『ニーベルングの指環』4部作 要約コンクール、最優秀賞&優秀賞が決定!

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2016.9.30
【最優秀要約作品賞】グラーネ氏の要約作品


物事には始まりと終わりがある。欲望の象徴である指環が無くても滅亡する運命だったのだろうが、英知の神々の世界すらも指環の呪いから逃れることは出来ずに滅びた、という一大叙事詩をオペラ化した作品。

【1】    ラインの黄金 (前夜)
小人族のアルベリヒはラインの川底から黄金を奪い、愛を諦める事で「世界を支配する指環」を作る。神々の宮殿ヴァルハラ建設の報酬として、永遠の命の源・女神フライアを要求された神々の王ヴォータンは、かわりにアルベリヒから指環を含む黄金すべてを奪い、これを巨人に支払う。邪悪なアルベリヒは指環を持つ者に死をもたらす呪いをかける。

【2】    ワルキューレ(第一夜)
ヴォータンは指環奪還のため、自身が人間との間にもうけたジークムント、ジークリンデの双子兄妹を人間界に遣わした。ジークムントは民家で生き別れのジークリンデに出会い、お互いに兄妹と知るが二人は愛し合う。この婚姻を不道徳とする妻フリッカの進言で、ヴォータンに名剣ノートゥンクを折られたジークムントは、戦いに負け殺される。ヴォータンと大地の母神エルダの娘ブリュンヒルデは、息子を愛する父の本心を知り、父の命令に逆らってジークムントに加勢したため、神性を奪われ、人間界に追放される。彼女の姉妹の戦乙女ワルキューレ達もなすすべなく、ブリュンヒルデは通りすがりの男の妻になる罰を与えられ、火に囲まれた岩山の頂上で眠りにつく。

【3】    ジークフリート(第二夜)
アルベリヒの弟の小人ミーメに育てられた、兄妹の息子ジークフリートは、名剣ノートゥンクを元通りの剣に鍛冶し旅立つ。森で大蛇として黄金と指環を守っていた巨人は、勇者ジークフリートに退治され、ミーメも指環欲しさに彼を殺そうとして倒される。小鳥の声に導かれたジークフリートは、火の山の頂上で眠るブリュンヒルデに口づけして目覚めさせ、二人は結ばれる。

【4】    神々の黄昏(第三夜)
二人は幸せに暮らしていたが、指環を妻に託し、ジークフリートは旅立つ。ライン河畔のグンターの家で惚れ薬を飲まされたジークフリートは、グンターの妹に恋をし、結婚することとなる。グンターがブリュンヒルデを妻に望んだので、ジークフリートはグンターに化けて火の岩山に戻り、ブリュンヒルデから指環を奪い、結婚を迫る。グンターと妹の二組の結婚式で、ブリュンヒルデは自分を忘れている夫ジークフリートに怒り、アルベリヒの息子ハーゲンに夫の弱点を伝える。ジークフリートはハーゲンに殺され、全てを悟ったブリュンヒルデは、神々の世界にかかった呪いを解く為に自分とジークフリートが遣わされた経緯を語る。彼女は愛馬とともに火葬の炎に飛び込み、夫と運命を共にし、その灰の中より指環はライン川に返され、指環を追うハーゲンは溺死する。岩山を守っていた火の神ローゲは、彼女の最後の望みによりヴァルハラに戻り、運命を悟った神々の待つ城を焼き、ここに神々の世界は終焉を迎える。

【優秀要約作品賞】まぬけねこ氏の要約作品


愛を断念した者だけが、ラインの黄金から作れるという、無限の力をもつ指環をめぐるお話。一人では無理なので、4作品それぞれを見渡せる方々に語っていただきます。

ラインの黄金(by神々の長ウォータンのブレーン、火の神ローゲさん)
ウォータンは、巨人族に城を作らせたけれど、その支払いに困っていたの。醜いアルベリヒが愛をあきらめて作った指環を、私が入れ知恵し、巧みにだまし、奪い取ったの。指環にはアルベリヒの呪い「指環を持つ者には死が訪れる」 指環を手放すことを躊躇したウォータンだったけれど、突如現れた知の神エルダのお告げに従った。指環の呪い?巨人族ファフナーは、兄から指環を奪い、殺してしまう。神々は、晴々とヴァルハラ城に入っていったけれど…。

