BRAHMAN『RUSH BALL 2026』クイックレポート――継いでいく思い、唄。そして『RUSH BALL』のバトン
BRAHMAN 撮影=ハヤシマコ
BRAHMAN『RUSH BALL 2026』クイックレポート
BRAHMANのライブを観ると、喜怒哀楽ーーいつもたくさんの感情が湧き起こる。2008年の初出演から今年で9回目となるBRAHMAN。『RUSH BALL 2026』、今年の彼らのステージは、始まりから終わりまで、とにかく“幸せ”という言葉に尽きていた。
「THE ONLY WAY」で幕を開けたステージ。KOHKI(Gt)、MAKOTO(Ba)、RONZI(Dr)が足元から揺さぶる疾走感ある音を鳴らすなか、TOSHI-LOW(Vo)の歌い出しのひと声で、その場の空気がぎゅっと硬い塊のように引き締まる。両手を高く掲げ、「人生で一度きりの2026年の夏、『RUSH BALL』。全力でBRAHMAN始めます!」。その言葉を合図に、さらに音が爆ぜていく。
「賽の河原」、MAKOTOはスピーカーに体を向け、全身で音を浴びながらがむしゃらにリズムを打ち付ける。怒涛の音の波が押し寄せるなか、TOSHI-LOWはいつものように拳を突き上げ、バンドの熱量を高めていくけれど、この日は始まりから終始笑顔だった。「SEE OFF」、タイトなビートが打ち鳴らされるなか、ステージの端まで駆け抜け、全身から力強い歌声を響かせる。赤く染まる夕陽は美しく、心地よい風が吹き抜ける。最高の環境でのステージ、メンバーの音、そして大勢の観客。ここで音を鳴らし、歌うことがとにかく楽しいと言わんばかりに最高の表情を見せる彼につられ、観客の声もさらに高まっていく。
「CHERRIES WERE MADE FOR EATING」、「BEYOND THE MOUNTAIN」と、次々に観客を煽っていく。昨年、同じ『RUSH BALL』で観た彼らのステージはヒリヒリとした気迫に満ちていたが、この日のステージは圧倒的で、爆発力のあるバンドサウンドが素晴らしいのはもちろん、「オーディエンスとともに、この空間を楽しむんだ」という、優しさに似た柔らかさが漂っていた。
と、思ったのもつかの間。「知らぬ存ぜぬ」では、マイクスタンドを投げ捨てたのを合図に、KOHKI、MAKOTO、RONZIの音が盛大に爆ぜていく。「順風満帆」では、ご機嫌なメロと踊れるリズム、タイトルと反した、混沌とした世の中への皮肉を見せつつ、強く生き抜く姿勢を音で魅せていく。あまりの怒涛の展開に、呆気に取られる人の表情も見える。BRAHMANのライブにおいて、一瞬のスキも見せちゃいけないんだったと、改めて思い知らされる。
「WASTE」では盟友・細美武士がステージに登場。この日の『RUSH BALL』の出演ラインナップを見て、誰もが予想していただろうけれど、あまりに自然な登場に、TOSHI-LOWと細美の関係性がよく伝わる。2人並んで歌う姿もまた、『RUSH BALL』恒例となりつつあるのが嬉しい。「大阪、声聞かせろ!」、細美が叫び、「今夜」へ流れる。気づけば2人して上半身裸になって、気持ちよさそうに声を響かせる。柔らかなKOHKIのメロディ、RONZIの逸る鼓動を落ち着かせるビート。この時間、この景色、確かな記憶を刻もうと、観客はただまっすぐ前を見つめ、良い表情を見せている。
「若いころ、夜がつまんなかった。でも、この人と出会ってから、人生の夜は最高になった! 今夜もだろう?」、TOSHI-LOWの嬉しそうな言葉。<今夜、終わらないで>の言葉のままだ。上半身裸で汗まみれのまま、満面の笑みで力強く抱き合う2人に、観客から大きな歓声が沸く。MCでは、おじさん2人が“イチャイチャ”裸で抱き合う姿を揶揄しつつ、この日のステージを振り返る。
先述した通り、BRAHMANは2008年から『RUSH BALL』に出演しているが、その頃、TOSHI-LOWはライブでMCをすることはなかったし、ステージ裏でもアーティスト同士で交流することはなかった。そもそも音楽フェスにも、めったに出演することはなかったという。「それでも『RUSH BALL』だけは心に引っかかるもんがあった。当時はステージはひとつだけ。タイムテーブルを見ると、うまく組まれていて、オレが居心地が悪かったのはステージに置いてあるバトンをちゃんと繋がなかったからなんだ。ほかのフェスにはない、『RUSH BALL』でしかありえなかったことだと気づけた」と、『RUSH BALL』が紡いできた思いについて語る。
今年、SiMから、そしてELLEGARDENへバトンを渡せることが何よりの喜びと告げたTOSHI-LOW。次はオーディエンスがそのバトンを持ち帰り、それを誰かに渡してほしいこと。そして、阪神・淡路大震災で生まれたバトンを東日本大震災で受け止め、そのバトンを渡したい。こんな歌があったんだよと渡してほしいと、披露したのは「満月の夕」。継いでいく音、言葉、思い。観客とともにありったけの思いを歌い叫び、全10曲、至福の時間があっという間に幕を閉じた。
取材・文=黒田奈保子 撮影=ハヤシマコ
(『RUSH BALL 2026』オフィシャルレポートの一覧はこちら)
セットリスト
1.THE ONLY WAY
2.賽の河原
3.SEE OFF
4.CHERRIES WERE MADE FOR EATING
5.BEYOND THE MOUNTAIN
6.知らぬ存ぜぬ
7.順風満帆
8.WASTE
9.今夜
10.満月の夕
イベント情報
日程:2026年8月29日(土)・30日(日)
会場:大阪・泉大津フェニックス
https://www.rushball.com
イベント情報
前売り料金:¥3,900-
★International Tickets★
First-Come, First-Served Presale Period:Jul 25 (Sat) 18:00 – Jul 30 (Thu) 23:59 JST
https://eplus.tickets/rushball_es/
<公演詳細ページ>