恐竜の「食」をテーマにダイナミックに読み解く!『ヨコハマ恐竜展2026~恐竜の食卓大図鑑~』レポート

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2026.8.5
『ヨコハマ恐竜展2026~恐竜の食卓大図鑑~』

『ヨコハマ恐竜展2026~恐竜の食卓大図鑑~』

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この夏、パシフィコ横浜にて『ヨコハマ恐竜展2026~恐竜の食卓大図鑑~』が開催されている。会期は2026年7月17日(金)から9月6日(日)まで。

『食卓大図鑑』の名のとおり、本展のテーマは恐竜たちの「食」である。恐⻯たちはいったい何を、どうやって食べていたのか? ⻭の化石や全身骨格標本、巨大ロボットなどの多彩なコンテンツを通じて、太古の昔のお食事事情に迫る。生き物の普遍的な関心ごとである「食」を切り口にすることで、恐竜たちのどんな側面が見えてくるだろうか。

また、会場では展示のほか、恐竜に関するゲームやアトラクション(有料)が楽しめる「恐竜プレイランド」も併せて展開される。開幕に先駆けてその一部を体験してきたので、以下、会場の見どころ・楽しみどころをたっぷり紹介していこう。

考え方の基本をしっかり押さえよう

展示風景

展示風景

プロローグでは、国産恐竜としてお馴染みの「フクイサウルス」と「フクイラプトル」の全身骨格模型が出迎えてくれる(さて、どちらがどちらだか写真で分かるだろうか?)。草食のフクイサウルスと、肉食のフクイラプトルでは、よく見ると身体の作りがあちこちで異なっている。ここではそのチェックポイントを学び、研究者たちが化石のパーツからどんな情報を読み取っているのかを知ろう。この先の大量の恐竜たちを見ていくうえで、どんなところに注目したら良いかがクリアになるので、ぜひじっくりと鑑賞を。

歯のカタチで分類する、恐竜や生き物たち

展示風景

展示風景

展覧会の大部分を占める「ZONE1 恐竜の食べ方大図鑑」では、恐竜たちを生物学的分類や生きた時代ではなく、なんと歯のタイプごとに集めて展示している。恐竜に詳しい鑑賞者だったら「この恐竜とこの恐竜が並んで展示されているなんて!」と驚くかもしれない。スタンダードな恐竜図鑑や展覧会では見られないユニークな構成だからこそ、恐竜たちを新たな視点で見つめることができるのだ。

展示風景

展示風景

展示は8種類の歯の形それぞれでコーナー分けされており、各コーナーに拡大した歯の模型が用意されている。実際に手で触って確かめることで、「あ〜これは確かに使いやすそうだわ」と実感できるのである。例えば写真は「引き裂く」に特化した歯の模型だが、薄くなった端の部分に細かいギザギザがついている姿は、まさにレストランとかで使うステーキ用ナイフそのものだった。

たとえば、こんな恐竜たちが

展示風景

展示風景

「引き裂く」歯のゾーンで見つけた「カルノタウルス・サストレイ」の骨格が面白い。「短いアゴと、ほぼ動かせない小さな前あしが特徴」と説明にあったので見てみると……。本当に、前脚がめちゃくちゃ小さい! そのぶん首の筋肉が大きく、アゴも捻りに強いらしい。前脚で獲物を押さえつけるのではなく、噛み付いたら暴れられても決して離さない、という捕食スタイルだったことが想像できる。赤ちゃんのような前脚こそ可愛いものの、実際襲われたらと思うとかなりイヤだ。

展示風景

展示風景

「突き刺す」歯のゾーンには、水中の覇者「スピノサウルス」の頭部のロボットが。スピノサウルスといえば立派な長さに気を取られることが多いけれど、こうして頭部に集中して観察することで改めて気づけることがたくさんある。鼻の穴がずいぶん上にあるんだなとか、歯がとんがりコーンのような円錐形をしているんだなとか、これはぬるぬる滑る魚を食べやすいように特化した形なのだとか。なるほど、納得である。

展示風景

展示風景

「ついばむ」ゾーンには、くちばしを持つ仲間たちが集められている。大型の草食恐竜「デイノケイノス」、翼竜「プテラノドン」、さらに私たちにとって身近な存在であるカメの骨格標本も一緒だ。本展ではこんなふうに、恐竜以外の生き物の標本も参考として展示されているのがポイントである(こうして改めて眺めると、身近な生き物もかなりかっこよく見える)。くちばしを使って食べる彼らは獲物を丸呑みするため、歯を持たないのだそうだ。

恐竜王国・福井から自慢の標本が登場

展示風景

展示風景

本展で見られる恐竜の復元骨格たちは、ほとんどが福井県立恐竜博物館からやってきたものである。数ある中でも注目は、「つみ取る」歯のゾーンにいる「カマラサウルス」の一種だ。この骨格は全身のおよそ9割の骨が発見・保存されており、それを元にして複製が作られている。想像ではなく実物を見て製作されているので、標本のリアルさが頭ひとつ飛び抜けているのである。本展では同種の子どもの骨格標本と一緒に展示されていて、ちょっと微笑ましい。

