかして帰りましょう!」と汗臭いショーへと招待したり、「俺らも色んな映画だったり、音楽だったりから影響を受けていて。アウトプットの仕方は違っても、混ざれるはず」と話したことを視野に入れれば、第三の回答が浮上してくるだろう。4人はハルカミライの原液とも言えるナンバーたちによって、バンドのアイデンティティを紹介しようとしていたのではないか。
それでは、この夜で提示されたハルカミライの身上とは何だったのか。それは、「自分のアレコレと音楽が重なった時に、より音楽は光るなぁと思っていて。俺たちも人の顔が浮かぶような音楽を歌っていきたい」という言葉を反映したような暮らしに密着した温かさと、星や宇宙、風や海と融解していく壮大なスケールの双方を両立させる歌であり、演奏だったのだと思う。
4つの影法師が姿を現す中、波の大きな橋本学(Vo)の歌声が昇っていった「星世界航行曲」。小松謙太(Dr)の乱打で白色のライトが明滅を繰り返したのち、須藤のコーラスワークが冴えわたった「Mayday」。橋本が〈流星に追いついて 君に手を振るから〉の1行に合わせ、伸ばした手をゆっくりと抱き寄せた「宇宙飛行士」。読み聞かせをイメージさせるほどの慈愛に満ちた歌唱をたっぷりと届けた楽曲群もさることながら、白眉だったのが「アストロビスタ」だった。
舞台袖に腰かけた橋本がアカペラで歌い出すと、どこからともなく子供の泣き声が。すると、彼は「これも音楽だなと思うんです。あの子が大きくなるまで俺たちがライブをやっていて、実は”このライブ見に行ったんだよ”なんて会話をしてもらえたら、美しいなと思います」と話し、「Chilli Beans.7周年、おめでとうございます!」と続けた。
前作『生きるとは鼻くそくらいの希望を持つことだ』のインタビューで明かされている通り、一度はバンド人生から降りることを決めた彼らが、赤ちゃんが大人になるまで歌い続けることをさらりと告げ、後輩の記念日を祝ってみせる。その出来事の尊さたるや。「エース」で本編を締めくくると、アンコールでは「7月に入ったから」と「夏のまほろ」を。4人は「今年の夏、最初の思い出を作りにきた!」の宣言通り、涼しげな風が身体を撫でる7月の野音に相応しいステージを展開してくれたのである。
なおこの日の模様は、後日MBSテレビ『よんタメ』でダイジェスト映像を放送予定なのでお見逃しなく。10月27日(火)にはアイナ・ジ・エンドと羊文学による『SOUND CONNECTION -Mirroring Lights-』が神戸国際会館こくさいホールで開催されるので、要チェックだ。
取材・文=横堀つばさ 撮影=渡邉一生
フード出店=「たこ焼道楽 わなか」
イベント情報
<セットリスト>
Chilli Beans.
2.This Way
3.See C Love
4.aaa
5.pineapple!
6.HAPPY END
7.neck
8.アンドロン
9.ひまわり
10.Tremolo
11.just try it
12.Raise
13.pain
ハルカミライ
2.ファイト!!
3.カントリーロード
4.ファイト!!
5.俺達が呼んでいる
6.フルアイビール
7.春のテーマ
8.星世界航行曲
9.ウルトラマリン
10.Mayday
11.宇宙飛行士
12.アストロビスタ
13. 世界を終わらせて
14.エース
En.1 夏のまほろ
主催:SOUND CONNECTION実行委員会
イベント情報
出演:アイナ・ジ・エンド / 羊文学
●S指定席 11000円
●グッズ付き指定席 11300円 ※限定受付
●指定席 8800円
●グッズ付きファミリー指定席 11300円 ※限定受付
●ファミリー指定席 8800円
※3歳未満のご入場はできません※4歳以上は
※16歳未満のお客様は保護者の方同伴の上ご来場ください