「維新派」松本雄吉さんが死去
松本雄吉さん(撮影:吉永美和子)
「維新派」を主宰する劇作家・演出家の松本雄吉(まつもと・ゆうきち)さんが、6月18日に大阪市内の病院で死去した。享年69。死因は食道がん。
1946年、熊本県天草生まれ。大阪教育大学で美術専攻。 1970年、劇団日本維新派(1987年に維新派に改名)を結成。野外に自分たちで特設劇場を建てることを基本スタイルとし、当初は関西を拠点に舞踏要素の濃い過激なアングラ・パフォーマンスを展開した。やがて少年少女を演じる役者たちによる独特の変拍子ラップ演劇を確立させ、1991年東京初進出公演『少年街』以降、「ヂャンヂャン☆オペラ」と称して、全国各地、また海外で公演を行うようになった。都市や自然など野外の風景を巧みに利用した壮大なスケールのスぺクタクル音楽劇は、大きな反響を呼んだ。
維新派の代表作としては、瀬戸内海の離島・犬島の銅精錬所跡地内での公演『カンカラ』(2002年。第2回朝日舞台芸術賞)、<びわ湖水上舞台>が大きな話題となった「呼吸機械』(2008年)、奈良県曽爾村の運動場で上演した『トワイライト』(2015年)など。名古屋を拠点とする少年王者舘との実質的合同公演『高丘親王航海記』(1992年、名古屋・白川公園内特設野外劇場)では主役の高丘老親王を演じて高い評価を浴びたこともある。
また、近年は外部演出を多数手掛けた。主な外部演出作品としては『イキシマ』(2009年。作・松田正隆)、『レミング~世界の涯まで連れてって~』(2013年&2015年。原作・寺山修司。天野天街との共同脚本)、『十九歳のジェイコブ』(2014年。 原作・中上健次。脚本・松井周)、『PORTAL』(2016年。作・林慎一郎)など。
2011年「紫綬褒章」、2015年「大阪文化賞」をはじめ受賞多数。
葬儀は内々だけで営まれた。後日しのぶ会が開かれる予定。謹んで哀悼の意を表します。
松本雄吉さん(「維新派」公式サイトより引用)