「これで終わりじゃなく、ここから何をやろうか?」Base Ball Bear、『Lyrical Tattoo』ツアーでみせた成熟度とダイナミズム、未来へ突き進む高揚感

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2026.7.12
 写真=オフィシャル提供(撮影:藤川 烈)

写真=オフィシャル提供(撮影:藤川 烈)

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『Base Ball Bear Tour「Lyrical Tattoo」』2026.7.10(FRI)福岡DRUM Be-1

2026年7月10日(金)、福岡DRUM Be-1で、『Base Ball Bear Tour「Lyrical Tattoo」』のセミファイナル公演を観た。確かめたいことはいくつもある。最新ミニアルバム『Lyrical Tattoo』の、長いツアーを経ての成熟度。ライブハウスの小空間だからこそ体感できるダイナミズム。そして結成25周年、メジャーデビュー20周年のバンドの現在地。博多祇園山笠で、山笠が街を駆け抜ける博多は最高気温36度。会場内も期待と熱気でいっぱいだ。

1曲目はミニアルバムの冒頭と同じ「Lyrical Tattoo」。音合わせのようなラフなイントロから、カウントを入れて曲になだれ込む、オープニングからいきなりかっこいい。ギターを持ち替えて「short hair」、フィードバックノイズを生かした「ランドリー」へ、アップ/ミドルの曲を連ねて豪快に飛ばす。堀之内大介(Dr)は表情と腕と足をフルに使って豪快に、関根史織(Ba)は微笑みを絶やさずしなやかに、そして小出祐介(Vo.Gt)は多彩なエフェクターを駆使して、ギタリスト数人分の役割をやってのける。4か月前、東京で見た時よりも明らかに表現力と結束力が増している。


「福岡公演にご来場いただき、誠にありがとうございます。Base Ball Bearです」(小出)

まずは久しぶりの福岡の観客に挨拶を済ませ、ついでに開演直前の関根のとある言い間違いをいじり倒し、和やかな空気になったところで、次のセクションは『Lyrical Tattoo』からの「caramel dog」でスタート。『Lyrical Tattoo』のギターについて小出は“ジューシーな歪みたっぷり”と表現していたが、目の前で浴びる音はまさにジューシー&フレッシュ。堀之内の鳴らしっぱなしシンバルが気持ちいい「メタモルフォーゼ真っ最中」、関根の極太ベースラインに惚れる「TIME SHIFT GIRL」、ミドルテンポの心地よいグルーヴを持つ「ヘヴンズドアー・ガールズ」と、四つ打ちダンスロック「USER UNKNOWN」は、踊れる曲だがどこかに悲しみと切なさを潜ませて、ただ楽しいだけじゃ終わらない。得も言われぬ深みがある。

街は博多祇園山笠の真っ最中ということで、次の小出のMCはその話題。しかも山笠ならではの「お尻丸出しについての考察」という話題で笑わせたあと、『Lyrical Tattoo』から、関根の歌うアコースティック曲「Remains」を、美しくしっとり聴かせて違和感がない。小出がアコースティックギターとハーモニカでノスタルジックなメロディを奏でる「WHITE ROOM」、エレクトリックに持ち替え、素晴らしくエモーショナルなソロを聴かせる「ドライブ」と、緩急織り交ぜたスロー/ミドルテンポを組み合わせ、ぐいぐい引き込んでゆく。

「結成25周年、メジャーデビュー20周年で、たくさん作品を作ってきましたが、その中でもすごく気に入っている1枚です。しかも、これで終わりじゃなくて、ここから何をやろうか?というワクワクを感じれる作品になりました」

今はすごくいい調子で、いい40代になれていると思います。最新作『Lyrical Tattoo』について語る小出の言葉は率直だ。そんな我々を見届けるために、みなさんも健康でいてください。観客に呼びかける言葉は親密だ。長く続くバンドは、ファンを含めて、多くの人生を巻き込む生活や生き方の共同体になってゆく。Base Ball Bearはすでに、その域に入っている。

