ClariS 31枚目のシングルは夏を凝縮した1枚。「ヒトコト」にこめた作品へのリスペクト
左からアンナ、クララ、エリー 撮影:大塚正明
ClariS 31枚目のシングル「ヒトコト」が8月19日にリリースされる。TVアニメ『鬼の花嫁』オープニングテーマであるこの曲は、作中の思いを代弁するかのような切ないミドル・バラードとなっている。まるで初夏から晩秋までを凝縮したようなこの一枚に、ClariSの三人はどんな思いを込めたのだろうか?
――31枚目のシングル「ヒトコト」は2026年7月から放送が開始されているTVアニメ『鬼の花嫁』のオープニングテーマですが、まず『鬼の花嫁』のオープニングテーマを担当することが決まった際のお気持ちからお聞きしたいです。
クララ:私としては、これまでいろいろな作品の楽曲を担当させていただいていますが、今までなかったような世界観の作品だと思いました。お話をいただいたことが本当に嬉しかったですし、今までのClariSとは違う表現ができるんじゃないかな、ということを作品から感じられて、すごく楽しみになりました。
エリー:私も純粋に嬉しかったですし、私たち新メンバーが入ってからは初めて出させていただいたシングルが「Umitsuki」だったんですけど、今回の「ヒトコト」は恋愛がテーマのアニメとはいえ、TVアニメ『彼女、お借りします』とはまた違うテイストなので、どんな曲になるのかな、どんな形で携わらせていただけるのかな、というのを楽しみにしていました。
アンナ:もう本当にTVアニメ『鬼の花嫁』の作画が綺麗すぎて、お話をいただいた時から、作品の綺麗さをどう私たちの楽曲で寄り添って表現していけるか、というところがすごくワクワクして楽しみでしたし、一つ前のシングルが「Revive」で急な方向転換を見せたんですけど、それがまた90度反転して、ClariSが戻ってきました! って感じが面白くて。いいテンションで楽しめました。
――戻ってきました、は面白いですね(笑)
クララ:90度を超えて、ちょっと戻りすぎじゃない? ってくらいの角度ですよね(笑)。
――そんなClariSらしさのある「ヒトコト」ですが、楽曲を初めて聴いた時の印象、歌ううえで気をつけた部分などはありますか?
クララ:今回の楽曲って、ほぼ声から始まる楽曲なんですけど、その前に一音だけ音があって、その音があるだけですごく印象的なものになっていると思っています。最初に聴いた時からグッと心を掴まれていて、作品と照らし合わせた時に、柚子と玲夜が出会った時の衝撃みたいなのを感じられる楽曲だと思います。もともとはアレンジというか構成が少し違っていたんですけど、そこからよりアニメの世界観に寄せた歌詞や展開になって、よりドラマチックな感じになりました。
――確かに『鬼の花嫁』という作品の世界観にマッチした楽曲ですよね。
クララ:個人的には今まで表題曲としてこういったテンションの楽曲を歌うことが少なかったと思うんです。リズムはしっかりあるけど、激しすぎないというか。
――そう言われたらシングルではあまり「ヒトコト」のような感じってなかったかもしれませんね。
クララ:そうなんですよ。個人的にソロの楽曲ではバラードを歌わせていただいたりしていますが、いつかシングルの表題としてしっとりと歌い上げるような歌を歌ってみたいなっていう思いは強かったので、やっと来た! みたいな嬉しい気持ちになりました。
――確かにクララさんがソロで歌ってきた曲に近いテイストですね。
クララ:そうなんです。なので、好みどんぴしゃ! みたいな(笑)。なので自分が歌う想像はある程度ついたんですけど、2人がどんなふうにこの曲を歌うのかはすごく新鮮な気持ちで取り組みました。
――season03の体制になってから1年半。リリースされた楽曲も多くなってきましたよね。アンナさん、エリーさんは何かClariSというものに対する向き合い方や考えは変わってきたりしているのでしょうか?