展示風景

展示風景

そして見過ごしてはいけないのは、今回さりげなく初公開を迎えているという、こちらの頭骨の複製標本だ。後期白亜紀のアルゼンチンにいた竜脚類「サルミエントサウルス・ムサッキオイ」という恐竜である(ちなみに2024年にパシフィコ横浜にやってきた巨大恐竜パタゴティタン・マヨルムの仲間で、あの標本の頭部を作成するうえで参考にされた恐竜でもある)。脳みその入っていた「脳函」の化石の分析結果から、彼らは日頃“うつむき加減”で生きていたことが分かっているらしい。往時の姿を思わせるように、展示もうつむき加減である。このサルミエントサウルスは「すき取る」歯のゾーンにそっと展示されているので、どうぞお楽しみに。

迫力MAXな大恐竜たち

展示風景

展示風景

「ZONE3 親子の食卓図鑑」では、恐竜の大人と子どもの違いや、食事スタイルの変化に注目した展示が続く。やっぱり目を引くのは、ティラノサウルスの大人・子どものコンビロボットである。大人のほうは全長12mというビッグサイズで、これはティラノサウルスの中でも最大級の大きさのものだ。踏みつけられたトリケラトプスの頭部が、けっこう生々しい……。

展示風景

展示風景

お向かいには、全長25mの巨大恐竜「ディプロドクス」の全身複製骨格が! この標本は2023年に閉館してしまった東海大学自然史博物館に展示されていたものだそう。人によっては感動の再会となるかもしれない。

ディプロドクス科の恐竜は小さく生まれて大きく育つため、成長にしたがって食生活を変えていた。……そう聞くと普通は、子どもの頃は柔らかいものを食べて、大きくなったらバリバリと硬いものも食べられるようになるのかな? と考えたくなるが、実際は逆らしい。小さいうちは身を隠しながら選り好みせずに何でも食べて、巨体を手に入れたあとは開けた場所で柔らかい植物を食べていたのだという。そんなわけで、子どもの方が歯の数が多く、歯の横幅も広い「立派な口」をしていたようだ。早く大人になりた〜い、というディプロドクスの幼体の声が聞こえてきそうである。

展示風景

展示風景

なおZONE3の片隅に展示されている美しいサークルは、恐竜じゃないけど人気の高い古代生物「オトドゥス・メガロドン」の歯の実物標本である。ホホジロザメの2倍以上の大きさだったという巨大サメ、メガロドンの歯! クジラやイルカを襲い、実際に数多の哺乳類を咀嚼してきた歯である。しみじみと怖い。

まさかの、恐竜餌付け体験

展示風景

展示風景

本展中屈指の癒しスポットもまた、ZONE3にある。「バロサウルス」の幼体のロボットに向けて、傍の植物を倒してやると……

展示風景

展示風景

あらやだ、カワイイ……! 鳴き声をあげながら、葉っぱをむしゃむしゃしてくれるバロサウルス。心なしか、顔も笑っているような……?

鳥類へと続いていく物語

展示風景

展示風景

展示は「ZONE4 今に続くお食事図鑑」で大きく舵を切り、ここからは現代を生きる恐竜の仲間である「鳥類」に焦点が当てられていく。恐竜じゃなくて鳥かぁ……なんて言うなかれ。鳥類は進化の過程で登場した紛れもない「恐竜」であり、彼らの中で唯一、大絶滅を生き残った猛者である。本展ではがっつりと1章を使って、そんな鳥類の面白さに迫る。例えば「歯を持つ鳥」のゾーンを見ると、恐竜が鳥らしい姿へと変化していく中間の様子を知ることができて興味深い。

展示風景

展示風景

恐竜ならぬ「恐鳥」の異名を持つ「ケレンケン・ギレルモイ」。約1500万年前の陸の頂点捕食者だったという、飛べない鳥である。人を見下ろす巨大な頭は、確かに鳥というより恐竜に近い凄みを感じる。

展示風景

展示風景

可愛い鳥としてキャラクター的な人気のある「キーウィ」の骨格標本も。丸いのはキーウィの卵のようである。気になって調べてみたところ、キーウィは自分の体重の20%にもなる巨大な卵を産むらしい。卵のサイズだけ見ると、エミューと同じくらいである。一体どうなっているんだ……。生き物の不思議はそこらじゅうに転がっている。

恐竜のDNAと、私たち

展示風景

展示風景

展覧会もかなり後半、出口近くにそっとケース入りで展示されている「レア」の骨格標本を見てみてほしい。レアは小ぶりなダチョウのような飛べない鳥で、現在も地球上に生きている動物である。本展中でそこまで数の多くない実物の骨格標本なのだが、そのハッとするような“白さ”に目を奪われた。よく考えたら、生き物の骨はどれも全般的に白い。恐竜の化石は、埋まっていた地層の鉱物の色が染み込んでいるから、黒っぽかったり茶色っぽかったりするけれど、生きている間は恐竜の骨だってこんなふうに白かったのかな……と想像が膨らむ。そう思うとますます、恐竜を身近に感じられるような気がした。