最後のセクションも、『Lyrical Tattoo』の曲から始まった。小出のギターの爪弾き、堀之内のシンバルのさざめきからカウント一閃、「夏の細部」が始まる瞬間のかっこよさに、ロックバンドの旨味がしっかり詰まってる。「夕日、刺さる部屋」から「BLUE、たる」へ、おおきく振りかぶってスネアをひっぱたく、堀之内の鬼神のドラミングに痺れる。関根が最前線に飛び出して、観客の歓声を一身に浴びている。「LOVE MATHEMATICS」では、珍しく小出が観客にクラップを求め、フロアいっぱいに温かい一体感が生まれる。盛り上げる、というより、自然に盛り上がるのを待つ、Base Ball Bearのライブにはそんな空気がいつもある。

最後は、20年近く代表曲の座を譲らない「ドラマチック」と、『Lyrical Tattoo』のラストソング「(The rise of) Offline Souls」を演奏して、90分のロックショーはフィナーレを迎えた。『Lyrical Tattoo』の収録曲を曲順通りに並べ、その世界観を補完する楽曲を散りばめ、作品の完全版を見せるような見事なセットリスト。様々な時代の楽曲たちが、一つのコンセプトの元に集まり、すべてが2026年のバンドサウンドとして生き生きと鳴り響いている。

さらに、鳴り止まないアンコールに応え、「GIRL FRIEND」と「Power (Pop) of Love」をプレゼントして、堀之内の「福岡のみなさん、愛してます!」の叫びと共に、ツアーのセミファイナル公演は幕を下ろした。開演前に考えていた、確かめたいことの答えは出た。最新ミニアルバム『Lyrical Tattoo』の、長いツアーを経ての成熟度は予想以上だった。小空間だからこそ体感できる、ダイナミズムを堪能した。そして結成25周年、メジャーデビュー20周年のバンドの現在地は、ここが終わりじゃない、未来へのワクワク感に溢れるものだった。

この後、バンドは夏フェス出演を経て、9月4日(金)にLINE CUBE SHIBUYAで開催される『SHIBUYA NONFICTION Ⅲ』、そして11月1日(日)にSGC HALL ARIAKEで 開催される『25th Anniversary「 (This Is The) Base Ball Bear part.4」』へと突き進む。『バンドBについて』を始め、2006年リリースのCD5作品の初アナログ化も決定した。『Lyrical Tattoo』についても、ライブではただかっこいいという感想しか浮かばないが、インターネット内の“不在”について詩的に考察した歌詞の深みを、さらに多くの人に知ってほしい(インタビュー:https://spice.eplus.jp/articles/343798)。お楽しみはこれからだ。アニバーサリーイヤーはまだまだ続く。お楽しみはこれからだ。

取材・文=宮本英夫 写真=オフィシャル提供(撮影:藤川 烈)

セットリスト

『Base Ball Bear Tour「Lyrical Tattoo」』
2026.7.10(FRI)福岡DRUM Be-1
 
<セットリスト>
01.Lyrical Tattoo
02.short hair
03.ランドリー
04.caramel dog
05.メタモルフォーゼ真っ最中
06.TIME SHIFT GIRL
07.ヘヴンズドアー・ガールズ
08.USER UNKNOWN
09.Remains
10.WHITE ROOM
11.ドライブ
12.夏の細部
13.夕日、刺さる部屋
14.BLUE、たる
15.LOVE MATHEMATICS
16.ドラマチック
17.(The rise of) Offline Souls

encore
18.GIRL FRIEND
19.Power (Pop) of Love

ライブ情報

『SHIBUYA NONFICTION Ⅲ』
日程:2026年9月4日(金)
会場:LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
時間:OPEN 18:00 / START 19:00
料金:全席指定 6500円(税込)
出演:Base Ball Bear、岡村靖幸、RHYMESTER、accobin(福岡晃子
)、Ryohu、valknee

25th Anniversary「 (This Is The) Base Ball Bear part.4」
日程:2026年11月1日(日)
会場:SGC HALL ARIAKE
時間:OPEN 16:00 / START 17:00
料金:全席指定 7,500円(税込)
詳細:https://www.baseballbear.com/live/
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