エリー
エリー:そう、楽曲も増えていて。その中でクララちゃんの歌声というものを、「Revive」で壊そうとしたんですよ。なんというか……クララちゃんの歌声があればClariSにはなると思っているんです。ClariSらしさというか。
アンナ:うん、私たちが加入した直後の時に感じていた「これがClariSらしさだよね」っていうものと、実際に三人で活動し始めた私たち自身の距離感というものは正直ありました。改めてClariSというものを俯瞰で見て、そこに自分をどう当てはめていけるのか、みたいな手探りを繰り返して、たった1年半でシングルを3枚も出させてもらえたのはすごいことだと思っています。コンセプトを自分たちで作り上げる中で、これまでと違う自分たちなりのClariSになっているのかなという感覚になっていったのはあるんですよね。
エリー:なんかおこがましい気持ちもあるんですけど、クララちゃんと一緒だけど、どこか私たちで曲やライブを作っていけたら、それが新しいClariSのサウンドになれるんじゃないかなって感じています。最近はClariSというものをどんどん近くに感じているし、自然な状態で楽曲を考えられるようになってきたんじゃないかなって思っています。
――なんかお二人とも、インタビューでも物応じしなくなったような気がしています。すごく心の距離が縮まったというか。
クララ:本当にそうです。先輩感は正直なくなっていますね(笑)。
――この間の羽田のワンマン(4月17日開催『ClariS -03- 1st TOUR 2026 ~Trigger Anthem~』)でも感じたんですが、二人がちゃんと主張するようになってきたというか。クララさんに頼るのではなく、クララさんをビルドアップさせるように二人がパフォーマンスしている印象を受けたんです。
クララ:本当に支えられていますね。私自身はハモリやコーラスに行くタイミングでまだ緊張感があるんですけど、二人は自然に私の歌に寄り添ってくれるところがあります。「ヒトコト」はちゃんと二人の声が際立っているっていうところも多いので、三人のバランスを感じていただけるような一曲になっているんじゃないかと思います。
――本作では主人公・柚子の想いを書き乗せたとありましたが、どういう部分にそれが反映されているでしょうか?
クララ:家族からも愛されず虐げられてきた女の子が、あやかしである鬼の花嫁として見染められることで成長し、救われていく物語なので、まずはその切なさや行き場のない想いがあって、そんな柚子の感情から展開される楽曲だと感じています。どこか「このままじゃいけない」「幸せになりたい」という内に秘めた想いを切なく表現したくて。ただ、あまり感情的に歌いすぎるのも違うと感じていて、そのバランスが難しかったです。外では明るく振る舞う柚子の表情を意識しながら表現しました。
■一枚のシングルの中でグラデーションしていく夏の景色
――カップリングについても伺います。まず「KOIYAGURA」ですが、どんな曲でしょうか? 僕の中ではどこかボーカロイド文化を感じるものがありました。
エリー:ちょうど2010年くらいのボカロの感じがしますよね。ボカロがすごく好きなので、個人的には結構ワクワクしています。
――ClariSはシティポップ感のある曲は結構多いですけど、2010年代くらいのネットミュージックの文化を感じる曲は少し珍しい感じもしました。
クララ:意外と私自身もすごく新鮮な気持ちになりましたし、ボカロ感もありながら、日本の和の良さみたいなのも含んだ、最近の盛り上がる音楽性みたいなものも盛り込まれていて……なんかもう本当に飽きない一曲ですね。
――夏って感じがしますもんね。花火っていうワードも出てきますし。
エリー:そうですね。サビ前に「Summer Riot!」「Never ending...」ってワードがあって、そこからサビに入るまでちょっと間があるんですよ。これを待つ勇気が結構必要なんです。でもそれがあることによって、よりサビが際立っているっていうのが本当に楽しい曲だと思います。
アンナ:この曲のダンスをメンバーで考えたりもしたんですけど、パッと聴いた感じ、和の要素が多いので、個人的にはよさこいを彷彿とさせるなって思いました。なのでサビ前のところにはよさこいの要素も入れさせてもらったりもしているので、私も歌っていて楽しいです。あと三人の声が入れ替わる瞬間が早くて、本当に飽きないですね。
アンナ
――確かにすごく楽しい楽曲ですよね。
アンナ:とにかくレコーディングの時から、勢いで勝負した楽曲なんです。高いピッチのところもたくさん出てきますけど、私たちも熱量を上げて歌っているからこそ、夏の暑さを歌声からも感じていただけるんじゃないかなと思っています。和っぽいリズムが変わるところとかは、コブシを効かせたりして、演歌風な雰囲気も感じたりできるかも。とにかく元気になりたい時に聴いていただけたらいいんじゃないかと思います。
――結構、遠慮なくいろいろな要素を詰め込んでいますよね。
クララ:そう、だから結構歌うのが難しくて。三人でレコーディング入る前に、「これはもう音に飲み込まれたら終わりだから、気持ちだけは勝つ気持ちで頑張ろう!」って感じでした。
――レコーディングするときって、やっぱりクララさんが中心となってある意味、作戦を立てて挑むっていう感じなんですか?