展示風景

展示風景

エピローグではヒトの骨格標本と、左右にニワトリ、カラスという最も馴染みの深い鳥類が並んだ状態で展示されていた。恐竜が大好きな私たち人間と、恐竜の進化系である鳥たち、現代を生きるものどうし仲良くやっていこうじゃないか。鳥類に対するリスペクトがこれまでになく深まった最終章だった。

鑑賞後はお祭りタイムだ!

恐竜ストア風景

恐竜ストア風景

展示エリアを抜けると、その先には「恐竜ストア」や「恐竜プレイランド」が並んでいる。恐竜好きのための、ちょっとした縁日のような空間である。お土産にぴったりな恐竜アイテムが勢揃いするほか、土日限定で崎陽軒とのコラボ弁当なども販売されるとのこと。恐竜の焼き印が入ったシウマイを食べる人たちで、週末は会場内の休憩スペースがいい匂いに包まれそうである。

乗り物トリケラトプス(税込300円)

乗り物トリケラトプス(税込300円)

迫力あるトリケラトプスの背中に乗れるアトラクションも。取材時には動いていなかったが、頭を振ったり口を開けて鳴いたりするらしく、恐竜好きのキッズたちが大喜びすること間違いなしだ。トリケラトプスの角に金属製カバーが付けられているあたりに“恐竜を飼い慣らして共に暮らしている感”が漂っていて、大人のファンタジー心もくすぐられる。

自分だけのジェルキャンドル作りに挑戦

Joy Candle ジェルキャンドルワークショップ(税込1,430円〜)

Joy Candle ジェルキャンドルワークショップ(税込1,430円〜)

恐竜プレイランド内でひときわキラキラと輝く魅惑のコーナー、「ジェルキャンドルワークショップ」に参加してみた。グラスの中に好きな色の砂を敷き詰めて、そこにガラスのパーツを配置していく。ルールなんてもちろん無し。感性の赴くままに恐竜愛を爆発させるのだ(でもガラスパーツは課金制なのでほどほどに)! デザインが決まったら、あとはスタッフさんに預けて完成まで40分ほどストアをぶらぶら……。

なんと、蓋についたライトで七色に光るゴージャス仕様である。景色が赤く染まった時の絶滅っぽさが結構凄い。

なんと、蓋についたライトで七色に光るゴージャス仕様である。景色が赤く染まった時の絶滅っぽさが結構凄い。

完成! 砂を入れすぎて若干空が低くなってしまったものの、可愛い仕上がりにニッコリである。対峙するトリケラトプスとプテラノドン、その背後から迫るティラノサウルスを表現してみた。スタッフさん曰く気泡は時間とともに減っていくとのことなので、今後もっと景色がクリアになるのが楽しみだ。簡単でありつつ非常に満足度が高いイベントなので、来場の記念に親子やきょうだいで一緒に思い出を形に残してみてはどうだろうか。

この夏はパシフィコ横浜で恐竜たちに会おう!

時代区分や生物学的分類をあえて語らず、ひたすら「食」をテーマに恐竜を見つめるのが本展の面白いところだ。だからこそ、恐竜たちの存在をよりリアルに、そして身近に感じることができるのだろう。また近年の展覧会にしては珍しく一切の映像展示がなく、標本とロボットのみで構成される展覧会というのも潔く感じられた。そうだ、恐竜を愛する私たちは何よりも大きさや厚みや重みを、彼らの“圧”を感じたくて会場へ足を運ぶのだ。本展はそんな熱い想いを受け止めてくれているようで、ちょっと嬉しい。

今回で筆者の推しになった「カルノタウルス」。目の上のツノがチャームポイント。

今回で筆者の推しになった「カルノタウルス」。目の上のツノがチャームポイント。

真剣に展示に向き合っていけば、きっと「これはなぜだろう?」ともっと深掘りしたくなるポイントにたくさん出会うはずだ。知りたい鉱脈を見つけたら、続きはぜひ自由研究で。『ヨコハマ恐竜展2026~恐竜の食卓大図鑑~』はパシフィコ横浜にて2026年9月6日(日)まで開催中。今後の探求のきっかけが散りばめられた、夏休みにぴったりの展覧会である。


文・写真=小杉 美香

イベント情報

ヨコハマ恐竜展2026~恐竜の食卓大図鑑~
■開催期間:2026年7月17日(金)~9月6日(日)
■開場時間:10:00~16:30(最終入場16:00)
■会場:パシフィコ横浜 展示ホールA(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
■入場料:当日券:大人2,000円、中学生以下1,000円(全て税込)
※3歳以下は無料
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