ワルキューレ(戦場から勇者を集める戦乙女ブリュンヒルデのこと/byウォータンさん)
大蛇に姿を変えファフナーが守っている指環をアルベリヒが取り戻したら万事休す。先手を打つため指環を奪わねばならないが、契約を交わし、報酬を支払った相手に手出しはできない。そこで考えたのが、わしの入れ知恵なしに、わしの望むことをやってくれる英雄を作ること。人間に産ませた双子の男ジークムントが、離れ離れになった娘ジークリンデと再会し、霊剣を手に入れるよう仕組み、ここまでは見事成功。しかし、婚姻を司る妻フリッカは、不倫駆け落ち、近親相姦を許さない。ジークリンデの夫フンディングとの戦いに、ジークムントを負けさせる約束をさせられてしまった。ブリュンヒルデは、二人に同情し、わしの命令に背いた。罰さなければならなくなったわしは、泣く泣くブリュンヒルデから神性を奪い、臆病者が近づけないよう、岩山を炎で取り囲んだ。「わしの槍を恐れるものは、この炎を越えるべからず!」

ジークフリート(byジークリンデとジークムントの忘れ形見ジークフリートさん)
醜い小人ミーメ(アルベリヒの弟)はおいらを育て、剣を鍛えようとしていた。けど、これは、大蛇から指環を得るためのやつの計画だった。自分で鍛えた霊剣ノートゥングで大蛇を退治し、蛇の血を偶然舐めたおいらは小鳥の話がわかるようになって知ったんだ。小鳥のすすめで、ブリュンヒルデが眠るという岩山を目指した。いけすかない奴が行く手を阻んだけど、そいつの槍はへし折ってやった。恐れというものを知らないおいらだったけど、なんとブリュンヒルデってのは、女の人だったんだ。おいら、初めて恐くなったんだ…。

神々の黄昏(byアルベリヒが愛なしに産ませた息子ハーゲンさん)
おれにはジークフリートほどの力はないが、知恵と怨念の強さは誰にも負けない。愛の盲目、嫉妬心、怒りを巧みに操り、最後はおれが指環を手に入れる。怒りに駆られたブリュンヒルデから、まんまとジークフリートの弱点を聞きだしたおれは、奴の唯一の弱点という背中をひと突きし…。


詳しくは下記案内サイトを参照のこと。応募全作品を読むことができる。
http://eplus.jp/sys/web/s/opera_ring_concours/index.html​

公演情報
新国立劇場オペラ 
リヒャルト・ワーグナー 楽劇『ニーベルングの指環』第1日<新制作>『ワルキューレ』

(全3幕/ドイツ語上演/字幕付)

 
【会場】新国立劇場 オペラパレス (東京都)
【公演日時】
2016年10月02日(日)14:00
2016年10月05日(水)17:00
2016年10月08日(土)14:00
2016年10月12日(水)14:00
2016年10月15日(土)14:00
2016年10月18日(火)17:00

 
【指揮】飯守泰次郎 
【演出】ゲッツ・フリードリヒ 
【美術・衣裳】ゴットフリート・ピルツ 
【照明】キンモ・ルスケラ 

 
【ジークムント】ステファン・グールド 
【フンディング】アルベルト・ペーゼンドルファー 
【ヴォータン】グリア・グリムスレイ 
【ジークリンデ】ジョゼフィーネ・ウェーバー 
【ブリュンヒルデ】イレーネ・テオリン 
【フリッカ】エレナ・ツィトコーワ 
【ゲルヒルデ】佐藤 路子 
【オルトリンデ】増田 のり子 
【ヴァルトラウテ】増田 弥生 
【シュヴェルトライテ】小野美咲 
【ヘルムヴィーゲ】日比野 幸 
【ジークルーネ】松浦 麗 
【グリムゲルデ】金子 美香 
【ロスヴァイセ】田村由貴絵

 
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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