クララ:レコーディングの前にプリプロっていう仮録音があるんですけど、そこで「ああ、こういう感じになるんだね」みたいな会話はします。「もっとこうした方がいいんじゃないかな」って擦り合わせをしたり、テンションや声のトーンを合わせながら、最近はレコーディングに臨んでいますね。
アンナ:でもクララちゃんが客観的に私たちの声も見てくれるんです。そのへんはやっぱりクララちゃんが中心にやってくれていますね。
――さすがにそこはキャリアが物を言うと(笑)。
クララ:すごく難しい部分もあって。どうしても私の感覚でしかない部分もあるので、三人なのに私の主観が強くなってしまわないかなっていう心配もあるんです。でもそれをちゃんと超えてくれるし、それぞれの良さが出ているなって思うので、いつも聴いていて楽しいですね。
――そしてもうひとつのカップリング曲「夏の面影」ですが、これはいわゆる「ClariSらしさ」みたいなものを感じられるミドル・バラードで、すごく良い曲だと思いました。挑戦的な楽曲もあれば、ClariSらしさを感じられる楽曲もある。かなりバランスを意識した1枚になっていますね。
クララ:今回に関しては『ClariS 15th Thanks Tour ~ 一夏灯祭 ~』というツアーが夏祭りをテーマにしていたので、「KOIYAGURA」はやりたいよね、となって。あれは熱い楽曲なので、そこはやっぱり全然違うものを入れたいと思っていました。この三人になった今、1曲を作り上げて増やすということの大切さを感じているので、いろんな面を見ていただきたいと思っています。
アンナ:「ヒトコト」が6月の梅雨明けから7月入りたてくらいのイメージだとしたら、「KOIYAGURA」は8月で、「夏の面影」は9月っていう感じのグラデーションみたいな感じになると、一番バランスがいいよねって思っています。
エリー:バランスですよね。本当に「ClariSらしさ」を感じられると思うんですけど、逆に最近、挑戦的な楽曲が多すぎて、「これどうやったらいいんだろ……」ってなった瞬間もありました(笑)。「あれ、私なんか癖強すぎるかな?」みたいな(笑)。
アンナ:まだ「Revive」の血が残っていたのかもしれない(笑)。
エリー:どんどんいろんな血が混ざって、改めて自分の中で「こういう歌い方だった」というものも思い出せて、逆に新鮮な気持ちになれて楽しかったですね。
――楽曲って増えるけど、減ることって基本ないですもんね。その中でバリエーションをつけたり、自分たちの中での意味付けみたいなのを考えたら、結構大変だろうなって思いました。
クララ:でもなんか今思ったんですけど、すごくClariSらしさもあるけど、この王道な夏の切なさを描いた楽曲って意外となかったかもしれないって感じていて。そういった意味では、なんか新鮮でしたね。
クララ
――新鮮味がありつつも、三人でいることに対してのフィット感はすごく出てきましたよね。違和感がない。
クララ:それはそうだと思います。
■ClariSにとっての「夏」とは?
――そして先程お話もあった『ClariS 15th Thanks Tour ~ 一夏灯祭 ~』も開催されます。このインタビューが出る頃には東京2DAYSも終わった頃かと思いますが。
クララ:タイトルにもあるように、15周年のお祝いになるように、皆さんにありがとうを伝えるようなツアーにしつつも、本当に夏祭りを感じていただきたいなと思っています。先日の『ClariS -03- 1st TOUR 2026 ~Trigger Anthem~』で三人のことを知っていただいた方には、より私たちのパーソナルな部分や、それぞれの声の良さを知ってもらいたいですし、前回はシングルを中心のセットリストでしたけど、今回は夏祭りというコンセプトに合わせて楽曲が展開されるんじゃないかと思っているので、「また知らないClariSがきた!」って思ってもらえたら嬉しいです。
エリー:暑い夏祭りの雰囲気もあれば、花火大会を一緒に見たあとのような切ない場面もあったり……コーラスやハーモニーも、『~Trigger Anthem~』よりもさらにパワーアップしています! 今までのClariSの楽曲をさらに三人らしくたくさんお届けできるように練習もしているので、夏の特大の思い出を一緒に作りましょう!
アンナ:このライブは、『一夏灯祭』という文字どおりの暑いお祭り感はもちろんあるんですけど、そこに何か意外性があるものにしたいと思っています。選曲もそうですし、「こんな風に見せるんだ!」っていうところも楽しみにしていただきたいです。
――三人の中で“夏”ってどういうふうに過ごしたり、どんなイメージがあったりするんでしょうか?
クララ:私はずっと北海道にいたので、爽やかな季節というイメージは強いですね。30度を超えて外にいられないっていう日って数えるくらいしかないし、夜になったら涼しかったりするので、羽織物なんか一枚着ればいい、というぐらい快適なんですよ。だからおばあちゃんの家とかに帰って星空を見る、みたいな季節ですね。
エリー:私は最高気温が毎年不安になります。今年も暑さ更新するの? そのペースで更新してたら何年後かに50度くらいまで行くの? って怖くなるもん(笑)。
アンナ:夏は好きですけど、東京はドロドロと暑い感じが最近はしますよね。でも夏ってすごく情緒を感じる季節というか、風鈴の音とか、夏祭りとか。
――確かに。
アンナ:札幌以外であまり「冬祭り」ってないじゃないですか。東京にいるとあまり感じられないけど、夏を感じられるイベントが多いのは楽しいですよね。
――では、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。
エリー:『鬼の花嫁』のアニメもとても素敵な作品ですし、私たちのミュージックビデオもアニメのオープニング映像とリンクしている部分もたくさんあるので、そういったところも楽しみながら、たくさん見て、聴いてください。
アンナ:「ヒトコト」というシングル一枚に、夏の良さがしっかり詰まっていますし、それと一緒に『一夏灯祭』というライブツアーもできることがすごく嬉しいです。『鬼の花嫁』の世界観ともリンクしていますし、ClariSの活動ともリンクしているので、ぜひそちらも一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
クララ:今回『鬼の花嫁』のオープニングテーマ「ヒトコト」ということで、アニメの中でも玲夜の一言がすごくキーワードというか、心を動かす部分になっていると思いますので、私たちの歌も一言一言、一フレーズごとに皆さんの心や、柚子の思いに寄り添った形で届けられたらなと思っています。楽しんでいただけたら! ライブも素敵な夏を彩りたいと思いますので、ぜひ遊びに来てくださいね。
インタビュー・文=加東岳史 撮影=大塚正明
リリース情報
ClariS 31st SINGLE「ヒトコト」
[Disc 2](BD) ※期間生産限定盤のみ収録
ClariS Official Site:https://www.clarismusic.jp/
ツアー情報
『ClariS 15th Thanks Tour ~ 一夏灯祭 ~』